桜を切る会

 初夏、Aマンション入り口の両脇に植えられた桜の古木を見上げ、木漏れ日を浴びると空気が澄んでるような気がしてきます。
 道路側の桜は枝葉が電線に触れないように強く剪定、建物側の桜は葉っぱが窓を塞いで暗くならないよう大胆に剪定しているので、枝が片方に流れていて、枝振りは一九分けのオジサンの頭(「海原はるか・かなた」のはるかの頭)のようになっています。(笑)

202006山王 木漏れ日

 私は以前、造園会社が運営するスクールで、造園製図とプレゼン技法(透視図法)の講師を任されていたことがあります。 
 その時に現場の職人さんに造園実務や樹木の注意点等の教えを受け、それからはマンションの造園や街路樹などにも興味を持つようになりました。 

 Aマンションに限らず、大きくなる樹木が敷地や建物のギリギリに植えられている場合が多く、枝葉は敷地外にはみ出ています。将来を考えてスペースに余裕をみて造園を計画しても、販売側の都合で変更、施工期間も押されてしまうのが常です。設計者のコダワリ(○○の一つ覚え)で希少な樹木を指定され保証させられるのも迷惑な話ですね。

 Aマンションの桜の大木は、そのバランスの悪い形が負担大なのか、台風でもないのに突然大きな枝が折れて住民を驚かせました。造園管理をしている会社は、花が咲く量は今後少なくなり虫害も慢性化、弱っているので回復は難しく、桜を切って違う樹種に植え替えすることを勧めています。

 理事会で危険なため桜を切ることの承認を受け、総会で提案すると、「思い出がいっぱいある家族のような樹を切るのはかわいそう」等と桜を切ることに反対されます。こうなるのは想定内でしたが・・。

 桜の木はマンションの計画時点で、もう少しだけスペースに余裕がある造園計画が実施できていれば、根はコンクリートに邪魔をされることなく深く大きく張ることができ、人間の都合でイビツに剪定されることも少なく、寿命を全うする前に切られることもなかったかもしれません。 
松尾

「フウ」の実です。コロナ型ウィルスに似ているような・・・(泣)

大田区マンション管理士会 例会開催報告200719

 2020年7月19日(日曜日)14:00~16:00 大田区マンション管理士会例会が「エセナ」で開催されました。コロナ禍中での会員活動状況や、今年の4月から開始された東京都の「管理状況届け出制度」について話し合いが行われました。 
 9月の例会では11月に開催予定の懇親会のテーマの絞り込みをします。

 前回の懇談会(空き家問題)には都議会議員の方と区議会議員の方にもご参加をいただき、初参加の方も含めて活発に意見が交換されました。
 今後も時事問題などを中心にテーマを取り上げ、管理の場面に提供して行きたい考えています。
 皆様の中で具体的に取り上げたいテーマの希望等がありましたらご連絡下さい。
事務局 

https://decouvrirlendroitdudecor.blogspot.com/

迷惑系アーティスト

 Aマンション道路に面して設置されているパットマウント(地上用の変圧器)扉全面にスプレーで落書きをされてしまいました。英文字らしいのですが読めません。建造物損壊罪にあたります。朝になって気づいたので夜間に行われたのでしょう。
 犯人は、自分は本当はすごいんだぞという歪んだ自己顕示欲と征服欲を満たし、犯罪を背負ってるスリルが快感なのでしょうか?
 落書きをする人の心理は様々ですが、人のいない夜間に行動するところが大物ではないことを証明しています。暴走族が一人では行動できないのも共通していますね。

Shop Until You Drop by Banksy

 文化財に自分の名をナイフで彫る心理、何らかの環境の変化による到達感の興奮の中、未知な世界への不安、恐怖から逃れたい行動、犬を初めての場所に連れて行くとあちこちに縄張りを示すマーキングをしますが、これも本能から来る行動で、温泉の大浴場やプールの中に小便をしてしまう子供も同じで、幼い承認欲求の行動です。
 SNS上では、匿名でないと誹謗中傷を投じられない人もこの小便小僧と同じレベルと思います。

 落書きを放置したままだと「ウチは管理ができてないマンションですよ」と世間に示しているようなものなので、早急に塗装工事が入り見事ピカピカの新品のようになりました。保険が下りるようです。(施設賠償・汚損破損)

「バンクシーと知らず、清掃員が新作を消去」というニュースのタイトルに悪意を感じます。たとえ清掃員がバンクシーを知っていても落書きを消去するのが仕事であり、バンクシーも明らかにすぐに消される場所を自ら選んでいます。
 バンクシー独特の表現は、イラストを描いたその場所とその時の世界情勢、現象を愛と風刺を含んだ彼の思想に加え、世間の反応がセットになって価値が生まれています。

東京2003 by Banksy

 バンクシー自身も、形に残っている作品はただの落書きと認めていることでしょう。今回、地下鉄車内に描かれたのは「If you don’t mask – you don’t get. マスクをせよ、さらば与えられん」という題であることから、そもそも作品を消さなかった場合は見学する人で車内が密になってしまうので、それは彼が最も望んでいないことだと思います。後日、ウエブで公開されました。https://www.instagram.com/p/CCn800cFIbe/
 バンクシーは犯罪者であっても鼠小僧のようなところがあり愛される存在ですが、世界レベルでは認知されているとは言えません。
 バンクシー作品の価格だけで評価し、清掃員を無知であるように扱う各社の報道記者の薄っぺらさを感じます。
松尾

管理員また辞めたの?

 「お隣はまた新しい管理員になったよ」と知人は話してくれました。知人の住むマンションの隣には、中堅どころの管理会社が受託する60戸のXマンションがあります。そこの居住者の二人が、あの手この手で管理員に嫌がらせを繰り返し、あげくに管理員が気に食わないから解約するぞと管理会社へ脅しをかけてくるのがパターンとのことでした。すでに何人も交代しています。理事会は関わりたくないようで知らん顔をしています。

ミラノ・ガブリエレダンヌンツィオ通り

 先日、Xマンションは管理員だけでなく管理会社も変更になっていました。最近の傾向にありますが、管理会社の方から契約解除の判断をしたようです。
 管理会社は、管理員を新しく採用するには募集広告、面接、研修、採用に至るまで多額の経費がかかります。物件を担当するフロントも無理な要求に24時間追い回され、文句ばかり聞かされては仕事にやりがいは生まれてきません。管理員をなだめるのも大変だったと思います。自然、物件への足も遠のいてしまいます。

 管理会社もこれまでのように受託物件数や売上金額を競うのではなく、上質な物件を管理継続できていることが良い管理会社のランク付けになると思います。
 実はXマンションが大規模修繕を実施した頃に現場監督と話しをしたことがあり、工事の説明をして承認を受けているのに気に食わないという理由で何度もやり直しさせられたようです。2度とやりたくないと言ってました。何やら想像できますね。
 管理会社や工事会社に嫌われると、ウワサは末端から漏れるもので、ただの評判だけでなくマンションの価値を大きく落としてしまいます。その二人(女性)は他の居住者にとって迷惑な話ですね。
松尾

ホールは熱帯気候

Rousseau  Woman walking in exotic forest

 レトロで重厚な雰囲気を持っているAマンションで経費節減のため、共用部分の照明をLEDタイプに変更する工事を前理事長が主導して実施しました。この工事は完了後5年の期間に電気料が削減された分で、工事費用が賄える予定という計画でした。
 工事の前はシャンデリア球等で演出されていたホールやロビーのキラキラ感が工事の後にはなくなってしまい、「殺風景」と不評もあったようですが、電気料金の削減は翌月から順調に開始されました。

 汗ばむ季節になり、なぜホールのエアコンを使わないのか、新しく就任したばかりの理事長が調査したところ、LED工事を施工した業者がエアコン室外機だけを撤去して室内側の本体はそのまま、つまり作動しないエアコンが天井に埋め込まれているのでした。他にも蛍光灯の一部が交換されていない等、工事には不可解なところがありました。

 後で判ったのは、業者が電気料削減実績を多く見せるため、古くなっていたエアコンを停止させることを提案、室外機は撤去したものの天井に埋め込んである室内側の本体の撤去には、彼らの専門外である天井修復(内装)工事が必要になるためそのまま放置して完了したこと、蛍光灯を一部交換していないのは、非常灯兼用タイプの蛍光灯の代替品は他社からの仕入れ商品になるため、工事対象から外したのが理由のようです。
 自分たちに利益が出ないところは一切触れないという考えを徹底して工事を行ったのでしょう。これらの仕様について業者は、前理事長へ説明して承認を受けているということでした。
 Aマンションの管理会社(大手)は把握しているのか問い合わせたところ、自社工事以外は一切タッチしないという契約だそうです。
 工事を発注したのは前の理事長ですが、業者が主導する工事にはリスクがあることが良くわかります。
 工事内容によっては、その分野の専門業者に直接発注すれば中間マージン等の余計な経費がかかりません。しかし、仕様や見積書のチェック、工程や他の設備への影響等の全体を監理できる人が組合員にいないと、この工事のように業者のやりたい放題になってしまいます。
 
 営業に来たLED業者に前理事長が対応し、総会で工事予算承認を受けて実行したわけですから違反はありません。しかし結果的に説明不足、前理事長は他業者との見積比較や価格交渉をした形跡はありません。
 このAマンションは比較的安定して修繕費用が積み立てられています。問題があるとすれば区分所有者の無関心ですね。
 ほとんどのマンションは、修繕金を潤沢に積立ていることはなく、区分所有者の大事な修繕積立金です。何らかの工事が絡むプロジェクトにおいては、調査、問題提議の段階でマンション管理士を理事会等に参加させることをお薦めいたします。
松尾