10年前のこと、Aマンションが第1回目の大規模修繕計画を、当管理士会の会員が管理組合顧問の立場で計画から工事の完成、及び関係資料の整備までをサポートしました。
この度、第2回目の大規模修繕計画において、再度当管理士会の会員が顧問として参加させていただくことになりました。大変ありがたいことです。
2023年春工事を目標に、今月からスタートします。
第1回目の大規模修繕では竣工時と比較して、劣化した部位を標準的な範囲で補修することで、概ね目的がクリアできますが、第2回目となると多くのポイントがあります。
中でも、私が経験上重要ポイントと感じている2つを以下に記します。
第2回目修繕計画のポイントその1
築20年を超えた建物では、その立地、周辺環境等で大きな違いが生まれてきます。
例えば、海に近い建物ではアルミサッシや面格子、鉄扉等の金属部分が早く腐食する塩害対策、幹線道路沿いの建物は排気ガス中の成分による建物・設備や植栽等への汚染対策、高台では風害や笛鳴り、低湿地では黴菌による臭気対策、公園隣接では糞や騒音の鳥虫害、駅チカでも高層でも、また寒冷地でもそれぞれの特徴があり問題を抱えています。
当たり前のことですが、周期的な補修の他には、そのマンションの現状(特徴・問題点等)をヒアリング等を含め、よく理解して計画(準備)することです。
問題点だけではなく利点をさらに強調(増設等)することも考えられます。
10年、20年も経つと南面にタワーマンションがデーンと建っていることもあるので、マンションそれぞれに新たな変化が生まれていて当然です。
管理組合から発信がない場合は、業者主導の工事で終わってしまいます。これは避けて欲しいため記しておきました。
もう1つは、目に見えるグレードアップです。
竣工時には最新型だったセキュリティー設備(インターフォンや防犯カメラ等)は日進月歩で進化、機能面もデザイン面も陳腐化していることがあります。
エレベーター設備の既存不適格(竣工時は適法であっても、後の法定基準改正により不適格とされる。)の指摘を受けて改修するときは、同時に箱内の内装(壁面やボタン類、照明等)も含めましょう。
バリアフリー対策についてはお仕着せでなく、よく計画しなければ本来の(居住者全員のための)バリアフリーにはなりません。単独計画では唐突になるので、大規模修繕と合わせて実行するほうが良いと思っています。
古臭い照明器具と品のないタイル貼りの暗い玄関ロビーを、壁面にはホテルグレードの大理石を、照明をLEDで明るく印象を変え、居住者から大いに喜ばれたこともありますが、機能的な変更の外に見た目(見映え)のグレードアップも効果的です。
グレードアップ工事を実施することは、時代に合わせたデザイン性、直接的な利便性・安全性の向上は、組合員の毎日の生活の中で目に見えるものなので、理解されやすいでしょう。
修繕計画の活動内容をその都度、組合員へ必ず報告(今は、こんなことやってるんですよという掲示等)することで、信頼度が増加すると感じています。
積立金の取り崩し額も大きいので、少人数で勝手に(隠れて)決めているとか、竣工後に一体どこを修理したの?と不満を残すようなことを言われないようにしたいですね。
良いニュースがありましたね。
フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」(1657-9)、女性の背面上部にキューピットが描かれていることが判明しその修復が終わり、来年1月に都美術館でお披露目があることが発表されました。ドレスデン国立古典絵画館所蔵です。
大戦でソ連に略奪された後に返却、その時はこの絵は返せないというソ連の要求を知らなかったふりをして持ち帰りました。必死だったのでしょうね。
キューピットの出現で、時代背景や当時の人間関係など、多くの人がこの絵のストーリー、情景、女性の心理、小物の意味等を推測、推論を立てています。
キューピットが消された理由も多くの憶測が生まれています。
私は、手紙後半の位置を見る女性の目の距離が遠い(老眼?)ため、読んでる途中ではなく、すべてを読み終えた直後に脱力して腕を下ろしつつ、その文字を体で反芻し頬が久しく紅潮してきた瞬間だと推測しています。
この女性は閉鎖社会の人妻で、遠く好意を感じていた異性からこの手紙で告白を受けました。絵の中の絵のキューピットの放つ矢が暗示しています。
部屋の乱れ具合や色使いは女性の波打つ心の中を表現、右のカーテンで部屋を多く隠しているところが、覗き続けてはいけないようでエロチックです。
キューピットが消されたのは、宗教人の誰かが絵の中の女性に嫉妬し、矢を永遠に放てないように消してしまったのではないのかと・・。
松尾好朗