
レトロで重厚な雰囲気を持っているAマンションで経費節減のため、共用部分の照明をLEDタイプに変更する工事を前理事長が主導して実施しました。この工事は完了後5年の期間に電気料が削減された分で、工事費用が賄える予定という計画でした。
工事の前はシャンデリア球等で演出されていたホールやロビーのキラキラ感が工事の後にはなくなってしまい、「殺風景」と不評もあったようですが、電気料金の削減は翌月から順調に開始されました。
汗ばむ季節になり、なぜホールのエアコンを使わないのか、新しく就任したばかりの理事長が調査したところ、LED工事を施工した業者がエアコン室外機だけを撤去して室内側の本体はそのまま、つまり作動しないエアコンが天井に埋め込まれているのでした。他にも蛍光灯の一部が交換されていない等、工事には不可解なところがありました。
後で判ったのは、業者が電気料削減実績を多く見せるため、古くなっていたエアコンを停止させることを提案、室外機は撤去したものの天井に埋め込んである室内側の本体の撤去には、彼らの専門外である天井修復(内装)工事が必要になるためそのまま放置して完了したこと、蛍光灯を一部交換していないのは、非常灯兼用タイプの蛍光灯の代替品は他社からの仕入れ商品になるため、工事対象から外したのが理由のようです。
自分たちに利益が出ないところは一切触れないという考えを徹底して工事を行ったのでしょう。これらの仕様について業者は、前理事長へ説明して承認を受けているということでした。
Aマンションの管理会社(大手)は把握しているのか問い合わせたところ、自社工事以外は一切タッチしないという契約だそうです。
工事を発注したのは前の理事長ですが、業者が主導する工事にはリスクがあることが良くわかります。
工事内容によっては、その分野の専門業者に直接発注すれば中間マージン等の余計な経費がかかりません。しかし、仕様や見積書のチェック、工程や他の設備への影響等の全体を監理できる人が組合員にいないと、この工事のように業者のやりたい放題になってしまいます。
営業に来たLED業者に前理事長が対応し、総会で工事予算承認を受けて実行したわけですから違反はありません。しかし結果的に説明不足、前理事長は他業者との見積比較や価格交渉をした形跡はありません。
このAマンションは比較的安定して修繕費用が積み立てられています。問題があるとすれば区分所有者の無関心ですね。
ほとんどのマンションは、修繕金を潤沢に積立ていることはなく、区分所有者の大事な修繕積立金です。何らかの工事が絡むプロジェクトにおいては、調査、問題提議の段階でマンション管理士を理事会等に参加させることをお薦めいたします。
松尾
