高経年マンションと居住者の高齢化

 皆様、明けましておめでとうございます。令和5年元旦
 昨年はこのホームページを通し多くの方からお問合せ、また各専門分野の方々からご助言や情報の提供をいただき誠にありがとうございました。

 マンションの高経年化と、そこに住まう人々の高齢化については、もうすでに大きなテーマになっていますね。

 世間では、上級国民と揶揄される高齢ドライバーや、都合が悪くなると言った覚えはないという頑迷な名誉教授、イイネを言論統制する裁判官、補助金だけは受け取るワクチン反対の老医院長、そんな元気すぎる高齢者が目立ちましたね。マンション管理組合でもその縮図が見られます。

歌川広重「隷書東海道」の大津 何が起きたのか、わめいているおじさんを周りからなだめられている様子を、荷牛車の前から眺めている男は相方でしょうか?ストーリーがありそうですね。

 総会で決議された緊急性のある工事を、自分の知人の会社ならもっと安いと言ったきり自分では何も手配せず放置する長老の役員、他の役員は高齢者への遠慮があり、情報もない中ではコトが前へ進みません。

歌川広重「四日市」
遠近法でいうと左の菅笠を追っかける人と比べて、右の菰を被った人が巨人になってしまいますが、不自然に見えないのがさすがです。

 反対の例があります。総会決議を経ず、自分の知人の業者へ中規模工事を勝手に発注した声の大きなワンマン理事長、不正が明らかでも同じマンション内に居住する理事長を、手順を踏んで訴訟するには体力と時間と資金が必要です。無関心な組合員にも責任はあります。

 また若手の役員を部下のように扱う勘違い役員、嫌われますね。
 これでは他の役員のやる気が失せてしまいます。

歌川広重「行書版東海道」関 旅籠屋の店先
今着いて盥で脚を洗って機嫌がよさそうです。旅人の袖を引っ張ってるのはおばあさんのように見えますが、高齢の客引きでしょうか?ww

 あの役員がいるので参加しないと言う役員が出てくると理事会は成り立たなくなります。
 一般的に高齢の役員は議案と関係がない話が長く、自分の生活範囲外やAIやITに関係する設備導入は否定的な傾向があると感じます。

 建物・設備は、計画的な積立金があればなんとかなります。でも悪質コンサルタントに騙されないようにしましょう。
 マンションという居住形態では、高齢者の寝タバコや揚げ物調理など専有部分の火の扱いも全館へ影響が及ぶので心配です。またセールス訪問にほいほいオートロックを解除して中に入れてしまうことは、他の居住者全員に迷惑をかけることになります。
 高齢役員ばかりに組合運営を任せていると、たとえ経費は抑えられても、残念ながら時代遅れの落ちこぼれマンションとなりがちです。こうなってからでは資産価値の回復は困難になります。
 これまで高齢者が関わる悪い例ばかりを挙げましたが、役員は各世代の意見を取り入れて運営するのが理想的です。
 10年前の修繕計画などはすでに使えません。補修に追いかけられるのではなく、時代に合った機器、システムの導入、新しい仕上げ材料、工法の採用等を修繕計画に取り入れる見直しが必要です。

歌川広重「鞠子宿」
 鞠子名物といえば「とろろ汁」です。ポスターに描かれた二人が腰掛けて食べているのも鞠子のとろろ汁です。この頃も足を組んで食べる人がいたんですね。

 原宿の太田記念美術館で広重が描く昔のおじさんを集めた展示会が開催されます。「おじさん」だけでは集客が難しいと考えてしまいますが、広重の作品はどれも見ごたえあります。

 皆様、本年も時々ホームページを覗いていただきますようお願い致します。
大田区マンション管理士会 事務局 松尾好朗

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