日本のマンションの外壁はタイル貼りが多いですね、小口平タイルはレンガの木口寸法が基準、二丁掛タイルはレンガの木端寸法(木口の倍)が基になっています。シリーズマンション最盛期から、これらのサイズのタイル貼りが採用され、シリーズを展開する各社の標準仕様になっていました。初期のマンションではコンクリート打放の外壁に現場で小叩きの市松模様を入れたり、スタッコを盛るのが流行りましたね。
外装タイル貼りの第一の目的は建物を保護することです。コンクリートの中性化や鉄筋の爆裂のことは別の資料を探していただくとして、外壁タイル貼りの他の目的の一つは、
日本のマンション創成期、欧米に憧れ真似をした世代、そのマンションを購入する世代が、「タイル貼り(レンガを積んだような)=欧米のようにゴージャスでモダンな生活」とイメージを持っていたからです。
塗装の場合は「ペンキ塗り=進駐軍(古っ)がなんにでも塗りたくった安っぽい=すぐに剥げる」というある世代までの人は記憶を持っていて、塗装に拒否反応を示す人もいます。その後もマンションを(安定して)販売するためには、外装タイル貼りでないと許されない時代がありました。
結果、レンガ積みのように見せることから始まったレンガタイルが完全に定着し、日本の建築仕上げ材料で独自に発展しました。
主に水場で防水目的としてタイルを使用する欧州、独特の絵柄を施す装飾タイルが発達したイスラム文化圏、これらと比較すると現在の日本の外装タイルは、レンガ積みの代替品から発展したともいえます。

上の木の葉は、多分マロニエの葉(栃の木)
実際には、石材やレンガを主な構造として積上げるだけの工法は、地震国である日本では発達する余地がありませんでした。
外壁にタイルを貼ったマンションの修繕工事では、一般的な築年データや手の届く範囲の現地調査の上で劣化状況(貼替枚数や補修面積)の予測値は出せても、変動が大きいのが欠点です。外壁塗装では、劣化度合いに左右されず全体を塗装する場合が多いので、費用の変動が少なく、また塗装の色が選べる幅が広いので、時代に合わせたイメージチェンジができるのが大きなメリットです。
塗料の品質が大きく進歩した塗装仕上げを見直してみてはいかがでしょうか、例えば、昭和の香りが強いマンションの薄暗く重いタイル貼りのエントランスでは、部分的にでもタイルの貼り替えのために、似たようなタイルを探す苦労の割に効果は少ないと思います。それよりも壁面タイルを全部塗装に変更して、大きなイメージチェンジを計画してみてください。
塗装仕上げの中にアクセントやボーダーに竣工時に貼っていたタイルを少し取り入れてもいいのではないでしょうか。明るく広い空間に生まれ変わります。
松尾
