これを着て外を歩けますか?

 知人のAさんは繊維業界一筋で定年退職され、体が動くうちに異業種を経験したいと、マンション管理員の職に就かれました。
 仕事内容に問題はありませんが、服飾も扱っていたAさんにとっては、管理会社が支給したユニフォーム(制服)のセンスの悪さに驚かれたようです。しかも作業用にしては生地の品質が疑問で、デザインはどこかの国の革命の服を連想するものでした。

パブロ・ピカソのバスク柄シャツ

 あなたはこれを着て外を歩けますか?とフロントに質問したところ、他の場所の管理員がこれを着ているのをあまり見ないとのことでした。
 Aさんのように一つの業界で定年まで勤め上げた人は特に、経験とプライドの中でも節度を持って物事を考え行動されます。
 これまでとは全く違う世界に入り、期待と不安の中、都落ちならともかく、社員も着ないような制服を与えられて、「囚われ人」になってしまったような気分だったと思います。

 別の管理会社では、管理員がどこにいるかよく目立つという発想から、制服の上着を鮮やかな黄色に変えたところ、居住者から「ヒヨコが歩いてるみたい。」、「大きな保育園児か?」等と不評でした。
 一方的な考えで「異物」を持ち込むと、マンションによっては、その建物の雰囲気と全くマッチしない場合があります。本部機能がある組織は押し付けではなく、調和を十分に考えてないと現場には受け入れられませんね。

 今はユニフォーム(制服)というより、その文化的な思考を含めた衣装という扱いでコスチュームと呼ばれるようです。
 管理業界が企画会議にデザイナーを入れる時代は望めませんが、管理会社のオジサンのセンスで一律に決めるのではなく、目的のマンションの建つ街の個性、居住者が意識するグレード、管理員の個性等を考えあわせたコスチュームを考える時代です。
松尾

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