話題尽きないマンションのペット飼育

 5/29の無料相談会の案内

 以前、フランスでは仔犬(猫)をショーケースで陳列する販売方法は虐待だとして規制するという報道がありました。イルカショーや動物サーカスなどはもってのほかです。
 しかし飼育環境が劣悪でもブリーダービジネスが成り立っているのなら、本来の目的がどこへ行ったのかよく分かりません。しっかりと管理ができるのなら闇売買よりはいいのかもしれませんね。

アルベルト・ジャコメッティ [猫]

 日本では昨年2021年6月の「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」によりケージの大きさまでが細かく決められました。現在の展示型のサイズでは不足します。省令等を本当に愛護の観点から改正するなら、まず裏社会が参画できないようにして、基準はもっとシンプルに示さないと、管理できる人がいなくなり結局は自己満足で終ってしまいそうな気がします。

 仔犬(猫)の親が、様々な経験をさせて子供を躾けるべき大切な時期に人が切り離し、ぬいぐるみ感覚で販売するシステムがまだまだ続いています。そこが反社組織の資金源になっているのは周知の通りです。ニセの血統書付きの子犬が何十万円もするカラクリは、ココ山岡(宝石のキャッチ販売)がウソ鑑定書を乱発していたことに似ていますね。
 キャバクラのお嬢さんがカモの客をペットショップに連れ出して仔犬をねだって購入させ、次の日にはその仔犬を返して返金を受けるというビジネスも裏社会に貢献しているようです。

 さて、マンション管理組合の「ペット飼育細則」も国が作成する政令・省令と似たところがあります。例えば、飼育できる犬の体長は何センチまでと細かく指定があっても、それをだれが毎年計測して管理するのか、その費用は?もし制限を超えていたら誰がどのように違反通告するのか、家族同然のペットを引き離すことができるのか、実際はウヤムヤになっていることが多いと感じています。

Dog-Pablo-Picasso

 マンションでのペット飼育の話題はいつも盛りだくさんです。
 犬猫等のペットの飼育を禁止しているマンションでも、隠せないのがゴミ置場に出されている重くて強烈な臭いを発する(ペット)トイレ砂です。消臭効果が切れたころに持ち込まれるので、マンションのごみ置き場は食肉目イヌ科・ネコ科の獣臭に満ちた野生の王国に変貌します。堂々とペットフードの空き缶を洗いもせずに出している「自称愛犬家・愛猫家」も多く存在します。困った人たちですね。

ロレンツォ・ロット『受胎告知』1527年 レカナーティ美術館
Lorenzo-Lotto-The-Annunciation

 本能を否定する去勢手術をさせてまで玩具にする人間はどこまでエゴなのか、そこまでやっておいて、そもそも「動物の愛護及び管理に関する法律」自体が人間が作るものなので動物のために意味があるのかと思います。

 マンションでのペット(犬猫等)飼育は、可か不可かではなく、基本的に他の居住者に迷惑をかける可能性があるため飼育不可(禁止)しかありません。
 可能性というのは飼い主は感じなくても、他の人が臭いや鳴声(周波数)、騒音、羽毛の飛散、トラウマ、アレルギー等を迷惑と感じる場合です。

 しかし、様々な理由で飼育する場合は、禁止されている中で飼育しているという意識をもって育てるなら、それ以上の制限はできない(許可ではありません)ものと考えます。
 他の居住者から直接の不利益等、受忍限度を超える被害を受けることがあれば、元々飼育禁止と定められているため法的に争う必要もありません。
 マンション内で動物愛護、ペットは家族など、不毛な議論はするべきではありません。

 絵は私の好きな猫と犬です。
 ロレンツォ・ロットは絵画の高い技術を持っている割には同時期に天才達が活躍していて目立ちません。後にブラマンテに認められたのですが、バチカン宮殿の壁画装飾で仕事を一緒にしたのがラファエロだったので、またも目立つことなく実際にロットの部屋は後に取り壊されてしまいラファエロの部屋の壁画は現存しています。その中でこの受胎告知(1534年)は特異です。
 他の多くの画家が描く「受胎告知」とは違うところは、右の大天使ガブリエルから受胎したことを告げられる場面で、マリア様がびっくりこいて逃げているのですね、上から格好つけた背中に羽根の生えた知らないオジサンが突然降りてきて「処女受胎したよ」なんてことをいきなり言われたら誰でも必死で逃げますね。
 この後どうしたんでしょうか気になります。
 本来は不吉な場面の小道具に使われる猫を描いているのも興味深いところです。

松尾 好朗

管理員の壁

 「おおた区報・区民のひろば」5/1号
  相談会「マンション管理全般のご相談」の案内が掲載されました。
   日時:5月29日(日)午後2時~4時 
   場所:エセナ大田


 午後2時頃、商業地域に建つAマンションの管理緊急センターへ、隣接するBマンションの居住者(女性)から、「Aマンションの屋上に携帯電話を落としたので至急屋上の鍵を貸して欲しい。」と連絡がありました。
 屋上へ上がるには脚立からタラップに移るという危険な動作が伴うため、鍵だけを貸すことはできません。Aマンションの担当は別件を対応中、管理員はすでに勤務終了し帰宅、警備会社は契約外の業務になるため対応は午後6時以降で約2万円の費用が発生するということでした。

木の葉に埋もれたはしご 1892年(L’échelle dans le feuillage)denis_feuillage

 担当はまもなく雨天になる情報を得たため、その落とした携帯電話が雨水で使用不能になること、さらに警備会社からは出動費2万円の請求が来ることは避けたく、また近隣との良好な関係維持のため、一度帰宅した管理員へ対応依頼したところ快諾、雨が降る前に管理員から落とし主本人へ渡すことができました。

 A、Bマンションは隣接しているもののバルコニーから普通に携帯電話を落としてもAマンションの屋上には届きません。

 この真相は母親(連絡主)が携帯ばかりをいじって息子(幼児)のことをかまってやらないため、その息子が怒って母親の携帯をバルコニーから投げ捨て隣接するAマンションの屋上に乗っかったのでした。ここまでは「母親はちゃんと子供の顔を見て話しなさいよ」という現代の象徴的な事件ということで以前に紹介したことがあります。

天国 (Le Paradis) 1912年denis_paradis
日本の絵画では俯瞰図は珍しくありませんが、アジサイの咲く庭に多くの天使と子供たちが遊んでいる作品です。想像の俯瞰図ではなく、別荘の2階から描かれました。


 この続きがあります。担当はその母親へ、管理員に無理を聞いてもらったことを説明しておいたのですが、その母親から管理員へお礼と渡された紙袋には香りの強いお茶のティーバッグが数個バラで入っていました。勝手な推測ですが、アジア旅行等でお土産を買った(もらった)けど美味しくない、でも捨てずにおいたのが残っている。管理員へのお礼ならこれでいいだろうという判断ではないでしょうか?高価なものでなくても、せめて新品を贈るべきではと感じますね。
 以前このブログでも、旅行先のホテルバスルームにあるシャンプーリンス等の小袋セットを使わずに持ち帰ったのにウチじゃこんなもん使わないからと管理員へのお土産にした役員を紹介したことがありますがこれも同じです。 

ミューズたち 1893年 denis_muses

 お客様との信頼関係を築くためといって、管理員が一生懸命、誠心誠意居住者のために尽くしても、無意識であってもこのような偏見、差別を示されるたびに高い壁がある気がします。

 このモーリス・ドニ(仏/ノルマンディー)の作品には斬新さの中にも古典的な哲学、宗教性を感じさせます。美術は精神性を創造する唯一の手段であると主張しています。


 ゴーギャンの作品に魅了され、また日本美術の中にある調和を見出し、定型化された構成と装飾性に進化します。
 
松尾好朗