「オートロック開錠共通化」は愚策

 国土交通省は物流におけるトラック等の運転手、配達員の人手不足に加え、再配達解消を目的とする「置き配」の利用拡大のため、マンションの共用玄関オートロック「開錠共通化」を発表しました。
 要するに、オートロックのマンションでは、配達に来ても受取り側が留守だった場合は館内に入れないので「置き配」ができません。

 しかし、一旦持ち帰り再び配達することは、配送車の移動時間や燃料、配達員の労働時間のロスが働き方改革や地球環境に反しています。
 国が開錠共通化を定め、配達員がロック解除して「置き配」で一回の配送で完結できるシステムを構築するというものです。

「男の子たちと子猫」(1873年)
ウィンスロー・ホーマー

動的な雲の表現が秀逸です。

 氷屋さんが多くの飲食店のカギを預かり、開店前に店に入り氷を冷凍庫へ納品していることがあります。
 これは確実な信用があるから成り立つ商システムです。
 Amazonのアルバイト配達員とは比較できません。

 2004年以降公明党が国交大臣のポストに座り続けていますが、安易な外免切り替えによる交通事故の多発、China製LUUP(MaaS)導入の悪評、外国人富裕層優先のタワマン政策もあって、また余計な事を?という印象を受けます。
 交通運輸業界の労働環境の改善は良しとしても、マンション住民の命と財産よりも国交省ファーストの稀に見る愚策に思えます。www

 オートロックのあるマンションにおいて再配達になる条件とは?
①宅配ボックスがない(あってもすべてが使用中)
②管理員が不在(置き配指定の場合は開錠可)
③受け取り側が配達時間に不在と、そもそも急ぎだったり大事なモノが届くことが分かっているときは時間指定するか留守にしませんので、再配達にはならないと思います。

Winslow Homer『二枚貝の篭』1873年
メトロポリタン美術館

 この国交省の発想は、これまで試行錯誤を重ね、育てられ守られてきた居住者の防犯システムを否定して破壊、隣国の人民統制と似ています。ww 
 置き配の統制システム導入には管理組合の合意だけでなくオンライン環境が必須、国交省が統制するため構築するクラウドの維持運営(外注)費用は当然発生するでしょう。
 詳しい内容の発表がないため、今の時点で判断すると、国のIT関連事業の不信感、クラウドによるプライバシー情報漏洩の不安、その導入設置と維持管理費用等を考えれば、自ら実験台になりますという管理組合は少ないのではないかと。

 国交省がこんなシステムに数十億円も予算を組むのでしたら、マンション宅配ボックス設置(増設)補助金のほうが管理組合として大いに助かります。
 設置場所がない場合は、屋外設置タイプも用意されています。

 オートロックは完璧でなくても、防犯カメラとセットで間違いなく高い防犯効果があります。そのためあまり国にいじられたくありませんね。
 一部のマンションでは、健康飲料、給食デリ、新聞の配達員に暗証番号が知られていたり、居住者の方から業者へ暗証番号を伝えて、本人不在でも重い重い天然水のケースを玄関先へ運ばせていることもあります。
 防犯のためには不定期に暗証番号の変更(リセット)が必要ですね。

 マンション管理組合と宅配業者で共通システムを導入するためには、宅配業者間で異なる伝票、配送データの共通化について検討するという国交省です。
 これまで巨額を投じたにもかかわらず、散々トラブルを繰り返しているのが国のデジタル庁ですが大丈夫でしょうか?

fishing schooner in nassau
winslow homer

 下請け孫請け企業が丸投げピンハネを繰り返した挙句に海を越え、データ入力等は中国大連の企業に再々委託され、年金受給者やマイナカード500万人分のデータを流失という、もう想像を絶する失態を犯したことを忘れてはなりません。
 24年度の宅配物数は約50.3億個、再配達率は8.4%です。
 但し、戸建てや団地、賃貸アパート等すべてが含まれていますので、分譲マンションで宅配ボックスがある場合の再配達率はかなり下がります。

 挿絵はウィンスロー・ホーマー(Winslow Homer 1836~1910)の水彩画です。
 南北戦争(1859~)北軍に随行し挿絵画家として名が売れました。戦後、仏でバビルゾン派の影響を受け、英に渡り北海に面したカラーコーツという美しい港町で清しい作品を残しました。

Latest 2025/09/23
 山にも草木にも神が宿るという日本人の宗教観、自然への敬いや美意識があれば、わざわざ美しく整った自然を破壊してまで推し進めるメガソーラーは何なのでしょう?
 この度の首相候補5人の中、1人は環境大臣時代(2020年)に国立公園内で再生可能エネルギー発電の設置規制をユルユルにした犯人です。
 アホに権力を持たせるとこうなるというサンプルです。ww
 これ以上のパネル設置を反対しているのは2人です。
松尾好朗

注文の多い定時総会

 すでに議決権行使書の賛成票と議長への委任状を合わせて過半数に達していましたが、総会当日の出席者の意見により、議長が議案の一部を変更して決議した2つの例があるので紹介します。

 そのⅠ(宅配ボックス設置)
 今や珍しくなった宅配ボックスを持たないAマンションですが、若い夫婦の多くから再三の導入希望があり、設置の予定場所と見積もり、機器の仕様を添付して総会議案としました。
 その時の理事会は若手中心でしたので、議案書について違和感がなかったのですが、宅配ボックスのオプション機能にスマホ連動にはアプリをダウンロード云々、一部の高齢居住者から、わけがわからんと反発を買ってしまいました。

歌川国芳「金魚づくし」全9図のうちの1枚です。

 在宅していることが多い高齢者は、留守の時にしか使えない高額で場所をとる設備などは不要であり、点検費用や電気料を利用しない人までが負担することは疑問と、導入に反対する意見がありました。
 高齢者の中でも毎日のように外へ出かけ、テレビショッピングを楽しんでいる人の多くは宅配ボックスの導入を望んでいます。また、賃貸する場合に必須条件である宅配ボックスは資産です。

 そのⅡ(多目的室のミラー貼り)
 都下、Bマンションの1階部分には広い多目的室があります。
 居住者に限らず近隣住民も参加して、いくつかのダンス系やヨガ、フィットネスのクラブが以前からそこで活動が続けられています。
 自身の動きや姿勢を見るためには、キャスター付きの姿見を使っていましたが、固定ができないので危険でした。
 そこで、各クラブからの希望をまとめ、バレー教室のように壁面にミラーを貼ることを総会提案することにしました。議案書にはその目的と仕様、見積書を添付、こちらも議決権行使書と議長委任状により、すでに賛成票が足りていました。

 出席した高齢者からの意見は、一部の利用者だけのために管理組合が高額な費用を支出するのは疑問があり、室内の静寂を求める法要や読書会、茶道の場面では、壁にミラーを貼った万華鏡のような部屋では落ち着きに欠けるという内容でした。
 活動する場所の確保が難しい地域において、設備・環境を整えた活動場所を近隣住民にも開放、提供することによる地域コミュニティーへの貢献は大きなものがあります。

歌川国芳「金魚づくし」
上の猫は怪談100物語に出てくる化け猫です。

 これらⅠ、Ⅱに共通するのは、多くの高齢者には日常生活に関りのない事に余計な費用が使われることや未知な部分には保守的で、管理費、修繕積立金の値上傾向へのけん制をしているのかもしれません。

▢ 宅配ボックス設置についての決議
 夜間もマンション内に出入りが多い配送業者の再配達による立ち入りを減らし、提携クリーニング店や荷物発送などの高齢者にも便利なサービスについても掲示周知し、オプションは希望者のみに個人負担、導入台数も減らし大きくコストダウンを図り決議を取りました。しかし、将来台数が不足する場合は増設することとしました。

▢ 多目的室ミラー貼りについての決議
 ミラー貼りの範囲を見直し、部屋の2面に現場加工で天井高さまで貼る予定を、規格サイズ(三分×六分)4枚だけを壁の片面に貼ることで大幅なコストダウンとしました。 
 ウィルス感染防止のためにリモート理事会や書類配付だけの場合もあり、工事業者が工事範囲を膨らました計画そのままの見積もりを、理事会は一度も現場確認もせずに総会提案したのが反省点でした。

歌川国貞(三代歌川豊国)「土用干し」1854年

「土用干し」図の床の上、お皿に盛られた西瓜、細かくカットして食べていたんですね。

 総会は管理組合の最高の意思決定機関であるため、議長が一定の少数意見を取り入れ議案の範囲で調整することは可能です。
 この2例のように理事会の中だけで盛り上がり、理事長一人に任せたり、管理会社任せにするだけでは組合員への説明不足、確認不足で高い買い物になるところでしたね。

 最近では少数意見を尊重し過ぎる傾向がありますが、意見を無視をすると不満が残りますので、良い意見なら取り入れるような議事進行やその意見を議事録に残すことが重要です。
 管理組合の総会の出席組合員は会社の部下ではありませんので、議長は組合員から恨みをかうような態度を見せるのは良くありません。しかし、自分の主張を押し通したり妨害するだけの組合員には強い態度で対応してほしいと思います。

 夏らしい浮世絵の挿絵を選びました。
 猫の戯画が有名な国芳ですが、金魚シリーズに可愛いのがあります。
 来月から太田記念美術館.にて没後160年記念、国芳の作品が展示されます。
 もう一人、国貞の浮世絵は虫干しですね、梅雨明けから数日後のからっと晴れた日を選んでの行事です。
 節目という言葉があるように季節感を大事にしたいですね。
松尾好朗

 


 


 

 ここまで違うと別物と思わせてくれる本場の味、夏ならではの風味です。
 手延素麺、季節を美味しくいただきました。
 



 


みんな大好き「宅配ボックス」

 「置き配でお願いします。」とか「宅配ボックスに入れてください。」と、Aマンションのエントランスのインターフォン越しに高いトーンの声が聞こえてきます。
 在宅していても宅配物を対面で受け取らない人が多い上に、コロナ禍の影響で宅配サービスの需要が高まり、宅配ボックスの利用も増えています。
 困るのは郵便受けにもドアにも表札を出していない人がいるので、受け取り名を確認ができずトラブルになることもあるようです。
 この人たちは戸建てに住んでも表札は出さないのでしょうか?
 今やお歳暮お中元が過去の風習となる中で、違うスタイルの様々な宅配サービスが定着しています。
 小さいものや一人前の出前など、申し訳なくて配達を頼めないオジサン世代には理解が難しいところがあります。

 近年では宅配ボックスの中でゴルフバッグ用ボックスの利用はほとんどなくなりました。他の3~6ボックス分のサイズがありますので交換した方がいいですね。
 集合郵便受けは盗難防止などの理由で受け口が郵便物厚み限度の3㎝より薄く作っている(2.5㎝程度)ため、本来は郵便受けに入るメール便、ゆうメール、レターパックが入らず、宅配ボックスを利用することになりますます不足する状況になっています。
 省スペースや防犯を優先した郵便物が入らない郵便受け、利用されないゴルフバッグ用の宅配ボックス、他にもマンション施設では、上段が全く使えない上下2段式駐輪ラック、子供載せ自転車が並んで駐輪できない駐輪区画、ゴミが入ると持ち運び不可能な90ℓのポリバケツの採用など、新築マンションなのに何故か旧態依然とした設計資料のデータが採用されています。

Portrait of the Postman Joseph Roulin 1888(Vincent Willem van Gogh)

 すぐに満杯になってしまう宅配ボックスの数では居住者にストレスを与えるだけです。マンション共用部分でよく使うものはノンストレスであるべきです。
 マンションの設計者は、脳にこびりついた骨董品のような設計資料(データ)を信奉するのではなく、変化する時代の新しい情報を取り入れ、そこに居住する人とその未来のことを考えて計画してもらいたいですね。

 この絵はボストン美術館が所蔵するゴッホの作品、町の雄弁な思想家でゴッホの理解者であるルーランの肖像画です。postman(郵便配達員)になっていますが、小さなアルルの駅で郵便取扱いの仕事をしていたようです。
 首と上半身の軸を少しずらしカクカクした輪郭線はルーランの性格を表しているのでしょう。曲げていない指は職業柄、慢性の腱鞘炎と想像します。椅子のアームが片方しかなく背もたれのカーブがどうやってつながるのか不思議な絵です。
松尾