丑から寅へ、会員募集

 私事ですが、スマホのバッテリーの寿命なのか、いつも充電中の持ち歩きができない有線スマートフォンになってしまいましたので、仕方なく機種変更した時の話です。

竹虎図 尾形光琳筆 江戸時代

 特に好みはないので、格安スマホの店に入り、あれこれ迷いながら契約書の説明を受けていた途中のこと「お調べしましたが、実はご希望の機種の在庫がなく、すぐにお渡しできるのがコチラ、12万4千円になります。」と告げられました。

 あれれ?値段がずいぶん上がった。これって私のことを無知なオッサン(当たってますけど)と見てカモにしてるなと思い、また来ます(来ませんけど)と店から逃げてきました。

葛飾北斎 雨中の虎
数え90歳の作品
原宿の太田美術館所蔵

 色々説明を受けて使うはずのない機能も使うかもしれないと興味をもってしまい、さらに目が肥えてくると安価な機種では気に入ったものは見つからず、7万、8万円とつぎつぎ高額な商品を選んでいる自分がいました。怖い危ない、無知なオッサンは思わぬ出費をしてしまうとこでした。www
 ちなみに次に訪れたドコモショップでは、キャンペーン中の機種を冷静?に選び、機種代はなんと1円で済みました。

 2021年(令和3年)は大田区管理士会をバックアップしていただいた皆様、セミナーや相談会にご参加いただいた皆様、ウィルス感染禍の制限がある中、本当にありがとうございました。
 今後もマンションに限らず、住生活に関わる様々な活動や情報提供を通して少しでも世の中のお役に立てることを目指しております。

 管理士会では一緒に活動していただける会員を募集しています。
 2ヶ月に一回程度、勉強会、セミナー、無料相談会などを通して、マンションの居住者、所有者、管理組合の役員様と情報交換を行っています。
 入会について、いつでもお問い合わせください。

 令和4年の干支を挿絵にさせていただきました。 
 皆様、良い年をお迎えください。
 最後に芦雪の虎図襖を貼っておきます。
 光琳も北斎も芦雪も本物の虎を見たことがありません。猫を参考にするので、どうしてもカワイイが残ってしまってますね。
 尖がった社会には可愛さも必要でしょうね。www
 松尾好朗

長沢蘆雪「虎図襖」


 

 
 

マンションに見るM市の縮図

 M市に建つMマンションは30年が経過、その間の家族構成や環境の変化によって、部屋を手放したり賃貸にする区分所有者は珍しくなくなりました。
 Mマンションは駅チカではなく、特別な設備もなく地味な外観なので、ぜひここに住みたいという人は少ないと思いますが、これまで目立った事件や事故はなく、修繕積立金も順調に積み立てられています。

クロード・モネ「かささぎ」1869年
クロード・モネ「雪の中の通り アルジャントゥイユ

 Aさんは倉庫代わりにしていたMマンションの部屋を引き払い、賃貸に出したいことを不動産業者へ相談したところ、外国人でよければすぐに入居希望者がいるとのことで、リフォームもしないまま即入居となりました。
 Bさんは借家人の退去後、しばらく放置していましたが、館内に入居募集を掲示したところ、意外にもすぐに希望者が現れました。
 Cさんは手狭で使い勝手が悪くなった部屋を売却しようと、同マンションに事務所を構えるE不動産に相談したところ、そのEが買い取ることになりました。
 Dさんは賃借人が居住したままオーナーチェンジをインターネットを使って成約させました。
 このような変化が続く中でも、毎年の総会では区分所有者の出席は少なく委任状を提出する等、管理会社任せにしていました。
 長く理事長を務めていたDさんが部屋を売却したため、複数の部屋の所有者になったE不動産の代表が理事長に就任しました。なお新理事長は外国籍ですが法的に国籍についての条件はありません。

歌川広重『東都名所 日本橋雪中』 1831年頃
歌川広重 東海道五十三次「蒲原宿」

 新理事長は管理費の削減のためとして管理会社を変更しました。理事長が経営する不動産会社の関連業者が次々と修繕工事を行い、修繕積立金がみるみる減っていきました。
 一部の区分所有者が危惧の念を抱き、理事長解任を試みましたが、他の外部在住の区分所有者の多くは家賃収入さえ確保できれば何の問題もないという対応でした。
 そんなことより、この時点で区分所有者の1/4を超える区分所有者がE不動産会社の代表と同国籍で、そして賃借人の半数以上が同国人という状態になっていました。
 館内の掲示板には同国の言語が使用され、そのE不動産がコントロールする実質上の乗っ取りマンションになりました。
 こうなると売買も賃貸も一般の相場での取引は難しく、E不動産が買い叩く負動産になってしまいます。 

エドヴァルド・ムンク「小径に降る雪」
ワシリー・カディンスキー「冬の風景」

(規約の設定、変更及び廃止)
第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。・・中略・・規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。
(集会の招集)
第三十四条 
・・中略・・
 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。 
 つまり、一定数を確保しておけば、自分たちが都合の悪くなる規約等の変更はさせないことができ、自分たちに都合の良くなる要求はいつでも総会を開催して提案できることになります。
 悪意の有無にかかわらず、気付かないうちに浸食されたマンションは、資産価値を維持しつつ平穏に暮らしたい人にとって、もう取り返しがつかなくなります。

 都内約14万人(7万8千世帯)が暮らすM市の市長の発案で、滞在3か月だけで外国人の住民投票権を認める案が委員会で可決されたと報道がありました。
 投票結果は法的な拘束はないというものの、その結果は尊重するというものです。
 最近では、大阪都構想で住民投票が行われ、結果は僅差で賛成票は過半数に届きませんでした。外国人に参政権は無くても、もし外国人へ住民投票権を与えていれば逆転していたか、少なくとも地域の将来を左右するほどの影響はあったかもしれません。大阪府には外国人がM市を超える25.3万人が居住していますので、一つの勢力になりうるのです。

「冬」ジュゼッペ・アルチンボルド
1563~

 M市長の「多様性を認め合う支え合いのまちづくり」イメージが、世界中の様々な人々が手を取り合って暮らすお花畑のような町・・・とは、さすがに想い描いてはいないでしょうが、多様性にならなくて一様性(特定国)を税で支えて、Mマンションのように気付かないうちに特定の国に浸食されることを危惧してしまいます。
 M市= 市長等及び議会は、成立した住民投票の結果を尊重するものとします。
 

『春』(1573)、ルーヴル美術館1573
『夏』(1573)、ルーヴル美術館_1573
『秋』(1573)、ルーヴル美術館1573

 画家が「冬」を色々な想いで描いています。
 最初のモネの2点、目から入った情報が人の記憶をリアルに呼び起こし、冷気までを感じさせてくれます。夏になったら冷凍庫で保管しないと溶けてしまいそうです。
 広重の「蒲原宿」には大雪が積もっています。富士川の河口付近には、今は殆ど雪は降らないですね。
 叫んでいないムンクの絵もあります。並木が揺れていて船酔いしそうです。道の先っぽがやけに明るいのは謎ですね。
 カディンスキーの「冬の風景」の中のどの辺りが冬??なのか、私には見つけられません。白い雪などを描くのは、彼のこけんにかかわるのだと思います。
 アルチンボルトの四季シリーズのうち、冬には人気はなくてもトラウマティックな存在感があります。
 実を2つ残したことで「木は枯れて(死んで)ないぞ」という彼の主張が見られます。
松尾好朗

世に溢れる怪しい商品

 最近よく聞くリバースモーゲージやリースバック、あの手この手で人の財産を巻き上げようとしてきます。クレジットカードも、毎度毎度リボ払いを勧めてきて、人を借金漬けにしようとしてきます。横文字に置き換えても、高利貸しと変わりがありませんね。(笑)

ポプラ並木(ジヴェルニーにて1/23枚)
クロード・モネ 1891年の秋

 リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借り、返済期間中は利息分のみの返済という自宅担保型のローンです。土地の価値を重要視するため、超一等地等は例外ですが、区分所有のマンションにはなじまないローンです。

 契約者が返済途中で死亡すると、その相続人は基本的には自宅に住み続けることはできないため家を明け渡さなければならないというデメリットがあります。

 リースバックは、自宅を業者へ売却した後、賃借人として同じ家に住み続けられるというメリットがありますが、デメリットは相場より低い金額で売り渡し、相場より高い賃料で借りるように追い込まれてしまうこと、数年後には家賃値上げを受け入れざるを得ないことや、期限付き契約では途中で退去し住まいを失うことがあります。

 戸建ての場合は近所の人に知られないように売却して住み続けられますが、マンションでは区分所有者変更になれば、管理者は理事会や総会で(多くの場合は管理会社が代わりに)報告する義務がありますので、売却したことを隠すことはできません。

 業者は「ご相談」と称して足元を見てきますので、世間体を気にせずに他の方法を選ぶべきでしょう。

アリスカンの並木道
フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年

 最近、ある管理組合で修繕積立金減免制度といって、これまた怪しい話を聞きました。
 高齢化社会の中、マンション居住者の高齢化が目立ち、同じく建物も高齢化(老朽化)が進みます。
 建物の日常的な保守管理、定期的な大規模修繕工事、さらにはその時代に見合った設備機器への更新や法改正に対応したリニューアル等を適時適切に実施しなければ資産価値の低下を招き、安全な暮らしを維持できなくなります。
 それらを放置するとスラム化を招きますので、長期修繕計画に応じて修繕積立金の各戸負担額が値上となるのはやむを得ません。

 とまぁ、ここまではよく聞く話ですね。
 区分所有者の中には値上げに耐えられず、又、他の様々な事情で管理費・修繕積立金等を滞納する人が現れます。
 滞納(未収)金は払うことができなければ、最終的にそのマンション区分所有権を売却(任売、競売)してその精算に充てることになります。

赤い屋根
1877年 ジャコブ・カミーユ・ピサロ

 この減免制度は管理組合が、そういう事情で支払いができなくなったり、収入のない高齢の区分所有者に対して、修繕積立金の各戸負担を減免(免除)するという制度のようです。
 その範囲は、値上げされた差額分だけの減免や、その家庭事情に合わせた期限付きの免除等が考えられますが、制度を承認するには管理規約の変更追加が必要になりますので、明確に明文化する必要があります。
 減免といっても会計科目は「未収金2」とでもするのでしょうか、未収金は管理組合の貸付ではないので、遅延損害金や保証人の有無、覚書の精査、そして時効を援用されないような方法を取っておかなければなりません。
 いずれにしても管理組合の会計に影響のない十分な体力(剰余資金、積立金等)を持っていなければ、将来に亘っても実行できる制度ではありません。
 大規模修繕工事で費用を借入をするような管理組合では成り立ちませんね。

秋のアルジャントゥイユのセーヌ川
クロード・モネ 1873年

 理事長は、同じマンションの仲間に「払えないなら部屋売って出ていけ」とは言えないので、温情からこの救済制度を考えたようです。
 将来その区分所有者が亡くなったときに相続人が精算、又は売却して精算となりますが、この超高齢化社会の中で免除期間が20年以上にもなれば、減免した金額も高額になります。毎月の管理も手間がかかりますね。

 例えば、築古ワンルームの高齢者が減免制度を利用し、長命で亡くなられたケースでは、その間も建物もさらに古くなり資産価値も下がります。
 販売価格に免除額が上乗せされるので、古くて高いマンションは売れることなく、その期間も毎月の管理費等の全額が積み上がります。
 当然のように相続放棄され、競売でも債務付きマンションには買手が現れず、結局管理組合は減免した分の債権放棄して整理せざるをえなくなるでしょう。
 温情からの発想は危険で不公平感を生み、管理組合の仕事ではありません。先のリースバックを紹介する方がよさそうです。
 管理組合は判断が難しい個々の金銭事情には、いっさい手を出さないことが賢明ですね。

 秋らしい絵画を並べました。

 「日本の橋」はモネの晩年、目が不自由になってから描かれました。
 同じ構図の多くの作品と比べて、鑑賞する側の心の奥深くへ強い印象と、遠い記憶を呼び覚ませてくれる気がします。
 松尾好朗
 

日本の橋
クロード・モネ 1918-24年