第29回 大田区マンション管理懇談会

 2020年11月29日(日曜日)14:00~16:00 エセナ大田において、標記が開催されました。
テーマ:マンションに関する都条例「管理状況届出制度」について
 新型コロナウィルス感染防止対策のため、部屋は通常定員の半分までという制約の中、満員の参加でした。
 テーマの他、管理会社主導の修繕計画・工事の問題、建替えに関わる問題等、都議会議員の参加もいただき活発な意見交換が行われました。
事務局

photo by “Chanyapuk Numprasop”

「弱き者の戦い」

 最近、マンションの専門家といわれる方が、コロナ禍での管理組合活動において三密を避ける方法の一つとして、オンライン総会・理事会と盛んにはしゃいでおられます。役員や管理会社のフロントは安全面でメリットがあるのですが、現場で人に接し、人が触ったモノやゴミに触る仕事の清掃・管理員について、感染予防のアイデアを出せる専門家は皆無です。
 オンラインの方法等は、すでに自然発生しているので、マンションの専門家が今更騒ぐことではありませんね。

https://www.nasjonalmuseet.no/en/collection/object/NG.M.01867
ムンク《スペイン風邪にかかった自画像》1919年

 感染防止には、私は時短が手っ取り早い方法かと思いますが、それどころか「取っ手は、管理員に1日3回消毒させています。」等の掲示をよく見かけますので、管理会社(管理組合)は反対に管理員の仕事量を増やしてしまっています。
 この時節、清掃・管理員を募集すれば応募はいくらでもあり、使い捨てでよいという考えで目を瞑っているのではないでしょうか?原発事故の時にホームレスを集め、高給を払い現地で危険な作業をさせたのとよく似ています。似ていないのは管理員は高給ではないところです。(笑)

 一般的なマンションで、管理員が3連休した時は、マンションのゴミ置場がどのような状態になっているか、居住者は分かっています。今、仕事を失った人を清掃・管理員に採用しても、社会が落ち着くと必ず転職されてしまうのは分かりきったことです。

 私がアドバイザーをさせていただいている自主管理のマンションでは、新型コロナウィルス感染が始まった頃から、清掃員の負担が明らかに増えているため、理事会は清掃員への支払いの増額を予算化しました。言葉での感謝も必要ですが、本人が不安・不満を持って働く中、「理事会はちゃんと見てます。」と対価により評価をすることは、今できる最高のねぎらいだと思います。

https://munch.emuseum.com/en/objects/2858/selvportrett-etter-spanskesyken
ムンク《スペイン風邪後の自画像》1919年

 象徴主義/表現主義 エドヴァルド・ムンクの《叫び》は1893年に描かれ、1919年(56歳)に、スペイン風邪になった自分の姿と回復した自画像を描いています。
 見るからに体も心も少し病んでいるように見えるムンクは、実際は感染しておらず、パンデミックの中で自分の思い込みでなかったのかという説もあるようです。
松尾 

まだ紙にこだわりますか?

 都内、大きなAマンションの集合郵便受け、脇に置かれた不要チラシ入れには、さっき管理員が投函したばかりの「区報」が早くも捨てられています。翌朝数えたところ、40%以上が捨てられていました。
 目の前で捨てられるのは、割り切れない思いでしょうね、午前中に掘った穴を午後には埋める・・・まるで囚人労働のようです。(泣)

 区報を配るのは区から予算を受けている町会の仕事ですが、このマンションでは月初めに町会から大きな束が届けられ、管理員が配っています。ポスティング作業は区報だけならともかく、地元誌や町会のお知らせも「ついでに」ということでしょうか3~4種類を配るには30分以上も時間を費やしています。

George Nelson

 紙代や印刷代、配る手間と捨てる手間、マンションでは区報等は掲示することで十分ですね、もちろん区のWEBでも対応ができています。
 また最近では、郵便受けに無理やり押し込まれている分厚いタウンページも多くはそのまま捨てられていました。
 タウンページは受付カウンターに一冊あれば間に合いそうですね、時々入っているポケットティッシュも、コロナ禍ではできるだけ触りたくないので可燃ゴミになっています。
 我々が向かうべき方向とは違うような、やっていることがチグハグな気がします。
 週一回の資源回収日、その昔に比べると新聞の量は激減しました。区民はそれぞれ別の形で毎日の必要な情報を得ているということです。

 管理組合活動の中で発生する膨大な書類はデータ化したくても、どの書類ならデータ保管してもよいのか、20数年前の「書類保管に関する細則」があっても、今は適合しない書類が山ほどあります。

George Nelson

 またスキャニングはできるとしても、原本を捨てないと書類は減らないので、細則を追加、変更させてからでないと作業に移れません。明らかに不要な書類を長老役員の一声(超法規)で捨てられなくなったりすることもありそうですね(笑)。
 紙のサイズがマチマチだとスキャニング等のデータ化には膨大な時間がかかりそうです。そもそもその作業は誰がやるの?という大きな問題があります。

 総会で、すべての議案が全会一致で決議された出席票の原本を「永久保存」する必要が本当にあるのか、過去の工事の3社見積書のうち採用されなかった2社の見積書や会社概要等を保管している意味があるのか、交換する前の設備機器の「特に異常ありません。」と書かれた点検表の原本を見たい人がいるのか等、自分の一存では捨てられないまま時間だけが経過している場合が多いのではないのでしょうか?
 管理規約・使用細則はこれらの問題に限らず、時代により柔軟に変更や追加、または削除をしておかないと未来の我々の首を絞めてしまいそうです。
松尾 

講演会開催のお知らせ

おおた区報 11月1日号(区民のひろば)掲載

 日 時:2020年11月29日(日曜日)14:00~16:00
 場 所:エセナおおた 第1学習室
 講 師:大島邦造氏
 テーマ:マンションに関する都条例「管理状況届出制度」について
  条例が制定された背景、目的、管理の適正化に関する指針
 の説明、併せて管理不全の実態も取り上げながら講演の予定
です。
  管理に関する相談会も開催します。新型コロナ感染防止対
策の上、ご参加下さい。
 申 込:090-1818-1700 大田区マンション管理士会 水野

 *管理状況届出制度のパンフレットは次のリンクです。

 

 *現在、国土交通省が検討中のマンション管理計画認定制度のリンクは次の通りです。

(Hans Wegner Yチェアー)

11月2日に開催された「マンション再生セミナー2020」講演会に参加してきました。
機会があれば、資料を基に内容を説明いたします。
松尾