マスクが日常になってしばらくの頃、ある地方の美術館を訪れました。
私は特設展が目当てでしたが、常設展には地元の画家を中心にした絵画をはじめ、工芸品や甲冑武具等の展示もあり、美術館と歴史博物館を兼ねているようです。
建物は地元出身の建築家が設計と紹介され、打ち放しコンクリートとステンレス、それに大きなガラスのデザインは、この辺りでは目立ちます。
要望が多かったのか、外観には少し盛りすぎ感がありますが、肝心の展示スペースは導線がよく、集中して鑑賞ができました。
エントランスドアの真上には庇も雨樋も無くて、強い雨の日は出入りに支障をきたすようで、地元工務店さんがそこだけに雨樋を後付けせざるを得なかったところに地方なりの苦労を見せられた気がします。
後付け感が満載で、どうしてもそこに目が行ってしまいます。(笑)
館内には、オープン時はきっとオシャレだっただろうと思えるカフェがあり、オバサマ店員にポットのお湯で堂々とモンカフェを淹れていただきました。(感染防止対策もあったと思います。)
地方のセンスをからかっているわけではありません。独自の地方色を期待しますので、運営はソフトメンテナンスにも目を向けて、予算を付けてほしいと思いました。

東京都美術館
しかしそのカフェには、平日のガランとした展示スペースに比べ、意外なほどの多くの人が、小グループに分かれアクリル板越しに談笑したり、一人でお茶をしている穏やかな風景がありました。

《花咲くマロニエの木》1890年5月22–23日
ほとんどの人が地元、近隣の高齢者です。常設展は入館無料ですので、 散歩のコースでしょうか、三々五々入れ替わりにやってきます。
外来訪問者をすべてに優先、美術館に直結しているので大声で話さない騒がない、感染者が少ない地域ですが距離を取って座るという当たり前の制限ルールが自然発生して良く守られています。
そこは、とても心地良い安心できる空間に感じました。
マンションの居住者の高齢者対策(サービス)については、色々提案されていますが、この美術館のカフェが持つ空間はとても参考になります。
お仕着せの娯楽等を嫌う高齢者は多いと感じています。しかし、孤独を恐れ、人恋しい、聞いて欲しい、かまって欲しい時もあるでしょう。その環境では、提供側が良かれと思っていることが、かえって相手にストレスを与えたり、マンネリ化していることもあると思います。
マンションに集会室がある場合、開放した場合に何ができるのか、何が自然発生するのか探ってみたい気持ちがあります。
一定の制限があるほうが、リラックスできるという理由を探るのも興味深いですね。
上のポスターの通り、東京都美術館のゴッホ展は12/12までです。
ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
Collecting Van Gogh: Helene Kröller-Müller’s Passion for Vincent’s Art
ゴッホ展ですが、ゴッホだけではありませんよ。
今回見逃すと後悔する作品がこちら2点です。

《ポール=アン=ベッサンの日曜日》1888年

《キュクロプス》1914年頃
スーラの作品は変色を恐れて海外貸し出しはめったにありませんので間近で鑑賞できるのは貴重です。
もう一点ルドンの中で最も印象的な作品です。まさかこの目玉さんの方から日本にやってくるとは奇跡です。
ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじや進撃の巨人に影響を与えたかどうかは知りません。
一度見たらあなたの心に棲みついて、トラウマになるかもしれませんので、鑑賞する場合は自己責任でお願いします。(笑)
松尾好朗
