Aマンションは屋上(共用部分)の一画に携帯電話のアンテナ基地局を設置するため、通信事業社と賃貸借契約を結び、賃料収入を得ています。
ある日、管理組合理事長宛てに課税対象(不動産貸付業等の収益事業等)に関わる調査書が税務署から送られてきました。
建物の区分所有等に関する法律【区分所有法】
(共用部分の負担及び利益収取)
第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
Aマンションの管理規約はこの条文通りに記載されていますので、収入は各区分所有者へ分配しています。そのため課税対象は管理組合ではなく区分所有者一人一人であるとの見解です。もともと管理組合が所有する共用部分や敷地はありません。国税、地方税の過去5年間の税金と遅延金ですが、区分所有者が納税する場合は、持ち分比で分配すると戸当たり年間20万円を超えないため、給与や年金収入だけの区分所有者は納税の対象者になりません。
[参考] マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会) https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm#a02
この納税に関して、各地の税務署や関係者に見解のバラつきが見られました。この不協和音が生まれた原因が、国税庁が分譲も個人所有マンションも課税対象として十把一絡げにしたわけではないと思いますが、その後マンション内での収益事業について「居住者を含めた全体を収益事業として認定する可能性もある。」と脅しをかけています。まるで特殊詐欺師が使う「権威に従わせる」やり方を連想してしまいます。
Aマンションが管理組合(法人税法上、人格のない社団)として納税する場合は、先に管理規約の変更が必要になります。しかしその影響を考えると区分所有者の理解を得るのは難しいと予想できます。
管理組合に対しての情報は一方に偏らず、他の組合例や判例等を示し、法人税法上の問題点等も伝えないとマンション管理士の存在意義はありませんね。
税関の職員をしながら絵を描いていたアンリ・ルソーは、素朴派、野獣派(フォーヴィズム)と呼ばれています。
当時の保守的な風潮に反し、感性を強調した独特の世界を築き、ヘンテコな絵でも一度出会うと忘れられない作品を残しました。
当時は作品を散々罵倒されながらも、後のシュールレアリスム等への道を勇気をもって切り開きました。
当時の絵具は、混色するだけでも化学反応等で色が鈍化することがありますが、彼の絵が今も鮮やかさを保っているのは、混色に気を使った上に神経質なほど筆を管理していたと想像できます。遠景も緻密に描いていますが、性格は几帳面で正直、少し頑固というところでしょうか。
絵にはジャングルや動物がよく登場していますが、彼は一度も南国へ行ったことがありません。
パリの熱帯植物園の中でイメージを膨らませ、世界中の動物を連れてきてくれるルソーの世界です。
松尾