コンドミニアム崩壊に学ぶ

 6/24フロリダ州で1981年竣工(築40年)、12階建の集合住宅が崩壊して11名が死亡、151人が安否確認ができないと報道されています。(共同通信・時事通信・ロイター)
 6/30現在、崩壊原因は調査中
 行方不明者の一刻も早い救出と、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 注目するのは、崩落時に居住(在宅)していたかもしれない人と連絡が取れていないことです。その人数の報道は日々増減、変化しています。

崩落前
右手前の大部分が崩落しています。

Google Map

崩落後
フロリダ州マイアミビーチ 
サーフサイド崩壊現場
2021/06/24

 日本では、管理会社は管理費等の請求先と名義(口座振替)、総会議案書等の送り先が分っていれば、法的事務を除き管理業務に大きな支障はきたしません。
 使用細則等で定められている「居住者届」により家族の氏名、生年月日、連絡先等を届出された範囲で把握しているだけです。
 しかし築年数を多く経たマンションでは、家族の増減、賃借人など入退の届けが提出されないことが多く、実際は誰が住んでいるのか隣の人でも知らないというマンションもあります。

崩落前
Google Map
崩落後

 リストがあるだけではだめで、家族の増減が届けられているのか、記載されている本人の電話番号や緊急連絡先は今も通じるのか、賃借人退去・入居が届けられているのか、最新で且つ正しいデータでなければ、緊急時には逆に現場に混乱を招くことになります。
 総会時に居住者等データに変更がないか、変更がなくても回答をいただくのですが、回答がないのは毎年同じ人というのが管理組合あるあるです。
 経験上、居住者リストの名前などの活字は、はっきりと大きな字で、フリガナ付きであること、これは緊急時はリストを手に、各戸訪問や電話連絡、夜間に周辺確認や停電の場合もありますので見やすいものに限ります。

 リゾートマンションの場合、ホテルのような管理システムがなく出入り自由な場合は、現在誰が使用しているのか全く把握ができません。

 昨今は個人情報保護を盾に、管理組合役員、管理員にすら居住者リストを公表しない場合があり、万一事件事故が起きても居住者の連絡先どころか名前も人数も現場では準備できないこともあります。


 管理費等節減などにより、常駐管理員は清掃員(週3回程度)に置き変わり、劣化や交換を指摘されている建物・設備の補修工事は、根拠なく金額が高いというだけ(組合も反対者も素人)で賛成票が得られず、だらだら次期へ持ち越しさらに高額な工事になるマンションは多くあります。
上記フロリダの場合も、崩落原因が地盤沈下説の他に、補修費用が莫大な金額(各戸負担)になる議案がコンドミニアム所有者の賛同を得られず、このような結果になったとの情報が出ています。

 この事故を教訓に、マンション居住者名簿(連絡先等)の刷新すること、特に築年数が35年を過ぎているようなマンションは建物・設備の再調査により修繕計画(適正な修繕積立金)を最新の情報に基づいた見直しが必要ですね。
 昨今の総会出席者(高齢者が多い)の「工事にそんなにお金かけなくていい」という風潮が何故か共通して生まれていますが、この問題は別の機会にします。
松尾好朗

 

節減努力という罠

 小売電気事業者を選べるようになった背景(2016/04~)があり、Aマンションでは共用部分の電気料金節減を目的に、東京電力からB電気へ切り替えました。

 切り替え後は、昨年同月比で数千円の節減金額が確認できました。
 B電気への支払い方法は契約では自動振替でしたが、数か月経っても振替が開始されていないため問い合わせると、「来月からです。」との返答が何度か続いたあげく、1年間経過もまだ自動振替がされません。
 そのため、このB社の支払いのためだけに銀行へ出向き現金を振り込むという手間を強いられました。

キュラソーの街並み
キュラソー国旗
キュラソーの街並み

 理事会ではB電気は信用できないとして解約を申し入れたところ、解約料と調達調整金の前払いを加算した請求書が送られてきました。
 契約時に確認しているはずの解約料でしたが、契約口(動力、電灯など)は3口分それぞれが解約料の対象になるのは把握できていなかったことは迂闊でした。
 後から判明したのは、単価が市場連動型であるこの会社では3年分の調達調整金を前払いする実質3年縛りの契約だったことです。
 1年間の節減分を差し引きしても大赤字になります。電気供給が止まるリスクを避けるためすでに会計方は電気料に合わせて支払いを終えていました。
 この解約は相手方に契約の一部に不履行(自動振替の未実行)があること、また調達調整金は相手方に原因がある解約においては、支払い義務が生じないことを主張して返金を申入れました。
 何度かのやり取りの時間を費やした結果、返金に応じるとの回答がありました。

対岸からのウィレムスタットの街の眺望
クイーン・エマ橋よりウィレムスタットの街並み

 法改正などを機にマンション管理組合へ直接、様々な怪しい業者が入り込んできます。
 以前は、磁気活水器、地デジ対応、家庭用火災警報器、アルカリイオン整水器、水質検査、ディスポーザー、民泊など、他にあたかも管理組合が案内しているような文面でインターネットの勧誘や、オートロックを潜り抜けて宅内設備点検と称して家庭内に入り込み、水周りのリーフォームを強引に契約させることもありました。これらは詐欺に近いものですが、特定政党関係や宗教などは信じた者が勧誘するので厄介です。

 写真はソフトバンク球団の外野手、バレンティンの故郷です。
 この人口15万人ほどの小さな島から彼のような大リーグの選手を多数輩出しています。

キュラソー島 ウィレムスタット

 オランダ自治領キュラソー島というベネズエラの北、カリブ海に位置する種子島ほどの広さの島です。
 中心のウィレムスタットの中心街の街並みは明るく、現在は観光産業の島になっていますが、若者の多くは外に出るしか生きていけません。町を少し外れると荒廃した土地が続きます。
 スペインに完全に征服され原住民は一掃され文化風習は消滅、その後もオランダに植民地支配され続けました。
 欧州の奴隷売買や世界の石油をめぐる情勢に翻弄され続けた小さな島です。
松尾好朗

勘違いの善行

 マンションでは飼えないので、近所にたむろしているノラ猫に餌やりするご年配のグループを見かけます。ハトやカラス、雀までがおこぼれを狙って集まってきます。
 餌やりをすることで、「小さい命を救ってあげた。今日も良いことをした。」と思い込む「善行」を生きがいにしてらっしゃるのか、周りは迷惑なので人間社会にも「善行」をお願いしたいですね。

『ジャンヌ・エビュテンヌの肖像』(1918年)
妻のジェンヌ・エビュテルヌさん
 藤田嗣治のモデルもしていました。
藤田嗣治

 ある地域では、餌やりグループの協力を得てノラ猫に順に避妊手術を施し、繁殖拡大を抑える活動をしている団体があります。
 施術後は猫耳にVカットを入れて見分けているそうです。 
 避妊手術代は寄付金で賄っていることで活動を不安定にさせないで欲しいですが、莫大な寄付があればノラ猫はいずれ絶滅することになるので、餌やりグループの楽しみがなくなってしまいますね。(笑)

 本来は自然淘汰される命を、人の手によって延命させてるだけなので、賛成できません。

 世間では、感染防止のための飲食店への時短や酒類制限に応じないところが目に見えて増えています。店が感染対策をしていても、来店客が感染者なら誰も防止できませんね、取材に応じた店長は「従業員の生活を守るため店を開けている。」とのことですが、その家族に感染して命を落とすことは考えないのでしょうか。
 ノラ猫は餌がなければ餌を求めて移動し、強いものだけが生き残るのが自然なこと、飲食店の従業員もお金が確保できないと分かると他を探して生きて行くのも当然なことだと思います。

 餌やり婆と飲み屋の店長を一緒にしてごめんですが、ルールは守って欲しいですね。猫も従業員も、餌が目当てで人物にくっついているわけではありません。

ビアトリス・ヘイスティングスの肖像
1915

 文中の絵は本文の内容とは関係がありませんが、この画家の名前を知らなくても、絵は知ってるという人が多いと思います。
 新しい思想が多く生まれ、分派し変化して成長する時代に影響されながらも、一度見たら忘れられない独自の絵を描きモンパルナスを根城にしていたイタリア生まれのナルシストのイケメン画家です。

『赤い肩掛けを着たジャンヌ・エビュテンヌ』(1917年)
大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ1918


 Amedeo Modigliani(1884-1920)表現派
 アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ(エコール・ド・パリ)
 彫刻にも挑戦し、キュビズムを迎合せず「抽象は人を疲れさせ、駄目にする袋小路だ。」という言葉を残しています。
 虚弱な体を酒と薬物で寿命を縮め、結核で早世(36歳)します。
 短い生涯、貧困からは脱することはありませんでしたが、後年、妻のジャンヌの肖像画が56億円、横たわる裸婦は210億円で落札されました。
 松尾好朗
 
  

made in maid

 分譲マンションの設計が手探りだった時代、東京オリンピックの年に竣工(1964年)したマンションの設計図書を見る機会がありました。
 現在は個性薄い系のタワーマンションに建て替えられています。
 当時は先例がないためか、共用部分では欧米サイズをそのまま採用したような余裕のある空間が見られます。バリアフリーではないものの、段差を利用して天井を高く感じさせるラウンジや、異空間として茶室が配されています。
 電話交換室があって交換手が各部屋につないでいた時代だったようです。


 上層階には植樹がされた空間やゴルフ練習場があり、セントラル給湯、冷暖房が共用部分、専有部分へ供給されていました。♪ 水道完備ガス見込み~ ♪といった時代に、画期的だったでしょうね。
 当時のパンフレットを見ると居住者へのサービスとして、ホテルならポーター、駅の赤帽のような役目をする法被をまとったスタッフ常駐して、車やタクシーを降りた後など、荷物を部屋まで運んだり雑用を手伝いますとありました。チップが必要だったかどうかわかりませんが平和な光景です。(笑)

Vermeer_Lady_Maidservant_Holding_Letter
ヨハネス・フェルメール 1667年
婦人と召使

  住込み管理員が居住者から管理費他の集金業務や出納管理を担い、年間行事や居住者名簿の管理、館内のトラブル対応から給湯(重油)、空調管理など広範囲で、現在よりずっとプライドと責任をもって仕事ができていたのだろうと想像してしまいます。
 また販売当時は、他の居住者への迷惑をもたらす恐れがあるからとして、芸能人と政治家へは販売しなかったということです。

買い物帰りの女中
ジャン・シメオン・シャルダン1739年
washer《洗濯女》
ジャン・シメオン・シャルダン
1733年

 専有部には、「応接間」や「客間」という呼称の部屋と「便所」が2か所あることもあり、当時の訪問客が多い生活様式が想像されます。また、今や絶滅した「女中部屋」という部屋も存在していました。今だとスタッフルームかメイドルームということですね。

 現在、メイドといえばコスプレの世界で衣装とポリシーだけが生き残っています。
 同じ流れのメイド喫茶、猫カフェ、フクロウカフェなどは、反社組織の経営が多く、感染防止の中でインバウンドが見込めなくなった後は、持続金や協力金を得て猫とフクロウに給与を払っているのでしょうか。
 おうち時間が増えた影響でペットを飼う人が増えましたが、元々ペットショップの経営は反社の経営が非常に多く、ペットを玩具にしか思わない子供(と、そう育った親)は彼らの良きお客様(資金源)です。

Rembrandt_Harmensz.van_Rijn-_-The_Kitchen_Maid厨房女中 レンブラント・ファン・レイン
1651年

ピエール=オーギュスト・ルノワール「洗濯女」(1877-79年)

 今日は、メイド、女中、家政婦、洗濯女、お手伝いさんが登場する絵画を集めてみました。

フェルメール  
牛乳を注ぐ女  1658

 今日、陸上の山縣亮太が100Mで日本新記録を出しました。新型ウィルス感染防止の環境で、努力して結果を出したアスリートの存在は、オリンピック開催の是非にも影響を与えると思います。

 オリンピックは開催前日でも途中でも、中止するのは簡単です。そのため準備は完璧に整えておきべきであって、今、中止ムードが広がるとオリンピック開催というタガが外れて、目標が見えなくなり、どうでもいいやムードが蔓延し、平行してウィルス感染の拡大もダラダラ続くと思います。
松尾好朗

美しい家政婦 1915
モディリアーニ