本日(5/23)の相談会の中止はすでにご案内のとおりです。次回をご期待下さい。
さて、Xマンションでの出来事です。
居住者のAさんは共用エントランス付近でこのマンションの専有部らしき鍵を拾ったので、管理室に届けました。
管理員は鍵の落とし物が届けられていることのお知らせを掲示したところ、Bさんが名のり出て、鍵は無事に持ち主へ返すことができました。
少し昔なら、鍵を落としたBさんがAさんにお礼を言ってハッピーエンドが自然な流れでしょうが、Aさんは管理室に届けたときには自分が拾ったことを落とした人には言わないで欲しい、そしてその人が誰かは自分にも知らせないで欲しいとのことでした。
これは、もしBさんが悪意で部屋に泥棒が入ったと話を作れば、Aさんは短時間であってもBさんの部屋の鍵を持っていたため、合鍵を作り部屋に侵入できたとAさんが疑われることになります。
管理員も同じ立場なんですけどね。
煩わしいので他の居住者とは関わりたくない、知らないで済ませたいというのは、特に都会型のマンションで生まれる行動かもしれません。
その話をBさんが聞けば気分は良くないでしょうね。
群衆の中で人が倒れていても、自分ではなく誰かがやるから関わりたくない、人の流れに逆らってまで助け起こすのは大きなストレスがあるので見なかったことにしたい。この心理に似ているところがあります。
マンション内のトラブル防止は「普段のコミュニケーションです。」と専門家の先生は言われますが、適度な敵を作ってしまうのも人の本能であるようです。
コミュニケーションがされていても他人同士では表面的、儀礼的なものであり、まったく考え方が違ったり、お金が絡むと解決が難しくなるのが現実です。
ただ、相手の顔が見えないときや情報がないときは、疑心暗鬼にとらわれ相手が大きく見えたり悪い断片をつなげて悪魔に仕立てがちですので、一定のコミュニケーションは情報整理のためには必要なことは間違いありません。
Aさんが暮らす都市型Xマンションはひと気がなく、隣人が誰か知りません。
管理会社は区分所有者は把握できていますが、届出のない賃借人やその同居人については情報がありません。
郵便受けにはほとんど表札(名前の記入)はなく、組合運営は管理会社任せです。
同規模の郊外型Yマンションでは、家族構成はもちろんプライバシーが許せる範囲で年齢、職業や子供の学校などの情報を得、管理組合が高齢者に関してのデータも把握しています。
何より地域交流行事や情報交換が活発で、総会でも前向きの提案が多く出されています。工事作業中でも居住者に話しかけられることが多く都会型とは違いを感じます。
Yマンションのように活発な管理組合のメリットは多いと思いますが、干渉されたくないという人にとっては、人対人の関係によっては住み心地が変化する(簡単に引越しができないので最悪になる)かもしれません。その点では無関心な都市型は気楽ですね。
活発な組合を何件も担当する管理会社のフロントは忙殺され、体がもたないという裏事情も存在します。(笑)
マンション建物設備等の基礎データ、統計やランキングも購入のときにマンションを知るのに必要と思いますが、XとYマンションではハード面ではほとんど同じです。
別枠で、総会の実出席者の数やファミリー割合、自治会や町内会との関り度合い、独居高齢者戸数、近隣の有名店などのソフト面のデータを加えることが可能ならば、更に具体的に見えてきそうです。
中古マンションデータにソフト面の一行が増えることで購入の決め手になることがあるかもしれません。
購入を考えている部屋の上下左右の居住者情報(いい悪いにかかわらず。)があれば、なおいいですね。
建物と居住者の高齢化、無関心層の増加の中で、管理組合の活動をどうやって活発に保つかが課題になりそうです。
本日挿絵にしたのは、英文科卒業という人は必ず原文で読んでいるでしょう、戯曲ハムレットの場面の一つです。
ジョン・エヴァレット・ミレイ(農民を崇高に描いたジャン=フランソワ・ミレーとは別人)のオフィーリアが有名ですが、同じテーマを多くの画家が描いています。画家の解釈によってその表現の違いを比較して楽しんでください。
関係ないのですが、リコール名簿偽造事件の逮捕のニュースが連日報じられています。
似たケースで私の名前が勝手に使われていたことが何度かあります。
ド田舎で町会名簿丸写しの現場も見たことがありますが、無効が何パーセントなら偽造になるのでしょうね?
この時代遅れな手段において、愛知県知事の場合だけが騒がれているのが不思議に感じます。
最後に私の好きなアーサー・ヒューズの作品、こちらはオフィーリアが川辺にいて転落する直前の姿です。
日本では黒船来航の前年(嘉永5年)なのに、現代の日本アニメ的な画風に感じませんか?。
死の直前という時間と空間には、花言葉を秘めた花や象徴的な色で幻想的に背景を飾りがちですが、荒廃した原野のような背景はオフィーリアの心象風景を伝えたかったのでしょう。
同じ作品展にミレイのオフィーリアとヒューズのオフィーリアが並んで出展されていましたが、時代は生々しいミレイの絵を有名にしました。
松尾好朗