見守るか、見ぬふりか

 駅チカのAマンションの管理員さんは勤続20年超えの元営業ウーマンです。おしゃれで外交的、子供が大好きです。
 このマンションで赤ちゃんが誕生し、成人式を迎えた人にとっては、お母さんのお腹にいるときから人生のすべての期間を管理室から見守ってくれている存在です。
 また、建物と共に高齢化し、独居となって暮らす居住者も多く、その人たちにとっては、昔の話題を共有できている話し相手で、お互いが顔を確認するだけで安心するという存在です。

 管理員さんは後期高齢者と呼ばれる年齢ですが、代わりになる人物を見つけるのは難しく、管理組合としてはできるだけ長く勤めて欲しいため、力の要る朝のゴミ出しを外注して、現在は管理室で受付、窓口業務を任せています。
 下階に店舗が入っているマンションなので見知らぬ人の出入りも多く、住居専用のようなオートロックシステムもありません。

 有人管理のマンションのメリットは、防犯上で狙われ難いというデータの通り、これまで大きな事件事故は繁華街の近くに関わらず起きていません。
 管理員さんが今後も継続できるように勤務日数の調整等、体力的に負担を少なくする方向を理事会で話し合い、本人の希望を確認することにしました。

 同規模のBマンションにも管理室はありますが、窓口はカーテンで閉じられています。
 経費節減の目的もあり、ゴミ出し曜日に合わせて管理会社から派遣された清掃管理員がマニュアルに則り作業をしています。
 勤務曜日が飛び石になる場合は、週3回といっても結局は一週間拘束されます。それだけでは募集しても応募がありませんので、ゴミ曜日が違う近くのマンションや、土日や夜間のビル清掃などと組合せて勤務時間を稼ぎ、一定の収入が確保できるようにしています。
 そのためいつも同じ人が同じ場所で勤務するとは限りません。
 時間に拘束されるため、自分の担当業務以外のことに気付きがあったとしても、見て見ぬふりという場合もあるかもしれません。
 清掃員と居住者とのコミュニケーションは、挨拶程度で希薄になります。

 A、Bマンションともに区分所有者の資産価値の維持向上が目的です。Bマンションは清掃管理を契約通りに実施していれば誰が行なってもよいのですが、Aマンションは管理員さんが長い経験を生かした管理が行われているので、心理的な部分(安心・信頼など)を含め、Bマンションとは居住性に大きな差ができていると思っています。

歌川広重 1857年
大はしあたけの夕立
「没後160年記念 歌川国芳」展

 私の経験上、清掃管理費用を削減したマンションでは、全体的な荒廃感(薄汚れていて清潔・清涼感が隅々に行き届かない)や、時に居住者が非協力的(奉仕性が生まれてこない環境)になり、粗大ゴミの放置やルール違反、法的点検の不参加等が目立つというスラム化の予兆を感じることがあります。

売っていた手ぬぐいです。

 マンションの建築や設備、法律や会計等については多くの情報があふれています。しかし、場合によっては中古マンションの購入の決め手になるかもしれない管理員さんの情報については皆無です。
 売買時の重要事項説明書でも管理員の勤務形態「日勤」と二文字だけなのは、一生の買い物をしようとする顧客に対してあまりに不親切です。
 業界が利益にならない取材や情報提供を怠っていることが残念です。

 Aマンションの理事会の終了後、太田記念美術館に立ち寄ってきました。
 マイナーな美術館なので空いていると思ったのですが、8/29日曜日で企画展の最終日ということからか、ゆっくりと無言で移動する動きながらも少し密でした。
 9/4から「没後160年記念 歌川国芳」展が始まりました。
 一足先に手ぬぐい等をお土産に求めました。柄は以前紹介した国芳の「金魚づくし」です。
 松尾好朗

『其まま地口猫飼好五十三疋』 歌川国芳






区境いを越えて

 会に大田区という地域名をつけていますが、私を含め会員は大田区内に限って活動をしているのではなく、区外、近県にまで活動範囲が及びます。まだ海外はありません。(笑)

①最初のひまわり
フィンセント・ファン・ゴッホ
1888年8月
②芦屋のひまわり
フィンセント・ファン・ゴッホ
1888年8月 

 先日、大田区ではなくて都内一等地に建ついわゆる高級マンションの管理組合からご連絡をいただきました。
 現在委託している管理会社から委託料等の値上げ要求があり、これが妥当なのか、管理組合では判断が難しいため全体収支を含めた見積査定の依頼でした。

 その後、数社の管理会社から委託料等の見積を受け、比較検討の結果、管理会社を変更するところまで漕ぎ着けることができました。
 以前もこのブログで書いたことがありますが、会社変更や点検回数を減らしたりで金額を下げ、報酬を受けてからは何があっても知らぬふり(又は別料金)という下げ逃げをする管理士がいます。
 しかし、変更後の新しい管理会社が軌道に乗るまでは責任があると思いますので、アドバイスを続けさせていただく予定です。

 前回の続きで夏の花「ひまわり」です。
 ゴッホは南仏のアルルを仮想日本として、黄色い家に招待したゴーギャンを待ち焦がれていた間、部屋に飾る「ひまわり」を描き始めました。彼の心が充実してもっとも幸せな時代だったと考えられます。

 ①1888年8月、最初に描いた3本のひまわりです。
 ②同月の作品、武者小路実篤が計画していた白樺派美術館の目玉をパトロンである実業家の山本小彌太にに依頼、現在価格換算2億円で購入(゚Д゚;)、戦争中は他の絵画は疎開できましたが、芦屋の家の壁に固定していた「ひまわり」は空襲で家と一緒に焼失してしまいました。残念です。

③ミュンヘンのひまわり
1888年8月
④ロンドンのひまわり
1888年8月
⑤SONPO美術館のひまわり
1888年12月-1889年1月


 ③ノイエ・ピナコテーク(ミュンヘン)蔵、同月3番目に描きました。黄色い家の壁紙の水色がバックで花の黄色と補色関係になっています。心が安定しているような色と構図です。
 ④ナショナル・ギャラリー(ロンドン)蔵、8月だけで4枚目のひまわり、花もバックも台も黄色系です。花の本数も12本から15本に増えています。いわゆるゴッホらしさが見えてきました。
 ⑤SONPO美術館(旧東郷青児美術館)、1987年のバブル期に安田火災海上が58億円で落札、世界中から贋作といわれましたが、真筆であることが証明されました。
 耳切り事件の直前に描かれたもので、④以上にゴッホらしい心の高揚が見えます。
 閑散としていた美術館がこの1枚で行列ができました。

⑥アムステルダムのひまわり
1889月1月

⑦フィラデルフィアのひまわり
1889年1月

 ⑥耳切り事件の後に⑤を模写、現在ファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)で門外不出になっています。
 ⑦ミュンヘン③を模写したものです。

松尾好朗  

マンション管理士の副業

 私の場合は年、月、週とルーチン作業があるものの、マンション管理士の仕事で予定がいつも満杯ということは、まずありません。(悲)
 主に建物不動産管理関係の外には、数社の派遣会社に登録していて、次の予定までの空いた期間に他業種のアルバイトをすることがあります。
 その派遣会社から五輪の直前に、「オリンピック関係駐車場誘導員」という急募がありましたが、選手をサポートする等のふれあう機会がなく、炎天下の旗振りは、さすがにボランティアには頼めなかったのでしょうか、私なら一時間も体がもちませんね。
 五輪関係では元請け価格は特上なのですが、順々に末端にまで下りてくるのに合わせて、時給も加速をつけて下がってしまいます。(涙)

 その五輪では、金メダルをどこぞの市長に噛まれて、選手の女の子はさぞ驚いたことでしょう。でも「メダルは神聖」などと周りが勝手に決めつけるのはありがた迷惑で、ソフトボール競技が五輪採用がなかった中で、実施できたことに価値がある気がします。
 選手は辞退しても、メダルは交換されるようです。
 しかし、やり方を間違うと前のメダルの所有権が、代金を払う市長に移ることもあるわけで、そうなれば市庁舎に「噛みつき金メダル」として展示すればとてもシュールですね。(冗談です。)

伊藤若冲 1757~動植綵絵の中の
「向日葵雄鶏図」

 夏はこの花、江戸時代の4代家綱の頃に日本に入りました。
 なでしこの可憐さ朝顔の儚さなどのイメージとはかけ離れているこの花は、当時は品がないと言われ人気がなかったようです。
 「あなただけを見つめる。」と、花言葉がちょっと重い「ひまわり」です。
 紀元前からアメリカインディアンが栽培を始め、欧州から中国経由で1660年代に日本に入ってきました。

鈴木其一(1795-1858)
「向日葵図」
Suzuki-Kiitsu1080x1920

 欧州では観賞用の外に、ロシア・ウクライナ等へはヒマワリ油の栽培目的と品種が分れました。
 ソフィア・ローレンがマルチェロ・マストロヤンニを探して訪れるシーン、映画「ひまわり」1970年のロケ地は、ウクライナのひまわり畑です。

 以前マンション敷地の空いたところに、ひまわりの種を蒔いたことがありますが、成長良すぎて花は2メートル以上の高さで咲き誇り、葉っぱしか見えずに失敗、やはり改良した園芸種(背が低い)の苗を植えるのがよいと思いました。

 ひまわりを描いた日本画は少ないのですが、洋画ではゴッホのひまわりが有名です。
 次の機会に紹介させて下さい。
松尾好朗

注文の多い定時総会

 すでに議決権行使書の賛成票と議長への委任状を合わせて過半数に達していましたが、総会当日の出席者の意見により、議長が議案の一部を変更して決議した2つの例があるので紹介します。

 そのⅠ(宅配ボックス設置)
 今や珍しくなった宅配ボックスを持たないAマンションですが、若い夫婦の多くから再三の導入希望があり、設置の予定場所と見積もり、機器の仕様を添付して総会議案としました。
 その時の理事会は若手中心でしたので、議案書について違和感がなかったのですが、宅配ボックスのオプション機能にスマホ連動にはアプリをダウンロード云々、一部の高齢居住者から、わけがわからんと反発を買ってしまいました。

歌川国芳「金魚づくし」全9図のうちの1枚です。

 在宅していることが多い高齢者は、留守の時にしか使えない高額で場所をとる設備などは不要であり、点検費用や電気料を利用しない人までが負担することは疑問と、導入に反対する意見がありました。
 高齢者の中でも毎日のように外へ出かけ、テレビショッピングを楽しんでいる人の多くは宅配ボックスの導入を望んでいます。また、賃貸する場合に必須条件である宅配ボックスは資産です。

 そのⅡ(多目的室のミラー貼り)
 都下、Bマンションの1階部分には広い多目的室があります。
 居住者に限らず近隣住民も参加して、いくつかのダンス系やヨガ、フィットネスのクラブが以前からそこで活動が続けられています。
 自身の動きや姿勢を見るためには、キャスター付きの姿見を使っていましたが、固定ができないので危険でした。
 そこで、各クラブからの希望をまとめ、バレー教室のように壁面にミラーを貼ることを総会提案することにしました。議案書にはその目的と仕様、見積書を添付、こちらも議決権行使書と議長委任状により、すでに賛成票が足りていました。

 出席した高齢者からの意見は、一部の利用者だけのために管理組合が高額な費用を支出するのは疑問があり、室内の静寂を求める法要や読書会、茶道の場面では、壁にミラーを貼った万華鏡のような部屋では落ち着きに欠けるという内容でした。
 活動する場所の確保が難しい地域において、設備・環境を整えた活動場所を近隣住民にも開放、提供することによる地域コミュニティーへの貢献は大きなものがあります。

歌川国芳「金魚づくし」
上の猫は怪談100物語に出てくる化け猫です。

 これらⅠ、Ⅱに共通するのは、多くの高齢者には日常生活に関りのない事に余計な費用が使われることや未知な部分には保守的で、管理費、修繕積立金の値上傾向へのけん制をしているのかもしれません。

▢ 宅配ボックス設置についての決議
 夜間もマンション内に出入りが多い配送業者の再配達による立ち入りを減らし、提携クリーニング店や荷物発送などの高齢者にも便利なサービスについても掲示周知し、オプションは希望者のみに個人負担、導入台数も減らし大きくコストダウンを図り決議を取りました。しかし、将来台数が不足する場合は増設することとしました。

▢ 多目的室ミラー貼りについての決議
 ミラー貼りの範囲を見直し、部屋の2面に現場加工で天井高さまで貼る予定を、規格サイズ(三分×六分)4枚だけを壁の片面に貼ることで大幅なコストダウンとしました。 
 ウィルス感染防止のためにリモート理事会や書類配付だけの場合もあり、工事業者が工事範囲を膨らました計画そのままの見積もりを、理事会は一度も現場確認もせずに総会提案したのが反省点でした。

歌川国貞(三代歌川豊国)「土用干し」1854年

「土用干し」図の床の上、お皿に盛られた西瓜、細かくカットして食べていたんですね。

 総会は管理組合の最高の意思決定機関であるため、議長が一定の少数意見を取り入れ議案の範囲で調整することは可能です。
 この2例のように理事会の中だけで盛り上がり、理事長一人に任せたり、管理会社任せにするだけでは組合員への説明不足、確認不足で高い買い物になるところでしたね。

 最近では少数意見を尊重し過ぎる傾向がありますが、意見を無視をすると不満が残りますので、良い意見なら取り入れるような議事進行やその意見を議事録に残すことが重要です。
 管理組合の総会の出席組合員は会社の部下ではありませんので、議長は組合員から恨みをかうような態度を見せるのは良くありません。しかし、自分の主張を押し通したり妨害するだけの組合員には強い態度で対応してほしいと思います。

 夏らしい浮世絵の挿絵を選びました。
 猫の戯画が有名な国芳ですが、金魚シリーズに可愛いのがあります。
 来月から太田記念美術館.にて没後160年記念、国芳の作品が展示されます。
 もう一人、国貞の浮世絵は虫干しですね、梅雨明けから数日後のからっと晴れた日を選んでの行事です。
 節目という言葉があるように季節感を大事にしたいですね。
松尾好朗

 


 


 

 ここまで違うと別物と思わせてくれる本場の味、夏ならではの風味です。
 手延素麺、季節を美味しくいただきました。
 



 


アマゾンDPから悪質をお届けします。

 今、現場で起きていること。
 宅配ボックスは生活様式の多様化の中で、マンション共用設備の必須アイテムとして定着しています。
 Aマンションでは、アマゾン配達員(DP=デリバリープロバイダー)が早朝から入り込み、受け取り側が在宅、留守に関わらず、搬入した荷物のすべてを宅配ボックスに放り込み、次の宅配ボックスのあるマンションへ急ぎます。
 居住者は、夜までに宅配ボックスに預けられた荷物を引き取りますので、朝は空いているボックスがほとんどです。
 配達側は朝の時間帯は持ち帰りロスがなくて効率が良いのですが、在宅していても宅配ボックスへ預けられてしまいます。
 ただ、早朝にピンポンと呼び出されても困りますけどね。


 午前9時を過ぎた頃には、クロネコや佐川等の宅配業者が動き出します。
 届け先が留守の場合、宅配ボックスへ預けようとすると、朝一の配送なのにすでに満杯ということが実際に起きています。

川瀬巴水『七里ガ浜』1928年

 感染防止による外出制限や在宅ワーク等の影響で、特別な注文ではなく通常の食材や日用品の配達や重量のある飲料、ペットフードやトイレ砂、更にお中元のシーズンとなり宅配ボックスの数不足が目立ちます。増設したくても、設置する場所がないということもありますね。

 宅配ボックスもオートロックもないマンションでは、配達員(一部)はマンション内のあちこちに台車をぶち当てながら泥靴で侵入、届け先が在宅していても玄関前に勝手に置配(オキハイ)やドアノブにぶら下げ等、手渡しはしません。
 注文者(受取側)もオキハイ希望が多いのも事実で、配達員がオートロックで中に入れずオキハイができないので、管理会社に訳のわからないクレーム電話をした配達員がいました。

エドマンド・タル『薄明かり』


 郵便小包の時代を経て宅急便・宅配便は新語として登場、運輸流通経済を支えてデジタル時代にも対応、自主ルールと関係人材の教育に費用をかけてきた業界は、いま明らかに乱されています。
 悪質な配達員は淘汰されるのでしょうが、アマゾンの組織が末端までコントロールできない状況なのか、勝ち逃げを図っているのか、そのまま放置するのか、以前ヤマト運輸がアマゾンの配送を請けていた時代とは大きく変わりました。


 高級と呼ばれているマンションにアマゾンDPやウーバーの類に見られる素人配達員を、ノーチェックで建物内へ侵入させている限り、セキュリティーやプライバシー上で一般マンションと差はありません。

 居住者の側から素人配達員を呼び込んでしまっているので、今のところ防ぐ方法はありませんが、居住者であまり宅配などを利用しない方が問題視するような時が来ると思います。
 

ウィリアム・アレン『子供たちの聖なる行進』
ハンプシャー文化トラスト

 不潔そうな身なりや挨拶もしない人物は館内には入れたくないと思いますね。
 最近では、ウーバー配達員が入り口と間違って常時(開)格納の防火扉を閉めてしまい、火災警報盤が鳴動、警備会社が出動したことがあります。

*世情のこと*
 「うちの子が練習していた文化祭コンサートは中止なのにオリンピックはやるのね」というようなフレーズが溢れています。
 本当にコンサートをやりたければ、ゲリラでもズームでも失敗しても実行する気概を持ってほしいと思います。オリンピックを並列させて語るのは、言い訳のように聞こえてしまいます。

 「おもてなし」をお題目にインバウンド需要を見込んで投資した多くの日本人は、ウィルス感染防止のため五輪が延期の上に無観客となることが現実になってしまいましたが、逆境の中で耐える工夫をし、様々なことを考え、意見を聞く機会を与えられたところをヨシとしたいです。

 本日、貼り付けした絵は「薄明りの絵画」様のセレクションから拝借しました。
 先日、小学生の列へと酒酔いトラックが突っ込んだ事故がありました。
 葬儀の列、後に続く子供たちは仲間が亡くなったことを理解できてるのでしょうか。素朴なタッチ故、涙を誘います。
 松尾好朗 

ジュゼッペ・ペリッツァ・ダ・ヴォルペード「亡くなった子供」
1902年頃、オルセー美術館

 

みんな大好き「ランク付け」

 内容にかかわらず週刊誌などでランク付けの特集を組むと、その記事の関係者が購入するため一定の売り上げと、読者の新規開拓が望めるメリットがあります。
 マンション関係では、管理戸数の多い順に管理会社をランク付けした特集記事を見かけます。「管理戸数が多いので良い管理会社です。」というわけではなく、管理する範囲や方法は契約内容によってマチマチです。
 管理組合の望む良い管理会社というのは別の尺度があります。
 でも、相撲番付のように懲りずに毎年やっていますね。(笑) 

 住みたい街のランキングでは、不動産業界の作った台本に誘導することもありますが、一定の根拠があり、その時代の傾向を知ることができます。

 都道府県の住みやすさランキングの一つでは、上位に石川、福井、富山と北陸3県が占めている調査結果がありますが、東京や大阪とは人口が桁違いなので、なんでも都道府県単位で比較するには無理がありますね、物価と所得、福祉や医療、子育て教育、何を基準に何を重要視するのかによって違ってきます。
 

ポンパドゥール侯爵夫人

 欧米のある住みやすさランキングの調査では、スカンジナビア半島の北欧3国が占め、日本では北陸3県が占めていることが少し似ているような気がします。
 その住みやすい県や国に住みたいかというと答えは違う結果になり、公共サービスの充実と税負担は連動します。また寒いのが苦手な人にも敬遠されるでしょうね。

 人は何かしら順位付けやグループ分けをして自身の位置を確認し、安心感や優越感、妬み嫉みを感じるのが好きなのかもしれません。

狩りの女神ディアナの衣装をまとったポンパドゥール夫人
このコスプレでパリの仮装舞踏会に現れルイ15世を夢中にさせました。

 LGBTは性的マイノリティーの略称として使われていますが、最近、後にQIA(クイア)がくっついてLGBTQIAと文字が増えています。(意味は下線のリンク先)
 英米ではFacebookの登録時に自分の性別を71種類の中から選ぶということですが、もう私には訳がわかりません。
 これらが不安の裏返しの逃避(ごまかし)行動でなければよいのですが、少数者、少数意見を言われるままに受け入れ拡大解釈するのは、民主主義の根幹部分がぼやけてゆく気がしています。

 最近、管理組合の総会決議でも、少数意見を大切にと議決権行使書により、すでに可決している議案を保留にするなど、同じ傾向(風潮)があると感じています。

 肖像画の女性は、ロココの華、ポンパドゥール侯爵夫人(ジャンヌ・アントワネット・ポワソン)以下、ジャンヌと呼びます。
 ジャンヌは16歳でパリの社交界へ、1745年24歳でベルサイユにデビューしました。
 明るく知的でよく笑うホンワカ系美人のジャンヌは、たちまち仏国王のルイ15世の心をつかみ、平民出身ながら公妾としての地位を確固に築きます。
 文化芸術だけでなく政治にも深くかかわりをもち、貴族やイエズス会の妨害も才覚で乗り切ります。
 ジャンヌは、仏ブルボン朝の宿敵、女帝マリア・テレジア(オーストリア:ハプスブルク家)、そしてロシアの女帝エリザ・ヴェータと3名の女性により、後年「3枚のペチコート同盟」と呼ばれる同盟を結び、侵略を続けるプロイセン王フリードリヒ2世包囲網を完成させます。7年戦争の始まりです。(1756年)
 当初は優位に立っていたものの、すでに疲弊していたフランスには無能政治家と賄賂軍人しかおらず、そのため軍事的才能豊かなフリードリヒ2世に軍配が上がり終戦になります。(1763年)
 

ラ・トゥール モーリス・カンタン・ド
「ポンパドゥール夫人」1755年
Maurice Quentin de La Tour(1704-1788)
Portrait of the Marquise de Pompadour

フランソワ・ブーシェ( 1703-70)
『ポンパドゥール夫人の肖像』1756年
35歳のジャンヌ

 ジャンヌは、42歳で結核の病で亡くなります。(1764年)この年、モーツアルトが6歳で演奏会を開き、100年後には新選組が池田屋を襲撃、200年後には新幹線が開通して東京五輪が開催されています。
 5年後の1769年、マリー・アントワネット(マリア・テレジアの娘)が、次の仏王ルイ16世に嫁ぎます。そしてナポレオンが生まれた年でもあります。


 その後、1789年のフランス革命、1793年のギロチンまでの道のりは、「ベルばら」に描かれたとおりです。

 美術史上の分類は、ルイ15世のロココ様式からルイ16世の新古典主義(ネオクラシシズム)に変わります。なお、ルイ14世はバロック様式(ベルサイユ宮殿など)です。これは分りやすいグループ分けですが、これも何を基準にするのか、ランク付けはできないですね。

晩年のポンパドゥール夫人
フランソワ・ブーシェ

 繊細優雅なロココ調文化の裏には、贅を尽くし円熟した中の刺激のない退屈感、刹那的快楽を繰り返す虚無感、長引く戦争への退廃的思考、物憂い気怠さが漂う「アンニュイ」という言葉がとても似合います。
松尾好朗

コンドミニアム崩壊に学ぶ

 6/24フロリダ州で1981年竣工(築40年)、12階建の集合住宅が崩壊して11名が死亡、151人が安否確認ができないと報道されています。(共同通信・時事通信・ロイター)
 6/30現在、崩壊原因は調査中
 行方不明者の一刻も早い救出と、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 注目するのは、崩落時に居住(在宅)していたかもしれない人と連絡が取れていないことです。その人数の報道は日々増減、変化しています。

崩落前
右手前の大部分が崩落しています。

Google Map

崩落後
フロリダ州マイアミビーチ 
サーフサイド崩壊現場
2021/06/24

 日本では、管理会社は管理費等の請求先と名義(口座振替)、総会議案書等の送り先が分っていれば、法的事務を除き管理業務に大きな支障はきたしません。
 使用細則等で定められている「居住者届」により家族の氏名、生年月日、連絡先等を届出された範囲で把握しているだけです。
 しかし築年数を多く経たマンションでは、家族の増減、賃借人など入退の届けが提出されないことが多く、実際は誰が住んでいるのか隣の人でも知らないというマンションもあります。

崩落前
Google Map
崩落後

 リストがあるだけではだめで、家族の増減が届けられているのか、記載されている本人の電話番号や緊急連絡先は今も通じるのか、賃借人退去・入居が届けられているのか、最新で且つ正しいデータでなければ、緊急時には逆に現場に混乱を招くことになります。
 総会時に居住者等データに変更がないか、変更がなくても回答をいただくのですが、回答がないのは毎年同じ人というのが管理組合あるあるです。
 経験上、居住者リストの名前などの活字は、はっきりと大きな字で、フリガナ付きであること、これは緊急時はリストを手に、各戸訪問や電話連絡、夜間に周辺確認や停電の場合もありますので見やすいものに限ります。

 リゾートマンションの場合、ホテルのような管理システムがなく出入り自由な場合は、現在誰が使用しているのか全く把握ができません。

 昨今は個人情報保護を盾に、管理組合役員、管理員にすら居住者リストを公表しない場合があり、万一事件事故が起きても居住者の連絡先どころか名前も人数も現場では準備できないこともあります。


 管理費等節減などにより、常駐管理員は清掃員(週3回程度)に置き変わり、劣化や交換を指摘されている建物・設備の補修工事は、根拠なく金額が高いというだけ(組合も反対者も素人)で賛成票が得られず、だらだら次期へ持ち越しさらに高額な工事になるマンションは多くあります。
上記フロリダの場合も、崩落原因が地盤沈下説の他に、補修費用が莫大な金額(各戸負担)になる議案がコンドミニアム所有者の賛同を得られず、このような結果になったとの情報が出ています。

 この事故を教訓に、マンション居住者名簿(連絡先等)の刷新すること、特に築年数が35年を過ぎているようなマンションは建物・設備の再調査により修繕計画(適正な修繕積立金)を最新の情報に基づいた見直しが必要ですね。
 昨今の総会出席者(高齢者が多い)の「工事にそんなにお金かけなくていい」という風潮が何故か共通して生まれていますが、この問題は別の機会にします。
松尾好朗

 

節減努力という罠

 小売電気事業者を選べるようになった背景(2016/04~)があり、Aマンションでは共用部分の電気料金節減を目的に、東京電力からB電気へ切り替えました。

 切り替え後は、昨年同月比で数千円の節減金額が確認できました。
 B電気への支払い方法は契約では自動振替でしたが、数か月経っても振替が開始されていないため問い合わせると、「来月からです。」との返答が何度か続いたあげく、1年間経過もまだ自動振替がされません。
 そのため、このB社の支払いのためだけに銀行へ出向き現金を振り込むという手間を強いられました。

キュラソーの街並み
キュラソー国旗
キュラソーの街並み

 理事会ではB電気は信用できないとして解約を申し入れたところ、解約料と調達調整金の前払いを加算した請求書が送られてきました。
 契約時に確認しているはずの解約料でしたが、契約口(動力、電灯など)は3口分それぞれが解約料の対象になるのは把握できていなかったことは迂闊でした。
 後から判明したのは、単価が市場連動型であるこの会社では3年分の調達調整金を前払いする実質3年縛りの契約だったことです。
 1年間の節減分を差し引きしても大赤字になります。電気供給が止まるリスクを避けるためすでに会計方は電気料に合わせて支払いを終えていました。
 この解約は相手方に契約の一部に不履行(自動振替の未実行)があること、また調達調整金は相手方に原因がある解約においては、支払い義務が生じないことを主張して返金を申入れました。
 何度かのやり取りの時間を費やした結果、返金に応じるとの回答がありました。

対岸からのウィレムスタットの街の眺望
クイーン・エマ橋よりウィレムスタットの街並み

 法改正などを機にマンション管理組合へ直接、様々な怪しい業者が入り込んできます。
 以前は、磁気活水器、地デジ対応、家庭用火災警報器、アルカリイオン整水器、水質検査、ディスポーザー、民泊など、他にあたかも管理組合が案内しているような文面でインターネットの勧誘や、オートロックを潜り抜けて宅内設備点検と称して家庭内に入り込み、水周りのリーフォームを強引に契約させることもありました。これらは詐欺に近いものですが、特定政党関係や宗教などは信じた者が勧誘するので厄介です。

 写真はソフトバンク球団の外野手、バレンティンの故郷です。
 この人口15万人ほどの小さな島から彼のような大リーグの選手を多数輩出しています。

キュラソー島 ウィレムスタット

 オランダ自治領キュラソー島というベネズエラの北、カリブ海に位置する種子島ほどの広さの島です。
 中心のウィレムスタットの中心街の街並みは明るく、現在は観光産業の島になっていますが、若者の多くは外に出るしか生きていけません。町を少し外れると荒廃した土地が続きます。
 スペインに完全に征服され原住民は一掃され文化風習は消滅、その後もオランダに植民地支配され続けました。
 欧州の奴隷売買や世界の石油をめぐる情勢に翻弄され続けた小さな島です。
松尾好朗

勘違いの善行

 マンションでは飼えないので、近所にたむろしているノラ猫に餌やりするご年配のグループを見かけます。ハトやカラス、雀までがおこぼれを狙って集まってきます。
 餌やりをすることで、「小さい命を救ってあげた。今日も良いことをした。」と思い込む「善行」を生きがいにしてらっしゃるのか、周りは迷惑なので人間社会にも「善行」をお願いしたいですね。

『ジャンヌ・エビュテンヌの肖像』(1918年)
妻のジェンヌ・エビュテルヌさん
 藤田嗣治のモデルもしていました。
藤田嗣治

 ある地域では、餌やりグループの協力を得てノラ猫に順に避妊手術を施し、繁殖拡大を抑える活動をしている団体があります。
 施術後は猫耳にVカットを入れて見分けているそうです。 
 避妊手術代は寄付金で賄っていることで活動を不安定にさせないで欲しいですが、莫大な寄付があればノラ猫はいずれ絶滅することになるので、餌やりグループの楽しみがなくなってしまいますね。(笑)

 本来は自然淘汰される命を、人の手によって延命させてるだけなので、賛成できません。

 世間では、感染防止のための飲食店への時短や酒類制限に応じないところが目に見えて増えています。店が感染対策をしていても、来店客が感染者なら誰も防止できませんね、取材に応じた店長は「従業員の生活を守るため店を開けている。」とのことですが、その家族に感染して命を落とすことは考えないのでしょうか。
 ノラ猫は餌がなければ餌を求めて移動し、強いものだけが生き残るのが自然なこと、飲食店の従業員もお金が確保できないと分かると他を探して生きて行くのも当然なことだと思います。

 餌やり婆と飲み屋の店長を一緒にしてごめんですが、ルールは守って欲しいですね。猫も従業員も、餌が目当てで人物にくっついているわけではありません。

ビアトリス・ヘイスティングスの肖像
1915

 文中の絵は本文の内容とは関係がありませんが、この画家の名前を知らなくても、絵は知ってるという人が多いと思います。
 新しい思想が多く生まれ、分派し変化して成長する時代に影響されながらも、一度見たら忘れられない独自の絵を描きモンパルナスを根城にしていたイタリア生まれのナルシストのイケメン画家です。

『赤い肩掛けを着たジャンヌ・エビュテンヌ』(1917年)
大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ1918


 Amedeo Modigliani(1884-1920)表現派
 アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ(エコール・ド・パリ)
 彫刻にも挑戦し、キュビズムを迎合せず「抽象は人を疲れさせ、駄目にする袋小路だ。」という言葉を残しています。
 虚弱な体を酒と薬物で寿命を縮め、結核で早世(36歳)します。
 短い生涯、貧困からは脱することはありませんでしたが、後年、妻のジャンヌの肖像画が56億円、横たわる裸婦は210億円で落札されました。
 松尾好朗
 
  

made in maid

 分譲マンションの設計が手探りだった時代、東京オリンピックの年に竣工(1964年)したマンションの設計図書を見る機会がありました。
 現在は個性薄い系のタワーマンションに建て替えられています。
 当時は先例がないためか、共用部分では欧米サイズをそのまま採用したような余裕のある空間が見られます。バリアフリーではないものの、段差を利用して天井を高く感じさせるラウンジや、異空間として茶室が配されています。
 電話交換室があって交換手が各部屋につないでいた時代だったようです。


 上層階には植樹がされた空間やゴルフ練習場があり、セントラル給湯、冷暖房が共用部分、専有部分へ供給されていました。♪ 水道完備ガス見込み~ ♪といった時代に、画期的だったでしょうね。
 当時のパンフレットを見ると居住者へのサービスとして、ホテルならポーター、駅の赤帽のような役目をする法被をまとったスタッフ常駐して、車やタクシーを降りた後など、荷物を部屋まで運んだり雑用を手伝いますとありました。チップが必要だったかどうかわかりませんが平和な光景です。(笑)

Vermeer_Lady_Maidservant_Holding_Letter
ヨハネス・フェルメール 1667年
婦人と召使

  住込み管理員が居住者から管理費他の集金業務や出納管理を担い、年間行事や居住者名簿の管理、館内のトラブル対応から給湯(重油)、空調管理など広範囲で、現在よりずっとプライドと責任をもって仕事ができていたのだろうと想像してしまいます。
 また販売当時は、他の居住者への迷惑をもたらす恐れがあるからとして、芸能人と政治家へは販売しなかったということです。

買い物帰りの女中
ジャン・シメオン・シャルダン1739年
washer《洗濯女》
ジャン・シメオン・シャルダン
1733年

 専有部には、「応接間」や「客間」という呼称の部屋と「便所」が2か所あることもあり、当時の訪問客が多い生活様式が想像されます。また、今や絶滅した「女中部屋」という部屋も存在していました。今だとスタッフルームかメイドルームということですね。

 現在、メイドといえばコスプレの世界で衣装とポリシーだけが生き残っています。
 同じ流れのメイド喫茶、猫カフェ、フクロウカフェなどは、反社組織の経営が多く、感染防止の中でインバウンドが見込めなくなった後は、持続金や協力金を得て猫とフクロウに給与を払っているのでしょうか。
 おうち時間が増えた影響でペットを飼う人が増えましたが、元々ペットショップの経営は反社の経営が非常に多く、ペットを玩具にしか思わない子供(と、そう育った親)は彼らの良きお客様(資金源)です。

Rembrandt_Harmensz.van_Rijn-_-The_Kitchen_Maid厨房女中 レンブラント・ファン・レイン
1651年

ピエール=オーギュスト・ルノワール「洗濯女」(1877-79年)

 今日は、メイド、女中、家政婦、洗濯女、お手伝いさんが登場する絵画を集めてみました。

フェルメール  
牛乳を注ぐ女  1658

 今日、陸上の山縣亮太が100Mで日本新記録を出しました。新型ウィルス感染防止の環境で、努力して結果を出したアスリートの存在は、オリンピック開催の是非にも影響を与えると思います。

 オリンピックは開催前日でも途中でも、中止するのは簡単です。そのため準備は完璧に整えておきべきであって、今、中止ムードが広がるとオリンピック開催というタガが外れて、目標が見えなくなり、どうでもいいやムードが蔓延し、平行してウィルス感染の拡大もダラダラ続くと思います。
松尾好朗

美しい家政婦 1915
モディリアーニ


 
 

 
 
 

悪意なき悪意

 本日(5/23)の相談会の中止はすでにご案内のとおりです。次回をご期待下さい。

 さて、Xマンションでの出来事です。
 居住者のAさんは共用エントランス付近でこのマンションの専有部らしき鍵を拾ったので、管理室に届けました。
 管理員は鍵の落とし物が届けられていることのお知らせを掲示したところ、Bさんが名のり出て、鍵は無事に持ち主へ返すことができました。
 少し昔なら、鍵を落としたBさんがAさんにお礼を言ってハッピーエンドが自然な流れでしょうが、Aさんは管理室に届けたときには自分が拾ったことを落とした人には言わないで欲しい、そしてその人が誰かは自分にも知らせないで欲しいとのことでした。

John_Everett_Millais_(Ophelia)
ジョン・エヴァレット・ミレイ
(オフィーリア)1851-52

 これは、もしBさんが悪意で部屋に泥棒が入ったと話を作れば、Aさんは短時間であってもBさんの部屋の鍵を持っていたため、合鍵を作り部屋に侵入できたとAさんが疑われることになります。
 管理員も同じ立場なんですけどね。
 煩わしいので他の居住者とは関わりたくない、知らないで済ませたいというのは、特に都会型のマンションで生まれる行動かもしれません。

 その話をBさんが聞けば気分は良くないでしょうね。
 群衆の中で人が倒れていても、自分ではなく誰かがやるから関わりたくない、人の流れに逆らってまで助け起こすのは大きなストレスがあるので見なかったことにしたい。この心理に似ているところがあります。

アレクサンドル・カバネル《オフィーリア》1884年

レオポルド・バルト《オフィーリア》1852年
プーシェの息子の作品です。

 マンション内のトラブル防止は「普段のコミュニケーションです。」と専門家の先生は言われますが、適度な敵を作ってしまうのも人の本能であるようです。
 コミュニケーションがされていても他人同士では表面的、儀礼的なものであり、まったく考え方が違ったり、お金が絡むと解決が難しくなるのが現実です。
 ただ、相手の顔が見えないときや情報がないときは、疑心暗鬼にとらわれ相手が大きく見えたり悪い断片をつなげて悪魔に仕立てがちですので、一定のコミュニケーションは情報整理のためには必要なことは間違いありません。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作
(オフィーリア)1889年

ドラクロア(オフィーリアの死)1844年

 Aさんが暮らす都市型Xマンションはひと気がなく、隣人が誰か知りません。
 管理会社は区分所有者は把握できていますが、届出のない賃借人やその同居人については情報がありません。
 郵便受けにはほとんど表札(名前の記入)はなく、組合運営は管理会社任せです。

ポール・アルバート・スティック
《オフィーリア》1894年

 同規模の郊外型Yマンションでは、家族構成はもちろんプライバシーが許せる範囲で年齢、職業や子供の学校などの情報を得、管理組合が高齢者に関してのデータも把握しています。
何より地域交流行事や情報交換が活発で、総会でも前向きの提案が多く出されています。工事作業中でも居住者に話しかけられることが多く都会型とは違いを感じます。
 Yマンションのように活発な管理組合のメリットは多いと思いますが、干渉されたくないという人にとっては、人対人の関係によっては住み心地が変化する(簡単に引越しができないので最悪になる)かもしれません。その点では無関心な都市型は気楽ですね。
 活発な組合を何件も担当する管理会社のフロントは忙殺され、体がもたないという裏事情も存在します。(笑)

 マンション建物設備等の基礎データ、統計やランキングも購入のときにマンションを知るのに必要と思いますが、XとYマンションではハード面ではほとんど同じです。
 別枠で、総会の実出席者の数やファミリー割合、自治会や町内会との関り度合い、独居高齢者戸数、近隣の有名店などのソフト面のデータを加えることが可能ならば、更に具体的に見えてきそうです。

 

オディロン・ルドン(オフィーリア)1900-05年
首に見える赤いポピーは、死と眠りを象徴しています。

 中古マンションデータにソフト面の一行が増えることで購入の決め手になることがあるかもしれません。
 購入を考えている部屋の上下左右の居住者情報(いい悪いにかかわらず。)があれば、なおいいですね。
 建物と居住者の高齢化、無関心層の増加の中で、管理組合の活動をどうやって活発に保つかが課題になりそうです。

 本日挿絵にしたのは、英文科卒業という人は必ず原文で読んでいるでしょう、戯曲ハムレットの場面の一つです。
 ジョン・エヴァレット・ミレイ(農民を崇高に描いたジャン=フランソワ・ミレーとは別人)のオフィーリアが有名ですが、同じテーマを多くの画家が描いています。画家の解釈によってその表現の違いを比較して楽しんでください。

 関係ないのですが、リコール名簿偽造事件の逮捕のニュースが連日報じられています。
 似たケースで私の名前が勝手に使われていたことが何度かあります。
 ド田舎で町会名簿丸写しの現場も見たことがありますが、無効が何パーセントなら偽造になるのでしょうね?
 この時代遅れな手段において、愛知県知事の場合だけが騒がれているのが不思議に感じます。 

アーサー・ヒューズ作
1852年(オフィーリア)

おまけ
樹木希林さんの本のカバー
「死ぬときぐらい好きにさせてよ」と笑っています。

 最後に私の好きなアーサー・ヒューズの作品、こちらはオフィーリアが川辺にいて転落する直前の姿です。
 日本では黒船来航の前年(嘉永5年)なのに、現代の日本アニメ的な画風に感じませんか?。
 死の直前という時間と空間には、花言葉を秘めた花や象徴的な色で幻想的に背景を飾りがちですが、荒廃した原野のような背景はオフィーリアの心象風景を伝えたかったのでしょう。
 同じ作品展にミレイのオフィーリアとヒューズのオフィーリアが並んで出展されていましたが、時代は生々しいミレイの絵を有名にしました。
松尾好朗
 

無料相談会2021/5/23中止のお知らせ

 すでに区報にも開催案内が掲載され、ご参加に関してお問い合わせもいただいているところでしたが、ウィルス感染防止のため、2021/5/23相談会の開催は中止させていただきます。
 
 お問い合わせをいただいた方へは、個別にマンション管理士を派遣(無料)し、ご相談を受ける案内をしております。よろしければご利用下さい。
 事務局

découvrir l’endroit du décor : UNE ALCÔVE POUR DORMIR (decouvrirlendroitdudecor.blogspot.com)


 

弱者に強気の臆病者

 ほとんどのマンションでは「共用部分には私物等を置かないこと」という禁止ルールが使用細則などで定められています。
 例えば、共用部分である通路にベービーカーなどを置いていると、災害時には避難の障害となり、何より歩く人の邪魔ですね。美観や見通しも悪くなり、私物を放置しているマンションの資産価値は下がります。
 定期清掃の作業中、(共用廊下に)積んである段ボールが濡れたとか自転車を移動されて壊れたとか、だから弁償しろとクレームを言う居住者がいますが、これは管理規約の禁止行為上での事故ですから理屈が成り立ちません。
 適当に許していると、間違いなく「他の家も置いてるじゃないか」と屁理屈をいいますので、普段から厳しくする意味はここにあります。
 

 万引きしたお菓子がマズかったとお店に文句をいうとか、恐喝をしたら相手に反撃されて暴力を受けたと訴えるようなものです。 

 数年前、共用廊下の床を機械洗浄中に、居住者が歩行中に足を滑らせスーツ(イタリア製?)が濡れたので、弁償しろという事故があり、清掃中の掲示(滑りやすいので足元注意)や前々週から作業予定であることの注意喚起を行っているので、裁判になれば完敗はしないと思いますが、その裁判関係費用との差引を考え、保険にも助けられたので相当額を支払うことを選びました。

竹久夢二 セノオ楽譜「心と花」
1926年大正15年)

 このような弱い立場の人を(弱みを握って)強気で執拗に追い詰める臆病な性格の持ち主(チンピラ)は人間に限らず、告げ口も得意な近隣の国でも見られますね、共通しているのは、自分より強い人や大国にはめっぽう弱いところです。(笑) 

竹久夢二 セノオ楽譜「蘭燈」1921年
(大正10年)

 ルールに厳しい管理組合でも、共用廊下のオキハイ(置配)の段ボール箱が目立つようになったのは、中国武漢で発生した新型ウィルスが日本へも感染拡大した以降、宅配便の利用者が増え、在宅でも配達員との接触を嫌い、飲み物などは玄関わきに置配されたまま必要量だけを取り出し、箱はそのまま放置している状況のためです。
 感染防止を優先、段ボール箱の放置は暗黙のルール無視、楽を覚えた居住者に対してルールを元通りに戻すのは容易ではありませんね。

 マンションの郵便受けにも氏名を表示しない人が多い中、館内には役員の氏名、号室などが掲示されています。
 オキハイされた各戸玄関わきの段ボール箱には受け取り人の氏名、電話番号、勤務先まで明記している人もいます。
 宅急便などプロの配達員は自主基準があり、”李下に冠を正さず”(李下不正冠)の通り館内で疑われそうな行為は絶対に行わないのですが、ウーバーイーツなどのフードデリバリーやアマゾンの配達等で素人の配達員をオートロックのマンションにホイホイ入れていることに疑問を抱かないのでしょうか?
 プライバシー情報がお金になる時代ですから気を付けて欲しいですね。 

川端龍子「草の実」 1931(昭和6)年 

 大田区立龍子記念館において「川端龍子の院展時代」というテーマで作品展が開催されています。
 私はこの「草の実」(1931昭和6年)が以前から好きな絵でしたが、院展時代は1928(昭和3)年までの作品ですので、今回は展示されていません。

龍子記念館の様子(大田区中央4-2-1)

川端龍子「阿吽」1918(大正7)年 

 龍子は西洋画家として渡米しましたが、相手にされず日本画家に転向します。このことが日本画一本の画家とは違って、自由な発想の画風を持つ日本画家として成長します。

 大正ロマンといわれた時代、画家として竹久夢二がいます。数点貼り付けます。

竹久夢二「APL・FOOL」 大正15年(1926)
夫人グラフ表紙

 欧州ではジャポニスムの影響を受けたアールヌーボー(1890-1910 エミール・ガレ、ミュシャ、クリムト、ロートレック、スタンランなど)の平面的で曲線が多い構成から、直線で立体的な構成のアールデコ(1920-1930タマラ・ド・レンピッカなど)に変化して行きます。その流れは、ランヴァン、ココ・シャネル、バカラ、そしてニューヨークの摩天楼のデザインなどに引き継がれていきます。

 中国の男性報道官が、福島原発処理水の海洋放出について自国の仕業には知らんぷりしながら、北斎の版画を揶揄しているイラストを嬉しそうに報道していましたが、中国14億人の報道官がこれでは情けないですね、党が望む仕事では優秀な人でしょうが、「人としてマズいっすよ」です。

 中国は古代の貴重な壁画に、安っぽくケバい色で似ても似つかない「オリジナルの修復」をやらかして平気な国なので、残念ながら一党独裁体制での芸術文化水準は「修復不可能」かもしれません。
松尾好朗



黒船へ届く女流画家からの発信

 

リラ・キャボット・ペリー 
【着物を着る子ども 】 1898

 アリスと呼ばれるこの少女は、敗戦国日本の、重要な制度が窮地に陥った時、彼女の存在が強く影響を与えることになります。
 このアリスを描いたのは、母親のリラ・キャボット・ペリー(米国印象派の女流画家1843-1933)です。
 リラの夫、トーマス・ペリーはベンジャミン・フランクリンを直系に持つ名家で、彼が慶応義塾大学の教授に招かれた(1898・M31年)のを機に、アリスたち一家は3年間を日本で過ごします。
 画家としてのリラが、三人の娘と女中(ツネさん)を連れて郊外に写生に出かけると、いつも見学に大勢が集まっていたそうです。

 外国の女の子たちが遊ぶ様子は華やかで、婦人が油絵を描く姿は珍しかったのでしょう。そして、リラの筆運びは速かったので、見ていても飽きることはなかったと思います。 

 アリスは後に、外交官のジョセフ・クラーク・グルーと結婚、駐日大使(1931・S6年)として赴任、日米開戦までの10年間を再び日本で過ごすことになります。
 夫のグルーが赴任を決めたのは、日本びいきのアリスの勧めがあったことでしょう。
 30年ぶりの日本で、アリスは女中のツネさんと涙の再開をはたしています。
 アリスは日本の皇室もよく理解し、親交を重ねました。 

リラ・キャボット・ペリー「三重奏」1898-01
麻布の家にて・ピアノを弾いているのが3女のアリスです。

リラ・キャボット・ペリー 『The portrait of Mrs. Joseph
Clark Grew (ジョセフ・クラーク・グルー夫人の像)』=結婚したアリスです。1904年セントルイス万博出展

 アリスとグルーは、政界、財界の社交界の中でも樺山愛輔(あいすけ)と親交を深めます。
 愛輔の長女の正子は、アリスの娘エルシーと仲が良く、大使館に終日入り浸っていたようです。
 愛輔の父、樺山資紀は薩摩藩士で幕末の黒船来航などに刺激され、明治期には海軍大臣、海軍大将など歴任します。
 アリスの父親、トーマス・ペリーの大叔父が、その黒船を率いて浦賀に来航(1853年)し鎖国をこじ開け、日本を近代化へと向かわせたマシュー・ペリー提督です。

 愛輔はペリーが来航してちょうど100年後の1953年(S28)に亡くなっています。
 アリスの娘エルシーの親友である正子は白洲次郎と結婚、白洲正子(随筆家)となります。

 白洲次郎は吉田茂に見込まれ、米国との戦後処理の折衝の矢面に立たされますが、凛としてひるまず、格調高いケンブリッジ仕込みの流ちょうな英語でGHQと渡り合い、「従順ならざる唯一の日本人」と米国側に言わしめたことは有名ですね。
 米国では、戦後の日本の天皇制度を廃止する方向で進められていましたが、アリスの夫で元駐日大使のグルーが中心になってそれを一転させ、天皇制度を存続させたのです。

Lilla_Cabot_Perry_-_Japanese-Children

 ここでは、日本の皇室と深い親交を重ねていた妻のアリスの強力な助言、娘エルシーの親友の白洲正子と、夫の白洲次郎がその立場から行動したのは間違いありません。

 

リラ・キャボット・ペリー 【岩渕の運河からの富士山】 1898-1901

 以前、私の設計事務所勤務時代に、樺山愛輔氏の孫にあたる方のホテル開業計画があり、私がインテリアデザインの担当をさせていただきました。
 彼はスマートな紳士そのもので、細かい注文や修正は一切なく、こちら側のミスも笑顔で流していただき、薩摩武士の片鱗を見た気がしました。

 リラの風景画は印象派の技法が見られますが、人物画は表情もコスチュームもあまり省略せず、アカデミー出身のようなところがありますね。

 黒船来航に始まり戦後処理まで、一人の女流画家が発したエネルギーが、時間を超え、その時代を懸命に生きた人々を、時には絡まりながら歴史を繋いだことは事実です。
 そして私のような末端にまで、その発したエネルギーが微かに届いたかのような神秘性までも感じてしまうのです。
松尾

 

 

駅チカのマンションの運命

 Aマンションを含めた駅周辺の市街地再開発が計画されています。
 3~4年後にはマンションを明け渡して建物を解体、そこに新築のタワーマンションに7~8年後に戻ってくる(または他の選択)というスケジュールが進行しています。
 今年度中に都市計画決定、権利変換のモデルが示されると、いよいよ計画の現実味が帯びてきます。
 Aマンションは築40年、耐震改修の検討(前面道路は緊急輸送道路指定外)及び、第3回目の大規模修繕の検討時期ですので、この市街地再開発計画がなければ、独自で大規模修繕計画を練っていた頃だと思います。


ピエール=オーギュスト・ルノワール
ピアノを弾く少女たち(ピアノに寄る娘たち)1892年

オルセー美術館
オランジュリー美術館
メトロポリタン美術館

 外部から窺うと、新築マンションに戻って来られること、明け渡し後の仮住まいと引越し等の経費は一定金額まで自己負担がないこと、階数や広さは自由に選択できないもののタワーマンションに居住(を所有)できることなど、良いこと尽くめのように見えてしまいます。
 しかし、当事者たちは準備組合から報告されるスケジュールがすでに遅れがちであること、(戻ってくる場合)7~8年後さらに遅れた場合の自分の年齢や家族の状況、権利変換の結果(部屋の広さ等)の財産価値、希望の広さを求める場合の上積金額、竣工・入居時の経済状況、個人も地域全体も漠とした不安が大きくなりつつあるのも否定できません。

『田舎のダンス』
1883 アリーヌ
『都会のダンス』
1883 シュザンヌ

 私は、Aマンション築年数を考えるとこの計画は大歓迎しています。
 単に建物の補修だけではなく居住性を高めるための設備の導入や、時代に合った資産価値の向上を含め、建物を健全に維持するためには修繕費用が今後さらに必要になります。
 何よりも、築年数を重ねると建替えの検討を始めなければなりません。

 Aマンション単独での建替え、容積率の緩和がない現行法(つまり売却できる増床面積が確保できない。)では事業にならず、敷地の売却費用を建物の解体費に充て終了となってしまいます。
 自主管理のAマンションはマンション管理士(私)がアドバイザーの立場で管理組合をお手伝いさせていただいてます。
 この市街地再開発計画の続報を期待してください。

ルノワール【ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル】 
ルノワール【ピアノを弾く二人の少女】ネブラスカジェスリン美術館
ルノワール『カテュール・マンデスの娘たち』

 文章の途中にピエール・オーギュスト・ルノワール Pierre-Augustê Renoir(1841-1919)の絵を貼り付けています。
 印象派の大御所ですが、画家としての不遇な時代も長く、普仏戦争にも召集されています。  
 1892年ピアノ3作は晩年の彼の最も充実した時代の作品です。

 オルセー美術館の1点は、政府御買上作品になっていますが、緑系のバック(カーテン)に補色の赤(オレンジ)のドレスの少女を立たせ、その手前の色はもう白(ドレス)しかありませんが、締めるためにウエストに青いベルトを巻いています。ベルトの対角に青の花瓶もしっかり描き、顔色の良い健康的で跳ねるような子供を2人配置し、豊かな上流社会の風景を描いています。貧しくても、ひととき辛いことを忘れてしまいそうな絵に仕上がっています。
 3作の他にもピアノを描いた作品を残しています。労働階級に生まれた彼が、当時上流社会の象徴であったピアノに強く固執していたのかもしれないですね。

 最後にモーリス・ユトリロの作品を1枚貼り付けます。

モーリス・ユトリロ《サン・リュスティック通り、モンマルトル、雪》1940年

 パリをよく知っている人はおなじみで嬉しくなる風景ですね、モンマルトル界隈の画家が地方出身が多い中、ユトリロは生粋のパリっ子です。アル中療養のために始めた油絵ですが、哀愁を感じるパリらしい風景を多く残しています。

 上のダンス2部作の内、「田舎のダンス」の女性アリーヌさんは、後にルノワールの奥さんになる女性で、ふっくら健康的でルノワールの好みだったのでしょう。
 「都会のダンス」の女性シュザンヌさんはルノワールの元カノで、このモンマルトルの街を描いたユトリロの母親です。 

 シュザンヌさんは女流画家であり、奔放な女性でルノワールの他にもロートレックやドガのモデルをしていた上に交際もしていましたので、ユトリロの父親が誰なのか分かりません。
 シュザンヌさんは、ようやく息子のユトリロが画家として成功し、その稼いだお金を若い男に貢いで逃げられています。
 恋多き女性ですね。
松尾好朗
 
 
 
 
 
 
 



排水桝の水、ぜんぶ抜く

 国道に面したAマンション、歩道との境界には雨水を集める排水溝がありグレーチング(格子)で塞がれています。流れ込んだ雨水は排水桝に溜まり、排水本管へ合流します。
 排水桝の蓋を開けてみたところ、国道を行き来する車の排気ガスの煤煙(スス)のせいか堆積したヘドロの色は真っ黒です。

 昔の話、朝早くから住民総出の「ドブさらい」がちょっとしたイベントでした。ザリガニや水生昆虫のタイコウチがいたことをあのドブ臭さと共に思い出されます。さらった泥は肥料に使っていました。
 近くのドブ川ではこれを職業にしている人がいてガタロと呼んでいました。漢字だと「河太郎・潟郎」でしょうか?

ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー
「鍛冶屋の店先」1807年

 昨年、目黒川に浮かぶ花筏(桜の花びら)を河口で回収する船を見かけたのを思い出しました。東京都建設局河川から「目黒川水面等清掃委託」されている民間業者ですが、少し雅なガタロに見えました。(笑)

「カルタゴを建設するディド」 1815
ウィリアム・ターナー
『霜の朝』 1813年 ィリアムターナー

 さて、そのマンション排水桝のヘドロをさらってみると、上層には驚く量のタバコのフィルター部分(プラスチック=セルロースアセテート)が、その下のヘドロの層には意外にも人の髪の毛が目立ちました。
 そのほか、わざわざグレーチング(蓋)を開けて捨てたのか、コンビニ弁当容器、ストロー、コーヒーカップやペットボトルの蓋、レジ袋のようなものが見つかりました。
 枯葉が多いだろうと思っていましたがほとんど形をとどめていません。

 小金属と毛髪以外の、形状をとどめている物の全てがプラスチック類でした。
 分解するのが遅いプラスチックごみの深刻さを見せつけられた気がします。
 
 AIロボットが作成したデジタルアート作品が7,500万円と、高額落札されたというニュースが流れていました。
 これは、7,500万円の値が付いたという実績作りのため、「購入者未発表」様が超高額で落札しましたよと、マスコミに話題を提供しておくだけで、騒いで世界中に宣伝してくれるので、第2作目からは1作目と近い落札額が期待できるという画商が用いる古典的な素人相手の手法です。

1835-40 ノラム城 日の出
ウィリアム・ターナー
Approach to Venice 1843
ウィリアム・ターナー 
   

 それでも、価値があると認めた人が個人で購入するのは自由ですが、日本の美術館等は、海外の画商にとってはありがたいお客様で、実際、駄作を買わされたなと思えることが地方の美術館などで見かけます。しかし、地方美術館が様々な苦労を経て、購入するまでの経緯を評価に入れるならそれもありですね。 
 しかし、マスコミが騒ぐような怪しい話には乗せられないようにして欲しいものです。

 仏伊西蘭に比べ有名画家が少ないのが英独です。
 本日は、イギリスのロマン主義のジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)の水彩・油彩画を貼り付けました。
 彼は伝統的な手法で風景画を描いていましたが、晩年は異常なほど色と光にこだわり、形は抽象的(というか正体不明)なものに変化し、色と形の調和という基本から大きく脱した画風が「ターナーみたい」という代名詞にもなり、名を残しました。現在もイギリス国民から愛されています。
 日本のポスターカラーといえば、ターナー色彩株式会社の製品が長くトップシェアを誇ります。
 ターナーの画法は色を塗った後の擦り掠りが多いので、印刷で見るより立体的です。デジタルアートからは、遠いところに位置する絵画です。 
松尾

 


笛吹けど、踊らず。

 街は桜色、汗ばむほどの陽気なのにセミナー会場の後ろから見渡すと、冬色をまとったオジサンたちの後頭部ばかりが目立ちます。
 2021年3月24日(水)マンション管理センター主催の特別セミナーが開催されました。
 世間ではジェンダーについて話題しきりですが、このセミナー一つをとっても女性の参加が極端に少なく、こんなところにもリアル日本とのギャップが見てとれますね。
 ジェンダーギャップ指数ランキング(WEF)が156ヵ国中、日本は120位ということですが、大田区人口の半分にも満たないような国々と日本を比較してマスコミが騒ぐ意味があるのでしょうか、イスラムやヒンドゥー教の国々は下位に追いやられていますが、私こそ正しいという欧米の物差しでしか測れないことがすでに差別だということを早く気付いて欲しいと思います。

 「改正民法及びマンションの管理の適正化の推進に関する法律の一部を改正する法律の概要と管理組合運営への影響等についての解説セミナー」

1864年《白のシンフォニー№2 白衣の少女》 James Abbott McNeill Whistler ホイッスラー

 
 改正民法について、私は仕事で話を合わせる程度でよいと思っていますが、相続発生時の配偶者居住権は、具体例を知りたいと思います。
 適正化法の改正について、マンション管理計画認定制度の基準(案)の中、「計画期間30年以上、かつ残存期間内に2回以上の大規模修繕工事を含む長期修繕計画に基づき修繕積立金の額が設定されていること」と記載されています。
 建物の劣化周期はその使用材料、環境・立地条件、建物規模などによって大きく変わってきますので、何をもって大規模修繕工事という括りなのか、まだ不明確なところがあると思います。
 

 管理組合によっては建物診断結果をよく検討し、新しい設備方式やIT化の導入などを含め、改修すべき箇所を明確にして、中小規模な工事を高い頻度で実施している成功例もあります。

 
 これまでもマンションに関わる総合調査や制度(東京都優良マンション登録表示制度管理状況届出制度マンションみらいネット)などがありました。
 このマンション管理計画認定制度が、認定条件をクリアするためのハードルが少し高いところもあり、直接マンションの理事長に送られた場合には、目的やメリットがよく伝わらなければ記入も面倒なので、「またなんか来てるけどウチはこういうのは結構ですんで・・。」となってしまう恐れがあります。

John Singer Sargent – Morning Walk『朝の散歩』(1888年)ジョン・シンガー・サージェント

 以前、「東京都優良マンション登録表示制度」に登録したマンションが大手管理会社3社が管理する物件ばかりに集中し、登録も増えずに更新もされないという現状があります。
 新しい制度がこれの二の舞にならないようにしなければ、また役人の天下り先を作っただけといわれかねませんね。

 行政が笛を吹いて、大手管理会社がお付き合で踊ってくれた数字を実績にするのでは意味がなく、管理不全マンション予備軍のようなところが届け出るように努力するのが本来の目的だと思います。
 この制度のマンション管理士の役割は大きいと思います。

《白のシンフォニー No.3》 James Abbott McNeill Whistler ホイッスラー

1887John Singer Sargent Carnation, Lily, Lily, Rose『カーネーション、リリー、リリー、ローズ』
ジョン・シンガー・サージェント

 挿絵の作者は、ホイッスラーとサージェントの二人、共にジャポニスムの影響を強く受けた画家で印象派、写実主義、唯美主義、耽美主義と呼ばれますが、その枠に収まらない表現も多く、独特の構図や視点にも東洋美術の影響が見られます。
 美しいものを美しく描き、心地よい印象を残しました。
 エンヤの「On My Way Home」のMVにはこの提灯の絵の実写版のようなシーンが見られます。
 女性たちの白い衣装、ホイッスラーは白の背景に白のドレスという絵画において禁断の手法を試みました。
 二人の様々な試みも、卓抜したデッサン力と質感表現により魅力あるものになっているのだと思います。
松尾
 
 
 



「チラシお断り」は通用するのか?

 住宅街に建つ中規模のAマンションの話です。エントランス集合郵便受けの脇には、「チラシ投函厳禁、見つけ次第警察に通報します。」というパネルがデカデカと掲示され、美観を損ねていて残念です。
 このパネルの通りに「あのぅ、マンションでチラシを投函している人がいるんですけど・・」と110番通報したところで、チラシ投函は犯罪ではありませんので、不法侵入でもしない限り警察は相手にしないでしょう。

 管理組合がチラシ投函禁止というなら、それはマンション内だけに通じるローカルルールなので、警察ではなく組合の誰かが四六時中見張ってないといけないことですね。
 管理規約や使用細則で定めることができるのは、共用部分の管理と使用の範囲なので、もしチラシ禁止ルールを総会で決議しても無効になるどころか、居住者からは(印刷物などで)情報を受ける権利を管理組合が阻害したので、損害賠償請求するとでも言われかねません。

スタンラン ≪ Chocolat de la Compagnie Francaise ≫ 1896-1900
アレクサンドル・スタンラン Alexandre Steinlen [ヴァンジャンヌ殺菌牛乳]

 高齢の居住者が「チラシは迷惑だから入れさせるな」と管理員へ文句を言うことがよくありますが、それは多くのチラシが自分にとっては不要な内容(例えば、エステやネイル、フィットネスやスポーツジム、ピザやフードデリバリーのメニュー、不動産や英会話など)であるのが腹立たしく、自分が理解できない不満や疎外感、面白くない感情を立場が下の管理員へぶつけているだけでしょう。

 その人に関係がある内容(例えば、クリーニング店のクーポンや最寄りスーパーの特売、趣味サークルや知人の短歌の掲載誌、知人の選挙ビラ、広告ティッシュなど)であれば受け取っていると思います。チラシのすべてが迷惑で要らない訳でなく、ただのわがままでしょう。
 管理員が不在の時間帯のチラシ投函は防ぐことはできません。区報は配付しても、チラシがダメなら同封されるチラシ(商店街がスポンサー)を区報の束から抜き取るというのはありえませんね。

 新聞を購読してない家庭にも、購読者と同じチラシの束が入りますが、もしこれも禁止するなら、この社会で通常に情報を受けることができる人の権利を無視することになるでしょう。なお、束になっているチラシはポスティング業者が数件分まとめたものをリスト通りに投函していますので、あて先名と包装がないだけで郵便や宅配と変わりません。
 つまり、チラシ投函禁止ルールは個人の問題であり、管理組合が禁止することは合法になり得ないと思います。
 インターネット環境が身近ではない人(または遠ざけている人)にとっては、活字や写真(印刷物)の媒体が見やすく便利で安心な場合もあるでしょう。そこまで奪う権限は組合にはありません。

≪La Chat noir ≫1896 スタンラン『ルドルフ・サリスの「ル・シャ・ノワール」の巡業)』 

スタンラン ≪ Motocycles Comiot ≫ 1896-1900

 マンション管理会社ではチラシ厳禁を掲げながら、自社や協力会社の専有部分のリフォーム、ハウスクリーニング、不動産仲介、個別保険、給湯器など多くの案内広告をしれっと管理員に投函させているところが笑えます。

 その昔、郵便受けに毎日のように入っていたピンクビラに悩まされた経験のある世代は、「チラシやビラ」=「教育上イケナイもの」という公式が頭のどこかにあって、自分に関係のないものには排除癖があるようですね。

 不要チラシ対策は、投函元の会社に「着払いで送り返す。」という脅し文句を投函口に掲示するというアイデアが以前に紹介されていましたが、実行するには送り主個人の名前と電話番号をさらすリスクがあります。
 管理員へ送付を依頼された場合は「個人名でどうぞ」とはっきり断りましょう。
 唯一、個別の投函口に「チラシ不要」などと意思表示しておけば、トラブルになった場合の対抗策にはなります。
 ただし、集合郵便受けが見た目雑然としてしまい美しいものではありません。

 本日、挿絵に使わせていただいたのは、商業絵画の代表格でモンマルトルを根城にして活躍したスタンランのポスターです。猫好きです。
 パリが好きな人はおなじみのポスターですね、可愛さがあるこれらのほかに名前を隠して政治風刺画や労働者層をテーマにしたものも多く描いています。
 パリの下層民の哀愁、哀歌を感じさせるものです。
松尾


例会報告、無料相談会のお知らせ

 3月7日(日)14:00~定例会が開催され、その時に無料相談会の開催について確認が行われました。

日時:2021年5月23日(日) 14:00~16:00
場所:エセナおおた
内容:「マンション管理全般について」


 ウィルス感染防止対策のため、会場の収容定員が制限されています。そのため、個別の無料相談は、随時行っていますのでご利用ください。
 事務局(松尾)090-4382-6917またはこのホームページの「お問い合わせ」をご利用ください。
事務局

 ご存じ、「バルセロナチェアー」です。
Ludwig Mies van der Rohe  ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(独)が1929年にバルセロナ博覧会のドイツ館の設計をした時のデザインです。
 現在のクオリティーまで改良されたのは少し後になります。
 機能性、合理性を追求したモダニズムという言葉にピッタリなデザインですね。
松尾



子供椅子からの卒業

 このマンションで生まれたAさんの息子は元気に育ち、これまで5年間毎日使い続けて、ちょっと窮屈になった子供椅子にお別れをすることにしました。成長に合わせて座面の高さを調整できる子供椅子です。
 区の粗大ごみ受付センターの手続きも終え、マンション内の指定場所に置いたところ、管理室へ「あの子供用の椅子をいただきたいのですが」と子供を抱いたBさんから依頼があり、Aさんに了解いただきリユースが成立、その椅子はめでたく2番目の主人を持てることになりました。

劒山の朝1926(大正15)年
エルキャピタン1925(大正14)年
ジュマ マシッド1931(昭和6)年

 5年間使用してシートが古くなっているものの、木部は良品です。
 Aさんは、子供の成長を支えてくれた椅子だからと、ピカピカに磨いてから出されたことで、Bさんは、これなら大丈夫と椅子から何か感じたものがあったのだと思います。
 家具であってもゴミとして捨てたことで所有権はなくなりますが、粗大ごみシールが貼ってあれば管理下にあると解釈できるので、勝手に持ち去るのは犯罪でしょう。
 黙って持ち去る人や、区の回収より早く回収する業者(売れそうなモノだけ)が多い中で、ちょっといい話だったので書き留めました。
 AさんBさん共に若いママです。捨ててしまうモノでも感謝を込めて見送ることが出来るAさんの澄んだ心、そのモノの価値を見極めて受け入れられるBさんの感性を見習いたいですね。

 本日紹介したいのは吉田博(1876-1950)という人の版画です。没後70年の展覧会を観に行ってきました。(東京都美術館:2021/3/28迄)
 西洋画家、版画家ですが、次男を穂高と命名するほど山が好きで、登山家でもあります。山岳画家と呼ばれる彼の構図は、おきまりの山の構図とは大きく異なります。

亀戸 1927(昭和2)年
神楽坂通り 夜の雨後1929(昭和4)年

 その昔、テントだけでも重かったでしょうが、その上画材も持ち歩いています。このような姿で登っていたようです。そんな彼が自ら体得した者にしか分からない自然観と版画とは思えない繊細な描写は、誰も真似ができない境地に達しています。
 同時代の黒田清輝ら官費でのフランス留学組(油絵・洋画)に対抗して、自費でアメリカへ渡っています。そこでは粗悪で下品な日本の浮世絵が流通していました。
 その経験から彼は後半生、日本の版画の質を向上することに全力を注ぎます。


 彼が他の画家・版画家と違うところは卓越した技量はもちろんですが、海外の人々が想像、そして期待する日本らしさ、いわゆる外国人受けする題材を決して質を落とさずに大量に摺って、商売として版画の販売をやってのけているところです。
 また、四季の移ろい、一日の時間変化、お天気模様を同じ版木を使って色や版木の枚数の変化で表現することに抵抗がありませんでした。これは、同じものを一定枚数摺ったら版木を燃やす場合がありますので、邪道といわれることがあります。
 桜と五重塔に和服の娘、富士山と松など、期待通りの日本らしさで買って帰りたくなるような上質な版画を摺り、その資金で多くの貧乏画家に活力を与え、戦後の芸術復興に尽くしました。 

 ダイアナ妃の執務室の壁には2枚、吉田博の版画が存在感を示していました。
 作品のコレクターには、フロイト、マッカーサー元帥、ノラジョーンズがいます。

猿沢池
光る海

 吉田博、伊藤若冲等、日本のアカデミックな視点から外れ、主流から認められなかったアーチストが、海外に認められてから逆輸入され、注目されるところが美術界に限らず日本的です。
松尾

わきまえる賃借人?

ポール・デルボー「駅と森」
1960年 Paul Delvaux

 マンションの区分所有者がその専有部分を管理規約・使用細則に定められた用途の範囲で使用する限り、本人が居住しても他人に貸しても本人の自由であり、立場の優劣も発生しません。
 マンションの共用部分の駐車場使用細則において、その専用使用権に優先順位を定めていることがあります。
 

 Aマンションでは駐車場に空きが出た場合、次の順序になることが駐車場使用細則に定められています。
   1.居住する区分所有者及び同居人で1台目の契約の場合
   2.居住する区分所有者及び同居人で2台目の契約の場合
   3.区分所有者から部屋を賃借等をした者及び同居人
 というように、「駐車場に空きが出ました。」というアナウンスがあっても、2台目の希望者よりも後の順位では、賃借人が駐車場を使用できることはあまり望めません。
 但し、賃借人どころかマンション外に募集しても、まだ空きが埋まらないマンションもありますので、立地、環境、地域特性等で違いがあるようです。
 管理会社が管理を徹底できていないマンション駐車場では、居住していない区分所有者が賃借人を「同居人です。」と偽って申込み、「駐車場付き」という有利な条件で賃貸募集していることが以前にありました。しかも賃貸付けしたのがその管理会社の賃貸部門だったりするとほぼ詐欺ですね。(笑)

 居住、非居住の区分所有者は、権利が平等であることから、非居住の区分所有者が優先順序で差別を受ける根拠は全く見当たりません。
 優先順位を付ける議案を総会で決議することは有効でも、公序良俗に違反するということでしょうか、ましてや賃借人へは駐車場使用料を割り増しする差別はあってはなりません。

ポール・デルボー「聖夜」
1956年 Paul Delvaux

 「賃借人はルールを守らないし、駐車場使用料を滞納して夜逃げ(古っ)するので使わさない方がいい」と言われることがありますが、これは無意識の偏見であり、区分所有者に対しても同じことが当てはまります。

 マンション内の駐車場抽選から外れた車を所有する居住者は、一般的には近隣の駐車場を借りる(組合が借り上げることもあります。)ことになります。管理組合はきるだけ費用負担の公平を保つために近隣駐車場賃料相場を頻繁に確認して、マンション駐車場の使用料(賃貸料)へ反映しなくてはなりません。
 例えば、近隣の駐車場が露天にあり、マンションの駐車場は屋根付きであれば、近隣のそれよりマンションの使用料の方を高く設定しなければ公平性は保たれません。雨の中、傘をさして水溜りをまたいで車に辿り着く駐車場の使用料の方が、マンションのそれより高い場合は、抽選に外れた以上に不満や不信感を増すことになるでしょう。

 公平性の原則から駐車場区画の抽選会を毎年開催することがあります。しかし、車両台数が多い場合や、車両サイズ、機械式駐車場の高さ制限の確認、車両移動日の不在者連絡、不参加者の確認作業等、大変な作業であり何らかのトラブルも起きることもあります。
 例えばハイルーフは機械式駐車場のどの段にも入らないことがあるため、平置きを希望している人がいても、ハイルーフの所有者が優先されて平置きを取られ不満を残します。また広くスペースが必要な身障者用駐車場の使用者が、その本来の目的で使用せずに独占使用しているというケースもあります。

ポール・デルボー
「small square station」
1963 Paul Delvaux

 そして機械式駐車場の場合は、年間のメンテナンス費用は軽微であっても、数十年後のリニューアル費用に必要な工事費は、規模にもよりますが駐車場使用料の収入だけでは桁違いに不足します。
 駐車場に何ら恩恵を受けていない区分所有者も負担する工事費を、赤字事業のリニューアルのために取り崩すには賛同を得にくいことが考えられます。

 機械式駐車場に空きが目立ち始めたら、一部又は全部を平置き駐車場に変更した場合のシミュレーションを描いて検討することをお薦めします。

 相変わらず、切取り発言で印象操作を行い得意がっている日本のマスコミですが、刺激的な言葉尻だけをわざわざ海外メディアへ喧伝し、その目立つリアクションを切取り、海外ではみーんなこう言っているぞ、世界中で笑いものになっているぞという両方共3流メディアのやり取り報道を何度も見せられるのは迷惑ですね。
 世界196ヵ国77億人の中で何%が日本のことを少しでも知っているのか、その中でも地球のどこにあるのか区別などできる人はほとんどいません。
 ましてJOC人事のドタバタ等は、夏のオリンピック開催経験国17ヵ国に絞ってみても、どうでもよいのが今の世界でしょう。
 最近、午前や昼過ぎのワイドショーを見る機会がありました。この時間帯のTVは誰が見てるんだろうと思ってしまいますが、魅力のある番組を作って欲しいものです。

 シュールレアリスムの画家、ベルギーのポール・デルボーを紹介します。1897-1994
 生涯愛し続けた女性タムを多く描いているのが有名ですが、上の3点は駅舎の夜景が描かれていることでわかるように、この人は鉄道オタクでもありました。
 裕福な家庭ですが厳格な父、溺愛と束縛の母の環境の中で育てられ、彼は内部にあるイメージを日常から切り離し、非日常へと転化して描き続けました。幻想的でも基礎力があり空気が澄んでいる印象を受けます。
 以前、府中の美術館でデルボー展が開催され、どの絵からも感じたのがクールな「静寂」でした。
 彼は死を迎える前の数年間は、殆ど目が見えなくなりましたが、それでも愛するタムを描き続けました。 
松尾

Paul delvaux





ある財閥系管理会社の錬金術

 100戸を超えるマンションに暮らすAさんは、数年前に理事長に推され、何もわからないうちに1年が過ぎ、次の理事長へ引継ぎを終えました。Aさんは、ある大手財閥系グループが分譲したマンションの組合員(区分所有者)です。
 その後、マンション管理についての知識を少しずつ増やすうちに、管理費(委託費)が近隣の同じような規模のマンションに比べて高額で、修繕工事の規模や内容に関わらず、すべてを管理会社が実施していることに疑問を抱きました。
 理事会は管理会社の工事見積もりと他社の工事見積とを比較している様子はありません。管理会社へいくつかの質問をしましたが、理事会を通して下さいとのことで回答はありません。

Gustave Franciscus (Gustaaf) De Smet、”Het goede huis” (1926)

 築10年に満たないにも関わらず、管理会社は補修工事の原因や目的の説明も不十分なまま次々と工事を実施、このペースで工事支出が続くと、修繕積立金の大幅な値上げか、大規模修繕工事の時には各戸へ一時負担金が発生するのではないかという危機感から、Aさんは次期の理事長に立候補しようと考えました。
 長期修繕計画は、存在があっても修正が必要なので、すでに何の役に立っていません。

 しかし総会では役員選任の議案の前に「役員を経験した者は、その翌年から5年の間は役員にはなることができない。」というおかしな使用細則が提案され決議されてしまいました。Aさんを立候補させないために管理会社が主導して、現在の理事会に「特定の組合員の独裁を防ぎ、多くの組合員に役員を経験していただくため・・」ともっともらしい理由を付けて急ぎ議案化したものです。
 その上、管理委託費の値上まで決議されてしまいました。

 区分所有法では組合員総数、議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得ることができれば臨時総会を招集できます。
 しかし管理に関して疑問を抱いた少数の組合員が手を挙げても、ここではグループ系列の組合員の票数、その系列の理事長が持つ委任状を合わせると、どのような議案でも系列の思うがままに押し切られてしまいます。
 やり方を間違えるとAさんを色々文句をいってる「変な人」扱いされてマンションの中で孤立してしまうこともあります。強引に進めると居住者間を分断することになり、Aさんはそれは望まないところです。

Gustave Franciscus (Gustaaf) De Smet、芸術家と妻 (1927)

 マンション販売時には売れ残りを出さないためそのグループ系列の販売会社は、同系列の会社や社員、下請け会社に割引価格で販売協力(購入)させ、そして購入者へは住宅手当等(実際は管理費相当額)が支給されますが、その手当の原資は系列会社以外の一般組合員が支払う相場より高い管理費から間接的に調達しているという構図になっています。
 また系列の賃貸不動産会社にまとめて協力を請い(買い取らせ)、賃貸や系列の社宅等に使われていることで、議決権数(票数)を増やしていることもあります。
 理事長が系列の組合員(区分所有者)の場合は、同じく系列のマンション管理会社は安泰で、修繕積立金は使い放題、値上げ決議も賛成多数(理事長への委任状)で乗り切り、管理組合を支配できます。

Gustave Franciscus (Gustaaf) De Smet

 すべてではありませんが、このように大手財閥グループ系列のマンションを購入すると、未来永劫しっかり財務コントロールされてしまいます。
 大手というブランドで安心を買ったと思う人は、それで居心地よく暮らせるので反対はしません。

 財閥はますます太り続け強固に城を固め、一般組合員は財閥に貢ぎ続けてやせ衰え、手を挙げる元気もなくなるというお江戸の頃から続く財閥の錬金術です。

 ベルギーのスメットの絵画を挿絵にしました。表現主義の画家です。
 絵画が思想、哲学、宗教、権力者の伝達手段の要素を引きずったまま、絵画の法則に縛られていた時代から脱し、人間の内面を表現しようとしました。
 表現主義の代表的な画家は、Edvard Munch(1863-1944)あの「叫び」のムンクの他、ルオーやクレー、モディリアーニがいます。
松尾

大田区マンション管理士会 第18期定期総会

 令和3(2021)年2月14日(日曜日)14:00~16:00、エセナ大田(第一学習室)に於いて標記が開催され、第17期事業報告・収支報告、第18期事業計画・収支予算案が承認されました。

Hans.Wegner(ハンス・ウェグナー)
ロッキングチェアー

大田区マンション管理士会
今後の活動計画
● 2021年3月7日(日)
 14:00~
 定例会開催(エセナおおた)

● 2021年5月23日(日)
 14:00~
 無料相談会開催予定
 (エセナおおた)

 ご予定いただきますようお願い致します。
事務局

資産価値下落の補償は誰が?

 昨年(2020年)の2月5日、逗子市池子に建つマンションの斜面が崩れ、下を歩いていた18歳の女子高生が土砂に埋もれ死亡する事故が起きました。
 これからの人生を絶たれてしまった本人も、18歳まで育て上げたご両親の悲しさ口惜しさ計り知れません。
 遺族は崩落した斜面の土地を所有しているマンションの各区分所有者(管理組合)と、安全管理を怠ったのが事故の原因としてマンションの管理会社へ業務上過失致死で刑事告訴、1億1800万円の損害賠償を請求しました。
 管理会社との委託契約の中で、管理対象範囲に斜面(擁壁)の管理が明記されているのか等の判断材料があるでしょうが、斜面が崩落する前日に管理員が斜面にヒビ割れがあることを管理会社へ報告していることから、その時点で緊急対応も追いつかない突然の事故だったと推測できます。

 遺族は管理組合の管理者(理事長)を相手に訴えることになります。管理者は委託している管理会社へ責任を問う順序になるので、報道されているように遺族は管理組合が契約している管理会社を相手に直接の告訴ができるのか、また竣工(2004年)後の2011年に土砂災害警戒区域に指定されましたが、管理組合と管理会社は後の指定による責任を問われるのか、今後の展開を追うしかありません。

ジーノ・セヴェリーニ(伊)1883-1966

 管理会社の善管注意義務の対象になるのか=崩落を予見できたか=どのような判断になるのかも注目したいと思います。

 業界の現実は、管理会社が巡回点検を委託されている場合でも、多くても月1回、限られた時間と予算の中で電気、給排水衛生設備等の点検確認に時間を費やすため、敷地をじっくり見て回ることはまずありません。まして巡回点検員や管理員は土木、地質造成等の専門家ではありませんのでどこまで責任を問えるのか疑問があります。
 現場はグーグルマップの写真で見ることができますが、「よくこんなところに建てたね。」といわれそうな立地です。神奈川県にはよくある立地の物件です。

ジーノ・セヴェリーニ(伊)1883−1966

 報道記事には市が行った応急の仮復旧の費用を管理組合が分割で支払うとありましたので保険会社とは交渉中なのか、そして遺族からの損害賠償は戸当たり300万円を超える金額になりますので、これも判決の行方を見守りたいと思います。
 これだけでは済みません。資産価値を回復させるための斜面(擁壁)の本復旧は保険対象外のため管理組合(各区分所有者)の費用から捻出しなければなりません。そのための工事には相当の各戸負担金が予測されるので、今マンション売却を望んでも価格が付かない(買手が付かない)状態になります。

 人一人亡くなっていますので賠償責任は免れません。借入をして本復旧が終了しても資産価値は当面の間、望み通りには戻らないでしょう。
 賠償責任の上、多くの人は資産価値が下落した自宅のローンも払い続けないとなりません。崖地に起きた災害と災難です。

 台風19号(2020.10)で水害が起きた武蔵小杉のタワーマンションについて地域的に資産価値が一時期大きく変動しました。これは自然災害ですが、2019.2.9のブラタモリという番組で武蔵小杉のタワーマンションが紹介され、その道路の下には河川(暗渠)が通っていると説明があったのをすぐに思い出しました。
 武蔵小杉の近隣でも高津、梶ヶ谷、溝の口、向河原等、窪、沢、沼、池等のサンズイや谷がついている地名は特にハザードマップやその昔の地図、標高等を確認しなくてはなりませんね。
 マンション購入時にはその価格はもちろん、仕事場へのアクセスや買い物、子供の教育環境からキッチンの使い勝手まで様々なことを考えてしましますが、立地は重きを置くべきであることをこの事故が起きて痛感させられました。

 建物構造にたとえ素人であっても、街の中でこのマンション大丈夫か?と見えた(感じた)建物は大丈夫ではありません。法的にはクリアできていても、大丈夫かなと不安(ストレス)を抱えながら住み続けることはできませんね。

 最近のこと、83歳の森会長の発言の一部をとらえてマスコミを中心に女性蔑視だと非難しています。もちろん正しいとは思いませんが、この年代に生まれた人達とは価値観も大きく違うのではないか、よってたかって自分こそ絶対正義だと非難する傾向こそ危なく、得るものはないと感じます。
 そんな低俗な風潮は誰も望まないでしょう。国会議員も含め最低限度の礼節は守ってほしいと感じています。
 気に入らないから辞任させて謝罪させて勝ち誇っているアホの顔ほど安っぽく醜いものはないと言いたいところです。
 海外の女性が、追い詰めてやるとまで発言していますが、一時的、感情的な発言はお互い様であり森会長と似てしまっています。
 子供のケンカのようですね。
 みなさん武漢ウィルスでイライラしているのかな。
松尾

アンコンシャス・バイアス

 中規模の築浅Aマンションは、デザイナーズマンションと呼ばれて分譲販売されていました。共用部分の内装は自然石や木調の設えでエントランスロビーは清掃が行き届き、ゆったりしたホテルのような高級イメージを持つマンションです。

 竣工以来、日常清掃は管理員のBさんが一人で続けていますが、冬の寒い日、雑巾を握るBさんの手は赤くはれていました。
 ここには雑巾一枚洗うのもモップや作業着を洗うのもゴミ置場にシンクが一つあるだけで、洗濯機も給湯設備もありません。
 この規模のマンションを清掃するのには毎日どのくらいの雑巾等を洗うのか、冬場に冷水と湯とではどちらが短時間で効率の良い清掃作業ができるのか素人でもわかりそうなものですが、インフラの費用が削られ整備されていないマンションは後々大きくランニングコストに跳ね返ってきます。

 ゴミ置場の開口部は搬入出に支障がないように親子扉で広く取り、2方向の開口部で自然換気により湿気や臭いを防ぐことは常識ですが、Aマンションには開口部が鉄扉一枚だけで風は通りません。

水耕栽培の「春の花ミックス」花はこれから咲く予定
水耕栽培「水中の根」

文章と関係がありませんが、私のデスクの上の水槽です。先住民のカラフルなエビと、どんどん場所を占める根っこが共存しています。

 夏になるとゴミ置場にこもった熱気と臭気で、利用者は奥に設けた分別場所へ進まずにゴミを入り口付近に投げ入れ、次の人も手前の床に放置して扉も開けることができない悪循環が起き、清掃作業も増加している状態です。
 その扉の幅は取っ手分を除いても有効72㎝しかなく台車(本体60㎝幅)が枠に当たりながらやっと通る幅なので、資源・リサイクル(ペットボトルやアルミ缶等)のパンパンに詰め込んだ大袋(直径約1m)は外へ運び出せないという喜悲劇をBさんは毎週体験しているようです。
 その上、ゴミ置場の出入り口は裏通りに面していて、マンションのゴミ集積所は反対側の表通りにあるので、大量のゴミや資源を何往復も台車に乗せて運ぶという本来はやらなくてよい作業をさせられる羽目になっています。よほどの新米が設計したのか、あり得ない動線です。

「花」フランチェスコ・アイエツ 1791-1882 イタリア・ロマン主義

 この時代には主流の古典主義が、調和や理想を重く見る様式であったのに反して、ロマン主義は個人、個性、自由、想像力、時には不合理なもの、幻想的、怪奇的なものに重きを置く思想でした。人物画が多い中では珍しい絵、花よりも花瓶を支える手が気になります。

このAマンションは、販売目的のためだけに見栄えよくデザインされていても、メンテナンスにかかるランニング計画においては大ハズレのマンションと言えます。
 Aマンションに限らず、販売目的がかなっていれば、あとはどうでもよい傾向は他でも多く見かけます。
 人によりますが設計者に無意識の偏見があるのではないのでしょうか、管理員には湯を使わせないで我慢させればいい、ゴミ置場なんてコストをかけなくていい、ゴミ置場の出入口は裏に隠して管理人にゴミを運ばせればいいという上から目線の意識があるのではないのかと、このマンションを見ると思ってしまいます。
昼間は利用が少ないロビーや廊下に24時間空調を続けるより、時間によってはゴミ置場や集合郵便受けの投函側にも空調を入れる方が居住者の快適性が増します。

 ペットの脚洗い場に誰も使わない給湯器を設置しているよりも、管理室やゴミ置場の洗い場に給湯器があれば作業効率が格段に上がるのは間違いありません。
 設計者は我を通さず、後になってから誰からにも感謝される設計をして欲しいものです。
松尾

老害マンション

 大通りから少し入れば閑静な住宅地、豊かに茂った木々の向こうに落ち着いたレンガ色のAマンションを見つけることができます。
 第一種低層住専らしく敷地もゆったりして築年数からビンテージマンションと呼ぶにふさわしい佇まいを見せています。
 新年度、輪番制により新しく役員が決まりましたが理事長は多忙なため、組合運営は副理事長が仕切るようになりました。

植物のあるリビングルーム

 高齢である副理事長は自分には大きな権限があると思い込んでしまい、理事長の名前を使い予算承認も受けていない工事等を発注したり、他の居住者を訪問して命令調で物言いをするようになりました。
 そしてある日、何の承諾も受けずに1階居住者の専用庭に業者を入れて、高木中木を伐採してしまったのです。

 専用庭は、毎月使用料を納めている組合員に専用使用権があります。
 一般的に専用庭の管理については、竣工時からの緑地割合を維持することから共用費用で剪定等の管理をしている場合が多いと思います。
 一定の高さに成長した樹木が隣接地や建物、道路側に枝葉が影響(遮光、標識、電線、落葉等で迷惑)するような場合は剪定を、病害虫等で枯れた場合は伐採することがあります。

今回は伐採する理由は全く見当たりません。
 専用庭への不法侵入の上、専用庭の使用権者と共有の財産を毀損する不法行為です。
 さらに奇妙なのが、伐採した枝葉等のすべてをその場に放置したことです。少なくともプロの植木屋さんではなさそうですね。

植物のあるダイニングルーム

 当の副理事長に理由を聞いても要領を得ず、精神的な病(昔ならご乱心)としか言えません。もし怨恨なら立派な犯罪ですが・・。
 緑がなくなったことで、建物に陰影や奥行きがなくなり、何か落ち着きのない古くて寂れた表情になり、年月を重ねないと雰囲気を醸し出せないビンテージマンションが、ただの古いマンションになってしまいました。
 見かけの資産価値の下落は計り知れません。
 現在、ウィルス感染防止により理事会開催はなく、その後の情報は不明です。

パリの街並み(Google Map)

 絵画や写真では建物が殺風景であっても、手前や上部の隅に枝葉や花を配すれば遠近感とリッチ感が生まれます。インテリアデザインでも硬くなりがちのオフィスや、間が抜けた感のある空間に観葉植物を配するだけでイイ感じに空気が変わることは経験されていると思います。

 マンションに長く住んでいる声の大きな高齢者によって正当な理由なく反対され、すでに委任状等の票数で可決される予定の議案が再審議になってしまったこともありました。議長がコントロールできないことも原因です。
 管理規約も区分所有法も無視される超法規ですね。
 海に近いマンションは塩害対策を、ハトや野良ネコには鳥獣害(糞害)対策を、そして老害対策が必要な管理組合も出てくるかもしれません。
松尾

胡蝶の響きの今昔

 2021年もお付き合いありがとうございます。
 マンションの管理会社は、管理組合の積立額が少なく、または借入金が残っていて、値上げ提案も承認されないどころか、管理委託費の減額を要求され、管理組合の役員等から無理難題を背負わされ、手間ばかりかかる物件は、今後差引するとマイナスになると判断して、管理会社の方から解約するという傾向が昨年は顕著に見られました。
 あるワンマン理事長は管理会社のフロント(物件担当者)を召使のように扱い、結果は何人ものフロントが心の病や転職等で次々と辞めてしまい、管理会社はお金と時間をかけて募集して育てた人材を多く失うことになりました。
 我々の間ではウ〇コ物件と呼ぶこのような物件は、誰も引き受けずに何も知らない新人に担当が回され、そしてつぶされて行きます。
 以前も同じことを書きましたが、管理会社がマンションの棟数、戸数を競い合うのは意味がなく、よい管理会社とはマンションに合わせて上質で効率の良い管理ができることで、それが適正価格となり顧客の満足につながると思っています。 

1953年<聖牛>

 丑年なので奥村土牛(とぎゅう)1889-1990をご紹介します。
 印度から善光寺に迎えられた聖牛を描きました。胡粉(ごふん)を何回も塗り重ねた微妙に深みのある画風です。胡粉:風化させた蛤の貝殻を焼いて粉末にした白の顔料ですが、現在は代用品が多くあります。

 胡は時代によって違いますが、中華から見てあっちの方(西方ですが西戎と蔑んでます。)、ペルシャの民族文化を指しているものと思われます。
 弦楽器の胡弓をはじめ、胡瓜、胡椒、胡桃、胡麻(キュウリ、コショウ、クルミ、ゴマ)、胡坐(あぐら)、胡蝶の夢、胡蝶の舞、とたくさんありますね。

哺乳類ウシ目 ラクダ科ラクダ属 Camelus
胡蝶の紋所(藤胡蝶)

 胡の文字には、遠くシルクロードに思いをはせてしまいます。
 もらった後がちょっと扱いに困る胡蝶蘭というエキゾチックな花がありますが、現代人は胡蝶といえば「胡蝶しのぶ」と「胡蝶カナエ」を連想するようです。鬼滅の刃の登場人物らしいですが、私には解説できません。

 話は脱線しますが、よく知られている「ペルシャの市場にて」という曲が、私の中学校の昼休み時間にいつも流されていました。
 短い曲ですが、ラクダの商隊の到着と出発の場面に物乞いの歌声が2回出てきます。そのメロディーに合わせて「電信柱が屁をこいた。」と男子はお弁当を食べながら大きな声で歌っていたことを思い出しました。全員アホですね。(大笑)
 昔の田舎の中学生の風景でした。
松尾

フランスパンの包装から

 昔々のこと、英仏海峡をフェリーで渡り、小さな港町に上陸したのがが私の初フランスでした。
 当時のイギリスメシに辟易していた私は、無性に本場のフランスパンを食べたくなり、その町のパン屋へ入り、もう売れ残りの時間かなと思いながらもカウンター越しにバケットを指さしました。店の人は折り紙ぐらいの小さな紙にバケットの中央だけを包み、笑顔と一緒に私へ手渡してくれました。 

René Magritte (1898-1967)L’avenir 未来
René Magritte (1898-1967)物の力

 日本では過剰包装が問題になっていた時代、このシンプルで機能的で明確に役目を果たす完璧な包装は、強いカルチュアーショックを体感したのを覚えています。また、欧州に劣等感を持ったり、迷っていた私に前に進むヒントを与えてくれた気がします。 
 今年、レジ袋を悪者に仕立て、袋の有料化やマイバッグが普及しました。軽くて丈夫で安くて清潔で加工も自由なポリエチレンフィルムの袋は素晴らしい発明品だと思っています。
 海洋プラゴミや地球温暖化を防ぐ目的云々、要はその袋は本当に必要なの?と、自分たちの生活スタイルを見直すためのきっかけということでしょうね。

 毎度毎度の「袋はお持ちでしょうか?」では、袋はもらわないものの、私は100均でレジ袋のようなゴミ袋を買ってレジ袋としても使っている悪者です。(555)・・・タイ風の(笑)や(www)です。5の発音がハなのでハハハです。SNS上でよく使われています。

 フランスパンの絵です。パンは知っている限りでは15世紀にダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のテーブルの上に転がっている固そうなパン、美術の教科書でおなじみのフェルメールの「牛乳を注ぐ女」(1658年)にみられるブツブツのパンが有名で、ベラスケスをはじめ多くの画家が描いていますが、パンはサブの存在、でもこのマグリッド、セザンヌ、ダリの絵ではパンが主役で存在感があります。
 そして、おいしそうでもあります。食べ物の絵はここが大事なところです。

 2020年は今日でおしまいです。
 たらたらと愚痴を聞いていただいてありがとうございました。
松尾

パンと卵のある静物
1865 ポール・セザンヌ
『パン籠〜屈辱より死を〜』1945年サルバトール・ダリ
スタンラン ≪パン屋の少女≫ 1895

100年マンションの幻想

 100年マンションは響きのいい言葉です。
 その頃は自分はいないけれど、次の世代がきっとうまくやってくれるだろうと勝手に幻想を抱いている人が多いのですが、今の世代がしっかり準備を始めていないと、次の世代には厄介な負の遺産となるかもしれません。

 人間だって50歳も過ぎれば、化粧をするだけではボロは隠せないのと同じで、骨格も筋肉も強くして、臓器も血管も検査治療しなければ元気な体は維持できません。
 建物を適時適切な維持管理をすることなく放置すると、居住者は快適性を求めて去って行きます。空室が目立ち、そうなると査定も厳しく、売却したくとも希望価格には程遠く、部屋を借りたいという人もいなくなります。
 荷物やゴミの放置が始まるとスラム化の合図です。
 しかし、部屋を売却をしない限りは区分所有権は存在するので、誰も住んでいなくても、固定資産税や、毎月の管理費・修繕積立金は払い続けなければなりません。

『流行性感冒』(内務省衛生局1922年)

 では、マンションを建替えしてはどうかという話も、建替えの増床利益や商業ビルへと勝算が見込める立地でなければデベの手も上がらず、資金力の乏しい組合単独では難航するのが見えています。
 建物を解体して敷地を売却精算したいと思っても、敷地が一等地でなければ、解体費用が土地代を上回り、住まいもなくなり借金が残るだけの可能性もあるのです。

『流行性感冒』(内務省衛生局1922年)

 マンションの供給過剰、人口減少の現状を理解しなければなりません。いずれ法も改正されて国が助けてくれるのではないかと思うのは夢物語です。
 築年数が高くても、魅力のあるいわゆるビンテージマンションは多く存在します。繰り返しになりますが、適時適切な維持管理を施していれば資産価値も保たれます。
 投資目的の区分所有者は、特に修繕積立金の値上に反対する人が多いのですが、目先の小銭を確保するのではなく、長く利益を得ようと思えば発想を変えて欲しいものです。

 挿絵に使用したポスターは、友人から紹介されたものです。スペイン風邪の予防のポスターだそうです。一生懸命さが伝わりますね。
 先ほど香港の周庭さん(Agnes Chow Ting)の代理人から、本人が書いた「気を付けてください!アグネス」というメッセージが届きました。あなたこそ囚われの身で、体に気を付けて下さいと言いたいです。
松尾



管理員さん気を付けて

 「地元の人たちへも顔を売っておいた方がいいよ」と理事長に依頼され、Aマンションの管理員のBさんが町会の会合に出ることになりました。
 理事長は忙しくて出られないのか、出たくないのか、毎月の会合や催事に費やす時間と労力は人によっては確かにヘビーです。
 管理員のBさんは隣の市から通勤しています。本来はその町内会に住んでいる人が対象なので、理事長は管理会社を通さずに直接管理員に無理を頼み込んだようです。一種のパワハラですね。(笑)
 後で理事長から聞いた話では、町会活動の毎月の参加について他の役員に依頼したところ、全員から「無理です。」と断られたようです。(泣笑)

ギュスターヴ・ドレ1832-1883
ウォルタークレイン1845-1915

ジェシー・ウィルコック・スミス
1863-1935

 新型コロナウィルス感染の心配もなかった2019年のこと、町内会での立場はAマンション代表である管理員のBさんは、町内会が催す盆踊りの櫓組み作業を手伝うことになりました。これで終わりではなく、盆踊りが終わった時にも呼び出され少人数で、櫓の解体作業を蚊に刺され泥まみれになり終了、解放されました。
 管理員のBさんは、町会の会合の中では発言せずにいたのですが、Aマンションの管理員であることを明かした後は、明らかに「下層民」の扱いを受けたことを感じたと言います。盆踊りが終わった後の汚れ仕事を回され、皆が打上げ会の時間には、解体した櫓の材木を町はずれの倉庫に納める作業を夜遅くまでヤラサレルはめになりました。
 いつも協力的でないAマンションだからということもあるでしょうが、Bさんはもうこりごり、元々運動不足解消のため管理員をしているので力仕事は平気ですが、上から目線で、段取りの悪い指示をする町会の役員たちを相手にするのに嫌気がさしたので、次は断るとのことでした。

 すべての町会とは言いませんが、町会は区や会員が支払う町会費等からそれなりの予算を受けての活動の中、おきまりのような催事を人をタダで労働させて行うのではなく、それ相当の対価を払わないと、あてにしていた人から当日キャンセルや途中抜けをされたり、責任感のない仕事をされたりしてしまいます。また、リーダーシップをとる人がいないと各自の目的意識があいまいで指示待ちが多く、緊張感も達成感も期待できません。
 今年は幸いと言えませんが、町会の会合も色々な催しも新型コロナウィルス感染防止のため中止でした。

 この機会に町内会役員だけが自己満足するような催事が必要なのか、打上げの会だけに「出席」する高齢役員が非常時でも何か役に立つのか、町内会の本来の仕事は何をするべきかを考えて欲しいですね。

 「~気を付けて」つながりで「赤ずきん」のイラストを並べてみました。
 挿絵の変化も見られますが、内容も最初の頃はみんな食われたり殺されたりの教訓めいた内容でしたが、狼だけ懲らしめるに変化、日本の童話では狼がもう悪いことをしませんと反省(笑)して終わります。
松尾

稚拙美

 都内Aマンションのエントランス、ドアの引手を握ったところ違和感というか痛みを感じました。
 公共性のある場所では、握りやすい丸パイプ等の握りバーが一般的ですが、Aマンションのものは特注のようで、バーが細く断面は正方形で角の面取りが少なく、バー上下の切り口は鋭角に尖っていました。
 バーの下端が幼児の顔や頭の高さなので、風の強い日はドアごとあおられて、角に強く当たれば骨まで突き刺さることもあるかもしれません。
 ここはデザイナーズマンションといって売り出されました。
 販売会社にとって良いデザインのマンションとは、他より高く売れることだけで、他との差別化という言葉を自分勝手に解釈しているようです。
 このドア引手のように、わざわざ「デザインしたんだぞ」と言いたいがために安全性を軽視した幼稚なデザインをされては、ウン千万を払う購入者はたまったものではありません。

アンリ・ルソー 「子供の肖像」1908年

 なんともインパクトの強い肖像画ですね、一生懸命な想いが未熟さを軽く凌駕しています。この稚拙な美しさは、あまたの美人画を価値のないものしてしまいます。
 モデルの子がこの絵を見て喜んだかどうかの記録は残っていません。(笑)
 以前の「不協和音」の投稿にもアンリ・ルソーが登場しています。表題の「稚拙美」とは技術的には拙く未熟でも、素朴さ純粋さ素直さが、かえって強く感じられる美をいい、幼稚とは違います。

 スペインの教会の彫刻を神への一途な想いで修復したものの、技術が伴わなかったため残念な結果になったというニュースがありましたが、想いだけでは稚拙美にはなれなかったようです。以前の似たケースが次の2点、各左がオリジナルです。ちょっと笑えます。

「Ecce Homo(この人を見よ)」という題の19世紀の壁画

バルトロメ・エステバン・ムリーリョの作品の複製画

 中国では清朝の絵画を修復したところ、どう見ても別人の作品になったことがありましたが、現地では良くなったと、我々とは違った評価がされています。

 多くの漢字を意味のない記号に変えてしまっても平気な(新しい価値観の?)文化を持つ国ですから、修復の意味を理解するのは難しいです。

 他国の悪口と一緒に世界中にバラまいている「平和の少女像」なるものがありますが、彫刻(芸術)作品としては二流にも届きません。

清王朝時代の壁画(上がオリジナル)

 敵を殺してなんぼの時代のことを、現代の基準で謝罪と賠償を語ること自体かみ合うわけがありませんが、もしこの像を一流作家が手掛けていたら、世界中の人の心を動かし、日本人の受け止め方も少しだけ違っていたかもしれません。 
 この像は初期の単体からベンチになり、今は椅子が二つあり空けた一つは、未解決のまま亡くなった戦争犠牲者と痛みを分け合う場という理由を後付けしています。像の隣に座っての記念撮影は、観光地にある顔出し看板となんら変わらないレベルです。
 正義連は潤沢な資金をケチらずに、もし一流の彫刻家に依頼していれば、正義連ならぬ実はイカサマ連だったことも未だバレていないかもしれませんね。
松尾

第29回 大田区マンション管理懇談会

 2020年11月29日(日曜日)14:00~16:00 エセナ大田において、標記が開催されました。
テーマ:マンションに関する都条例「管理状況届出制度」について
 新型コロナウィルス感染防止対策のため、部屋は通常定員の半分までという制約の中、満員の参加でした。
 テーマの他、管理会社主導の修繕計画・工事の問題、建替えに関わる問題等、都議会議員の参加もいただき活発な意見交換が行われました。
事務局

photo by “Chanyapuk Numprasop”

「弱き者の戦い」

 最近、マンションの専門家といわれる方が、コロナ禍での管理組合活動において三密を避ける方法の一つとして、オンライン総会・理事会と盛んにはしゃいでおられます。役員や管理会社のフロントは安全面でメリットがあるのですが、現場で人に接し、人が触ったモノやゴミに触る仕事の清掃・管理員について、感染予防のアイデアを出せる専門家は皆無です。
 オンラインの方法等は、すでに自然発生しているので、マンションの専門家が今更騒ぐことではありませんね。

https://www.nasjonalmuseet.no/en/collection/object/NG.M.01867
ムンク《スペイン風邪にかかった自画像》1919年

 感染防止には、私は時短が手っ取り早い方法かと思いますが、それどころか「取っ手は、管理員に1日3回消毒させています。」等の掲示をよく見かけますので、管理会社(管理組合)は反対に管理員の仕事量を増やしてしまっています。
 この時節、清掃・管理員を募集すれば応募はいくらでもあり、使い捨てでよいという考えで目を瞑っているのではないでしょうか?原発事故の時にホームレスを集め、高給を払い現地で危険な作業をさせたのとよく似ています。似ていないのは管理員は高給ではないところです。(笑)

 一般的なマンションで、管理員が3連休した時は、マンションのゴミ置場がどのような状態になっているか、居住者は分かっています。今、仕事を失った人を清掃・管理員に採用しても、社会が落ち着くと必ず転職されてしまうのは分かりきったことです。

 私がアドバイザーをさせていただいている自主管理のマンションでは、新型コロナウィルス感染が始まった頃から、清掃員の負担が明らかに増えているため、理事会は清掃員への支払いの増額を予算化しました。言葉での感謝も必要ですが、本人が不安・不満を持って働く中、「理事会はちゃんと見てます。」と対価により評価をすることは、今できる最高のねぎらいだと思います。

https://munch.emuseum.com/en/objects/2858/selvportrett-etter-spanskesyken
ムンク《スペイン風邪後の自画像》1919年

 象徴主義/表現主義 エドヴァルド・ムンクの《叫び》は1893年に描かれ、1919年(56歳)に、スペイン風邪になった自分の姿と回復した自画像を描いています。
 見るからに体も心も少し病んでいるように見えるムンクは、実際は感染しておらず、パンデミックの中で自分の思い込みでなかったのかという説もあるようです。
松尾 

まだ紙にこだわりますか?

 都内、大きなAマンションの集合郵便受け、脇に置かれた不要チラシ入れには、さっき管理員が投函したばかりの「区報」が早くも捨てられています。翌朝数えたところ、40%以上が捨てられていました。
 目の前で捨てられるのは、割り切れない思いでしょうね、午前中に掘った穴を午後には埋める・・・まるで囚人労働のようです。(泣)

 区報を配るのは区から予算を受けている町会の仕事ですが、このマンションでは月初めに町会から大きな束が届けられ、管理員が配っています。ポスティング作業は区報だけならともかく、地元誌や町会のお知らせも「ついでに」ということでしょうか3~4種類を配るには30分以上も時間を費やしています。

George Nelson

 紙代や印刷代、配る手間と捨てる手間、マンションでは区報等は掲示することで十分ですね、もちろん区のWEBでも対応ができています。
 また最近では、郵便受けに無理やり押し込まれている分厚いタウンページも多くはそのまま捨てられていました。
 タウンページは受付カウンターに一冊あれば間に合いそうですね、時々入っているポケットティッシュも、コロナ禍ではできるだけ触りたくないので可燃ゴミになっています。
 我々が向かうべき方向とは違うような、やっていることがチグハグな気がします。
 週一回の資源回収日、その昔に比べると新聞の量は激減しました。区民はそれぞれ別の形で毎日の必要な情報を得ているということです。

 管理組合活動の中で発生する膨大な書類はデータ化したくても、どの書類ならデータ保管してもよいのか、20数年前の「書類保管に関する細則」があっても、今は適合しない書類が山ほどあります。

George Nelson

 またスキャニングはできるとしても、原本を捨てないと書類は減らないので、細則を追加、変更させてからでないと作業に移れません。明らかに不要な書類を長老役員の一声(超法規)で捨てられなくなったりすることもありそうですね(笑)。
 紙のサイズがマチマチだとスキャニング等のデータ化には膨大な時間がかかりそうです。そもそもその作業は誰がやるの?という大きな問題があります。

 総会で、すべての議案が全会一致で決議された出席票の原本を「永久保存」する必要が本当にあるのか、過去の工事の3社見積書のうち採用されなかった2社の見積書や会社概要等を保管している意味があるのか、交換する前の設備機器の「特に異常ありません。」と書かれた点検表の原本を見たい人がいるのか等、自分の一存では捨てられないまま時間だけが経過している場合が多いのではないのでしょうか?
 管理規約・使用細則はこれらの問題に限らず、時代により柔軟に変更や追加、または削除をしておかないと未来の我々の首を絞めてしまいそうです。
松尾 

講演会開催のお知らせ

おおた区報 11月1日号(区民のひろば)掲載

 日 時:2020年11月29日(日曜日)14:00~16:00
 場 所:エセナおおた 第1学習室
 講 師:大島邦造氏
 テーマ:マンションに関する都条例「管理状況届出制度」について
  条例が制定された背景、目的、管理の適正化に関する指針
 の説明、併せて管理不全の実態も取り上げながら講演の予定
です。
  管理に関する相談会も開催します。新型コロナ感染防止対
策の上、ご参加下さい。
 申 込:090-1818-1700 大田区マンション管理士会 水野

 *管理状況届出制度のパンフレットは次のリンクです。

 

 *現在、国土交通省が検討中のマンション管理計画認定制度のリンクは次の通りです。

(Hans Wegner Yチェアー)

11月2日に開催された「マンション再生セミナー2020」講演会に参加してきました。
機会があれば、資料を基に内容を説明いたします。
松尾

マンションの歩き方

 Aマンションでは、共用廊下の床に溜まった雨水が乾いた後に、カビのような黒い輪染みが残っていました。
 マンションの共用廊下や階段、バルコニーの床には、長尺塩ビシートと呼ばれる塩化ビニル樹脂系で表面をノンスリップに加工した仕上材がよく使われています。
 耐候性、耐久性が向上、現場加工が容易で比較的安価、施工も短期間で可能です。以前は安っぽさが気になりましたが、今は用途により様々なデザインが用意されている仕上材です。微妙な勾配にもなじみ良く、シートの溶接も貼り仕舞い(見切り)も難しくありません。
 特に種類の選択範囲の広さから、店舗等のデザイン性や施工スピードが強く求められる改装工事にも扱いやすい仕上材料です。廃材焼却時に発生するダイオキシンも焼却装置等の改良でほとんど問題がなくなりました。

 Aマンションでは、経年により床下地とシートの間に雨水などが浸入し、接着が剥がれてシートが縮んで波打ち、そこに雨水が溜まる乾燥するを繰り返す状態でした。
 問題は汚れだけでなく、高齢になるにつれ歩くときに足が上がらない傾向があるので、廊下のシートの波の膨らみにつまずいて転倒する危険性があります。
 また専有部分ドアの前のシートが波状になってしまうと、ある日、外に出ようとドアを押したらシートが邪魔をしてドアが開かない・・・少なくともドア(底裏)と床シートがズリズリ擦れることは考えられますので、居住者には大きなストレスになります。

「ヴァージナルの前の二人(音楽の稽古)」1662-65頃 ヨハネス・フェルメール

 貼り替えがすぐにできない場合は、床下地とシートの間に水分を含ませない状態、つまり問題箇所は剥がして乾燥させておいた方が健康的であり、事故が起きないための最低限の処置と思います。
 
 床の材料は、土を踏み固めた土間、石の産地威なら敷石、粘土があればタイル、木が豊富な地域なら下地組みをしてフローリング、イグサが採れる地域では畳など、気候風土によって発達してきました。

 主題のある絵画の中で、白黒の大理石の床が強調されているこの作品は、モノが多い割には静謐な空気を感じます。
  この絵の床が板張りであったりすると、静謐感も清涼感もなくなりボケた印象になっていたでしょう。

 フェルメールは左側から光が入る同じ構図を数点残していますが、輸入品であろう大理石貼りの床やペルシャ絨毯が配され、柔らかな光が入る部屋で音楽教育を受けられる環境、まだピアノのなかった時代(関ケ原の戦いの頃)にヴァージナル(小型チェンバロ)を所有しているオランダの裕福な家庭であったと想像できます。チェロのような形の弦楽器もみえてますね。

 「真珠の耳飾りの少女」の背景には深い色を置くことで、少女の表情を際立たせ、この上なく印象深い作品に仕上げています。
 髪を隠し眉も省略して目とターバンを強調しています。
 父親の毒牙にかかりそうになった少女が抵抗して父を殺してしまい、そのため死罪になったという異国の少女の話を伝え聞いたフェルメールが、想像の中で描いたといわれています。

『真珠の耳飾りの少女』ヨハネス・フェルメール 1665年頃

 当時は真正面を向いた肖像画が当たり前の時代に、頭を45度、目を45度振り向いた構成は斬新です。瞬間の表情、少し開いていても清らな口元と、澄み切った目に寂しさを感じます。
 少女が頭にターバンを巻く風習は、どこの国の衣装なのか分かりません。
 実在しないだろう大粒すぎる真珠(錫という説もありますが重すぎます。)、高価なラピスラズリ(瑠璃)を配合した絵具のターバンの青色、またその青を強調にするための補色の黄色の配色など、トロニー(モデルがない)であることが解ります。
 耳飾りの大粒の真珠は、不幸にも未来を絶たれた少女へ、せめてものフェルメールからのプレゼントかもしれないですね。
 謎を多く残したまま後世に伝えたい作品です。
松尾

Rau ja pai duay gan.

 2016年に逝去されたタイ王国のプミポン・アドゥンヤデート王の命日である10月13日、「聖なる日、偉大な王」と、タイから送られてくるメッセージにはどれにもトップ表示されていました。

 やり場のないコロナ禍の不満の矛先になっているのか、息子のワチラロンコンが国王の位に就いてからは国民の評判は下がる一方です。
 そしていつまでも軍事暫定政府を続けるプラユット首相の独裁政権の批判を込めて、前国王を高く尊び賞賛するメッセージが目立ちます。

 首都圏の国立大学のうち、秀才が集まるマヒドン大学が国際ランキングのタイ最上位です。そして元々「王族貴族の教育」のために開校され、今もエリート層の多くが卒業するのがチュラロンコン大学です。

フランシスコ・デ・ゴヤ「カルロス4世の家族」1801年https://ja.wikipedia.org/wiki/カルロス4世の家族#/media/ファイル:La_familia_de_Carlos_IV,_por_Francisco_de_Goya.jpg
 ゴヤは宮廷画家ながらも、この絵の中でスペイン王室の腐敗と衰退を表現することで、精いっぱいの抵抗をしています。
 愚鈍な王を押しのけ、絵の中央に権力をほしいままにする性悪の王妃が立っています。
 顔つきが面白いですね。

 これに対して「広く庶民層への教育」が目的だった難関のタマサート大学があります。

 最近の政権打倒や王室制度改革のデモや集会をリードしているのが主にタマサート大学の学生です。
 この大学でチアリーディング部を率い、ミス・タマサートにも選ばれたリケ女のปุณยวีร์ จึงเจริญが卒業後、故郷のチェンマイで人気アイドルグループのキャプテンをしています。立場上、政治的発言ができないと苦しい胸の内を発信しています。 

フランシスコ・デ・ゴヤ「1808年5月3日 プリンシペ・ピオの丘での銃殺」
 侵攻してきたフランス軍が、抵抗するマドリード民衆の多くを銃殺刑に処した有名な場面です。
 歴史画としても貴重です。
エドゥアール・マネ「皇帝マキシミリアンの処刑」
 フランス(ナポレオン3世)がメキシコに出兵し、武力で墺皇帝の弟のマキシミリアンをメキシコ皇帝に即位させましたが、メキシコ先住民らの巻き返しを受け、銃殺刑となった場面です。

 その彼女も歌うコロナ禍の医療関係者への感謝と市民を勇気づけるためのหัวใจ๋ใกล้กั๋น(Touch By Heart・心で触れて)という歌、その歌詞の一番最後が、「rau ja pai duay gan=一緒に歩みましょう。」という意味になります。
 これが今日の表題です。

 タイは静かにコロナ禍の終息を迎えましたが、鬱積した不満が軍事政権打倒、王室制度改革という活動のエネルギーに置き換わった感があります。

 バンコクは通称で、本当は長い名前です。その一部を訳すと「戦争のない平和で、九宝のように美しい偉大な天使の都」という意味になります。
 戦争のない天使の都に、これらの絵のようなことが起こらないことを願うばかりです。
松尾
 

フェイクフォーレスト

 この日曜日(10/11)、武蔵小山にあるAマンションの定時総会にアドバイザーの立場で参加させていただきました。
 マンション内の集会室では狭く、新型コロナウィルス感染防止上、三密になるのでダメということで、新築の駅前タワーマンションのモールの多目的室を借りることができましたが、そこでも通常定員の半分までと人数制限があり、間隔を空けて着席し、換気を保ちながらの開催でした。
 
 終了後、この新築タワーマンションのモール内2Fと3Fの植栽を見学したところ、まずムクゲ、ヤマボウシ、ソヨゴの若木が植えられ、この3種は半日影でも育つという共通点があります。和風が似合う雌ソヨゴは育つと赤い実を付けます。
 他に実のなるオリーブ、ザクロ、亜熱帯産のフェイジョアの3種を見つけました。フェイジョアの実は食べたことはありませんが美味しいらしいですよ、残念ながら直植えで陽当たりが良いならともかく、実を付けるまでの管理は難しいと思います。
 そして、まだ移植してから間もない弱っている木の幹や枝にグルグルとLEDライトのコードが巻き付けられストレスを与えているのが気になりました。

モール2Fから1Fへ降りるエスカレーターの両脇の店舗は空いています。

 それよりもっと気になるのがモールにまだ空き店舗があることです。コロナ禍などの事情はあると思いますが、このモール店舗のプランにはチマチマ感があります。
 賃貸側のコストプランのいじくり過ぎの結果でしょうか?

 この絵はダ・ヴィンチの初期作品(受胎告知)ですが背景には、まるで剪定したばかりのような真っすぐで左右対称の樹木が描かれています。

レオナルド・ダ・ヴィンチ(受胎告知)1472-1475年頃

 自然の厳しさを象徴する樹形を見慣れている日本人はこの背景の樹木は不自然だと思ってしまいます。

 しかし、地中海性気候のトスカーナの風景を実際に見ればこれが自然だと納得してしまいます。
松尾

フィレンツェ ウンガネッリ・ピアッザ

防犯カメラはみた。

 Xマンションでは以前、管理員の勤務が3交代制、24時間勤務(仮眠あり)、つまり3日に一度、勤務が回ってくる体制でした。
 マンション内に時間貸しの来客用駐車場が4台分あり、そこは居住者への訪問者や出入業者などで頻繁に利用されています。
 時間単位の駐車場利用料金を管理員が受け取り、日々台帳に記入し、現金を当番の役員宅へ預けていました。
 管理員は車の出入りのために長い時間の離席ができず、時には予約もあり、時間の確認や集計、次への引継ぎにも時間を取られていました。
 ワンマン理事長が長く続けている築古の重い雰囲気のマンションでした。
 
 マンション管理会社から新任フロントが現場へ送り込まれました。その新任フロントの管理組合への提案の一つが、金銭事故防止のため、管理員の現金取り扱いをなくすことでした。
 まず時間貸し駐車場の利用状況を把握するため、管理員の日誌や台帳を調査し始めたところ、曜日や天候には関係なく、3日置きのA管理員の勤務日だけ使用回数が少ないことが判明、追及するとA管理員は利用料金の着服を認めました。
 管理室カウンターと駐車場の画像は防犯カメラに記録されているので、言い訳できないと思ったのでしょう。ただ当時の防犯カメラの再生速度が最大4倍速という骨董品で、もし犯行を認めなければ証拠を探すのにはとてつもなく膨大な時間がかかっていたと思います。(笑)

 3回に1回程度、駐車場利用料を着服していたようですが、業務上横領罪というよりも「ネコババ」とか「くすねる」という言葉が合っているような気がしますね。
 問題のA管理員は、ワンマン理事長に取り入って勝手なことをするので、他の2人の管理員からの評判は良くありませんでした。
 理事長の威を借るタヌキとでもいうのでしょうか?

《印象・日の出》1872年 クロード・モネ

 そして今度は、B管理員が勘違いにより居住者の女性とややこしい関係になり辞職、C管理員は健康上の理由で辞める事になりました。同じ頃、ワンマン理事長が入院、マンションには戻ってくることはありませんでした。

 新任フロントの提案の二つ目は、管理員の24時間体制を止めることでしたので、この機会を逸することなく勤務体制の見直しを提案、組合員の理解もあり、暫定ながらも管理員は日勤体制へと変更、来客用の駐車場はすでに準備を整えていたコインパーキング会社へ委託しました。
 続いて機械警備の導入、防犯カメラの入替と増設を行い新体制が整いました。
 
 管理員の人件費3名分の大幅減額などは、組合員にとっては目から鱗が落ちた感があったようです。
 日勤の管理員は時間貸し駐車場の管理事務作業から解放されたので管理室に常駐する必要も無くなり、日常清掃を兼務できるようになりました。
 タバコ臭い仮眠室と、ゴミがギッシリ詰め込んであった管理用倉庫を片付けて多目的室へと改装、管理室の照明もすべてLEDへとスッキリ生まれ変わった印象です。
 ワンマン理事長を恐れて近寄らなかった居住者から意見が出始め、これからは組合活動も活発になるのでしょう。
 
 この新任のフロントの改革提案と実行力がなければ、組合も管理会社もネコババに気付くこともなく、古い体制を守って余計な支出をダラダラ何年も続けていたかもしれません。
 特筆すべきは、この新任フロントはスーツがとても似合う女性のマンション管理士であることです。

 今世間では、見苦しいほど必死になって既得権を守っているように見えてしまう日本学術会議なるものが話題になっていますが、外野の私は攻防戦を面白く見ています。
 世の中で必要とされないのに上から目線の肩書だけの人種、マンション管理組合の中でもこういう類が理事長になったら理事会も組合員もそして管理員も苦労しますね。

 題目とは関係がありませんが、この絵はル・アーヴルという港が描かれています。モネの生まれ故郷です。ここから対岸のイギリスのポーツマスまで船が出ています。
 この絵の「印象」という題名が印象派の名前の基になりました。
松尾

商社になった管理会社

 最近の管理組合からの相談にフロントの対応力の問題がありました。
 マンションの窓口担当であるフロントは管理業務主任者という国家資格が必要な職種で、管理全般に精通し、総会や理事会の準備、進行などを担うのも仕事の範囲に入ります。(組合により違いがあります。)
 フロントにはマンションにトラブルが発生した時の現場対応や、計画工事の調査などの現地作業もあります。 

https://decouvrirlendroitdudecor.blogspot.com/2015/03/une-alcove-pour-dormir.html

しかし、一部ですが大手のマンション管理会社では、フロントが現場に向かうことはほとんどなく、指定の下請け会社が孫請け業者へ指示、組合宛ての報告書はメーカーなどが現場で写真を撮って作成しています。
 伝言ゲームの結果のような正確性に欠ける報告内容や、ムダな時間経過、復旧工事は中間業者のマージンのため費用も比較的高額になりがちです。

 二流商社やブローカーのように、業者を動かすだけで仕事をした気分になっている一部の大手管理会社のフロントは、組合員に対しても自分が元請けである立場を忘れていることがあります。
 組合から指摘されると「指示したのに業者がやってなかったんです。すぐやらせます。」とか「管理員が業者に伝え忘れたようです。」など、自分は悪くないような言葉が出てしまっています。
 このような悪い習慣から抜けられないのなら、管理組合は大手の管理会社へ委託する意味はありません。
 それでもどうしても大手のブランドが好きなら別ですが。(笑)

 机上で迷ってるなら現場に立ってみること。これはどの業界でも共通している言葉と思います。
 フロントは現場に通い、誰よりも現場をよく知っている立場にならないと、組合へ良いアイデア提供はできないはずです。
松尾


みんな大好き「宅配ボックス」

 「置き配でお願いします。」とか「宅配ボックスに入れてください。」と、Aマンションのエントランスのインターフォン越しに高いトーンの声が聞こえてきます。
 在宅していても宅配物を対面で受け取らない人が多い上に、コロナ禍の影響で宅配サービスの需要が高まり、宅配ボックスの利用も増えています。
 困るのは郵便受けにもドアにも表札を出していない人がいるので、受け取り名を確認ができずトラブルになることもあるようです。
 この人たちは戸建てに住んでも表札は出さないのでしょうか?
 今やお歳暮お中元が過去の風習となる中で、違うスタイルの様々な宅配サービスが定着しています。
 小さいものや一人前の出前など、申し訳なくて配達を頼めないオジサン世代には理解が難しいところがあります。

 近年では宅配ボックスの中でゴルフバッグ用ボックスの利用はほとんどなくなりました。他の3~6ボックス分のサイズがありますので交換した方がいいですね。
 集合郵便受けは盗難防止などの理由で受け口が郵便物厚み限度の3㎝より薄く作っている(2.5㎝程度)ため、本来は郵便受けに入るメール便、ゆうメール、レターパックが入らず、宅配ボックスを利用することになりますます不足する状況になっています。
 省スペースや防犯を優先した郵便物が入らない郵便受け、利用されないゴルフバッグ用の宅配ボックス、他にもマンション施設では、上段が全く使えない上下2段式駐輪ラック、子供載せ自転車が並んで駐輪できない駐輪区画、ゴミが入ると持ち運び不可能な90ℓのポリバケツの採用など、新築マンションなのに何故か旧態依然とした設計資料のデータが採用されています。

Portrait of the Postman Joseph Roulin 1888(Vincent Willem van Gogh)

 すぐに満杯になってしまう宅配ボックスの数では居住者にストレスを与えるだけです。マンション共用部分でよく使うものはノンストレスであるべきです。
 マンションの設計者は、脳にこびりついた骨董品のような設計資料(データ)を信奉するのではなく、変化する時代の新しい情報を取り入れ、そこに居住する人とその未来のことを考えて計画してもらいたいですね。

 この絵はボストン美術館が所蔵するゴッホの作品、町の雄弁な思想家でゴッホの理解者であるルーランの肖像画です。postman(郵便配達員)になっていますが、小さなアルルの駅で郵便取扱いの仕事をしていたようです。
 首と上半身の軸を少しずらしカクカクした輪郭線はルーランの性格を表しているのでしょう。曲げていない指は職業柄、慢性の腱鞘炎と想像します。椅子のアームが片方しかなく背もたれのカーブがどうやってつながるのか不思議な絵です。
松尾

フンをしない金魚がアートなの?

 「アートアクアリウム美術館(生命の美を感じる、神秘的なアートの世界)」という暗い部屋で金魚を入れた水槽に色付きライトアップをしただけの「アート」を観ました。
 アクアリウムアーティストなる人物は自称「生態(金魚)を知り尽くしている。」らしいのですが、魚類に詳しい来館者から魚の病気、健康状態や管理の不備について指摘があり、これに見苦しいほどの言い訳をしています。この怪しいイベント屋さんのために文化庁は1600万円の支援をしています。

アンリ・マティス「Goldfish」

 お祭りですくった金魚を洗面器に入れておいたら死んでしまった幼い経験は無駄にはなりませんが、日本の美意識を勘違いしたような税金の無駄使いはやめて欲しいですね。
 この時代、面白いコトはSNS等ですぐに注目拡散されるので、一歩遅れの企画への補助金は要らないと思います。
 私が気付いたのはフンをぶら下げて泳いでいる金魚が一匹もいなくて不自然、つまり何日間も絶食状態でフラフラ、お腹はペタンコでした。
 とても「生命のダイナミズム」など感じられません。
 

 江戸情緒なのに京の光琳模様を使うなどデタラメで、演出が一昔前の外国人向けの土産物屋のようです。
 友人が外国からの客人をイルカショーに連れて行ったら、abuse show(虐待ショー)と言われちゃったよと話してましたが、金魚の虐待ショーで「江戸情緒のおもてなし」など世界では全く通用しない時代になっていることを文化庁は理解しているのでしょうか?
 また地方では、あいちトリエンナーレのように偏向な部分を得意げに掲げて「地方の焦り」をさらしてしまうのではなく、まず世界標準に近づきましょう。

 この絵の色彩は、正攻法で金魚の赤を補色の緑で囲んで強調しています。赤の同系色の薄ピンクを周りに配置し、濃い緑でさらに赤が際立つようにしています。凡人なら、もうこれ以上の色は使えないところですが、右上から中央、左下へ斜めに人工的で明るいターコイズブルーを配したことが、マティスを色の魔術師と呼ばせる所以です。
松尾

地雷マンション

 義母と同居することになったAさんは、少し広めで手ごろな中古マンションを見つけ購入しました。
 建設、販売した大手グループの関連社員が多くを所有、または社宅で居住している中規模のマンションです。管理会社の名前の頭にもグループ名がついています。

 入居後、大規模修繕工事の実施と修繕積立金の値上変更を議案とする臨時総会の知らせを受けました。
 臨時総会では、大規模修繕工事をグループ会社が実施することを承認するだけで、修繕積立金の変更は今後適時適切に修繕工事が行えるように倍額に変更することの報告があり、質疑もなく決議されました。
 管理組合の役員はグループ会社の組合員で占められ、組合運営は完全に大手グループに牛耳られているのが判明しました。

Victor Brauner
Femme regardant au loin
(見送りする女)

 マンション販売当時の売れ残りをグループ各社に販売協力(押付ノルマ)があり、グループ特典割引や住宅購入補助金を受け、販売価格より割安で購入したようです。

Victor Brauner

 さらにグループ居住者は、この度の修繕積立金値上については住宅特別手当等の名目で、金額の大部分を賄われています。
 その費用の捻出元はグループが施工する大規模修繕工事の利益です。
 他社と競合することなく、工事価格の交渉も比較もなく、指名で請負ったグループの工事業者から、利益の一部を戻されている構図でした。

 

 つまり、組合員は割高な修繕積立金や管理費を納め、グループ会社が割高の修繕工事や点検作業を実施し、余剰利益をグループ内の居住者へ間接的に還元することで、グループ以外の区分所有者は、グループ内の区分所有者の負担すべき金額をこの先ずっと払い続ける恐ろしいシステムでした。

 証拠がないのでどこまでが本当なのか分かりませんが、区分所有者が一グループ企業に偏っているマンションは避けた方がいいということになります。

Jardiniers(庭師)
  Victor Brauner

 以前、元地権者のファミリーが多く居住している等価交換のマンションでは、他の区分所有者を間借り人のような扱いをすることもありました。区分所有権を理解していてもオーナー気分が抜けないのですね。

 このシュールな絵を残したヴィクトールブラウナーは昔、片目がつぶれた気色の悪い自画像を描いています。その後、事故で自身の片目を失ってしまったのですが。昔描いた絵が予言していたかのようです。作品よりもそのことで有名だったりします。テクニックを持っている画家よりも、ストレートに普段は使わない心のどこかに届く絵だと思います。
松尾

大田区マンション管理士会 例会開催報告200906

 9月6日(日曜日)エセナ大田において標記が開催されました。
 7月の例会に続き11月29日(日)
 14:00~16:00 開催予定の懇談会、相談会のテーマ(東京都管理状況届出制度)について検討、またコロナ禍中の活動報告など情報交換を行いました。
事務局

Wassily Chair(Marcel Breuer)

平和のフン害

 平和の象徴が2羽、Aマンションの屋上に仲良く並んでいます。遠くから見ていると、機械室の換気扇のウェザーカバーの中に入り込んだのは間違いないのに、換気扇の部屋側からは姿が見えません。

 不思議に思い内側から換気扇を外してみると、ウエザーカバーと防火ダンパーの狭い隙間に入り込んで2羽のヒナを育てていました。
 これではカラスも猫も入れません。でも炎天下、鉄製カバーの中は高温になりその上、定期的に換気扇が作動するのでプロペラが至近距離でぶんぶん回る危ない最悪の環境だと思うのですが、それでも子孫を残す本能はすべてにも勝るようです。

パブロ・ピカソ

 カバーの中に侵入できないようにネットで塞ぎ、巣を掃除してヒナは専門業者が引き取り、ハト忌避剤をあちこちに設置して終了しました。
 夏の終わりの汗かきオジサンの体験でした。 

パブロ・ピカソ

 動物は確保できる食料が減少すれば出生率も比例します。パン撒きジイサン、餌やりオバサンになぜ野鳥に餌をやることがいけないのかを説くよりも、また鳥獣保護管理法の不備を嘆くよりも、どうやって自分のマンションに寄り付かせないかの努力をするまでです。
松尾

 

                    

自主管理の達人

 不動産業界でマンションの専門家と呼ばれている先生がテレビでマンション管理について話していました。
 話は平凡な内容でしたが、司会者の自主管理とはどういうものですか?との質問に対してこの先生が答えたのは、「メリットは管理費が安く住民同士に共助精神、連帯意識が強い。デメリットは、清掃やゴミ捨て当番が回ってくる。休みの日には住民同士で植木の世話やペンキ塗りをしなくてはならない。
 そのため不動産としての資産価値は低く、購入はお薦めできない。」・・・?
 これはいつ頃の日本の話でしょうか?戦前の隣組?

ルネ・マグリッド「ゴルコンダ」1953年

 私は自主管理マンションのアドバイザーをさせていただいていますが、この先生の言うようなことは何ひとつなく、管理会社を通さないだけで、点検や清掃、修繕工事等は専門業者へ分離発注しています。つまり管理会社へ全部委託しているマンションと基本的に変わらず、清掃も行き届いています。

 違うところは、理事会がビジョンを持ち、無駄を省いているところです。その分、修繕積立金は一定以上確保できています。
 このような古い固定観念を持つ先生をマンションの専門家として登場させているメディアが不勉強ですね、自主管理を自治会や町内会と勘違いされてるのでしょうか?
 残念なことにマンション管理士という制度、職業があることの紹介もありませんでした。

 このイラストは、67年前に描かれています。どこにでもいるような紳士が浮遊(あるいは落下か上昇)しています。固定観念を軽々と飛び越えているところが素敵です。見る人をシュールレアリスムの世界に最もたやすく連れていける画家と思っています。
松尾

不協和音

 Aマンションは屋上(共用部分)の一画に携帯電話のアンテナ基地局を設置するため、通信事業社と賃貸借契約を結び、賃料収入を得ています。
 ある日、管理組合理事長宛てに課税対象(不動産貸付業等の収益事業等)に関わる調査書が税務署から送られてきました。

建物の区分所有等に関する法律【区分所有法】
(共用部分の負担及び利益収取)
第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。

 Aマンションの管理規約はこの条文通りに記載されていますので、収入は各区分所有者へ分配しています。そのため課税対象は管理組合ではなく区分所有者一人一人であるとの見解です。もともと管理組合が所有する共用部分や敷地はありません。国税、地方税の過去5年間の税金と遅延金ですが、区分所有者が納税する場合は、持ち分比で分配すると戸当たり年間20万円を超えないため、給与や年金収入だけの区分所有者は納税の対象者になりません。 

[参考] マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会) https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm#a02

 この納税に関して、各地の税務署や関係者に見解のバラつきが見られました。この不協和音が生まれた原因が、国税庁が分譲も個人所有マンションも課税対象として十把一絡げにしたわけではないと思いますが、その後マンション内での収益事業について「居住者を含めた全体を収益事業として認定する可能性もある。」と脅しをかけています。まるで特殊詐欺師が使う「権威に従わせる」やり方を連想してしまいます。

アンリ・ルソー(飢えたライオン)1905年

 Aマンションが管理組合(法人税法上、人格のない社団)として納税する場合は、先に管理規約の変更が必要になります。しかしその影響を考えると区分所有者の理解を得るのは難しいと予想できます。

 管理組合に対しての情報は一方に偏らず、他の組合例や判例等を示し、法人税法上の問題点等も伝えないとマンション管理士の存在意義はありませんね。

アンリ・ルソー(蛇使いの女)1907年

 税関の職員をしながら絵を描いていたアンリ・ルソーは、素朴派、野獣派(フォーヴィズム)と呼ばれています。
 当時の保守的な風潮に反し、感性を強調した独特の世界を築き、ヘンテコな絵でも一度出会うと忘れられない作品を残しました。
 当時は作品を散々罵倒されながらも、後のシュールレアリスム等への道を勇気をもって切り開きました。

 当時の絵具は、混色するだけでも化学反応等で色が鈍化することがありますが、彼の絵が今も鮮やかさを保っているのは、混色に気を使った上に神経質なほど筆を管理していたと想像できます。遠景も緻密に描いていますが、性格は几帳面で正直、少し頑固というところでしょうか。
 絵にはジャングルや動物がよく登場していますが、彼は一度も南国へ行ったことがありません。
 パリの熱帯植物園の中でイメージを膨らませ、世界中の動物を連れてきてくれるルソーの世界です。
松尾

100日後に死なないイヌ

 Aマンションは犬猫等ペットの飼育が禁止されています。
 最近入居した家族が犬を飼っているのが判明しました。仲介した不動産屋は「いまどきペット禁止なんてしたら、商売なんないっすよ。」と自分勝手な主張をしていたそうです。
 物件の重要事項調査報告書には「犬猫等ペット飼育不可」と明記されているにも関わらず無視したことになります。悪質な不動産業者は、売買の残金が回収できれば、その後にトラブルになろうが全くどうでもよく、札束を数えているだけです。

伊藤若冲「百犬図」

 理事会はその入居者に飼育は一匹一代限りという条件で許可をしてしまいました。何故なら、すでに禁止を知りながら飼育している家族があり、その飼育条件に合わせたものですが、これが失敗でした。

 子犬ならこれから7年以上も生きるでしょうし、犬種、雌雄、年齢等を管理組合が管理していなければ、途中で犬種が変わっても誰もわかりません。堂々といつまでも飼育を続けられることになります。
 
 違反者から「迷惑料」を徴収すれば許可されたと都合よく解釈され、他の居住者も「なんだか協力金のようなもの」を払えば飼えるみたいと勘違いされてしまいます。不動産業者は、ペットは条件付き飼育可という物件データを入れてしまいます。
 子供に「なんで飼っちやダメなの」と質問されたら説明が難しいですね。
 なし崩しで「飼ったもの勝ち」の状態では、ペットに限らず他のルールも必ず緩々(ユルユル)になります。ルールが守られてないマンションは評価が下がり、資産価値を落としてしまいます。

 違反者は「ペット飼育禁止」だから購入したという多くの区分所有者の財産権を侵害していることの自覚はあるのでしょうか、ルールを守っている居住者にストレスを感じさせているだけでも犯罪行為です。

 他のペット飼育禁止マンションの例ですが、数名が飼育していることが発覚、一年以内に飼育をやめる約束をしましたが守られません。総会で催促すると「あなたはウチの子を殺せというのですか」等と、どのマンションでもお決まりの「殺し」文句が出て、いつの間にやらこちらが悪者になってしまってます。(泣笑)

 

パブロ・ピカソ「犬」

 オオカミやリカオン等のイヌ科の動物は、群れをなして縄張りの中を獲物を探して走り回っています。
 マンション内に閉じ込められている犬は本能を狂わされ、「愛犬家」という名のもと、自己満足や手軽に征服欲を満たす道具にされ犬の権利を奪っているのではないでしょうか。
松尾

 

アマビエに叱られる。

 先が見えない新型コロナ型ウィルス感染防止の努力は、まだまだ続けなければならない状況ですね。マンションの受付カウンターに消毒液を設置していることも多いと思いますが、「感染防止設備」が自然発生した2つの例を紹介します。

 中規模修繕工事中のAマンションでは、エントランス脇に工事関係者が使う手洗い場があります。学校帰りの子供たちがそこで手を洗うようになったので、現場監督がプッシュ式のハンドソープを設置したところ居住者、訪問者までが利用するようになりました。もうすぐ工事が終了するのですが、手洗い場だけ残して欲しいですね。

元祖「アマビエ」

 Bマンションでは、「ペットの脚洗い場」の貯湯槽の使い勝手が悪く、放置されていましたが、水だけが出るようにして、キレイキレイ(ハンドソープ)を置いただけで「人間の手洗い場」として復活しました。
 あったらいいモノが、少しの後押しで自然に「公認」された例でした。

 マンションのエントランス付近には散水栓や排水口がありますので、手洗い場を設けたらいかがでしょうか?種類によりますが消毒液は除菌はできてもしっかり石鹸で洗い流すことに比べ、コロナウィルスに対しては不十分と言われています。マンション内にウィルスを持ち込まれることを考えると、手洗い場は安くて効果のある設備だと思います。

祇園祭 山鉾巡行

 祇園祭は、平安時代に疫病封じのために始まりました。絢爛豪華に飾った山鉾は疫神やたたりを鎮めておくためと伝えられています。この夏、この行事が疫病が原因で中止になるとは皮肉なものです。

 これは、あのミレーの作品です。
 鎌を肩に死神が後姿を見せていることで人の心の奥深くまで突き刺さるように怖ろしさが増幅されています。さすがの構図ですね。

「死と木こり」Jean Francois Millet

 これはペックリンの作品、死神が「ペスト」をまき散らしています。思わず息を止めて後ずさりしてしまう場面です。
 倒れている女性のドレスの色は異質です。赤と白の色にはどのようなストーリーがあるのでしょうか?
 疫病は目に見えないので、不安や不満の対象を絵画で可視化し「悪いのはこいつだ!」と視覚的に情報共有することによって人々の恐怖をやわらげ、死神を憎むことで人と人の争いを避け、教会への不信の高まりを鎮める役割を果たしてきたと思います。

 ペストが去ったあと、ルネサンスが花開きました。
松尾

「ペスト」アルノルド・ベックリン

桜を切る会

 初夏、Aマンション入り口の両脇に植えられた桜の古木を見上げ、木漏れ日を浴びると空気が澄んでるような気がしてきます。
 道路側の桜は枝葉が電線に触れないように強く剪定、建物側の桜は葉っぱが窓を塞いで暗くならないよう大胆に剪定しているので、枝が片方に流れていて、枝振りは一九分けのオジサンの頭(「海原はるか・かなた」のはるかの頭)のようになっています。(笑)

202006山王 木漏れ日

 私は以前、造園会社が運営するスクールで、造園製図とプレゼン技法(透視図法)の講師を任されていたことがあります。 
 その時に現場の職人さんに造園実務や樹木の注意点等の教えを受け、それからはマンションの造園や街路樹などにも興味を持つようになりました。 

 Aマンションに限らず、大きくなる樹木が敷地や建物のギリギリに植えられている場合が多く、枝葉は敷地外にはみ出ています。将来を考えてスペースに余裕をみて造園を計画しても、販売側の都合で変更、施工期間も押されてしまうのが常です。設計者のコダワリ(○○の一つ覚え)で希少な樹木を指定され保証させられるのも迷惑な話ですね。

 Aマンションの桜の大木は、そのバランスの悪い形が負担大なのか、台風でもないのに突然大きな枝が折れて住民を驚かせました。造園管理をしている会社は、花が咲く量は今後少なくなり虫害も慢性化、弱っているので回復は難しく、桜を切って違う樹種に植え替えすることを勧めています。

 理事会で危険なため桜を切ることの承認を受け、総会で提案すると、「思い出がいっぱいある家族のような樹を切るのはかわいそう」等と桜を切ることに反対されます。こうなるのは想定内でしたが・・。

 桜の木はマンションの計画時点で、もう少しだけスペースに余裕がある造園計画が実施できていれば、根はコンクリートに邪魔をされることなく深く大きく張ることができ、人間の都合でイビツに剪定されることも少なく、寿命を全うする前に切られることもなかったかもしれません。 
松尾

「フウ」の実です。コロナ型ウィルスに似ているような・・・(泣)