理事会の代理出席


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 標準管理規約における理事会開催の定足数及び決議要件です。
(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。

 120戸のマンションで、役員の内の監事を除いて、例えば理事が10名いたとしても5名の出席があれば理事会の開催が成立、そのうち3名が賛成すれば議事は可決されます。理事会へ一任するという総会の決議だって、たった3名だけで決めることもできますね。

 この条文のコメントは次の通りです。①~④
 ① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
 ② したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。

仏の座:春、大量に咲いて一斉に枯れました。

 ③ 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定める規約の規定は有効(リンク先:判例平成2年11月26日であると解される・・・中略・・・。
 ④ 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
 ⑤ 要約:規約で電磁的な参加方法を定めて認める。

 ①では理事本人が出席して他の理事の意見と交えるのが本来であるとし、これを強く推奨していますね。
 ②では規約に定められてない限りは、理に適わないとしていますが、規約に定められている場合は、推奨しないものの有効というニュアンスでしょう。

 ③④について、管理規約に定められている場合は、③次の裁判要旨の範囲なら代理出席は有効と解せます。④前もって議案の表決を書面により意思表示することができます。規約には議決権行使書の提出により出席と扱うことを明記し、委任状の提出についてはコメントから推し測ると推奨されていないようですが、委任することが意思表示なので有効と考えられます。但し、議案に対する書面は「〇〇について、賛成・反対」だけではダメで、表決のためには具体的な内容説明などが要求されると考えられます。
 ③の裁判要旨は次の通りです。
 区分所有法四七条二項の管理組合法人の規約中、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる旨を定めた条項は、違法でない。

 つまり、理事が理事会に出席できない場合は、代理出席の条件や書面による表決を認める旨を規約に追加すれば足りることになります。裁判要旨の中の「理事に事故があり」とありますが、事故とは「思いがけず生じた悪い出来事」ですが、どんな事よりも優先したいハッピーな出来事も急に起こることもあるので、事故に限定されるのはどうなんでしょう。
 以前の理事会では、子供の運動会で数名欠席されたことがありました。

品川区のマンション理事長から送っていただいたエントランス脇に健気に咲く「スズラン」です。

 また、「その配偶者又は一親等の親族に限り・・」この文章だと「同居」の文字がないので、別居中の旦那や、田舎の親、外国勤務の子供でも代理人になれてしまうような・・。www
 「個人情報がぁー」とかすぐに叫ぶいまどきにですよ、配偶者とか一親等の親族とか言われても、その証をするのが自己申告なら必要性が感じられません。
 私の経験(管理組合法人ではない組合)ですが、普通の夫婦に見えても、ただの同居で所有者が元妾の名義だったり、親子関係のない前妻の連れ子が理事だったり、所有は義父名義でも理事長になっていたり、これからの多様な社会を考えると、家族とはこうあるべきという昭和の香りがプンプンする制限は考え直す必要があると思います。
 ただ、法律行為など登記上の区分所有者に限られる事項も多くあります。

白いヒメジョオンと赤い虞美人草(ヒナゲシ、コクリコ、ポピー)

 財産権を除いた部分では、区分所有者だけの組織の意味合いが薄れてきています。
 私は管理者である理事長の権限を広めて、管理規約や使用細則などの制限とは別に、その時代、環境、立地に適した合理的な判断で組合運営ができるようなスタイルを理想と考えています。
 外部の専門家がその専門知識(土地、建物・設備、関係法律、会計等)を顧問の立場などでアドバイスするのは、組合活性化や時短合理化のため大賛成ですが、管理者管理方式と呼ばれるところの実際に住んでなくて所有者でもない第三者が組合役員として、どの範囲まで権限を持って何を言えるのかに疑問があります。

 以前、理事会代理出席の範囲を規約に追加する上で、そのマンション個別の事情を取り入れた結果、法律上の親族(配偶者、6親等以内の血族及び、3親等以内の姻族)、及び理事長が認めた者と範囲を広げました。これは「理事長が認めた者」がミソになっており、結局はメリットがあるなら、誰であろうと柔軟に意見を取入れたいという意向が優先されたものです。
 役員輪番制により、多くの区分所有者に組合運営等を経験いただくのは良いのですが、コントロールできるメンバーが入ってないと消極的になり活動停滞、管理会社の言われるまんまに1年間という結果になる場合が多いのです。
 消極性は、前述の理事会の議決権行使書、委任状の悪用になりかねません。
 何事も問題が大きくなってからですと、莫大な費用が必要になる場合や、問題を放置すると、修復できないほどの居住者間の軋轢が発生することもあります。
 そのため平常時からマンション管理士を理事会等に参加させていれば、効率的機で適正な管理のお手伝いができると思います。

 写真は近くのマンションの庭のに咲いた花たちです。
 松尾好朗
 
 
 
 


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