「置き配でお願いします。」とか「宅配ボックスに入れてください。」と、Aマンションのエントランスのインターフォン越しに高いトーンの声が聞こえてきます。
在宅していても宅配物を対面で受け取らない人が多い上に、コロナ禍の影響で宅配サービスの需要が高まり、宅配ボックスの利用も増えています。
困るのは郵便受けにもドアにも表札を出していない人がいるので、受け取り名を確認ができずトラブルになることもあるようです。
この人たちは戸建てに住んでも表札は出さないのでしょうか?
今やお歳暮お中元が過去の風習となる中で、違うスタイルの様々な宅配サービスが定着しています。
小さいものや一人前の出前など、申し訳なくて配達を頼めないオジサン世代には理解が難しいところがあります。
近年では宅配ボックスの中でゴルフバッグ用ボックスの利用はほとんどなくなりました。他の3~6ボックス分のサイズがありますので交換した方がいいですね。
集合郵便受けは盗難防止などの理由で受け口が郵便物厚み限度の3㎝より薄く作っている(2.5㎝程度)ため、本来は郵便受けに入るメール便、ゆうメール、レターパックが入らず、宅配ボックスを利用することになりますます不足する状況になっています。
省スペースや防犯を優先した郵便物が入らない郵便受け、利用されないゴルフバッグ用の宅配ボックス、他にもマンション施設では、上段が全く使えない上下2段式駐輪ラック、子供載せ自転車が並んで駐輪できない駐輪区画、ゴミが入ると持ち運び不可能な90ℓのポリバケツの採用など、新築マンションなのに何故か旧態依然とした設計資料のデータが採用されています。
Portrait of the Postman Joseph Roulin 1888(Vincent Willem van Gogh)
すぐに満杯になってしまう宅配ボックスの数では居住者にストレスを与えるだけです。マンション共用部分でよく使うものはノンストレスであるべきです。
マンションの設計者は、脳にこびりついた骨董品のような設計資料(データ)を信奉するのではなく、変化する時代の新しい情報を取り入れ、そこに居住する人とその未来のことを考えて計画してもらいたいですね。
この絵はボストン美術館が所蔵するゴッホの作品、町の雄弁な思想家でゴッホの理解者であるルーランの肖像画です。postman(郵便配達員)になっていますが、小さなアルルの駅で郵便取扱いの仕事をしていたようです。
首と上半身の軸を少しずらしカクカクした輪郭線はルーランの性格を表しているのでしょう。曲げていない指は職業柄、慢性の腱鞘炎と想像します。椅子のアームが片方しかなく背もたれのカーブがどうやってつながるのか不思議な絵です。
松尾