組合協力金

 最近になって、役員にならない又はなれない組合員へ協力金なる金銭の負担を求める組合が多くなってきたと感じます。
・民法の条文です。
(所有権の内容)第206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
 マンションの各戸の所有者は、自分で住もうが誰かに貸そうが、法の範囲でどのように使っても自由であり、その立場や事情について優劣をつけたり制限を受けるものではありません。

日下 明

 所有するマンションには住まずに賃貸等にしている非居住区分所有者(以下、不在組合員)へ住民活動協力金(以下、協力金)を課する目的の規約変更について、影響を受ける不在組合員が承諾していないのに変更の決議したのは無効として協力金の支払いを拒否した事件で、最高裁まで持ち込まれた中津リバーサイドコーポの判決(最高裁平成22 年1 月26 日第三小法廷判決)は、「管理組合が不在組合員だけに協力金を負担させる規約の変更が、不在組合員の権利に特別の影響を及ぼすことには該当しない。」と、つまり「相手の承諾はいらない」というだけの判決でした。

 そもそも外に暮らす組合員は役員の資格を与えられていない(旧標準規約)ので、協力したくてもできないことから、まずは役員資格を平等にした上で、それでも各々の事情で役員を辞退する組合員へ協力金を求めるなら理解されると思います。

日下 明 Akira Kusaka

 裁判官の判決が「中の役員はな、マンションのことで色々あって大変やのに、そんな苦労も知らんと部屋貸して儲けとる奴らにはな、5千円ぐらいペナルティーで払わしてもええんとちゃうか?」という風に聞こえてしまいます。
 もともとは管理費が8,500円のところ5,000円上乗せして払えと要求しているので、不在組合員へケンカ売ってるようにも思えます。後に2.500円に下がりました。

日下 明 Akira Kusaka

 投資物件として所有している場合は、本人の承諾なく値上(原価の増)され、収支が合わず手放せば、全体の資産価値が不安定(下落)になることが懸念されます。
 別の例では、祭りの準備や町内会の集まりに不在組合員は参加しないからダメとのことでしたが、自治会(賃借人等を含めた居住者の任意団体)活動と混同している場合が多いようですね。
 管理組合は共用部分の管理と使用に関わる活動です。

 所有者が居住していても非居住であっても、管理上では平等であり差をつけるものではないと思います。
 役員のなり手不足を嘆いたり、不在組合員に不満を持っている場合は、マンション管理士を顧問に参加させて正常化、活発化させることをお勧めしたいですね。

 文中の絵は、観た人を瞬時に独特の世界に引き込んでしまいます。棘のある私の稚拙な文章を和ませてくれることを期待します。
松尾好朗