どうする管理組合の役員不足

 先日(11/26)当会主催の、マンション無料相談会が開催されました。大田区といっても広く、遠方からも来られ感謝申し上げます。
 ここ最近の相談の傾向というか以前からもありましたが、組合役員を引き受ける人が不足していますという相談です。定数を減らしても理事会が成立しないことがあり、組合員からの意見や要望、提案を受けても結果的に無視(来期持ち越し)され、輪番で廻ってきた次の理事長はろくな引継ぎもできずに「いや、聞いてませんよ」という繰り返しという具合で、提案や要望の結果を待っていた組合員はストレスが溜まるでしょうね。

 ご相談者のマンション管理会社の担当者(フロント)が作成した議事録(書記担当役員に代わって管理会社が作成)ですが、大手管理会社であっても上司は文書チェックしないのでしょうか、大変お粗末なことも目立ちます。

フリッツ・タウロウ(1847~1906年)

 たとえば、総会の議案が「半数以上の賛成で決議した。」と記載されていました。半数以上とは半数を含みそれよりも上、これでは半数(50%)ちょうどでも決議されることになってしまいますよ、民主主義の大原則である「多数決」に反してしまいますね。www
 実際には、委任状が集まり過半数で決議がされていると思いますが、記録に残りますので正確に記載(賛否が分かれた場合はその数も)しておかないと、外部からはそれなりの管理組合だと評価されてしまいます。


 「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。」ですので、半数というのは、「総会の会議は、議決権総数の半数以上の有する組合員が出席しなければならない。」と混同しているのかもしれません。
 このような管理会社や理事会では、大きなお金が動く大規模修繕のプロジェクトは、とてもとても健全かつ適正に成立するとは思えませんね。

フリッツ・タウロウ(1847~1906年)ノルウェー人です。

 わりにくい議案書と相談者の話からは、理事長の独走というよりも、無関心な理事や管理会社がコントロールできず(というかよく分かってないように見える。)に計画より工事費用が膨れ上がったようです。
 

 そのため今後の修繕計画は大幅に変更、修繕積立金の各戸負担金を増額せざるを得ません。ムダな出費と思える工事の実施がすでに決議されていても、組合活動に関心がない区分所有者は、自分たちが被害者だということすら気が付けずに残念です。

 他では、少数意見を大事にしすぎるのは、マンションの総会だけの傾向ではありませんが、そもそも総会で意見が割れて紛糾することが予想されるような議案は、理事会運営が全くできてないか、管理会社がよほどポンコツなのでしょう。委任状などを含め過半数の賛成票があっても、一部の意見により決議されずに流れる(再検討)ことがあっては成り立ちません。
 結果的に対立を生むような運営は、目に見えない資産価値の下落状態ですので、組合員のためにはなりません。

 管理会社を変更するにも他の組合員から賛同者を募ったり、管理会社抜きの総会を開催する必要等、個人では体力的にあきらめる人が多いのが現実です。
 そんな時こそマンション管理士に相談していただきたいと思います。

ドルトリヒトの桟橋(フリッツ・タウロウ1905)、日本ではこの頃、日露戦争で勝利、しかしポーツマス条約で煮え湯を飲まされることになります。

「ドルトリヒトの桟橋」の拡大図です。
水の表現が抜群です。筆で微妙な色を重ねて書き込んでいます。

 私は顧問(アドバイザー)として理事会等に参加しています。第三者管理としてマンション管理士が組合員以外の役員として選任する方法(管理規約の変更が必要です。)もあります。
 マンションに関わる法律、紛争と裁判例、土地・建築設備、会計、保険や契約関連の知識など、今後はこれらの専門家である第三者が、顧問、役員、管理者として参加せざるを得なくなる時代になると思います。

 冬の作品を2点紹介します。
 ヨハン・フリッツ・タウロウ(Frits Thaulow)は、数多くの風景画を残したノルウェーの人です。ポスト印象派に分類されます。極貧の生涯をおくった印象派の多くの画家たちとは違って、裕福な生まれで欧州と北アフリカを旅して活動、訪れた国からも賞や勲章を受けています。
 この人、水面を描くのがうまい画家としても有名です。

ノルウェーの画家の筆頭にはムンク(1863-1944)がいますね。実はタウロウ家と親戚筋にあたります。
 ムンクの父親は医者ですが、熱狂的なキリスト教信者で子供を顧みることはありませんでした。ムンクは宗教被害2世だったのですね。ww
 ムンクはフリッツ・タウロウの弟の妻(ミリーさん)に横恋慕(これがムンク22歳の初恋)してしまうのも彼らしいところです。

 その恋が実るわけなく、幼少期からの家族の死別と重なり孤独、不安、絶望、鬱、この失恋があっての「叫び」だった??のかもしれません。

松尾好朗


コメントを残す