Rau ja pai duay gan.

 2016年に逝去されたタイ王国のプミポン・アドゥンヤデート王の命日である10月13日、「聖なる日、偉大な王」と、タイから送られてくるメッセージにはどれにもトップ表示されていました。

 やり場のないコロナ禍の不満の矛先になっているのか、息子のワチラロンコンが国王の位に就いてからは国民の評判は下がる一方です。
 そしていつまでも軍事暫定政府を続けるプラユット首相の独裁政権の批判を込めて、前国王を高く尊び賞賛するメッセージが目立ちます。

 首都圏の国立大学のうち、秀才が集まるマヒドン大学が国際ランキングのタイ最上位です。そして元々「王族貴族の教育」のために開校され、今もエリート層の多くが卒業するのがチュラロンコン大学です。

フランシスコ・デ・ゴヤ「カルロス4世の家族」1801年https://ja.wikipedia.org/wiki/カルロス4世の家族#/media/ファイル:La_familia_de_Carlos_IV,_por_Francisco_de_Goya.jpg
 ゴヤは宮廷画家ながらも、この絵の中でスペイン王室の腐敗と衰退を表現することで、精いっぱいの抵抗をしています。
 愚鈍な王を押しのけ、絵の中央に権力をほしいままにする性悪の王妃が立っています。
 顔つきが面白いですね。

 これに対して「広く庶民層への教育」が目的だった難関のタマサート大学があります。

 最近の政権打倒や王室制度改革のデモや集会をリードしているのが主にタマサート大学の学生です。
 この大学でチアリーディング部を率い、ミス・タマサートにも選ばれたリケ女のปุณยวีร์ จึงเจริญが卒業後、故郷のチェンマイで人気アイドルグループのキャプテンをしています。立場上、政治的発言ができないと苦しい胸の内を発信しています。 

フランシスコ・デ・ゴヤ「1808年5月3日 プリンシペ・ピオの丘での銃殺」
 侵攻してきたフランス軍が、抵抗するマドリード民衆の多くを銃殺刑に処した有名な場面です。
 歴史画としても貴重です。
エドゥアール・マネ「皇帝マキシミリアンの処刑」
 フランス(ナポレオン3世)がメキシコに出兵し、武力で墺皇帝の弟のマキシミリアンをメキシコ皇帝に即位させましたが、メキシコ先住民らの巻き返しを受け、銃殺刑となった場面です。

 その彼女も歌うコロナ禍の医療関係者への感謝と市民を勇気づけるためのหัวใจ๋ใกล้กั๋น(Touch By Heart・心で触れて)という歌、その歌詞の一番最後が、「rau ja pai duay gan=一緒に歩みましょう。」という意味になります。
 これが今日の表題です。

 タイは静かにコロナ禍の終息を迎えましたが、鬱積した不満が軍事政権打倒、王室制度改革という活動のエネルギーに置き換わった感があります。

 バンコクは通称で、本当は長い名前です。その一部を訳すと「戦争のない平和で、九宝のように美しい偉大な天使の都」という意味になります。
 戦争のない天使の都に、これらの絵のようなことが起こらないことを願うばかりです。
松尾