みんな大好き「ランク付け」

 内容にかかわらず週刊誌などでランク付けの特集を組むと、その記事の関係者が購入するため一定の売り上げと、読者の新規開拓が望めるメリットがあります。
 マンション関係では、管理戸数の多い順に管理会社をランク付けした特集記事を見かけます。「管理戸数が多いので良い管理会社です。」というわけではなく、管理する範囲や方法は契約内容によってマチマチです。
 管理組合の望む良い管理会社というのは別の尺度があります。
 でも、相撲番付のように懲りずに毎年やっていますね。(笑) 

 住みたい街のランキングでは、不動産業界の作った台本に誘導することもありますが、一定の根拠があり、その時代の傾向を知ることができます。

 都道府県の住みやすさランキングの一つでは、上位に石川、福井、富山と北陸3県が占めている調査結果がありますが、東京や大阪とは人口が桁違いなので、なんでも都道府県単位で比較するには無理がありますね、物価と所得、福祉や医療、子育て教育、何を基準に何を重要視するのかによって違ってきます。
 

ポンパドゥール侯爵夫人

 欧米のある住みやすさランキングの調査では、スカンジナビア半島の北欧3国が占め、日本では北陸3県が占めていることが少し似ているような気がします。
 その住みやすい県や国に住みたいかというと答えは違う結果になり、公共サービスの充実と税負担は連動します。また寒いのが苦手な人にも敬遠されるでしょうね。

 人は何かしら順位付けやグループ分けをして自身の位置を確認し、安心感や優越感、妬み嫉みを感じるのが好きなのかもしれません。

狩りの女神ディアナの衣装をまとったポンパドゥール夫人
このコスプレでパリの仮装舞踏会に現れルイ15世を夢中にさせました。

 LGBTは性的マイノリティーの略称として使われていますが、最近、後にQIA(クイア)がくっついてLGBTQIAと文字が増えています。(意味は下線のリンク先)
 英米ではFacebookの登録時に自分の性別を71種類の中から選ぶということですが、もう私には訳がわかりません。
 これらが不安の裏返しの逃避(ごまかし)行動でなければよいのですが、少数者、少数意見を言われるままに受け入れ拡大解釈するのは、民主主義の根幹部分がぼやけてゆく気がしています。

 最近、管理組合の総会決議でも、少数意見を大切にと議決権行使書により、すでに可決している議案を保留にするなど、同じ傾向(風潮)があると感じています。

 肖像画の女性は、ロココの華、ポンパドゥール侯爵夫人(ジャンヌ・アントワネット・ポワソン)以下、ジャンヌと呼びます。
 ジャンヌは16歳でパリの社交界へ、1745年24歳でベルサイユにデビューしました。
 明るく知的でよく笑うホンワカ系美人のジャンヌは、たちまち仏国王のルイ15世の心をつかみ、平民出身ながら公妾としての地位を確固に築きます。
 文化芸術だけでなく政治にも深くかかわりをもち、貴族やイエズス会の妨害も才覚で乗り切ります。
 ジャンヌは、仏ブルボン朝の宿敵、女帝マリア・テレジア(オーストリア:ハプスブルク家)、そしてロシアの女帝エリザ・ヴェータと3名の女性により、後年「3枚のペチコート同盟」と呼ばれる同盟を結び、侵略を続けるプロイセン王フリードリヒ2世包囲網を完成させます。7年戦争の始まりです。(1756年)
 当初は優位に立っていたものの、すでに疲弊していたフランスには無能政治家と賄賂軍人しかおらず、そのため軍事的才能豊かなフリードリヒ2世に軍配が上がり終戦になります。(1763年)
 

ラ・トゥール モーリス・カンタン・ド
「ポンパドゥール夫人」1755年
Maurice Quentin de La Tour(1704-1788)
Portrait of the Marquise de Pompadour

フランソワ・ブーシェ( 1703-70)
『ポンパドゥール夫人の肖像』1756年
35歳のジャンヌ

 ジャンヌは、42歳で結核の病で亡くなります。(1764年)この年、モーツアルトが6歳で演奏会を開き、100年後には新選組が池田屋を襲撃、200年後には新幹線が開通して東京五輪が開催されています。
 5年後の1769年、マリー・アントワネット(マリア・テレジアの娘)が、次の仏王ルイ16世に嫁ぎます。そしてナポレオンが生まれた年でもあります。


 その後、1789年のフランス革命、1793年のギロチンまでの道のりは、「ベルばら」に描かれたとおりです。

 美術史上の分類は、ルイ15世のロココ様式からルイ16世の新古典主義(ネオクラシシズム)に変わります。なお、ルイ14世はバロック様式(ベルサイユ宮殿など)です。これは分りやすいグループ分けですが、これも何を基準にするのか、ランク付けはできないですね。

晩年のポンパドゥール夫人
フランソワ・ブーシェ

 繊細優雅なロココ調文化の裏には、贅を尽くし円熟した中の刺激のない退屈感、刹那的快楽を繰り返す虚無感、長引く戦争への退廃的思考、物憂い気怠さが漂う「アンニュイ」という言葉がとても似合います。
松尾好朗