国から管理組合へ集金システムが続々誕生

 マンション管理全般についての無料相談会(2023/5/28)のお知らせはこちら

 管理計画認定制度において、認定基準の危機管理体制の中に「要援護者等の把握等を行っていること」という特徴ある条件を設けている地方公共団体があります。
 災害直後はどこからも救助を期待できないので、管理組合(役員)が主体になる場合があるかもしれません。
 要援護者リストを基に必要な援護がスムーズにできるようにとの趣旨と思われます。
 そのリストの対象者が、入院や施設に入所してマンションにいないとか、先週戻って来たとか、常時情報を更新されていなければ正確性に欠けてしまいます。リストに載っているから部屋にいるはずと、本当はいない人の捜索に時間を費やすのは時間的ロスになりますね。
 小規模なコミュニティならともかく、大規模マンションでは全体把握の難易度が高くなると思います。
 管理ができていないリストは、逆に災害現場を混乱させるおそれがあります。

ロバート・フレデリック・ブルーム
『花売り』1892年

 実際の居住者とは、区分所有者(組合員)以外の部屋を借りている居住者等も対象になりますので、管理組合が賃借人等の家族まで常時把握できるのか疑問です(届出がされても世帯主だけで家族の氏名も人数も年齢も記載がない等)。現在は居住者構成が複雑化していますのでプライバシーを侵害しない範囲の情報では災害時には不十分です。
 そもそも賃貸者を含めた要援護者リストの管理を誰が責任をもって維持できるの?ということです。
 管理規約に条項がなければ規約の追加が必要になると考えます。
 

 制度ではリストらしきモノがあれば形式上は認定されるでしょうが、実際の現場で使えなければ意味がありませんね。
 マンション居住者は、日頃からお互いのコミュニケーションを深めておくことが、災害時の対応やトラブルの解決につながる・・・とは、理想論として理解できます。
 しかし、現場は性善説では成り立たず、いわゆる良識ある居住者ばかりではありません。
 居住者の高齢化問題以外でも、居住者カースト、妬み嫉み、無関心、積極性が孤立を招くことや、親切心は用心されたりするのを何度も見ています。
 一定の距離とバランスを取りコミュニティに参加することが必要なのかもしれません。

ロバート・フレデリック・ブルーム『絹物商』1892年 シンシナティ美術館

 自分は居住せずに部屋を貸している組合員の多くは、入居退去の届けを家賃管理を依頼した賃貸不動産会社を居住者名にして、実際の居住者名は不明な場合があります。
 災害時などを考えると、理事会や委員会の活動を行わず(行えず)に他の組合員へ任せ(押し付け)て、恩恵だけを受けている非居住の組合員は、ますます問題視されるでしょう。
 外部在住、非居住の組合員(自称投資家)は、家賃収入減(原価UP)につながる修繕積立金等の値上げに反対する場合が多いですね。年間収益、利回りが悪化すれば手放すだけですから、マンションの将来像を共に考えようなんてつもりは全くない迷惑な存在です。

 話を戻すと、管理組合とは、あくまでもマンション共用部分の維持管理を行うための団体であり、それらに必要な費用の支出範囲は管理規約等で定められています。
 管理計画認定制度において、任意団体の自治会・町内会入会を条件にするのは、管理規約をどう拡大解釈しても整合性は取れないものと考えます。

ロバート・フレデリック・ブルーム『蓮池』

 次々に生まれる制度(管理計画認定制度、管理適正評価制度など)も、区分所有法の解釈とは、かみ合わないと思います。
 別の地方公共団体では「町内会・自治会と連絡窓口を設け、災害時の安否確認の方法を整備継続する」と緊急時等において踏み込んだ要求を管理組合へ向けています。
 大規模なマンションであってもマンション内自治会は認められず、地域の町内会へ入会が前提になります。
 しかし町内会への入会は任意ですので、この自治体が何を根拠にして認定条件にしているのかわかりません。

ロバート・フレデリック・ブルーム
『飴屋』1893年
メトロポリタン美術館

 いつ起きるかわからない大災害への対策を広く認知し、地域互助の機運が高まればという期待があるものと理解できます。
 町内会を前面に地域コミュニティを育てるという理想ですが、町内会役員のなり手不足の上に高齢化、独裁化、排他性、超ブラック不透明会計も以前から問題視されています。
 組織図的にいうと、マンション内自治会の上に位置して、役所の末端組織である町内会ですが、災害時に高齢化した任意団体がどれほど頼りになるのか疑問です。

 マンションの多くが在宅避難を基本としていますが、戸建て等は公的施設への避難ですので、災害時にはまず最初の行動から違っています。
 また公から補助金を受け会費収入等がある町内会(任意団体)と、共用部分を維持管理するための管理組合という団体とは、相いれる範囲は限られるのは当然です。

 この管理計画認定制度(地方公共団体)や管理適正評価制度(マンション管理業協会)など、多くの制度の認定料、システム利用料、事前確認審査料、登録料、評価申請手数料、更新手数料等が発生しています。

 共用部分の電気料金が上がっただけでも繰越余剰金の少ない小規模の管理組合は予算オーバーとなるので、すでに修繕積立金会計から借入という禁じ手を使っている組合もあります。

ロバート・フレデリック・ブルーム
「露天商」
 

 以前も同じことを記載しましたが、中堅大手管理会社が管理しているマンションは、関係する法律遵守はもちろん一定水準が保たれ、管理が適正に行われています。それらをバラバラな基準で認定、評価(点数化)しても社会貢献度は低いものと感じます。

 私は、様々な事情で管理不能(不完全)、管理(会計)破綻に陥ったマンション、耐震補強(または建替え)が必要なマンションを支援して、管理水準を底上げして少しでも地域環境を含めて資産価値を高める方が重要だと思っています。
 制度がマンションの管理水準を高め活性化に繋がればよいのですが、これまでの各制度の失敗を生かして学んでいただく方が先だと思います。
 そしてまた公の外郭団体を増設し、管理組合(区分所有者)が捻出する関係費用が、天下りの資金源にならないようにと願うばかりです。

 挿絵:米シンシナティで生まれたロバート・フレデリック・ブルームは、緻密ながらも生き生きと動きのある画法で興味深い作品を残しています。1890年から92年まで、雑誌の挿絵画家として日本に滞在しました。
 日清戦争が始まるのは1894年ですから、江戸から近代立国の道へとの時代に、庶民を題材にして活発な風俗がスナップ写真のように描かれています。
 当時の欧米の画家は、日本人と中国人を混同(ほぼ同一視)し、作品にどこか上から目線を感じますが、ブルームの作品からはそれを感じることはありません。 
 松尾好朗




中古分譲マンション入居の審査は?

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 昔、あるマンション建設販売会社の代表が繰り返し言っていたことがあります。
 自社物件への「政治家と芸能人の入居は断れ」と。これはいわゆる有名人が入居していると、平穏に暮す他の居住者へ迷惑をかける恐れがあるというのが理由です。
 政治家は自宅であっても人の出入りが多いでしょうし、大臣になろうものなら警官の立ち番が常駐することになります。
 芸能人もファンが押しかけたり、スキャンダルがあればパパラッチが勝手に建物に侵入してくることもありそうです。

 特定の居住者のため機器を新設したり警備システムを導入する場合は、普通なら要らない経費がかかることが考えられます。
 それは当事者だけでなく全区分所有者の負担となります。
 その人が原因で何かの事件が起きると資産価値にも影響する場合もありますね。少しその確率が高いだけだと思いますが。

フランス・ハルス『笑う少年』1625年頃
マウリッツハイス美術館

 1.最近、投資詐欺容疑で逮捕された男の奥様で、メディアでおなじみ国際政治学者の女性は、以前住まわれていたペット禁止の高級マンションで、管理会社が何度注意しても複数匹の猫を飼うことを止めず、また自分の車を来客専用駐車場やエントランスの車寄せに、我がモノ顔で駐車していたということで評判最悪です。
 この度のような逮捕劇があると、こんな過去までしっかり暴かれてしまいますので、皆様も普段日常の行いには十分気をつけましょうね。www
 マンションの最低ルールも守れない人が、国際政治を語るのは恥ずかしいと思います。
 軽井沢の別荘でワインを評するSNSをUPして、セレブを気取っていたこの東大卒カップルは、コロナ給付金詐欺もバレてしまいましたので、もうインチキ詐欺師にしか見えなくなってしまって残念です。
 お住いの六本木ヒルズのお高いお家賃(約160㎡で月200万円以上)は踏み倒さないようにと要らぬ心配をしてしまいます。

Frans_Hals_-_Luitspelende_nar
リュートを弾く道化師 (1623-4年)

 2.父親がプロスポーツプレーヤーの息子で〇黒〇という人気俳優が住んでいた青山のマンションのことです。
 そこは常駐管理といっても夜間は管理室を閉めて管理員は仮眠する管理形態でした。
 そんな仮眠中の真夜中、駐車場でけたたましく鳴り響くクラクションに飛び起きて駆けつけると、その俳優が契約している駐車場区画に違う車が駐車していたので、真夜中であろうと関係なくクラクションを鳴らしまくったようです。

 時々間違い駐車はあるので、このような時は来客用の区画に停めていただくようにしているのですが、今すぐどかせろと管理員に悪態をつき怒鳴り散らし、手に負えない状態だったようです。
 俺様はすごいスターなのだというマウントとりなのか、若くしてチヤホヤされるとこうなってしまうのでしょうか、でも天狗にならない人もいますもんね。

3.俳優の岩〇滉〇が借地料を払わず裁判沙汰となったとき、ウチではバイク代金を踏み倒されたとか、アチコチから素行の悪さが暴露されました。今は北の国で住まわれていますね。

 2023/3/15ガーシー議員の除名記念で、マネしてゴシップ記事を載せました。
 でも、マンション内で誰にでもにこやかに挨拶をされる女優さんや、大きな体を折り曲げてお辞儀される大相撲の親方など素敵な有名人もおられます。
 自然に人を温かい気持ちにさせるのは、育つ環境・教育、本人の努力から生まれるのか、品格というかオーラのようなものを感じることがあります。

Frans_Hals『子供たち』 (1620年)

 本題の中古マンションに入居するときの(金銭面以外の)審査ですが、不動産業者は売れて手数料が入れば、たとえ裏事情を知っていても、だれに売ろうと責任はありません。賃貸でも貸してなんぼです。
 管理者(理事長)へは多くの場合、不動産仲介業者から管理会社経由で「区分所有者変更届」が提出(登記された区分所有者の名義人のうち、代表1名)されるだけです。
 さらに居住者票(実際に住む人)の提出では、家族の名前や年齢を記入する欄があっても空白が多いのが最近の特徴です。
 その書式が昭和の役所のようだったり、同居者との関係なんて大きなお世話だったりしますね。こういうところが災害時の名簿を作ろうにも不正確になってしまう原因の一つです。

Frans_Hals_-_Zigeunermeisje
ジプシーの女 (1628-30年)

 一部地方の自治会では賃貸入居者の面接を行うこともあります。生活上のルール説明が主なもので、自治会が何か権限を持っているわけではありませんが、ルールを守りますという誓約書を入居者がサインして提出することがあります。
 地方では手土産をもってこの人とこの人のところへ挨拶してくださいだとか、煩わしいこともあります。アホらしと思って無視するよりは、千円の菓子折りが何十倍になって返ってくることもありますので、郷に入っては郷に従いましょう。

 本日の挿絵の紹介です。若い頃、欧州で最初に訪問した美術館がフランス・ハルス美術館(FransHals)でした。ハールレム(Haarlem)というアムステルダムの隣町にあります。この画家はオランダで有名なレンブラントと同時代に活躍しました。

 この人の人物画の特徴は顔の表情です。
 まだまだ人物といえば威張った権力者の肖像画が主流の時代でしたが、近所にいるような民衆を表情豊かに生き生きと描きました。

 ユーロ紙幣になる前、オランダの10ギルダー札の顔がフランス・ハルスでした。日本での千円札なので、とてもよく知られた人なのですね。
 松尾好朗

 



 

 

給湯管からの漏水事故

 5月28日(日曜)に無料相談会を開催いたします。
 詳しくはこちらをご覧ください。 

 東京ビッグサイトで開催された、JAPAN SHOP、建築・建材、ライティング、リテールテック、セキュリティー、フランチャイズ、国際家具見本市の合同展示会に行ってきました。いずこも同じCovid19による制限があり、久しぶりのナマ開催となりました。

 NHKの朝ドラで、東大阪の町工場の「ひし形金網」の話がありました。展示会のNIPPONプレミアムデザインのブースの中で、その話のモデルになった本人から町工場の悲哀、苦労話などを面白おかしく聞かせていただきました。
 東大阪に限らず各地の若い職人の新しい挑戦と技は実に素晴らしく、高品質の上に勢いを感じました。昔の「地方=ダサイ」という固定観念は外した方がよいと思います。

東京ビッグサイトの微動だにしない女性ガードマン、遠くゲートブリッジを臨みます。

 モノをカタログや映像で見ていると、色や質感は無論のこと、スケール感が全く違うことがあります。ネットで買い物をすると「思てたんとちゃう」のが届いたと文句を言う人がいますが、私のようなオジサン世代は、実物を見て触って納得して選び、汗かいて持ち帰りたいと思ってます。
 中国をはじめ外国製品が異常なほどに溢れかえっている日本人の生活ですが、このまま日本のモノづくり文化が衰退すれば、新しく何をするにしても「どうせやってもムダ」というような目的意識がぼやけた閉塞感に覆われ、3流品ばかりに囲まれて目は肥えず、選択肢が少ないレベルの低い面白くない世の中になってしまいます。
 国や都は怪しい人権団体、環境団体、コオロギなんぞに言われるまま公金を大盤振る舞いしないで、日本の若者がワクワクして挑戦できる環境を整えてほしいものです。

給湯管(銅管)の内部拡大(コウセイHPより)
管と継ぎ目に緑錆が見られます。

 本題から外れましたが、展示会ではマンションの経年に伴う設備配管の老朽化により、赤水や漏水事故を防ぐため、給水管・排水管を全交換することなく、既存の管の内側を研磨してライニングして延命する方法や、水を改質することで赤さびを黒さびに変換して鋼管等を延命する方法等が紹介されていました。

 給水管も排水管も共用部分と専有部分がつながっている配管設備ですから、標準規約第21条の2「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」と、この更生工事がピッタリ当てはまりますね。排水管清掃も同じです。
 でもお湯の方「給湯管」は専有部分内の設備配管なので、どうすればよいのでしょうか?私が住むマンションの実例を話します。

グロンサン

 竣工1989年「平成」の文字が掲げられた頃でした。シーマの発売、カウチポテトやファジー、ベルリンの壁、5時から男、24時間働けますか?なんて言葉がはやるイケイケでバブリーな時代でした。

リゲイン

 そんな時代とは関係なく建物は 内外装ともにシンプルな仕様で、大田区では数少ない建替えが成功したマンションでもあります。
 建替え前は特に設備の老朽化が激しく、共用・専有部分かまわず頻発する給水管、排水管(白ガス管)からの漏水事故に悩まされていました。(私は途中入居者ですので聞いた話です。)そういう事情から建替え後の給水管は高額のステンレス管が採用されました。しかし各戸のお湯(給湯)の管は、当時一般に使用されていた銅管でした。
 現在、給水給湯管に使用されるのは主にポリエチレン管ですが、当時はまだ普及してなかったのだと思います。

 令和も5年となり、さすがに34年間こき使われた給湯管は老朽化が進み、漏水事故が目立つようになりました。
 銅管の内外の腐食により小さな穴(ピンホール)から漏水が始まり、少しずつ階下へ伝わりやっと判明するケースが多いようです。
 専有部分であっても、放置すると階下への漏水事故が多発することが予想されるため、銅管のライニング工事を専有部分の所有者へ提案しました。一戸で実施するより多くの実施希望があればスケールメリットによるコストダウンを期待してのことです。
 専門業者へ現場調査と見積を依頼して、希望者へ専門業者と個々の契約で実施、私の場合は、給湯器からキッチン1、バス2、洗面2の蛇口までの銅管へのライニング工事です。工事期間2日、初日に銅管内の研磨、乾燥、ライニングまで行い、2日目にライニングの状況を調査して通水(湯)検査する工程で、実質1.5日間はお湯は使えません。10年間の保証がついています。
 また、管内へ圧がかからない追い炊き管や暖房管(循環)に使われる細い径の管はライニング施工はできません。
 給湯管をライニングできる業者は少なく、同じ悩みを持たれている管理組合は試されたらいかがでしょうか。<参考>㈱コウセイHP(動画があります。)

余計な話題
 本日3/8は国際女性デー
 美術館で女流画家の展示が少ないのは差別、女性ヌードが多いのも差別だという海外発の報道がありました。
 これ、各作品の歴史背景と当時の価値基準を調べればわかると思うのですが、これらをありがたく取り上げて、日本を貶めたいマスコミが同類かもです。

アレクサンドル・カバネル(1823-1889)「The Birth of Venus」(メトロポリタン美術館)
天使たちがいるので宗教絵画、いなければエロ(薄く開けた目からあなたを見つめています。)典型的なアカデミック絵画ですが、女性と波のスケールが調和していません。やっぱりエロが優先?

 ジェンダー平等、女性の社会進出の順位は、主要国ではアイスランドが1位で以下北欧諸国が続き最下位が韓国、その上が日本という、相変わらず自分たちが正しいと思い込んでいる西欧・北米の物差しを使って楽しく他国を差別していますね。
 全人口33万人のアイスランドと他国(大田区だけでも人口72.8万人だぞ)を比較してどうしろって。
 でも、なんでも言えるこの世の中は平和ということです。
 松尾好朗