初夏、Aマンション入り口の両脇に植えられた桜の古木を見上げ、木漏れ日を浴びると空気が澄んでるような気がしてきます。
道路側の桜は枝葉が電線に触れないように強く剪定、建物側の桜は葉っぱが窓を塞いで暗くならないよう大胆に剪定しているので、枝が片方に流れていて、枝振りは一九分けのオジサンの頭(「海原はるか・かなた」のはるかの頭)のようになっています。(笑)
私は以前、造園会社が運営するスクールで、造園製図とプレゼン技法(透視図法)の講師を任されていたことがあります。
その時に現場の職人さんに造園実務や樹木の注意点等の教えを受け、それからはマンションの造園や街路樹などにも興味を持つようになりました。
Aマンションに限らず、大きくなる樹木が敷地や建物のギリギリに植えられている場合が多く、枝葉は敷地外にはみ出ています。将来を考えてスペースに余裕をみて造園を計画しても、販売側の都合で変更、施工期間も押されてしまうのが常です。設計者のコダワリ(○○の一つ覚え)で希少な樹木を指定され保証させられるのも迷惑な話ですね。
Aマンションの桜の大木は、そのバランスの悪い形が負担大なのか、台風でもないのに突然大きな枝が折れて住民を驚かせました。造園管理をしている会社は、花が咲く量は今後少なくなり虫害も慢性化、弱っているので回復は難しく、桜を切って違う樹種に植え替えすることを勧めています。
理事会で危険なため桜を切ることの承認を受け、総会で提案すると、「思い出がいっぱいある家族のような樹を切るのはかわいそう」等と桜を切ることに反対されます。こうなるのは想定内でしたが・・。
桜の木はマンションの計画時点で、もう少しだけスペースに余裕がある造園計画が実施できていれば、根はコンクリートに邪魔をされることなく深く大きく張ることができ、人間の都合でイビツに剪定されることも少なく、寿命を全うする前に切られることもなかったかもしれません。
松尾