管理会社の担当が書類送検

 逗子市池子のマンション「ライオンズグローベル逗子の丘」敷地斜面が崩れ落ち、下を歩いていた18歳の女子高生が巻き込まれ死亡する事故が起きました。2020/02/05

 3年以上が経過して、管理会社「大京アステージ」の当時の担当者36歳が業務上過失致死容疑で書類送検されました。
 「管理員が異変に気付き管理会社へ事故の前日に報告したにも関わらず、業務上の注意を怠った。」という理由です。
 事故原因は「風化を主因とした崩落」と結論付けています。

 今日6/23、担当はすぐに崩落につながるという発想にならなかった(民訴)と述べています。たとえ緊急の意識があっても、担当がたとえ土木や災害の専門知識があっても、すぐに現地へ向かい明日の事故を予見して、その日のうちに公道の通行止め等の処置をとるのは難しいと思います。
 想像ですが、理事長に緊急報告をしたところで、現場が崩れてない限り「しばらく様子みましょ」とか「専門の人に見てもらってください。」としか理事長は言えないと思います。
 この事件は、以前に「資産価値下落の補償は誰が?」とこのブログに書いています。

 NHKニュースでは、管理員のことをこの業界では使わない管理人という呼び方なんですね。NHKが使うせいか、上から目線に感じます。
 まだ「管理人さん」ならOK、小さい子供からは「ゴミのおじさん」と呼ばれることも、子供は正直ですね。

 情報が少ないのですが、見たところ末端の物件担当者に責任を負わせているようです。これがライオンズマンションの大京グループの悪しき伝統でしょうか?
 人一人亡くなっています。代表か湘南支店長が負うべきでしょう。これでは担当なんてやる人いなくなくなりますよ、給料安いし。
  
 こんなのをもらったのでリンク貼り付けておきます。
 わざわざ東電の前で放出反対のデモしてますが・・・。トリチウム放出(福島原発は22兆ベクレル)「世界の年間のトリチウム液体放出量」
 あれ?自国のことは棚上げで、なんで他国が放出することの非難をしているの?という図のようですね。
 ・韓国さん、自国の古里原発だけでも49兆ベクレル放出しているから、せっかく店に並んで天日塩を買ってきたのにもう手遅れでしたね。
 ・中国さん、この外にも泰山+陽江+寧徳+紅沿=447兆ベクレルを黙って放出しているのに、日本の放出を非難するという強請国家の嫌がらせには驚きを超えて’さすが’です。
 これを上回る量を放出しているのはフランスで、誰も文句言ってません。これで電気の輸出をして稼いでますからね。
 漁業関係者が心配するのは風評被害です。
 まだ日本の処理水を汚染水と呼び、風評被害を誘発する人達が日本国内にも多数見られるのが残念です。
 多くの人へ正しい理解が広まるように願っています。
 処理水→ALPS処理水に関する質問と回答 (METI/経済産業省)
松尾好朗

居住区分所有者と外部区分所有者

 2023/05/28 大田区管理士会の無料相談会にて、賃貸化の増加や外国人の入居に伴う居住者マナーの低下、ルール違反が目立つことについてご相談がありました。
 このような相談の場合は「居住者間のコミュニケーションと啓発活動、掲示物などによりルールの周知を図り・・・。」というお決まりの回答が用意されています。これは、全ての居住者が素直で協力的なら素晴らしい答えなのですが、実際このような助言で解決に至ることはまれでしょうね。
 ご相談者は時間を割いて来ていただきましたので、後日管理士会2名で現地(マンション)を訪問し、立地環境からゴミ置場等まで管理状況を拝見した上で、いくつかの助言をさせていただきました。

 内容によりますが、現場を見ないようなアドバイスは、AIにやらせておけば間に合うと考えています。管理士会はそのため地域を絞って活動しています。
 当管理士会では初回(相談会は回数に含まず。)のご相談は無料で行っていますので、遠慮なくご利用下さい。(大田区とその周辺)
 経験上、理事長の頑張りで賛同者を得て、少し改善がみられても、鮮度を保って維持するのは難しく、時の経過や役員交代により戻ってしまう例を見ています。

オルガ・ヴィジンガー=フローリア
「窓際のケシの花束」

 スプリングマットレスや壊れた自転車などの粗大ごみを、区が指定する処理券を貼らずに共用部分へ放置、それを管理員不在の時間帯に出しソッと退居されたら、いつ誰が出したのかさえ分かりませんね。
 防犯カメラがあっても、映っているのが誰だかわからないこともあり、そもそも再生して一人ずつ確認するには膨大な時間が必要です。
 やむなく管理組合の費用で撤去しましたが、でも明日の朝また一つ増えていたら?・・・ストレスがたまりそうですね。
 賃貸者が放置したものなら、この費用は外部区分所有者から集めた方がよくないですか?

オルガ・ヴィジンガー
裏庭の池

 数千万円もするマンションの購入は多くの場合、一生のうち何度もない買いものです。ローンを組んでの返済は命がけです。
 一方で家賃を払い、気が向いたら住処を移せる賃借人とは、同じ棟に暮らしていても、意識の違いがあって当然です。
 もう一方で外部に居住する区分所有者の多くは、主な目的が家賃収入を得ることですので、立場に違いがあります。

 その上、組合役員を免除されていることも多く、収益性が下がれば部屋を売却するだけですので、建物の長期的な維持管理を語る上で両者に齟齬が生じます。

 少し前の話です。
 いつの間にか外国人らしき数名の若者が居住し始めました。所有者から届出はなく、ポストにも名前は見当たりません。時々、夜遅くまで騒ぎ、近隣に迷惑をかけていました。管理会社はそれを受けて、日本語に英語併記で注意書きを掲示をしましたが、その後のフォローはありません。
 部屋の所有者は賃貸管理会社へ任せているので、どんな人物が借りていることさえ把握していません。その賃貸管理会社は「(賃借人へ)伝えておきます。」というだけで、その経過や結果報告もありませんでした。

 本来は、部屋の所有者が契約した賃借人に対して、定められた管理規約、使用細則を遵守することの「誓約書」をとるのですが、多くの会社(担当によります。)は、手間がかかりお金にならないことは省きます。

 この真相は、賃借人がアジア系の複数人へ「また貸し」をしていたのでした。一般の賃貸借契約では禁止されています。

1890年 エミール・ヤコブ・シンドラー
プランケンベルク近くのポプラ通り

 マンション管理会社も不動産賃貸管理会社も「今やってます。」ばかりなので、そのアジア系の人が持っていた連絡先から理事長が探り出したものです。
 三流の賃貸管理会社に任せるとこうなってしまいますね。
 マナーやルールを守らない状態の放置は、居住者に不安を与え、スラム化が始まります。
 管理会社は管理組合から管理事務を委託されているだけの立場に関わらず、個人情報ガーなどと、名簿を管理者(理事長)へ提供しないという勘違いをしていることがあります。

マリー・エグナー
洗濯物の干してある風景

 委託契約書には、管理会社は「甲(管理組合)の組合員等異動届に基づき、組合員及び賃借人等の氏名、連絡先(緊急連絡先を含む。)を記載した名簿を整備する。」とあります。
 理事長へは、区分所有者名簿、居住者名簿、入退居届出等も管理会社から提出されていませんでした。

 マンション火災発生時、救急・消防隊が管理者(理事長)へ至急要求するのは、最新の居住者名簿ですので、いつでも最新版を提出できるようにしておくことが必要です。
 管理会社の夜間休日緊急センターは、外部委託が多いので、名簿検索が制限がされている場合が多いのです。(制限なければ逆にずさんな管理と言えます。) 
 部屋の賃貸人(入居者)を届け出るのは区分所有者の義務ですが、整備しておくのは管理会社だけでなく、管理者(理事長)の義務でもあります。

 一棟のマンション内で複数の部屋を所有している区分所有者(法人が多い)は、各部屋ごとの居住者届けをプライバシーを盾に提出しない傾向があります。部屋の入退管理はこっちでやるからということのようですが、居住者名簿は必ず提出させて下さいね。
 総会時に外部在住の区分所有者へ、収支報告だけでなくマンション内で起きている問題を提議し少しの波風を立て、区分所有者と賃借人の居住者票の再提出(連絡先の変更が多い)を行って下さい。

 何か特別なことがないと理事会を開催をしない組合がありますが、せめて2~3か月に一度(年に4~6度)、理事会として成立しなくても、管理会社の参加がなくても、意見交換会で良いので、理事長が中心になって開催することをお薦めします。何か得ることがあります。

 文中の絵画は、19世紀末ウィーンに活躍した情趣的印象主義の3人です。
 仏印象派とは違い、風景画が中心です。
 オルガ・ヴィジンガーは絵を学ぶも上達が見られないので、ピアノに専念し5年間はピアニストとして成功していましたが、30歳で手のけがをきっかけに今度は絵画に力を入れ、同じ女流のマリー・エグナーと共に、エミール・ヤコブ・シンドラーに師事し、後には独自の画風を築いた少し変わった経歴の持ち主です。
 ついでにですが、師のシンドラーの娘は、作曲家のグスタフ・マーラーの妻になりました。
 松尾好朗

ルーフバルコニーの柵の外周管理(その2)

 2023/5/28(日)開催、マンション管理に関わる無料相談会のご案内はこちら

 以前にルーフバルコニーの柵の外周管理2020.2.3という題で投稿しました。私の駄作ブログの中で閲覧数が多い記事の一つです。(その2)として他の実例を紹介します。
 「標準管理委託契約書」をそのまま採用している管理会社は、ルーフバルコニー外周の具体的な管理仕様と費用負担については明記せずに契約していると思います。
 通常のバルコニー(ベランダ)では、その専有部分に居住する者(占有者)が日常の管理を行い専用使用することになります。
 排水管は上下階とつながっていますので、落ち葉やゴミで詰まらないようにバルコニー内の排水口を清掃をするとか、鳩の営巣や避難ハッチ下に障害物を置かない等、放置すると他へ迷惑をかけてしまいますからね。
 ルーフバルコニーの場合は、柵の外周に排水溝、排出口、パラペット(壁面の立ち上げ部分)等があります。外周には安全柵等はなく危険なため、一般の人は立ち入れません。

 管理組合を通して居住者からルーフバルコニー外周の清掃依頼があり、そこではプランターから流れ出たと思われる土砂と枯れ葉、ゴミ等が混じりあって排水口がふさがれ、写真のように雑草というより低木がしっかり根を張って成長していました。
 種子が風か鳥のフンで運ばれたのか、放棄した鉢植えの生き残りなのか分かりません。

 おそらく、この排水管の下のエルボ(縦の管から横の管へのつなぎ)には砂が硬く詰まり、排水不良を起こしていると想像できます。また、この草木の根っこまで力で引き抜くと防水層を破いてしまいそうです。
 管理委託契約書には、管理事務の対象として「専有部に属さない建物の部分」と記載されています。つまり専有部分以外のすべてが、管理対象になります。そのためルーフバルコニーの柵の内外いずれも管理の対象となり、内側は専用使用、外側は他の共用部分と同様に通常の管理を実施するところの委託契約書の範囲と考えられます。
 トラブルを避けるためには、委託契約書の仕様には、外周管理の仕様と費用負担の有無について明記する必要があります。
 定期的に管理を実施していれば、防水被膜と排水の状況の確認や部分補修ができるので、下階へ突然の漏水事故等は防ぐこともできますね。

ピエール・ド・ブレ《ブルターニュの女性》 1940年 カンペール美術館

 ある管理会社では年に1度、ルーフバルコニーの点検清掃の実施日時を通知・掲示して、委託契約とは別に受注しています。その場所が居室の前を横切ったり、専有部分を通過する場合もあります。
 実施費用は作業内容や面積によりますが、危険な高所作業になる場合は2名以上の、相互監視をして安全装備での作業が正しいでしょう。

 契約書等に「費用は別途」と明記されていない場合は費用請求ができないため、管理会社によっては、高齢の管理員一人で柵外の清掃や雑草取り作業の高所危険作業を指示している例を見かけます。
 管理員が危険場所の作業中にマンション裏の隙間などに落下して数日経過…最近姿が見えませんね、ということになりかねません。

 死人に口なしで、「管理員が勝手にやったことなので、管理会社は一切の責任は負いません。」なーんてことで済まされるかもしれません。
 私は屋上などの高いところが好きなア方なのですが、屋上炎天下のしゃがみ作業で立ち上がったらクラットットとなった経験があります。その高い屋上から他のマンションを覗うと、全く放置されていることが多いですね。

ポール・セリュジエ《さようなら、ゴーギャン》  1906年 カンペール美術館

 費用は別途としなければ、請求ができないどころか外注したら赤字になってしまうので、管理会社は積極的に管理組合には提案しません。
 費用が出ないからといって管理員へ押し付けるのはやめましょうね。


 5/3 新宿のSONPO美術館に行ってきました。
 フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホの「ひまわり」が常設されています。  
 珍しく「館内撮影可」でした。特別展は仏ブルターニュ地方で活動していた画家たちの作品です。ゴーギャンはタヒチに渡る前、この地で作品を残しています。
 挿絵は同地のカンペール美術館の3点です。

7つの「ひまわり」の記事はこちらへ。

 同行者が仏文学、仏語が堪能な方でしたので、絵画の中に見られる文字の解釈や、時代と地方の風俗・文化・歴史とのリレーション等の解説をいただき2倍楽しめました。
 絵画の専門家でなくても、他分野で極めたものがある人は、どこかで繋がる共通点が多く、鑑賞の幅が広いのだと思います。
 いまさらながら、もっともっと色々な勉強をしておくべきだったと後悔しています。

 館内はやや混み程度でしたが、真ん前のベンチに座って、幅76㎝×縦1mの大きな「ひまわり」を堪能できました。
 誰でもうまく写真が撮れる時代になりました。しかし私が撮った「ひまわり」は今や死語の「ピンボケ」で残念。

 2つの謎
 越中生まれの安田善次郎は、丁稚奉公を経て幕府御用の両替商で富を築きます。1887年には保険会社を設立、営業開始は翌年の1888年(明治21年)でした。
 設立からちょうど100年後の1987年(昭和62年)、当時の社名「安田火災海上保険」が英クリスティーズのオークションで、この「ひまわり」を約53億円で落札しました。

リュシアン・シモン《じゃがいもの収穫》     1907年 カンペール美術館

 バブル景気真っ盛りの頃、購入したのは設立100周年の記念事業だったのか、偶然100年なのか謎です。
 もう一つ、善次郎が保険会社の営業を開始した1888年、まったく同じ年にゴッホはこの「ひまわり」の絵を描き始めました。135年前のことです。これもまた、元祖「損保ジャパン」と同じ年の「ひまわり」にこだわったのか、全くの偶然なのか謎が残ります。
 これらの2つの謎をSONPO美術館に訊ねてみたいものです。
 松尾 好朗
 
 

理事会の代理出席


5/28開催、マンション管理全般の無料相談会のご案内

 標準管理規約における理事会開催の定足数及び決議要件です。
(理事会の会議及び議事)
 第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。

 120戸のマンションで、役員の内の監事を除いて、例えば理事が10名いたとしても5名の出席があれば理事会の開催が成立、そのうち3名が賛成すれば議事は可決されます。理事会へ一任するという総会の決議だって、たった3名だけで決めることもできますね。

 この条文のコメントは次の通りです。①~④
 ① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
 ② したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。

仏の座:春、大量に咲いて一斉に枯れました。

 ③ 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定める規約の規定は有効(リンク先:判例平成2年11月26日であると解される・・・中略・・・。
 ④ 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
 ⑤ 要約:規約で電磁的な参加方法を定めて認める。

 ①では理事本人が出席して他の理事の意見と交えるのが本来であるとし、これを強く推奨していますね。
 ②では規約に定められてない限りは、理に適わないとしていますが、規約に定められている場合は、推奨しないものの有効というニュアンスでしょう。

 ③④について、管理規約に定められている場合は、③次の裁判要旨の範囲なら代理出席は有効と解せます。④前もって議案の表決を書面により意思表示することができます。規約には議決権行使書の提出により出席と扱うことを明記し、委任状の提出についてはコメントから推し測ると推奨されていないようですが、委任することが意思表示なので有効と考えられます。但し、議案に対する書面は「〇〇について、賛成・反対」だけではダメで、表決のためには具体的な内容説明などが要求されると考えられます。
 ③の裁判要旨は次の通りです。
 区分所有法四七条二項の管理組合法人の規約中、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる旨を定めた条項は、違法でない。

 つまり、理事が理事会に出席できない場合は、代理出席の条件や書面による表決を認める旨を規約に追加すれば足りることになります。裁判要旨の中の「理事に事故があり」とありますが、事故とは「思いがけず生じた悪い出来事」ですが、どんな事よりも優先したいハッピーな出来事も急に起こることもあるので、事故に限定されるのはどうなんでしょう。
 以前の理事会では、子供の運動会で数名欠席されたことがありました。

品川区のマンション理事長から送っていただいたエントランス脇に健気に咲く「スズラン」です。

 また、「その配偶者又は一親等の親族に限り・・」この文章だと「同居」の文字がないので、別居中の旦那や、田舎の親、外国勤務の子供でも代理人になれてしまうような・・。www
 「個人情報がぁー」とかすぐに叫ぶいまどきにですよ、配偶者とか一親等の親族とか言われても、その証をするのが自己申告なら必要性が感じられません。
 私の経験(管理組合法人ではない組合)ですが、普通の夫婦に見えても、ただの同居で所有者が元妾の名義だったり、親子関係のない前妻の連れ子が理事だったり、所有は義父名義でも理事長になっていたり、これからの多様な社会を考えると、家族とはこうあるべきという昭和の香りがプンプンする制限は考え直す必要があると思います。
 ただ、法律行為など登記上の区分所有者に限られる事項も多くあります。

白いヒメジョオンと赤い虞美人草(ヒナゲシ、コクリコ、ポピー)

 財産権を除いた部分では、区分所有者だけの組織の意味合いが薄れてきています。
 私は管理者である理事長の権限を広めて、管理規約や使用細則などの制限とは別に、その時代、環境、立地に適した合理的な判断で組合運営ができるようなスタイルを理想と考えています。
 外部の専門家がその専門知識(土地、建物・設備、関係法律、会計等)を顧問の立場などでアドバイスするのは、組合活性化や時短合理化のため大賛成ですが、管理者管理方式と呼ばれるところの実際に住んでなくて所有者でもない第三者が組合役員として、どの範囲まで権限を持って何を言えるのかに疑問があります。

 以前、理事会代理出席の範囲を規約に追加する上で、そのマンション個別の事情を取り入れた結果、法律上の親族(配偶者、6親等以内の血族及び、3親等以内の姻族)、及び理事長が認めた者と範囲を広げました。これは「理事長が認めた者」がミソになっており、結局はメリットがあるなら、誰であろうと柔軟に意見を取入れたいという意向が優先されたものです。
 役員輪番制により、多くの区分所有者に組合運営等を経験いただくのは良いのですが、コントロールできるメンバーが入ってないと消極的になり活動停滞、管理会社の言われるまんまに1年間という結果になる場合が多いのです。
 消極性は、前述の理事会の議決権行使書、委任状の悪用になりかねません。
 何事も問題が大きくなってからですと、莫大な費用が必要になる場合や、問題を放置すると、修復できないほどの居住者間の軋轢が発生することもあります。
 そのため平常時からマンション管理士を理事会等に参加させていれば、効率的機で適正な管理のお手伝いができると思います。

 写真は近くのマンションの庭のに咲いた花たちです。
 松尾好朗
 
 
 
 


残念なデザイン(マンション生活編)

 5/28 開催 マンション管理全般の無料相談会の案内はこちらから

1.残念なゴミ袋
 共用廊下に点々と滴の跡がゴミ置場まで続いています。ゴミ袋を持ち歩いた時に漏れ落ちたのでしょう。ドラッグストアで同じゴミ袋を調べてみると、大手オリジナルの45Lポリエチレン製(普通のポリ袋)で、厚み0.011mm、インドネシア製だと判明しました。

 店には同じ45Lの中国製(厚み0.023mmと0,03mm)も棚に並んでいましたが、ゴミ袋なんてみんな一緒でしょと、安さで選べばこの0.011mm商品一択になってしまうんです。

 インドネシアはポリ袋の原料である石油・ナフサの生産国で、人件費も抑えられると企画したのでしょうが、ゴミ袋としては薄すぎて、封筒の角でも穴が開き、上部をつかんで縛ろうとしただけで千切れ、オムツや猫砂で重くなると、ずどんと破れ落ちてしまうまことに残念な商品です。
 

 「もし使うなら2枚重ねにしてね」と表示していただきたいです。www
 集積所では、ゴミ収集車に入れる直前で中身の残飯などがバラバラに散らかりそうです。カラスは喜びますが、収集員は思いっきりストレスが溜まるでしょうね。

 実は、このドラッグストアのレジ袋は以前、黄色と銀(目隠し用)でしたが白色と青に変更してから、商品を入れると持ち手が破けるとクレームを受けていました。またかという感じなので、担当者は朝のゴミ出しを自ら体験していただきたいです。ww

2.残念な荷台用ゴム紐
 自転車の荷台に取り付けるフックの付いたゴム紐2本1組、中国製100均商品です。

 たった1度使っただけで、フックとヒモがこんな(拡大写真)のようになりました。
 「ゴムヒモを引っ張っての使用は禁止」と明記してほしいです。(泣笑)
 店にクレームするのは逆ストレスになりそうですが、たとえ100均でも、ちょっとモヤります。

拡大写真

3.残念な駐輪場(駐輪機)
 近くの新築マンションでは2段式の自転車ラックが採用されました。
 ここ山王・馬込の地形は坂が多いというか坂道ばかりなので、電動アシスト自転車が圧倒的に支持を集めています。それに大きなカゴや子供椅子などを付けると2段式の上段には重すぎて上げられません(乗せたら傾く)ので上段ばかりが空いていました。企画のリサーチが甘いのと施設台数の数字合わせなのかムダなことをやってます。せっかく敷地に余裕があるマンションなのに残念です。

 次に量販店の駐輪場、写真だとわかり難いと思いますが、自分の駐輪番号が何番なのか駐輪した側から見えないので、ロック解除には反対側に回って番号を確認しないといけないという駄作です。

停めた側から番号が見えない?

 ガイドの付いた駐輪機はまっすぐ突っ込むタイプなので、ハンドルの幅近くの間口が必要です。高低差をつけても前カゴ付きでは対応できません。
 近くのユニクロはオープン直後、駐輪ガイドレールをすべて取り払って、平置きフリーに変更し台数を倍増させました。さすが決断が速いです。

 例外もありますが、ハンドルを斜めにすれば45㎝幅~でも駐輪できるので、マンションの駐輪場では平置きに勝るものはないと確信しています。
 
 自転車ついでに:ミュシャは自転車の広告なのに、その商品(説明)よりも、はだけた衣装に象徴される活動的な新しい女性像を前面にして、新時代の到来を強く表現しています。

アルフォンス ミュシャ(1902年)
イギリスのペルフェクラ社の自転車のポスター

アルフォンス ミュシャ(1897年)
アメリカのウィヴァリー社の自転車のポスター

 ミュシャ(チェコ出身)はアールヌーボー(新芸術)を代表するアーティストです。
 堺市にアルフォンス・ミュシャ館があります。

 自転車メーカーのポスターなのにハンドルしか描かれていませんね、でもこれを承認した自転車メーカーの社長の決断は素晴らしいです。
 松尾好朗


国から管理組合へ集金システムが続々誕生

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 管理計画認定制度において、認定基準の危機管理体制の中に「要援護者等の把握等を行っていること」という特徴ある条件を設けている地方公共団体があります。
 災害直後はどこからも救助を期待できないので、管理組合(役員)が主体になる場合があるかもしれません。
 要援護者リストを基に必要な援護がスムーズにできるようにとの趣旨と思われます。
 そのリストの対象者が、入院や施設に入所してマンションにいないとか、先週戻って来たとか、常時情報を更新されていなければ正確性に欠けてしまいます。リストに載っているから部屋にいるはずと、本当はいない人の捜索に時間を費やすのは時間的ロスになりますね。
 小規模なコミュニティならともかく、大規模マンションでは全体把握の難易度が高くなると思います。
 管理ができていないリストは、逆に災害現場を混乱させるおそれがあります。

ロバート・フレデリック・ブルーム
『花売り』1892年

 実際の居住者とは、区分所有者(組合員)以外の部屋を借りている居住者等も対象になりますので、管理組合が賃借人等の家族まで常時把握できるのか疑問です(届出がされても世帯主だけで家族の氏名も人数も年齢も記載がない等)。現在は居住者構成が複雑化していますのでプライバシーを侵害しない範囲の情報では災害時には不十分です。
 そもそも賃貸者を含めた要援護者リストの管理を誰が責任をもって維持できるの?ということです。
 管理規約に条項がなければ規約の追加が必要になると考えます。
 

 制度ではリストらしきモノがあれば形式上は認定されるでしょうが、実際の現場で使えなければ意味がありませんね。
 マンション居住者は、日頃からお互いのコミュニケーションを深めておくことが、災害時の対応やトラブルの解決につながる・・・とは、理想論として理解できます。
 しかし、現場は性善説では成り立たず、いわゆる良識ある居住者ばかりではありません。
 居住者の高齢化問題以外でも、居住者カースト、妬み嫉み、無関心、積極性が孤立を招くことや、親切心は用心されたりするのを何度も見ています。
 一定の距離とバランスを取りコミュニティに参加することが必要なのかもしれません。

ロバート・フレデリック・ブルーム『絹物商』1892年 シンシナティ美術館

 自分は居住せずに部屋を貸している組合員の多くは、入居退去の届けを家賃管理を依頼した賃貸不動産会社を居住者名にして、実際の居住者名は不明な場合があります。
 災害時などを考えると、理事会や委員会の活動を行わず(行えず)に他の組合員へ任せ(押し付け)て、恩恵だけを受けている非居住の組合員は、ますます問題視されるでしょう。
 外部在住、非居住の組合員(自称投資家)は、家賃収入減(原価UP)につながる修繕積立金等の値上げに反対する場合が多いですね。年間収益、利回りが悪化すれば手放すだけですから、マンションの将来像を共に考えようなんてつもりは全くない迷惑な存在です。

 話を戻すと、管理組合とは、あくまでもマンション共用部分の維持管理を行うための団体であり、それらに必要な費用の支出範囲は管理規約等で定められています。
 管理計画認定制度において、任意団体の自治会・町内会入会を条件にするのは、管理規約をどう拡大解釈しても整合性は取れないものと考えます。

ロバート・フレデリック・ブルーム『蓮池』

 次々に生まれる制度(管理計画認定制度、管理適正評価制度など)も、区分所有法の解釈とは、かみ合わないと思います。
 別の地方公共団体では「町内会・自治会と連絡窓口を設け、災害時の安否確認の方法を整備継続する」と緊急時等において踏み込んだ要求を管理組合へ向けています。
 大規模なマンションであってもマンション内自治会は認められず、地域の町内会へ入会が前提になります。
 しかし町内会への入会は任意ですので、この自治体が何を根拠にして認定条件にしているのかわかりません。

ロバート・フレデリック・ブルーム
『飴屋』1893年
メトロポリタン美術館

 いつ起きるかわからない大災害への対策を広く認知し、地域互助の機運が高まればという期待があるものと理解できます。
 町内会を前面に地域コミュニティを育てるという理想ですが、町内会役員のなり手不足の上に高齢化、独裁化、排他性、超ブラック不透明会計も以前から問題視されています。
 組織図的にいうと、マンション内自治会の上に位置して、役所の末端組織である町内会ですが、災害時に高齢化した任意団体がどれほど頼りになるのか疑問です。

 マンションの多くが在宅避難を基本としていますが、戸建て等は公的施設への避難ですので、災害時にはまず最初の行動から違っています。
 また公から補助金を受け会費収入等がある町内会(任意団体)と、共用部分を維持管理するための管理組合という団体とは、相いれる範囲は限られるのは当然です。

 この管理計画認定制度(地方公共団体)や管理適正評価制度(マンション管理業協会)など、多くの制度の認定料、システム利用料、事前確認審査料、登録料、評価申請手数料、更新手数料等が発生しています。

 共用部分の電気料金が上がっただけでも繰越余剰金の少ない小規模の管理組合は予算オーバーとなるので、すでに修繕積立金会計から借入という禁じ手を使っている組合もあります。

ロバート・フレデリック・ブルーム
「露天商」
 

 以前も同じことを記載しましたが、中堅大手管理会社が管理しているマンションは、関係する法律遵守はもちろん一定水準が保たれ、管理が適正に行われています。それらをバラバラな基準で認定、評価(点数化)しても社会貢献度は低いものと感じます。

 私は、様々な事情で管理不能(不完全)、管理(会計)破綻に陥ったマンション、耐震補強(または建替え)が必要なマンションを支援して、管理水準を底上げして少しでも地域環境を含めて資産価値を高める方が重要だと思っています。
 制度がマンションの管理水準を高め活性化に繋がればよいのですが、これまでの各制度の失敗を生かして学んでいただく方が先だと思います。
 そしてまた公の外郭団体を増設し、管理組合(区分所有者)が捻出する関係費用が、天下りの資金源にならないようにと願うばかりです。

 挿絵:米シンシナティで生まれたロバート・フレデリック・ブルームは、緻密ながらも生き生きと動きのある画法で興味深い作品を残しています。1890年から92年まで、雑誌の挿絵画家として日本に滞在しました。
 日清戦争が始まるのは1894年ですから、江戸から近代立国の道へとの時代に、庶民を題材にして活発な風俗がスナップ写真のように描かれています。
 当時の欧米の画家は、日本人と中国人を混同(ほぼ同一視)し、作品にどこか上から目線を感じますが、ブルームの作品からはそれを感じることはありません。 
 松尾好朗




中古分譲マンション入居の審査は?

 無料相談会5/28のお知らせはこちら

 昔、あるマンション建設販売会社の代表が繰り返し言っていたことがあります。
 自社物件への「政治家と芸能人の入居は断れ」と。これはいわゆる有名人が入居していると、平穏に暮す他の居住者へ迷惑をかける恐れがあるというのが理由です。
 政治家は自宅であっても人の出入りが多いでしょうし、大臣になろうものなら警官の立ち番が常駐することになります。
 芸能人もファンが押しかけたり、スキャンダルがあればパパラッチが勝手に建物に侵入してくることもありそうです。

 特定の居住者のため機器を新設したり警備システムを導入する場合は、普通なら要らない経費がかかることが考えられます。
 それは当事者だけでなく全区分所有者の負担となります。
 その人が原因で何かの事件が起きると資産価値にも影響する場合もありますね。少しその確率が高いだけだと思いますが。

フランス・ハルス『笑う少年』1625年頃
マウリッツハイス美術館

 1.最近、投資詐欺容疑で逮捕された男の奥様で、メディアでおなじみ国際政治学者の女性は、以前住まわれていたペット禁止の高級マンションで、管理会社が何度注意しても複数匹の猫を飼うことを止めず、また自分の車を来客専用駐車場やエントランスの車寄せに、我がモノ顔で駐車していたということで評判最悪です。
 この度のような逮捕劇があると、こんな過去までしっかり暴かれてしまいますので、皆様も普段日常の行いには十分気をつけましょうね。www
 マンションの最低ルールも守れない人が、国際政治を語るのは恥ずかしいと思います。
 軽井沢の別荘でワインを評するSNSをUPして、セレブを気取っていたこの東大卒カップルは、コロナ給付金詐欺もバレてしまいましたので、もうインチキ詐欺師にしか見えなくなってしまって残念です。
 お住いの六本木ヒルズのお高いお家賃(約160㎡で月200万円以上)は踏み倒さないようにと要らぬ心配をしてしまいます。

Frans_Hals_-_Luitspelende_nar
リュートを弾く道化師 (1623-4年)

 2.父親がプロスポーツプレーヤーの息子で〇黒〇という人気俳優が住んでいた青山のマンションのことです。
 そこは常駐管理といっても夜間は管理室を閉めて管理員は仮眠する管理形態でした。
 そんな仮眠中の真夜中、駐車場でけたたましく鳴り響くクラクションに飛び起きて駆けつけると、その俳優が契約している駐車場区画に違う車が駐車していたので、真夜中であろうと関係なくクラクションを鳴らしまくったようです。

 時々間違い駐車はあるので、このような時は来客用の区画に停めていただくようにしているのですが、今すぐどかせろと管理員に悪態をつき怒鳴り散らし、手に負えない状態だったようです。
 俺様はすごいスターなのだというマウントとりなのか、若くしてチヤホヤされるとこうなってしまうのでしょうか、でも天狗にならない人もいますもんね。

3.俳優の岩〇滉〇が借地料を払わず裁判沙汰となったとき、ウチではバイク代金を踏み倒されたとか、アチコチから素行の悪さが暴露されました。今は北の国で住まわれていますね。

 2023/3/15ガーシー議員の除名記念で、マネしてゴシップ記事を載せました。
 でも、マンション内で誰にでもにこやかに挨拶をされる女優さんや、大きな体を折り曲げてお辞儀される大相撲の親方など素敵な有名人もおられます。
 自然に人を温かい気持ちにさせるのは、育つ環境・教育、本人の努力から生まれるのか、品格というかオーラのようなものを感じることがあります。

Frans_Hals『子供たち』 (1620年)

 本題の中古マンションに入居するときの(金銭面以外の)審査ですが、不動産業者は売れて手数料が入れば、たとえ裏事情を知っていても、だれに売ろうと責任はありません。賃貸でも貸してなんぼです。
 管理者(理事長)へは多くの場合、不動産仲介業者から管理会社経由で「区分所有者変更届」が提出(登記された区分所有者の名義人のうち、代表1名)されるだけです。
 さらに居住者票(実際に住む人)の提出では、家族の名前や年齢を記入する欄があっても空白が多いのが最近の特徴です。
 その書式が昭和の役所のようだったり、同居者との関係なんて大きなお世話だったりしますね。こういうところが災害時の名簿を作ろうにも不正確になってしまう原因の一つです。

Frans_Hals_-_Zigeunermeisje
ジプシーの女 (1628-30年)

 一部地方の自治会では賃貸入居者の面接を行うこともあります。生活上のルール説明が主なもので、自治会が何か権限を持っているわけではありませんが、ルールを守りますという誓約書を入居者がサインして提出することがあります。
 地方では手土産をもってこの人とこの人のところへ挨拶してくださいだとか、煩わしいこともあります。アホらしと思って無視するよりは、千円の菓子折りが何十倍になって返ってくることもありますので、郷に入っては郷に従いましょう。

 本日の挿絵の紹介です。若い頃、欧州で最初に訪問した美術館がフランス・ハルス美術館(FransHals)でした。ハールレム(Haarlem)というアムステルダムの隣町にあります。この画家はオランダで有名なレンブラントと同時代に活躍しました。

 この人の人物画の特徴は顔の表情です。
 まだまだ人物といえば威張った権力者の肖像画が主流の時代でしたが、近所にいるような民衆を表情豊かに生き生きと描きました。

 ユーロ紙幣になる前、オランダの10ギルダー札の顔がフランス・ハルスでした。日本での千円札なので、とてもよく知られた人なのですね。
 松尾好朗

 



 

 

給湯管からの漏水事故

 5月28日(日曜)に無料相談会を開催いたします。
 詳しくはこちらをご覧ください。 

 東京ビッグサイトで開催された、JAPAN SHOP、建築・建材、ライティング、リテールテック、セキュリティー、フランチャイズ、国際家具見本市の合同展示会に行ってきました。いずこも同じCovid19による制限があり、久しぶりのナマ開催となりました。

 NHKの朝ドラで、東大阪の町工場の「ひし形金網」の話がありました。展示会のNIPPONプレミアムデザインのブースの中で、その話のモデルになった本人から町工場の悲哀、苦労話などを面白おかしく聞かせていただきました。
 東大阪に限らず各地の若い職人の新しい挑戦と技は実に素晴らしく、高品質の上に勢いを感じました。昔の「地方=ダサイ」という固定観念は外した方がよいと思います。

東京ビッグサイトの微動だにしない女性ガードマン、遠くゲートブリッジを臨みます。

 モノをカタログや映像で見ていると、色や質感は無論のこと、スケール感が全く違うことがあります。ネットで買い物をすると「思てたんとちゃう」のが届いたと文句を言う人がいますが、私のようなオジサン世代は、実物を見て触って納得して選び、汗かいて持ち帰りたいと思ってます。
 中国をはじめ外国製品が異常なほどに溢れかえっている日本人の生活ですが、このまま日本のモノづくり文化が衰退すれば、新しく何をするにしても「どうせやってもムダ」というような目的意識がぼやけた閉塞感に覆われ、3流品ばかりに囲まれて目は肥えず、選択肢が少ないレベルの低い面白くない世の中になってしまいます。
 国や都は怪しい人権団体、環境団体、コオロギなんぞに言われるまま公金を大盤振る舞いしないで、日本の若者がワクワクして挑戦できる環境を整えてほしいものです。

給湯管(銅管)の内部拡大(コウセイHPより)
管と継ぎ目に緑錆が見られます。

 本題から外れましたが、展示会ではマンションの経年に伴う設備配管の老朽化により、赤水や漏水事故を防ぐため、給水管・排水管を全交換することなく、既存の管の内側を研磨してライニングして延命する方法や、水を改質することで赤さびを黒さびに変換して鋼管等を延命する方法等が紹介されていました。

 給水管も排水管も共用部分と専有部分がつながっている配管設備ですから、標準規約第21条の2「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」と、この更生工事がピッタリ当てはまりますね。排水管清掃も同じです。
 でもお湯の方「給湯管」は専有部分内の設備配管なので、どうすればよいのでしょうか?私が住むマンションの実例を話します。

グロンサン

 竣工1989年「平成」の文字が掲げられた頃でした。シーマの発売、カウチポテトやファジー、ベルリンの壁、5時から男、24時間働けますか?なんて言葉がはやるイケイケでバブリーな時代でした。

リゲイン

 そんな時代とは関係なく建物は 内外装ともにシンプルな仕様で、大田区では数少ない建替えが成功したマンションでもあります。
 建替え前は特に設備の老朽化が激しく、共用・専有部分かまわず頻発する給水管、排水管(白ガス管)からの漏水事故に悩まされていました。(私は途中入居者ですので聞いた話です。)そういう事情から建替え後の給水管は高額のステンレス管が採用されました。しかし各戸のお湯(給湯)の管は、当時一般に使用されていた銅管でした。
 現在、給水給湯管に使用されるのは主にポリエチレン管ですが、当時はまだ普及してなかったのだと思います。

 令和も5年となり、さすがに34年間こき使われた給湯管は老朽化が進み、漏水事故が目立つようになりました。
 銅管の内外の腐食により小さな穴(ピンホール)から漏水が始まり、少しずつ階下へ伝わりやっと判明するケースが多いようです。
 専有部分であっても、放置すると階下への漏水事故が多発することが予想されるため、銅管のライニング工事を専有部分の所有者へ提案しました。一戸で実施するより多くの実施希望があればスケールメリットによるコストダウンを期待してのことです。
 専門業者へ現場調査と見積を依頼して、希望者へ専門業者と個々の契約で実施、私の場合は、給湯器からキッチン1、バス2、洗面2の蛇口までの銅管へのライニング工事です。工事期間2日、初日に銅管内の研磨、乾燥、ライニングまで行い、2日目にライニングの状況を調査して通水(湯)検査する工程で、実質1.5日間はお湯は使えません。10年間の保証がついています。
 また、管内へ圧がかからない追い炊き管や暖房管(循環)に使われる細い径の管はライニング施工はできません。
 給湯管をライニングできる業者は少なく、同じ悩みを持たれている管理組合は試されたらいかがでしょうか。<参考>㈱コウセイHP(動画があります。)

余計な話題
 本日3/8は国際女性デー
 美術館で女流画家の展示が少ないのは差別、女性ヌードが多いのも差別だという海外発の報道がありました。
 これ、各作品の歴史背景と当時の価値基準を調べればわかると思うのですが、これらをありがたく取り上げて、日本を貶めたいマスコミが同類かもです。

アレクサンドル・カバネル(1823-1889)「The Birth of Venus」(メトロポリタン美術館)
天使たちがいるので宗教絵画、いなければエロ(薄く開けた目からあなたを見つめています。)典型的なアカデミック絵画ですが、女性と波のスケールが調和していません。やっぱりエロが優先?

 ジェンダー平等、女性の社会進出の順位は、主要国ではアイスランドが1位で以下北欧諸国が続き最下位が韓国、その上が日本という、相変わらず自分たちが正しいと思い込んでいる西欧・北米の物差しを使って楽しく他国を差別していますね。
 全人口33万人のアイスランドと他国(大田区だけでも人口72.8万人だぞ)を比較してどうしろって。
 でも、なんでも言えるこの世の中は平和ということです。
 松尾好朗

マンション新世代の消費スタイル

 2023/2/1から2/15まで、このホームページの「公募・入札情報」のタグに、大田区内のマンション(31戸)の大規模修繕工事(第2回目)の施工会社募集のお知らせ(要領書)が掲載されます。ご興味のある会社様は是非ご応募下さい。

 あの、先日お願いした書類のご返送はもう?..いえ封筒、大きな緑色の..ありましたか?はい、それだと思います。..そうですフセンが貼ってあるところにピンクの、..いえ、フセンの色のことですが、..で、理事長印、ハンコです。もう提出期限が迫っていますので、..いえ、だからハンコはこちらでは押せないんですよ😢..。
 理事長印を受けるのに、こんな電話のやり取りを経験された方もあると思います。

 行政庁へ提出する法定点検等報告書、保険関係の書類、工事見積の承認・注文書、銀行の払戻請求書・振替依頼書、専有部の修繕工事承認書、関係会社の契約書、駐車場契約書など理事長在職中には数多くの書類が発生します。
 たとえ管理事務のほとんどを管理会社が行い、今後は脱ハンコやDXがあるとしても(法的には)管理者である理事長が内容を理解して承認しなければなりません。

クボタヒロコ

 役員のくじ引きで「やらされた」理事長は、送られてきた面倒な書類を、連日の残業でクタクタになった体では、開封する気にもならず後回しで忘れられてしまうのでしょうね。書類の内容の理解となるとなおさらです。管理適正化法の指針から程遠いような...。

クボタ・ヒロコ『相談の森』 燃え殻・著

 各マンションのゴミ置き場はクリスマス、正月のお年玉と続く時期、プレゼントの箱や包装紙であふれます。

 「パパは何でも知っている」「うちのママは世界一」など、昔のアメリカンホームドラマの中で、親からプレゼントをもらった子供が、嬉々としてきれいなパッケージをビリビリ破るシーンを見て、日本人は「アメリカの豊かな中流家庭」を垣間見、憧れを抱いたものです。

 日本は古よりリサイクル「もったいない」思想により、包装紙などはきれいに折りたたんでストックする習慣がありましたね。そうしないと少々の罪悪感をも感じるくらいでした。
 季節感に敏感な日本の生活スタイルでは、それらのストックのため納戸などが間取りされていました。
 生まれたころから地球環境、脱炭素、省エネルギーなどと、ゴミや資源リサイクル問題を当たり前に教育されて育ってきている若い親世代は、古き良き大量消費時代のアメリカンドラマのごとく、つまりプレゼントの箱も包装紙もリボンもそのまんま、中身だけを取り出しただけの状態でゴミ置き場に投げ込んでも違和感がない意識環境へと変化し、享受しているように見えます。
 このまま新世代の消費を委縮させず、効果的な資源再生が課題になります。

 関連して、自然エネルギーの代表格、ソーラー(太陽光)パネル事業でも、適正な普及は反対しないと思いますが、知事、政治家をはじめ開発業者、環境団体、外国資本、怪しいNPOを名乗る団体などが利権を手に入れるためにうごめいてカオスです。
 こういう状況を魑魅魍魎が跳梁跋扈しているというのでしょうか?

クボタヒロコ

 最近のソーラーパネル設置事業の造成、基礎、設置工事のずさんな状態を見聞きして、地デジ化工事の頃のイイカゲンな工事業者と同じ臭いがします。
 マンションに関係する電気自動車の充電設備ビジネス、災害対応ビジネス、関連の資格免許認定ビジネスもしかりです。
 補助金、助成金コンサルタントなる商売まで出現しています。公金(税金)を狙う怪しい組織に支配されないことを祈るばかりです。
 
 文中のイラストレーションはクボタ・ヒロコさんの作品です。
 別世界の暖かくて心が落ち着く画風ですね。
 松尾好朗





マンション管理費の目的外の支出

 Aマンション会計の支出明細を見ると「赤い羽根」(共同募金・福祉基金)という項目が目にとまりました。居住者に覚えがなくても、町内会費とは別に毎年支払われているようです。
 これ、今話題のずさん会計が問題になっているWBPCなる偏向団体へ、赤い羽根で集まった募金や基金を大盤振る舞いされていたことが判明したばかりですね。
 「政治思想を広めることを目的とする団体」への助成は対象にできないはずですが、赤い羽根の理事が偏向思想の同〇社大学の教授で、自身の関係団体へ毎年巨額の支援金を流していました。
 弱者を救うと正義面して、裏で甘い汁を吸い自身の政治活動に使っていたのは許せません。
 赤い羽根はこれからは「赤いピン羽根」と呼ばれますね。多くの善意とボランティア活動をされている方を裏切る行為です。

 管理組合ではこのようなことは少ないと思いますが、組合員は総会資料で明細が記載されてなかったり、意味の分からない支出を見つけたら総会でどしどし質問しましょう。
 また、マンション独特のやむを得ない負の事情等があれば、隠さずに公開して共有する方がよいと考えます。

アンダース・アンデルセン・ルンビ
冬景色が得意なデンマークの風景画家

 前回実施の提出書類に、日付だけ変えただけに見えてしまう建基法12条点検(特建・建築設備定検等)は、計画的で適正管理が行われているマンションに本当に必要なのか疑問(多摩川を越えると不要)があり、管理計画認定制度、管理適正表示制度、登録表示制度ほか次から次へと搾取(カモに)されているという意見が耳に入ります。
 管理士でも目的や必要性を明確に詳しく説明できる人はなかなかいませんね。ww

アンダース・アンデルセン・ルンビ

 話を戻しますと、マンションの居住者が町内会(任意団体)に入会するのは、個人(世帯主)の自由です。
 氏子と町内会等が主催するお祭りで配る「おやつ引換券」が町内会未加入家庭の子供はもらえないので可哀そうという話をよく耳にします。そのお菓子の購入や袋詰めするのは町内会なので、地域の子供全員へとはいかないのは当然なのでしょう。

 でもこんな話ずっと前から続いているわけで、町会は区から公金(補助金)を受けている分、未加入者が不公平にならないように全員に配るべきですが、昔と違って「おやつの袋」は子供にとってはもうイベント性は薄れていますし、食べ物を触る衛生面も問題視されるので、もうやめた方がよいと思います。
 ではお祭りの夜店、屋台は衛生的なのか?と反論が聞こえてきそうですが、私は子供たちが少し怪しげな雰囲気の中ワクワクする非日常感の体験・自己責任の少しの冒険ができる方を優先すべきと思っています。
 ついでに、餅つき大会の「合いの手」は素手ではダメなようですよ。😢

 また話がそれてしまいました。
 管理費とは区分所有者が負担する共用部分に関わる経費であり、町内会費は地域に居住する加入者(区分所有者、賃借人等)から別途集金するものです。しかしマンション各戸への集金手段が難しく、居住している賃借者ではなく居住していない区分所有者が負担している管理費から引落していることが多いと思います。

 もし数人の区分所有者が町内会へは加入しませんとなれば、管理組合はその方たちから勝手に町内会費の引落はできません。
 町内会の請求金額ではなく、集まった金額だけを、加入者の未収金があればそれも除いた分を払えば足ります。管理組合が立替える必要はなく、町内会費の未収金管理(請求・督促等)も行う必要もありません。

アンダース・アンデルセン・ルンビ

 流行りの同調圧力で、会費が年に戸当たり年1,200~2,400円程度なら、まあいいかと払っている人が多いのではないでしょうか。(ちなみに芦屋六麓荘町の町内会費は入会金50万円、年18,000円)
 そもそも町内会の担当が戸別訪問により集金し、日常的に情報を交換して、いざというときに助け合えるのが理想的でしょうが、多くの町内会が高齢者ばかりなので望み薄なのが現実です。
 年間行事も完全に形骸化(もう骨董品😢)していて、改革しようとする人は皆無、最も重要な町内居住者間のコミュニケーションが欠落しています。
 ついでに言うと区からの公金を受けている割に決算書がブラックで、百万単位の収支でも明細がなく一式で判明できないようになっていることが多いのです。

アンダース・アンデルセン・ルンビ

 Bマンション管理組合では、やはり集金手段がないので、町内会費ではなく雑費の中で「近隣対策費」という項目を設け管理費から支出しています。交際費に近いものと扱い、総会承認事項になります。

 長くなりましたので、これで参考にしていただければと思います。

 挿絵の画家、アンダース・アンデルセン・ルンビの風景画からは「シン」という音が聞こえてきそうです。(ルンビという名前のスキージャンパーがいましたね、多分北欧のどこかです。)
 4枚目には珍しく建物と人物が描かれていますが、人物と比較すると建物のバランスが巨大になっています。まだ雪が残る季節、暖かい窓の灯かりを強調したのだと思います。
 松尾好朗

高経年マンションと居住者の高齢化

 皆様、明けましておめでとうございます。令和5年元旦
 昨年はこのホームページを通し多くの方からお問合せ、また各専門分野の方々からご助言や情報の提供をいただき誠にありがとうございました。

 マンションの高経年化と、そこに住まう人々の高齢化については、もうすでに大きなテーマになっていますね。

 世間では、上級国民と揶揄される高齢ドライバーや、都合が悪くなると言った覚えはないという頑迷な名誉教授、イイネを言論統制する裁判官、補助金だけは受け取るワクチン反対の老医院長、そんな元気すぎる高齢者が目立ちましたね。マンション管理組合でもその縮図が見られます。

歌川広重「隷書東海道」の大津 何が起きたのか、わめいているおじさんを周りからなだめられている様子を、荷牛車の前から眺めている男は相方でしょうか?ストーリーがありそうですね。

 総会で決議された緊急性のある工事を、自分の知人の会社ならもっと安いと言ったきり自分では何も手配せず放置する長老の役員、他の役員は高齢者への遠慮があり、情報もない中ではコトが前へ進みません。

歌川広重「四日市」
遠近法でいうと左の菅笠を追っかける人と比べて、右の菰を被った人が巨人になってしまいますが、不自然に見えないのがさすがです。

 反対の例があります。総会決議を経ず、自分の知人の業者へ中規模工事を勝手に発注した声の大きなワンマン理事長、不正が明らかでも同じマンション内に居住する理事長を、手順を踏んで訴訟するには体力と時間と資金が必要です。無関心な組合員にも責任はあります。

 また若手の役員を部下のように扱う勘違い役員、嫌われますね。
 これでは他の役員のやる気が失せてしまいます。

歌川広重「行書版東海道」関 旅籠屋の店先
今着いて盥で脚を洗って機嫌がよさそうです。旅人の袖を引っ張ってるのはおばあさんのように見えますが、高齢の客引きでしょうか?ww

 あの役員がいるので参加しないと言う役員が出てくると理事会は成り立たなくなります。
 一般的に高齢の役員は議案と関係がない話が長く、自分の生活範囲外やAIやITに関係する設備導入は否定的な傾向があると感じます。

 建物・設備は、計画的な積立金があればなんとかなります。でも悪質コンサルタントに騙されないようにしましょう。
 マンションという居住形態では、高齢者の寝タバコや揚げ物調理など専有部分の火の扱いも全館へ影響が及ぶので心配です。またセールス訪問にほいほいオートロックを解除して中に入れてしまうことは、他の居住者全員に迷惑をかけることになります。
 高齢役員ばかりに組合運営を任せていると、たとえ経費は抑えられても、残念ながら時代遅れの落ちこぼれマンションとなりがちです。こうなってからでは資産価値の回復は困難になります。
 これまで高齢者が関わる悪い例ばかりを挙げましたが、役員は各世代の意見を取り入れて運営するのが理想的です。
 10年前の修繕計画などはすでに使えません。補修に追いかけられるのではなく、時代に合った機器、システムの導入、新しい仕上げ材料、工法の採用等を修繕計画に取り入れる見直しが必要です。

歌川広重「鞠子宿」
 鞠子名物といえば「とろろ汁」です。ポスターに描かれた二人が腰掛けて食べているのも鞠子のとろろ汁です。この頃も足を組んで食べる人がいたんですね。

 原宿の太田記念美術館で広重が描く昔のおじさんを集めた展示会が開催されます。「おじさん」だけでは集客が難しいと考えてしまいますが、広重の作品はどれも見ごたえあります。

 皆様、本年も時々ホームページを覗いていただきますようお願い致します。
大田区マンション管理士会 事務局 松尾好朗

専用庭は誰が管理するの?

 マンション1階の居住者が出入りできるちょっとした庭を見かけます。外から生垣越しに見られるその空間は専用庭と呼ばれています。共用部分であっても専用使用権があり通常時は他の人が立ち入ることはできません。
 ほとんどの場合、その専有部分の区分所有者は管理費とは別に使用する対価(専用庭使用料)を各面積に応じて負担しています。専用庭の日常管理は、その使用者(居住者等)が行うことになります。
 また災害等の緊急時には、避難ハッチや1階居住者の避難経路になっていることがありますので、その経路を妨げるような工作物等の設置はできない等の制限が設けられています。

 専用庭と隣地境界の生垣等について、Aさんはヤシを植えたい、隣のBさんは和風の竹垣にしたいとなると、マンション全体の統一感が保てません。そのため生垣は管理組合の管理範囲となりますが、実際はネットフェンスを境界ギリギリに設けて内側の狭隘幅に丈夫で世話要らずの樹種が植えられ、それを管理組合(or管理会社)が造園業者へ管理委託しています。

「ニューヨークレストラン」 1922年


 尚、内部の庭を芝生や花壇、家庭菜園にすることは自由ですが、目的外になる物置や車庫の設置等は禁止と使用細則に明記されていることもあります。また害虫を発生させるような環境や、鳩の巣を放置する等は近隣への迷惑行為に繋がります。

「夜の窓」1928年

 公道と敷地ギリギリに植えてもフェンスの目などモノともせず木は成長します。どこのマンションでも枝葉が大幅に越境していますね、もともと狭い歩道で人のすれ違いは、葉っぱに体をバチバチ当てながらの通行になります。
 モチやシラカシ、柑橘系に限らずスス病がよく見られますが、通行人の服にスス病の黒い汚れがついて110番通報されたことがありました。

またサザンカによく発生するチャドクガの幼虫(毛虫)に通行人が刺されたら最悪です。管理者(一般的には理事長)が管理責任を負うことになります。
 設計者はこのように枝葉が隣地や公道へ越境することを知りながら放置、改める気も力も無いのか何十年も懲りずに繰り返してます。新しいマンションの計画においてもデベロッパーの言いなりですね。
 植栽規模によりますがマンションでは年間4~6回の植栽管理が計画されているのが一般的です。いつも整然と刈り込まれている大邸宅の庭木が放置され始め、葛が絡まるお化け屋敷のようになってくると、その家の財政状況が想像できてしまいますね。マンションも同じで年6回の造園管理が4回になり2回になり・・・。

(右の絵の拡大部分)
ナイトホークス」は夜更かしする人のこと
エドワード・ホッパー 1942年
 
明るい店内とひっそりした外部との 対比、男の背中から、都会の孤独感が滲み出ています。

 Cさんはクリスマスツリーのような大きなモミの木のある1階専用庭付き中古マンションを購入しました。管理組合が行う植栽剪定の日、造園業者からモミの木は居住者が植えた木なので契約外と告げられました。剪定する場合は高木のため道路側からのクレーン車作業になり道路使用や安全管理を含め費用は高額になるといわれて驚きました。売買時の重要事項調査報告書にはその記載がないので問い合わせると、前所有者も知らずに購入したのでわからないとのことでした。(仲介業者の責任回避の作文に間違いありませんが‥。)

 管理組合は管理規約・使用細則またはそれらに付した確認書、覚書等へ、どの樹木が共用部扱いであることが明記(あるいは平面配置図等に図示)されていないと、マンションを中古で購入時には、すでに植わっていたとなればトラブルの原因になり、放置されても危険であったり上階の居室の日照を妨げになることも考えられますね。

エドワード・ホッパー

 最近の類似例です。築45年を過ぎた物件で、専用庭にサンルームのような居室が増築されておりその状態で売買契約が成立した例があります。過去の専有部分工事届の提出記録等はなく許可されていません(もし提出されても許可はできません)。
 売り主側も購入時にはすでにサンルームは存在していたとのことでした。
 これは管理会社の幾度の変更による引継ぎ不足にも原因がありますが、放置していた管理組合に責任があると考えられます。たとえ10㎡以内でも承認されない共用部分の変更は違法であり、他の部屋と㎡あたりの管理費等の負担や固定資産税の割合が違ってきます。専用庭使用料を納めているのは別問題です。
 その場所で漏水事故が起きた場合、管理組合の共用部分の保険は対象外となります。
 仲介業者は面積が少しでも広い方が高く売れるので、売り抜ければその後はなんの責任も負いません。登記面積と現況面積との違いに疑問を持ち、プロならその説明もしなければなりませんが、売り主と口裏を合わせ見ぬふりを通したのかもしれません。

エドワード・ホッパー
「日曜日の早朝」 1930年

 この数年、管理費コストダウンの要求から、管理員の業務範囲や業務時間を短縮していることが多いので、専有部分に何らかの動きがあっても、清掃を終えてさっさと退出する管理員から会社が多くの情報提供を受けることは期待できません。
 フロント(物件担当)が管理員に居住者の売却やリフォーム情報等、業務範囲外の要求をしても道理に叶わず無理というものでしょう。

 もし誰が植えたかわからないような成長しすぎた樹木を、近隣迷惑のため切らなければならなくなったとき、場所によりますが伐採、伐根は非常に高価なものになります。他の修繕計画に影響する金額になるでしょう。早めに管理組合の植栽管理範囲を明記するものを作成することをお勧めします。

 今回の挿絵には、とってもアメリカンな絵画を選びました。
 エドワード・ポッパー(1882-1967)が大都会の孤独感、憂鬱、自由な中の閉塞感を見事に表しています。
松尾好朗




風と落ち葉と吸い殻

 百人一首「・・・竜田の川の錦なりけり」、「・・・紅葉の錦 神のまにまに」とかですと雅な情景が浮かびますが、この季節多くのマンションの庭や通路は色とりどりの落葉の錦絵と変貌します。掃いても掃いても少しの風が吹けばリセットされてしまってますね。
 落ち葉は、敷地内のみならず隣接地や公道等にも舞い落ちるので、マンションの樹木からの落ち葉だけをより分けて清掃できるわけがなく、普通に落ちているゴミや吸い殻も一緒に塵取りに収めることになります。

 マンションの周りを掃き集めた落ち葉を詰めたゴミ袋から火災が発生しました。
 管理員が退館後、ごみ置き場で煙と異臭を居住者が発見、煙感知器(火災報知設備)の作動もない程度で消し止められましたが、落ち葉を入れたゴミ袋の中に、完全に消えてないタバコの吸い殻が混じっていたのが原因と思われます。

レスリー・セイヤー
この人は花瓶に生けた花の絵を何十枚も描いています。1枚で部屋が明るくなります。

 別のマンションでは、共用のゴミ箱に車の灰皿の吸い殻でしょうか、水もかけずに山盛りに入れてあるのを見かけたことがありますが、燃え易い紙などが一緒に入っていると危険です。吸い殻の独特の臭いが館内こもるのも迷惑ですね。
 管理会社が管理組合に報告した「お詫び・・管理員の不注意により・・・」だけで責任を取って辞めていったのはちょっと理不尽な気が・・。

ルノワールの花束

 無責任なのは火が付いたままのタバコをポイ捨てした喫煙者です。
 「マンション周囲の拾い掃き清掃」が委託契約書(清掃仕様書)への記載の有無にかかわらず、これでは管理員(清掃員)は退館の時間前には公道等、周辺の掃除をためらってしまいます。水をかけたけど、まさか燃えてないよね、と後もストレスが残ります。
 私なら吸い殻を見つけたら塵取りには入れませんね。ww

 大田区で一般火災の中で特定できている原因は、タバコがいまだにトップです。近隣へ人の命、財産に被害を及ぼしても「失火の責任に関する法律」によって加害者責任はありません。タバコのポイ捨てで火事になったら災難というしかありません。
 くれぐれも火災には気を付けてください。管理員が辞職するだけでは済まない火災報知器が作動するようなボヤがあれば管理会社は解約となるでしょう。消防車、救急車が出る火災が起きたらマンションの資産価値に影響する場合もあります。火災保険に加入していても原状復旧とはいかないものです。臭いも半年以上残ります。

 専用庭がある1階の植栽管理の責任区分について書くつもりでしたが、前置きだけで話がそれてしまったので次回に回します。

 レスリー・セイヤー、ルノワール、ユトリロの「花」を挿絵に使いました。本文とは関係ありません。
松尾好朗

ユトリロ「花瓶の花」



 

どう防ぐ?マンション内の特殊詐欺

 「もしもし、こちら○○警察署の○○ですが、実はあなたの銀行口座が犯罪に使われている疑いがあります。」
 「えっ?」
 「至急あなたのキャッシュカードを交換しなければ、被害が広がってしまうんですよ。」
 「えー、どういうことですか?」
 「これからすぐに銀行協会の者がですね、あなたが今お使いのキャッシュカードを取りに伺いますので必ず全部渡してください。それから新しいキャッシュカードを作るのに手続きが必要ですので、今のカードの暗証番号をおっしゃってください。」
 「あ、はい、えっと番号は○○○○で、3つとも同じです。」
 「わかりました。エー繰り返します○○○○で間違いないですね。」
 「はい、そうです。すみません・・・。」
 「もうまもなく係りの者が到着しますので、このまま電話を切らずにお待ちください。」
 そんな会話があってから間髪入れず、ピンポーン・・「私、銀行協会からまいりました○○と申します。」

 私が関わっているマンション管理組合の高齢の女性が、こんな風な特殊詐欺に遭ってしまいました。
 翌日になって銀行からATMで不自然な出金があるという連絡があり、ようやく詐欺と気づきました。

Jon Carling

 警察署から3名、うち1人が防犯カメラのチェックをしたところ、携帯を手にエントランス付近をウロウロしてから入館しエレベーターで被害者の階へ、黒いパンツスーツの茶髪の若い女性と特定できました。これがいわゆる受け子でしょう。
 しかし、ATMで出金のあった時刻に防犯カメラに映っていたのは別の人物、これが出し子という役目ですね。

‘A plea for seed’

 被害者は静かに暮らすご婦人なので、警察、犯罪、銀行協会、至急、被害という言葉に緊張して、ちゃんと言われた通りにしなきゃいけないと思ってしまい相手のペースに乗せられてしまったのでしょう、そこは相手はプロです。

 少し考えれば電話を切らせないこと、ジャストタイミングでカードを受け取りにくるのはおかしいのですが、被害者に考える時間を与えず興奮状態のままにさせておくのが手口です。
 受け子、出し子を捕まえたところで、残念ですがその上の組織にたどり着く可能性は低いようです。
 鼠小僧は悪徳大名や豪商から奪った金を困窮者へばらまく義賊ですが、この特殊詐欺集団は弱者が大切にしている生活の拠り所、将来の希望までも奪い取るという悪逆非道の獣以下ですね。

 さて、マンションの管理組合で何ができるのか、対象が居住者となると自治会活動の範疇になるのですが、自己責任だとか余計なお世話と言われても、2人目の被害者は出さないようにしたいものです。

Jhon Carling

 まず固定電話は一旦留守番電話で受けて直接受けないこと、必要な場合だけ折り返し連絡することを徹底すると、冷静な判断が保てると思います。
 防犯カメラやオートロックは犯罪組織相手には役立たず、身近に被害がない中では掲示やチラシは捨てられているのが現実ですので、エレベーター内の壁などに繰り返し執拗なほどの注意喚起が必要と感じます。

Jon Carling ・Psychic friends

trend:ワールドカップが盛り上がっています。そんな中、何が気に食わないのか開催国への人権問題や環境問題、日本のサポーターが掃除することや日本の勝利そのものににいちいち絡んで否定する輩がいますね。
 他国の人権を問題を非難できる国などありません。

 自国の尺度で図ったところで複雑化するだけです。
 スポーツを斜からしか見られない、そんな輩をマスコミは取り上げないで、素直に楽しんだらという気持ちです。
  挿絵は、きっとどこかで見たと感じさせてくれるジョン・カーリングさんのイラストです。違うお題のイラストでも同じ作者とわかるような、個性の強い印象深い作品が描ける人を尊敬します。
 松尾好朗

管理費が不足したらどうする?

11月20日の無料相談会のお知らせ

昔のマンションの話です。
 「先月の共用電気代がいつもよりお高くてお金が足りなくなりました。そのため各戸300円を追加徴収します。」という御触書がエントランス付近に掲げられ、管理員が集金してまわるということを行っていました。管理員は帳面をもって管理費未納金も集金して回っていたという平和な時代です。
 建物・設備のどこかに不具合が起きても、今と比較したらゆっくりしたペースで復旧工事が行われ、クレームも言葉に棘は感じられませんでした。
 ともかく、共用の照明と給水ポンプを時々作動させ散水する水光熱や、管理員の給料ぐらいしかお金はかかりませんというイメージでしたね。
 街灯の少ない郊外のマンションでは、共用灯の明るさが防犯上感謝される立場でありました。敷地の一部に設置されていたコカ・コーラの自販機は夜間も明々と周囲を照らし、そこは地元の若者にとって都会でした。(コンビニがまだ普及していない時代)

ジャン=フランソワ・ミレー
秋、積みわら
ハンス・アンデルセン・ブレンデキルデ
『秋の小道』1902年

 現在のマンションでは、低層でもエレベーターは当たり前、アプリ連動の最新セキュリティーなどどのくらいの人が使っているのか経費だけが高くなり、24時間有人管理、複数のコンシェルジュは人件費が高くなるのは当然です。健全なマンションにまで、次々に制度化される法定の調査検査、認定制度、評価制度、登録表示制度などの費用は容赦なくお上に吸いあげられます。

 標準の管理規約では上記のように、やむを得ない事情などで金額が不足した場合は、管理費・修繕積立金に限らず、その都度区分所有者へ請求ができます。規約で定められている場合は総会決議は不要ですが、法改正、物価変動などの理由を報告する必要があります。

フィンセント・ファン・ゴッホ
『ラ・クローの収穫風景』1888年
フィリップ・ド・ラースロー
「舞い落ちる木の葉・中尉」

 年々経費が増えるばかりで繰越金が食いつぶされていることに疑問を持っている方も多いと思います。皆さんの管理費負担金を値上げしますと簡単に言えない組合も少なくないはずです。特にお金が絡めば管理会社の言いなりの理事長は解任されてしまいますね。
 各マンションの運営スタイルは様々ですが、これ本当に必要なの?という疑問をもって経費を見直す当たり前のマイナーチェンジも必要だと感じています。

 「秋」らしい挿絵にしました。 
 積みわらの絵のミレーは、晩鐘や落穂拾いのジャン・フランソワミレーです。ここによく登場するのは、ジョン・エヴァレット・ミレーです。
 ゴッホの収穫風景の作品は、彼が大好きな黄色をふんだんに使い、筆がよく走って明るい絵になっています。 

 インターネットのニュースを追って行くと韓国7件、ゆたぽん3件、法相の失言・ひろゆき各2件のあほらし、日本のマスコミは全く要らない情報が多すぎ。
松尾好朗

管理会社に嫌われる管理組合(その1・あてうま)

 11月20日(日)の無料相談会の案内はこちら

 すごくいいと思うんだけど高くてムリムリと、個人(一戸建て)ではあきらめてしまうようなお金のかかる改修工事でも、マンションの場合(共用部分)は、区分所有者の皆で積み立てているお金で実現することができます。戸建てに比べて個人負担が格段に少なくて済むのは、マンション生活の大きなメリットですね。

 もちろん実現には定められた割合の合意を受けてからですが、利便性能の高い最新設備機器の導入など先進性のある生活環境を享受できます。また、これらによる資産価値の向上が期待できます。
 長期修繕計画に基づく定期的な工事だけではなく、陳腐化したデザインや生活スタイルの変化、新世代からの要請による改良、新設が必要になることがありますね。

小林清親「江戸橋夕暮冨士」

 何が何でも節約するという管理組合は、外から見ても貧相で窮屈です。なんで修理しないの?というところが目立ってしまい、自ら資産価値を落としていると感じることがあります。その部屋を借りる場合も、是非ここに住みたいという気持ちにはなりません。

井上安治「銀座商店夜景」

 表題の管理会社に嫌われる(信頼されない)組合役員の特徴は様々ありますが、一つの例を紹介します。 
 中規模で商店街にも近いAマンションでは、近隣住民との交流がよく行われていますが、そのサークルなどの活動場所の公営施設が建替え工事のため代替場所を探していたところ、放置同然のAマンションの集会室に白羽の矢が立ったのです。

 そこで管理組合は老朽化した集会室の改修、運営プランを管理会社へ依頼しました。
 予算は総会で「およその費用」を計上しておき、計画の承認を得たのちに理事会と修繕委員会が具体化することとなりました。
 その「およその費用」とは、管理会社(と協力会社)が利用希望者へ取材する等の現場調査、数量や仕様・仕上げ等を計画して見積もったところの工事金額です。
 中には運動系サークルの活動予定もあり床の補強、メンテナンス性の高い仕上げ材料、安全性、演色性のある照明、省エネ空調設備などが計画提案されていました。

 改修工事の実施には、管理会社を含む数社へ見積もりを依頼して、比較検討後に1社へ発注するのですが、役員の一人が管理会社から先に提出された見積もりを知り合いの業者に見せて、「これより安くしてね」とフェアではない方法で行われたようです。
 これは後出しジャンケンですね、商習慣上許されません。

小倉柳村「向嶋八百松楼之図」

 そのうえ仕様・仕上げのグレードを勝手に落としていましたので、公平性はなく見積もり金額は下がって当然です。
 総会の報告でその役員は、「管理会社の見積もりが高いので、私の知人の会社で安くしてもらいました。」などと子供の悪口のようなことを言って得意がっている様子でした。総会の場でフェアではなかったこと指摘したところで、恨まれて今後の管理に影響するのは損なだけです。
 管理組合が自ら行う工事といっても、関わる法令や届け出、建物・設備機器への影響やランニングコスト、他の工事との日程調整、点検業者への変更連絡、居住者への周知、問合せ対応など、結局は管理会社が監理しなければならず、ご自由にどうぞというわけにはいかないのが現実です。
 改修工事など無料で計画提案をさせて、毎回当て馬として使われ、工事は別の業者に発注し、トラブルがあれば管理会社に尻ぬぐいをさせるような管理組合は、管理会社から全く信頼されなくなります。
 こうなると組合は、契約上の最低必要限度のサービスしか受けられず、自滅の道を歩み始めるかもしれません。管理組合と管理会社は、お互い尊重しあって賢く付き合っていく方が長期的にメリットがあると思います。

 挿絵は文章内容とは関係なく、11月1日より太田記念美術館にて開催の「闇と光・清親・安治・柳村」展の紹介です。明治時代の夜景が得意な浮世絵師、小林清親、井上安治、小倉柳村のそれぞれ独特の世界を楽しんでください。

Latest
以前ここで紹介したことがあるゴッホの「ひまわり」の7作品の中、ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されている作品に、トマトスープをぶっかけるという事件がありました。

 ジャスト・ストップ・オイル(Extinction Rebellion=XR)と名乗る環境保護活動団体2女性が、「温暖化に対する政治的な決断」を要求、アートと命のどちらに価値があるかと訴える非暴力の直接行動ということらしいのですが???
 尚、スープはハインツ製の缶だったということですが、そこじゃないですね。w
 温暖化への反対行動起こすなら、まず中国の故宮博物院に入って同じことをやってみたらと思います。中国のCO2排出量は、米露印日の合計をも上回っていますので、中国政府が心を入れ替えて温暖化防止に素晴らしい効果があるかもしれません。555
  

1888年8月 
フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」

 自分たちこそ正義という割に、被害がないようにガラス張りの作品を選んでいるところが臆病者ですね、ただ目立ちたいだけのアホに見えます。
 上記の命とアート、どちらに価値があるかは比較できる次元ではないと思いますが、この作品は125.3億円の価値があるとされています。汚したりしたら親だって弁償できませんよ。
 松尾好朗

マンションのセキュリティーは見直しが必要 

 11月20日(日)の無料相談会の案内はこちら

 留守宅を狙うドロボーではなく、固定電話にかかってくる特殊詐欺(元祖オレオレ)でもありません。
 家にいる高齢者の現金を狙って戸別訪問し、水道の水質調査ですと宅内に上がり込み「発がん物質が見つかりました。健康被害がおきます。」と浄水器をその場で取付け法外な金額を請求したり、設備会社風の制服で訪れて、水回りの点検ですと称し「浴室の排水管が劣化してます。すぐに交換しないと大きな事故が起きますよ。」と不安をあおり、ユニットバス全部の交換工事をその場で契約させる輩が入り込みました。マンション1棟で1戸でも契約が取れれば大成功の金額になります。

ジョン・エヴァレット・ミレイ
cherry

 法律が変わったんですよ(ウソ)と排水処理施設のないマンションなのに、キッチンシンクの排水口へディスポーザーを取り付けて請求する業者もいました。
 オートロックのマンションでも、最近ではウーバーやアマゾンのような頻繁に出入りする配達業者の後についていけば容易に突破できます。
 どの家が狙われるというと、残念ながらマンションの居住者の個人情報はすでに漏れ出てしまっているようです。
 管理員の休みがいつなのか、出勤時間などが知られているのはいうまでもありません。

 何年も前から詐欺グループは、玄関周りのどこか(表札や扉、ポストなど)に小さく文字や色のシールを貼って、それを見ればどういう人が住んでいるか、前に買ったことがあるのかなどが分かるようにしていました。今はもっと巧妙になっていると思います。共用のアナログデータですね。
 もしあなたの自宅のドアや表札に「WS〇」に金色のシールが貼ってあったら=「女性・シングル・話を聞く、金持ち」の意味なので、「やこ✖」と書き換えて青シールに貼り替えておきましょう。「やくざ・こわい・ダメ・貧乏」・・・。

John Everett Millais
シャボン玉( Bubbles)1886

 居住者以外の人(不特定)を館内に招き入れる頻度が、以前より倍増した現在の流通形態、生活スタイルでは「うちはオートロックだから安心」はもう全くあてになりません。
 24時間365日、複数人が常駐して各階要所に監視カメラがある高級ホテルのようなマンションでは、訪問者や配達物などをフロントで取り次いで、居住者に案内(例外あり)ができますが、管理費が超お高くなりますね。私なんかは出入りや訪問者をいちいちチェックされては窮屈でたまりません。3日ほど外出しないと安否(生死)確認をされるかもしれませんね。
 (実際は、オプションでサービス範囲を選べるようです。)

 明らかに詐欺商法が入り込んでる場合は排除するか、その情報を館内居住者へ素早く伝える手段を確立しておく必要がありますね。

ジョン・エヴァレット・ミレイ「マリアーナ」
1851Mariana by John Everett Millais
シェイクスピアより

Latest
 暗殺された元首相の国葬儀は、それぞれ思想信条の違いがあり賛否が分かれてよいのですが、葬儀を欠席することを得意げにソーシャルメディアで発信する女性議員たちがいます。元首相の病臥をツィートでさらして喜ぶ女性議員もいましたね。
 人の病や死に対してイキって目立ちたがるのは、軽佻浮薄で人としての品性を欠いていますね、遺族への配慮や儀礼を尊ぶ気持ちを持ってほしいと思います。
 大阪弁だと「エエとしこいてアホなことしんとき」といいます。

 国葬といってもセレモニーだけで、実際は外国からの参列者との面会、会合や交流、顔合わせの場になるでしょう。
 欠席議員さん達は先日、「ネクストキャビネット(次期政権内閣)」を発表して政権担当能力をアピールされていましたが、来日した外国の要人へ顔を売るチャンスを自ら逃している気がします。
 ジェンダー平等から、日本は国会の女性議員が少ないからダメとされていますが、上記のような女性議員のコピーがゾロゾロ湧いてきても・・・良い人もいると期待しています^_^;。

初めての説教(my_first_sermon)
1863年
2度目の説教(my_second_sermon)

 挿絵について:英国のジョン・エバレット・ミレイ(ラファエル前派)は少年期から抜群の才能を認められ、風景画も人物肖像画も卓越した技術、想像力を持った画家ですが、赤いマントの少女を描いた「初めての説教」の人気がでてしまい少女(子供)画家として有名になってしまいました。「シャボン玉」がゆらゆら頭上に漂う絵のモデルは彼の孫です。石鹸の広告に採用され、英ではポピュラーな存在です。
 彼の絵は以前「悪意なき悪意」の挿絵(オフェーリア)で紹介しています。
松尾好朗
 

管理員給与の現実

 「マンション管理員急募!」というチラシが投函されていました。
 以前、同じ内容のチラシが入っていた覚えがあるので、すぐに辞めてしまったのか、何か月も決まらないのかのいずれかでしょう。
 週5日勤務、実労7時間、交通費と作業着等は自前、請負契約(個人事業主)で月14万円、健保や諸税はその中から自分で支払うことになります。
 年末年始の4日間を除きゴミ回収のある祝日も出勤です。時給計算すると931円、これに例えば交通費月5千円を引くと898円ぐらいになると思います。
 2022/08現在、東京都の最低賃金は、時給1,041円(1,071円に変更予定)なので、フルタイムの時給で検索すると求人募集に引っかかりもしません。

 午前中の3時間とか勤務時間が少ないほど時給(時間単価)は上げないと応募がないので、他の時間を有効活用したい人は、フルタイムよりもこちらのパート勤務を選ぶようです。
 マンション管理組合の場合は、前年度に承認された今年度予算の枠がありますので、金額や時間を途中から変更するのは特別な事情がなければ難しいでしょう。管理会社を経由している場合も変更や減額を行う場合は、総会決議と重要事項説明会が必要になります。

Holbein 1535年 「エドワード6世」 
ヘンリー8世の3番目の妃の子の肖像
 

 最低賃金のさらなるアップの声が上がるものの、多くの管理員や清掃員の請負、派遣では関係がないのが現実です。
 ある大手管理会社が、受託先の管理組合から管理費削減の要請を受けました。そして定期清掃の回数と日常清掃の時間を減らしコストダウンを成功させましたと、若い担当が得意げに報告していました。こういうのはアイデアでも何でもなく、コストダウンとは呼びませんね。
 時間を減らされた清掃員は、減らされた分は汚れたまんま次の日にやれば良いやということにはなりません。終わらないので無償の早出残業をするはめになります。そして給与だけは下げてピンハネ金額は確保するのが大手管理会社のノウハウです。
 いずれ下請け会社から嫌われ「何故だ?」と叫ぶ前に、大手であっても管理会社だけでは何一つできないのですから、協力会社すべてを大事に育てていただきたいものです。
 
 ハローワークは公的機関なので、求人には審査があって悪質なところは登録できないという考えは大間違いです。もっともらしい名称のブローカーが暗躍していて、管理や清掃業界でも二重三重のピンハネが行われているのが現実です。親しくなった管理員さんや清掃員さんに詳しく聞けば、管理会社の社員ではなく、登録している会社から派遣されていることが多くあります。
 だったら管理組合は管理会社一社へ全部管理(管理に関わる全てを委託)などは止めて、分離発注(管理組合と各専門業者と直接契約)を行うべきですね、管理組合は費用が高くてもお任せで楽したいのなら別ですが、費用を抑えたいのならこれしかないと私は思っています。

ハンス・ホルバイン 「大使達」
左の「大使達」の絵を画面の左方から鋭角的に見るとこんな絵が出てきます。

 絵を描くのが好きな方は、ホルベイン絵具をご存じかもしれません。名前の画家、ハンス・ホルバイン(Hans Holbein)1498~1543は独のアウグスブルグ(現市)に生まれました。名前の通りアウグストゥスがローマ時代に作った中継貿易の商都です。因みに私の故郷尼崎市と姉妹都市になっています。近くの公園には、アウグスブルク市から寄贈されたローマへと続く道に据えられているマイルストーン(里程標)のレプリカが建っています。

 才能を発揮したくても、世は宗教改革の影響でもう宗教画の需要はありません。彼は英国へ渡り1536年にヘンリー8世の宮廷画家の職を得、当時の宮廷文化が詳細にわかる作品を多く残しています。

 また当時の流行り病ペストを描いた木版画「死の舞踏(ダンス・マカーブル)」シリーズは圧巻です。
 ヘンリー8世の4番目の妃の肖像画がイメージが違うと言われてクビになり、その後ペストの大流行で亡くなりました。
 イタリアルネサンスで学んだ画家たちは北方の故郷へルネサンス文化を持ち帰って開花させました。
 ローマと比べるとド田舎の故郷へ向かう道にはマイルストーンが静かに建って故郷へ導いていたのだと思います。
松尾好朗

アウグスブルクに建つローマへの道のマイルストーンのレプリカ







 
 
 

マンションのインテリア

 8月10日酷暑、上野の東京都美術館に展示されている椅子に座ってきました。
 「フィン・ユールとデンマークの椅子」という展覧会ですが、主に椅子の展示ということで、実際にユールを始めその時代のデンマークの代表的なデザイナーの椅子に座って体感ができ、撮影制限もユルかったです。ユールだけに。

 このホームページへお問合せを戴いた方のご自宅訪問時、120㎡超の専有面積のリビングダイニングに極厚無垢材ウオールナット(胡桃)のテーブルと成形のイスが素敵で刺激を受け、この展示会に出かける気になったのです。

 フィン・ユールが活動した頃のデンマークではバウハウスの影響を受けつつも、1940~60年代、独自のスタイルが生まれ現在に至ります。
 伝統の木工技術の温かみを活かし、シンプルで機能的であっても個性のあるデザインが生まれました。

 展示会での説明はありませんでしたが、8世紀~北欧バイキングは頑丈な船を駆使して、北海やバルト海沿岸、北アフリカまで遠征していました。険しい陸地の移動よりも、港から港へと多くの物を運ぶことができる船が便利で、交易また戦争にも使われた結果、早い時期から造船技術の発達がありました。
 17~19世紀デンマークも世界各地に植民地を持っていました。
 アジアからは、油分を含み船の材料に適したチーク材が運び出されました。チーク材は英客船クインエリザベス号のデッキや内装にも使われています。

 アジアの原住民を酷使した高級木材の伐採、富の収奪は、先の大戦で同地への日本軍の侵攻で終わります。終戦後のアジア諸国は欧米の植民地支配から独立開放へと向かいました。
 その木材は熟練の船大工の技術を基に、時代に適応した家具デザインに活かされ、現在のデニッシュモダンの地位を確立させました。
 ハンス J. ウェグナー、アルネ・ヤコブセン、ボーエ・モーエンセン(ボルゲ・モーゲンセン)等々、垢ぬけて現在でも通用するデザインは卓越した船大工の伝統技術が基になっていたのですね。

フィリッツ・ハンセン社の
SKAGERAKのアウトドア家具

 現在のチーク材は後に植林されたものや、チーク材のようなチークがほとんどです。そのためチーク材に限らずフィン・ユールの頃に作成された作品はビンテージ家具と呼ばれています。
 同様に船の材料に適したマホガニー材(センダン科・桃花心木・主に中南米)がありますが、乱伐され希少木材になっています。こちらもセンダン科ではない似た木材に〇〇マホガニーという名をつけて販売されています。
 不動産の世界で、長野県の旧軽井沢と中軽井沢ならともかく、気候も街道の文化歴史も違う東西南北、奥と新軽井沢が別荘地として新たに命名されるのと同じですね。北軽井沢、東軽井沢、奥軽井沢の住所は群馬県なので、ちょっとやりすぎ。ww

Fritz-Hansen-Tokyo 1872年創業 デンマーク家具ブランド、フリッツ・ハンセン社


 話が飛びますが、大阪・京都・神戸の山の手を走る阪急電車の内装はマホガニーの木目柄(FRPにプリント)です。座席はグリーンの別珍風の生地を使用して、上品にさらっと落ち着いた高級感を演出しています。最近の九州を走る豪華列車の内装は、どれもが安っぽくデコった成金趣味でいただけません。九州と京阪神の精神文化の成熟度の圧倒的な違いでしょうか。ただ、その利用者の多くが九州の人ではなく他県の人です。

 ナナ・ディッツエルというデンマークの女性のデザイナーはご存じですか、1923年生まれというと関東大震災が起きた年ですね。(大正12年)
 ユールに影響を受けたナナさんのこの椅子のシリーズが2014年の日本のグッドデザイン賞を受賞???どういうことでしょう?
 実は、このナナさんの1952年のデザインを完コピ盗作をして、「私がデザインしました。」としてグッドデザイン賞を受けたのが多摩美術大学教授の深澤直人氏です。しかもグッドデザイン賞の審査委員長がその本人というから面の皮が厚すぎ、日本にはまれに見るパクリの大物ですね。

ナナ・ディッツエル ND-01(Nanna Ditzel 1952)
フィン・ユールに刺激を受けたデザインです。

 多摩美の教授には佐野研二郎氏、あのオリンピック公式エンブレム盗作疑惑のツワモノも健在です。
 私は中国や韓国の人が、日本のアニメキャラクターを丸パクりするのをバカにしていましたが、日本の美大の現役教授がこれでは情けないですね。 
 お題から逸れてしまいましたが、インテリア関連情報は別の機会でも提供いたします。
松尾好朗

管理適正化より大切なこと

 Aマンションの管理員のところへ町内会の方が8月の区報の束をもって来られ、「来月からは、毎月2日の午前10時、戸数分の区報を渡すので町内会事務所まで受け取りに来るように」と、取りに来ないと渡さないぞと上から目線全開です。
 これまでは、町内会の地区担当が各マンションまで区報の束を運んできて、管理員が各戸へポスティングしていましたが、紙が重くて嫌になったのか、「そうだ、マンションの管理人に、ここへ取りに来させればいいんだ。」という結論に行き着いたようです。

 相手の日時の都合や、どういう内容で契約しているかなど全くお構いなしですね。
 Aマンションの管理員はゴミ収集の日だけの勤務なので、毎月2日の10時と限られては無理、そもそも町内会の書類等を各戸配付することは管理員の契約外業務です。
 町会の方へは、清掃と少しの事務を請け負っているだけなので、たとえ往復20分程度でも勝手に現場を離れることはできないと伝えると、怒って帰ってしまったそうです。

《パラソルをさす女》1875年クロード・モネ

 そもそも町内会が管理員へ直接指示するのも間違っています。さらに大きな勘違いは、自分たちは区報を各戸へ配る名目で区から収入を受けておきながら、重くて嫌な仕事を、言えば逆らわないだろう弱い立場のマンションの管理員へ、各戸への配付のみならず、運搬まで押し付けようとしたのですね。

クロード・モネ《パラソルを差す女(右向き)》
(1886年)

 思い通りにならないと怒り出すという低レベル、これでは誰からも協力もされないでしょう。
 まず、区報はネットでいつでも手に入り、紙の区報も駅や公共な場所で簡単に手に入るので、区は町内会を経由して発行1/3回だけで町会費を払っているところにだけ配るというムラとムダばかりの配付方法や、すでにどこのマンションの資源置場を見ても「紙の古新聞」は、”聖〇新聞”と”〇旗”だけの現実、新聞折込ももう見直した方がよろしいかと。

 区報に便乗して配られる情報チラシ(地元商店街広告で運営)は「チラシお断り」にも関わらず、管理員が午後に配りその翌朝には不要チラシの箱が区報とそれで山盛りになります。
 役所が毎月せっせと作る紙資源と税金の無駄使いサイクルです。
 管理組合は地元住民とうまく付き合うのも大切ですが、地元の防災訓練や防犯講習など、理事長は弱い立場の管理員や清掃員に押し付けない配慮が必要だと思いますよ。

 夏なので、らしい絵を3枚紹介します。
 1枚目がモネの妻カミーユさんと息子のジャン、ゆらっと振り向いた瞬間のドレスのひだを風にふわりと乗せて表現しています。
 漫画家が筆が乗ってくると好んで描くのが逆光のシーンですが、モネの描く逆光はさわやかな色使いがさすがなところです。雲のきらめきが印象的です。
 モネは1875年にはパリのはずれ北西部のアルジャントゥイユ(セーヌ川沿い)に住んでいましたので、その田舎の風景です。その田舎も鉄道敷設と共に工業化が進み泳げないセーヌ川になりました。
 日本では明治8年の頃、2年後に西郷隆盛率いる薩摩武士の西南戦争(ラストサムライ)が勃発します。 


クロード・モネ《パラソルを差す女(左向き)》
(1886年)

 皆に好かれるこの3枚目の女性は、後妻の連れ娘のスザンヌさん当時18歳(2枚目も)です。陽光と強い風に背に、体を少しすくめ、左手でスカートを軽く押さえています。雲が速く動いています。
 2枚目の絵はおそらく写生ではなくモネの空想で描いたものと私は思っています。空想では人物の影はなどは不要です。ドレスの赤のヒナギクは若くして亡くなった妻カミーユさんを思いモネが描き込んだものといわれています。
 最後に現在のアルジャントゥイユの穏やかな街並みを貼っておきます。
松尾好朗

アルジャントゥイユ Argenteuil



専有部分と共用部分の境界を考える。


 標準管理規約では、専有部分を他から区分する構造物の帰属は次の通りです。
 (専有部分の範囲)
第7条 対象物件のうち区分所 有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。

2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
 一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
 二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
 三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。

と記載されています。
 2-二の玄関扉について、某マンション管理規約の例です。
 「錠、チェーン錠、ドアスコープ、蝶番で外気に接する部分以外、ドアクローザーは専有部分」と明記されています。蝶番は形状を確認しない限りこれでは分かりませんね。

ピーダ・イルステズ
(Peter Vilhelm Ilsted)

 ドアノブの廊下側は共用部分ですが、交換の場合は内外のハンドル2つで一組ですので、室内側だけを違うデザインに交換する場合は、負担割合の線引きも必要です。
 ドアノブの室内側(専有部分側)は外側(共用部分側)の形や色を合わせる必要はありません。外側ノブの心棒が合うものなら選択は自由になります。

 子供が廊下側のドアノブにぶら下がって壊れたとか、アルコーブの門扉(専用使用)に乗って遊んで蝶番が壊れたという例があります。これらは共用部分でもその専用使用権者(原因者)が交換修理費用を負担しなければなりません。

 サッシ回りの部分(ガラス、戸車、クレセント錠)に関して、一つの判例では「通常の使用に伴わないもの」とは、「計画的または性能向上のために一斉に修繕や交換をする場合」を言い、経年劣化は「通常の使用に伴うもの」とされ、経年劣化に伴う改修費用の負担は専用使用権者(仙台高裁判決・平成21.12.24)としています。

 この判例から解釈すると、総会で予算を示し十分に内容の説明をした上で承認があれば、専用使用の部分で「通常の使用に伴うもの」である経年劣化であっても、管理組合の費用で実施ができることになります。
 この地裁の判例は、当事者以外の居住者への周知不足、理事会承認だけで見切り発車した工事(総会追認を計る)、総会議案書での説明不足等、運営手順にも不備があるため、この判例が今後も基準になるのかは疑問です。

ピーダ・イルステズ
(デンマーク、1861〜1933)

 以前は声が大きい人の意見で決まっていたような、管理規約に記載されていない場所が共用部分の負担なのか専有部分なのか、修繕や交換をする場合の費用負担はどうするのか、時代変化などは無視をして公平のため先例にならうべきなのか、問題が多いです。 
 理事長が交代する度にその判断がマチマチでバラバラでは区分所有者間でその費用負担についてトラブルになることも考えられます。
 区分所有法 第九条(建物の設置または保存の瑕疵に関する推定)
 建物の設置または保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置または保存にあるものと推定する。とされていますので、判断がつかない場合など、管理組合が明確に反証しない限り、区分所有者の負担は免れることになります。

ピーダ・イルステズ

 管理規約・使用細則はできるだけ具体的に、そして今後ありがちな事項を含め、そのマンション独自の施設なども費用負担を明記しておく必要があります。 
 裁判になった場合は、管理規約が重要視されますので、後々の運営に役に立つことがあります。
 カッコつけただけの規約ではなんの役にも立ちません。

 以前ここで「ルーフバルコニーの柵の外周管理」という題を書きました。そのブログの閲覧数が高い理由は、同様に迷っている方が多いからと思います。
 関連で、多くの規約はメーターボックス及び給・排水ガス配管の各メーターまでが共用部分と記載されています。その先の配管は専有部分になりますが、共用部分であるメーターボックス壁面と専有部分を仕切る壁面は共用部分なので、例えばその壁(コンクリートブロックが多い)の中の配管が貫通している場所で給水管や排水管から漏水が発生して、階下へ被害を与えてしまった場合は、どちらに責任があるのか問題が残ります。

 共用部分である壁面の中については、その専有部分の所有者は管理ができない(壁の中の配管の状態は見ることができない)ため、メーターより先の配管は専有部分とされていても、メーターボックスの壁の中は共用部分であるため疑問が残ると思います。メーター後の配管は専有者の所有であっても、管理は共用部分という解釈も成り立つと思います。

The_dining_roomピーダ・イルステズ

 実際にその壁面の中で漏水事故がありました。ただ被害に対しての保険金が下りたため、その範囲で配管の修理も賄えたため、費用負担の問題は判明しないままでした。
 こちらも管理規約・使用細則で明記しておく事項だと考えます。

peter_ilstedkafkaピーダ・イルステズ

 絵はピーダ・イルステズ(英語だとピーター・イルステッド)の作品です。デンマークの王立美術アカデミーでハンマー・スホイの影響を受けました。スホイはイルステズの妹(赤い壁のダイニングルームの女性)と結婚したので義兄の関係です。
 両者作風は似ていますが、シンとした北欧の静寂の風景が多く、沈黙の詩人と呼ばれて人間心理を追求したスホイに比べ、北欧では貴重な日差しのある少しリッチな生活風景、子供(4人の子宝)が多く登場することから国ではイルステズが好まれています。
 スホイについては別の機会に紹介します。
 松尾好朗

 





マンション名の掲示今昔


 その昔、マンション販売会社は10階程度の建物でも、屋上塔屋や高置水槽の囲いにマンション名とその販売会社名の広告看板を自信満々デカデカと掲げていました。
 今では ”これマジっすか?” というセンスのない看板でも、その当時は新時代に選ばれた人の誇り高きステータスシンボルでした。羨望の的であり、そびえ立つ威容は町のどこからでも沿線鉄道の中からも見ることができて、地域のランドマークの役割を果たしていました。
 今でこそネーミングもロゴタイプもいかにも昭和丸出しですが、長く住んでいる人には馴染んで風景にも溶け込んでいるのでしょう。すでに存在しないデベ会社名を掲げていることもありますけど関係ないようですね。

Tableau I, 1921_by_Piet_Mondriaan

 今では屋上塔屋(エレベーター機械室)や高置水槽(給水タンク)は設備構造の変化によりみられることが少なくなりましたが、10階建て程度がちょうど看板を掲げるのに適している高さでした。タワーマンションの屋上では高すぎてだめなんです。

 最近ではマンション名を探すのも苦労することがあります。エントランス付近の壁面に英文字のステンレス切り文字や、カフェのようにガラス面にサンドブラストかエッチングを見つけてようやく確認できます。

 銘板風で金属に堀文字が流行った時もありました。これはもう古臭い感じを受けますしメッキが剥がれているのを見かけます。銘板ではないのですが、ヒット商品「関係者以外立入禁止〇〇管理組合」という地置きの看板も品が無く採用されません。というか効果もなし意味もなしが理由です。

 7月9日安倍元首相が亡くなられ、キューバや台湾などでは公共施設で半旗を掲げる布告がされ、プーチンさんやタリバンからの弔電も紹介されていました。
 あるマンションのエントランスにも半旗が掲げられていました。このマンションは祝日には国旗、門松から始まり五節句とクリスマス等にはそれぞれの飾り付けがされています。子供を育てるには良い環境でしょう。
 最近では見られなくなった昭和の古き良き風景が新鮮でした。そういえば、祝日はハタビって言いますね。

 国旗(日の丸)で思い出すことがあります。私は中学生で下手くそながら剣道部に入りました。そこでは部員全員が、体育館に掲げられた日の丸に向かい、正座し礼をしてから練習を開始するのが日常でした。
 そんな頃、メーデー明けすぐの授業のこと、教師は開口一番、日の丸なんかを拝んでいる剣道部の奴らは胸くそ悪いからずっと下向いとけ、と中学2年の生徒数名を相手に怒鳴り散らし、わけワカメ???状態でショックでした。

赤・青・黄のコンポジション, 1930Piet_Mondriaan

 そして次の時間の教師は、先生は聖職か労働者か言ってみろと生徒に質問をぶっつけるのです。労働者はともかく、生徒はセイショクという言葉に敏感なお年頃なので、教師の意図とはかなり違う方向で想像力を膨らませ、クラス全体がざわついていました。
 メーデーで何を聞かされたのか、すっかり洗脳され気持ちを高揚させてしまう田舎の公立中学校の教師はこんなレベルでした。当時、教員の日〇教職員組合への加入は9割の時代です。ただ、先生が休み(組織活動)が多いので生徒はいつも大喜びしていましたね。教師も生徒もアホばかりでも、時代は勝手に勢いよく動いていました。
 私は教師から嫌われていたその剣道部で膝を痛め、治療のため通院していました。その病院の息子とその後、私立の高校で3年間同じクラスでした。現在彼はそこで医院長をしています。私は今でも膝が痛くなると日の丸と通院の日々を思い出し、日の丸を見ると膝が軽く反応します。
 私は高校では勉強はともかく、個性をよく認めてくれていましたので、ずっと下を向く必要などありませんでした。そして教師の一部は神父様でした。

Composition No. 10 (1939–42), 油彩
Piet_Mondriaan

 マンションという横文字が大邸宅を意味するのはご存じの通りですが、日本のマンション創世記のネーミングは、今では気恥ずかしい響きを持ったものがありますね。
 開発、販売会社の社長が欧州の建物、生活にあこがれを抱き、少しでも近づこうと頑張った気持ちの表れだと思います。

 私が一時期、暮らしていた賃貸ボロアパートは”ベルメゾン”という名前が頭についていました。外国人の知り合いがフランス人風に発音して、よくからかわれました。

 ネーミングの今昔は別の機会で紹介したいと思います。

 挿絵は、ピエト・モンドリアンの「コンポジション」シリーズです。
 オランダの画家です。
 1920年から「新造形主義」という水平垂直線、原色と無彩色の組み合わせ、幾何学的表現をする美術理論を提唱し、後の工業デザイン、建築などにも影響を与えました。
 その1920年(大正9年)は、日本で初めてメーデーが開催された年です。
 松尾好朗
 

マンションでペット飼育可、不可

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質問はコレ

「ペットOK」だったマンションが、管理規約改正で「飼育禁止」になったらどうしますか?

 質問の内容から考えると、ペット(犬を想定)飼育禁止になるのは、ペットが原因で、他の居住者によほどの迷惑をかけた場合に限られると思います。
 そのような事情の有無にかかわらず、区分所有者数と議決権総数の四分の三以上の特別決議による賛成があれば、管理規約の変更議案は可決されます。そして飼い主は「ペット飼育禁止」決議に従わなければなりません。しかし実際は、今飼っている一代に限り飼育可能等としていることが多いようですね。

 これとは反対に「ペット飼育禁止」のマンションを「ペット飼育可」にする場合は、同様に特別決議によりペットが飼えるようになるのなら簡単です。しかし、反対者の中で犬アレルギーを持っている場合や、動物にトラウマを持っていたりするためこの「ペット飼育禁止」のマンションを購入したという場合があります。そのため、「ペット飼育可」の決議が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときはその承諾を得なければならないとされています。

 強引に「ペット飼育可」のマンションに変更すれば、その人はそこに暮らすことができなくなるので、財産権を侵害されたことになります。管理組合は損害賠償を請求されることになるでしょう。また「ペット飼育禁止」を条件として賃借している場合は、契約違反となります。

 本題に戻ると「ペット飼育禁止」になった場合では、その区分所有者(ペットの飼い主)の権利に特別の影響を及ぼすことにはならないと東京高裁、最高裁での判例で示されています。

 ペットは家族という生活スタイルが浸透すれば、裁判にも変化があるかもしれないという意見が見られますが、少なくともマンションの中においては、居住者の側が我慢を強いられる構造は成り立たたないため、あり得ません。よって、裁判所の考えは今後も変わらないと思います。

 現在も将来も絶対に人より動物(ペット)が優位に立つことはありません。何故なら日本の法は、国民(人間)のために作られているからです。

 再び本題に戻り、答えは「従わなければなりません。」です。

 松尾好朗

アルベルト・ジャコメッティ 『犬』 1951年

マンションに変わる馬込文士村

 大田区は西島三重子が歌う「池上線」が走る街です。頭にメロディが流れた人、歳がわかります。www
 その当時にレコード会社にいた友人が、東急電鉄(池上線)に協賛をもちかけたところ、「すきま風に震えて~♪」という歌詞がイメージダウンになるので変更してくれと言われたと話してくれました。流行したのはサイゴン陥落、天安門事件、1975(昭和51)年頃です。
 大田を縦書きすると、大(大がしら)の下に田は、中国簡体字(奋)で奮という漢字(フン・ふるう)です。興奮は簡体字で(兴奋)なので、もう字面だけでは興奮できないですね。

名所江戸百景 八景坂鎧掛松 歌川広重 
安政3年(1856)刊

 昔は東海道から多摩川(六郷)を渡り、宿場で身なりを整えてから江戸入りしたと言われ、旧東海道沿いには今もその名残があります。
 山手線に新しくできた駅「高輪ゲートウェイ」の木戸口からようやく江戸に入るので大田区は江戸のハズレでした。

 大森駅を出て池上通を渡って階段を上ると馬込文士村で文筆活動をしていた面々のレリーフ(ちょっと作品レベルが残念・・)があります。


 この広重の版画はそのレリーフがある大森駅前の天祖神社から見た風景といわれています。
 今は八景坂(マンション)として名前が残っていますが、一帯が八景園というリゾート地でした。財界人の別邸があったところにもマンションが建ち、今はテニスコートだけが残っています。
 文士達が暮らしていた家も、マンションに建替えられていることもあります。馬込文士村をめぐるツアーでは、マンションが建っている前の石碑で記念撮影ということになりますが、それでも文学ファンにとっては思いをはせてたまらない気持ちなのでしょうね。

 尾崎士郎、川端康成、萩原朔太郎、室生犀星、三好達治、石坂洋二郎、徳富蘇峰、三島由紀夫、山本周五郎、山本有三、北原白秋らの名前が連なります。宇野千代、村岡花子(朝ドラ主人公)という時代の先端を走っていた女性たちの名前も見つけることができます。私といえば名前は聞いたことあるような…レベルです。

東京二十景 「池上市之倉 夕景」
1928(昭和3)年 川瀬巴水

 山王や馬込界隈に住まう作家たちは交流し、互いに刺激し合っていたのでしょう。漫画家では池袋のトキワ荘、画家ではパリのモンマルトルやモンパルナスの環境と似ているところがあったのだと思います。

 大田区は40万世帯、74万人が暮らしています。分譲マンションは推計1,800棟90,000戸、分譲マンションだけで約21万人が暮らしています。築年数が30年を超え様々な問題を抱える管理組合が増えてきています。

『江戸近郊八景之内 池上晩鐘』天保年間
歌川広重

 珍しく、今回は挿絵と文章の内容が合っている回です。
 時々、大田区のことをつぶやきます。
 モース博士の大森貝塚、大森の海苔、高級住宅街の田園調布、下町ボブスレーの舞台になった大森銀座と町工場、キネマ蒲田行進曲、アジサシの営巣地、羽田空港等々話題はたくさん持っています。
松尾好朗

大手管理会社ブランドの壁

 先日のマンション無料相談会(5/29)にご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

 管理会社の委託費用の見直しを行うには、現在と同じ条件で他の管理会社へ見積もりを依頼して、比較するのが最もわかりやすい方法です。
 見積金額を比較して委託費用の減額ができそうならば、現在委託している管理会社との契約を解除して、新しい管理会社へ変更する場合の大きな理由になります。


 勘違いされている人も多いのですが、標準管理委託契約を使用している管理会社では、解約事由が無くても数か月(3か月が一般的)前に書面による申し出があれば、契約期間の縛り等に関係なく解約ができるようになっています。

 差額を管理費等の各戸負担金を値下げすることもできますが、その分を将来の大規模修繕工事のための資金に充てるケースが多いようですね。

モーリス・ドニ(イヴォンヌ・ルロール)1897年 オルセー美術館

 しかし、大手管理会社が竣工以来管理を続けてきた場合は、大手ブランドにこだわる人がいて、「大手だから安心なんです。」「管理会社が大手だったからここを買いました。」「聞いたことのないような管理会社へ我々の資産を預けることはできない。」等々意見が噴出し、結局管理会社の変更の議案は総会までたどり着けずに、張り切っていた理事会もしぼんでしまい、現管理会社がガス抜きのような若干の値引きをしてオシマイとなる場合も多いのです。

川瀬巴水「池上本門寺之塔」昭和29年(1954)

 以前にもここで書きましたが、財閥系や鉄道系の管理会社では、居住者がその系列会社に勤務していることが多くあります。
 組合員が管理運営に無関心な組合なら、その系列の組合員が理事長をやっていれば安泰ですね。
 管理会社を変更しようとする動きを察知した時は全力で妨害してきます。

 最近では、感染防止を理由にほとんどの票を委任状により、管理会社の管理委託費値上げが決議された組合がありました。

 数名の反対者が出席しただけでは、他の組合員へ伝わりませんので、理事会役員へ立候補するのが近道になると思います。
 大手ブランドにこだわれば、明らかに近隣相場より高い管理費を何十年も払い続け、系列の建設会社は競合する建設会社に辞退するように迫り、結局相場より高い修繕工事をされてしまうのです。
 その壁を超えるのは容易ではありませんが、組合員の努力次第です。

ジョヴァンニ・ボルディーニ 青の神

 そのような管理組合を、大田区マンション管理士会は問題解決へ導きます。

 管理適正化法を読むと管理委託契約の期間は1年間毎と解釈できます。しかし大手管理会社は2年(違法ではない)としていることが多いのです。但し、委託費値上げは契約途中でも関係なく行います。管理員や清掃員の人件費の高騰などを理由にしていますが、現場では時給等の値上げは全く見られませんね。

 挿絵は青い絵を貼りました。前々回ご紹介したドニの作品と、大田区内の風景が見られる巴水の版画、最後のボルディーニ(伊)は世紀末に数多くの女性の肖像画をかっこよくオシャレに描きました。米国で人気の画家です。
松尾好朗
 

話題尽きないマンションのペット飼育

 5/29の無料相談会の案内

 以前、フランスでは仔犬(猫)をショーケースで陳列する販売方法は虐待だとして規制するという報道がありました。イルカショーや動物サーカスなどはもってのほかです。
 しかし飼育環境が劣悪でもブリーダービジネスが成り立っているのなら、本来の目的がどこへ行ったのかよく分かりません。しっかりと管理ができるのなら闇売買よりはいいのかもしれませんね。

アルベルト・ジャコメッティ [猫]

 日本では昨年2021年6月の「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」によりケージの大きさまでが細かく決められました。現在の展示型のサイズでは不足します。省令等を本当に愛護の観点から改正するなら、まず裏社会が参画できないようにして、基準はもっとシンプルに示さないと、管理できる人がいなくなり結局は自己満足で終ってしまいそうな気がします。

 仔犬(猫)の親が、様々な経験をさせて子供を躾けるべき大切な時期に人が切り離し、ぬいぐるみ感覚で販売するシステムがまだまだ続いています。そこが反社組織の資金源になっているのは周知の通りです。ニセの血統書付きの子犬が何十万円もするカラクリは、ココ山岡(宝石のキャッチ販売)がウソ鑑定書を乱発していたことに似ていますね。
 キャバクラのお嬢さんがカモの客をペットショップに連れ出して仔犬をねだって購入させ、次の日にはその仔犬を返して返金を受けるというビジネスも裏社会に貢献しているようです。

 さて、マンション管理組合の「ペット飼育細則」も国が作成する政令・省令と似たところがあります。例えば、飼育できる犬の体長は何センチまでと細かく指定があっても、それをだれが毎年計測して管理するのか、その費用は?もし制限を超えていたら誰がどのように違反通告するのか、家族同然のペットを引き離すことができるのか、実際はウヤムヤになっていることが多いと感じています。

Dog-Pablo-Picasso

 マンションでのペット飼育の話題はいつも盛りだくさんです。
 犬猫等のペットの飼育を禁止しているマンションでも、隠せないのがゴミ置場に出されている重くて強烈な臭いを発する(ペット)トイレ砂です。消臭効果が切れたころに持ち込まれるので、マンションのごみ置き場は食肉目イヌ科・ネコ科の獣臭に満ちた野生の王国に変貌します。堂々とペットフードの空き缶を洗いもせずに出している「自称愛犬家・愛猫家」も多く存在します。困った人たちですね。

ロレンツォ・ロット『受胎告知』1527年 レカナーティ美術館
Lorenzo-Lotto-The-Annunciation

 本能を否定する去勢手術をさせてまで玩具にする人間はどこまでエゴなのか、そこまでやっておいて、そもそも「動物の愛護及び管理に関する法律」自体が人間が作るものなので動物のために意味があるのかと思います。

 マンションでのペット(犬猫等)飼育は、可か不可かではなく、基本的に他の居住者に迷惑をかける可能性があるため飼育不可(禁止)しかありません。
 可能性というのは飼い主は感じなくても、他の人が臭いや鳴声(周波数)、騒音、羽毛の飛散、トラウマ、アレルギー等を迷惑と感じる場合です。

 しかし、様々な理由で飼育する場合は、禁止されている中で飼育しているという意識をもって育てるなら、それ以上の制限はできない(許可ではありません)ものと考えます。
 他の居住者から直接の不利益等、受忍限度を超える被害を受けることがあれば、元々飼育禁止と定められているため法的に争う必要もありません。
 マンション内で動物愛護、ペットは家族など、不毛な議論はするべきではありません。

 絵は私の好きな猫と犬です。
 ロレンツォ・ロットは絵画の高い技術を持っている割には同時期に天才達が活躍していて目立ちません。後にブラマンテに認められたのですが、バチカン宮殿の壁画装飾で仕事を一緒にしたのがラファエロだったので、またも目立つことなく実際にロットの部屋は後に取り壊されてしまいラファエロの部屋の壁画は現存しています。その中でこの受胎告知(1534年)は特異です。
 他の多くの画家が描く「受胎告知」とは違うところは、右の大天使ガブリエルから受胎したことを告げられる場面で、マリア様がびっくりこいて逃げているのですね、上から格好つけた背中に羽根の生えた知らないオジサンが突然降りてきて「処女受胎したよ」なんてことをいきなり言われたら誰でも必死で逃げますね。
 この後どうしたんでしょうか気になります。
 本来は不吉な場面の小道具に使われる猫を描いているのも興味深いところです。

松尾 好朗

管理員の壁

 「おおた区報・区民のひろば」5/1号
  相談会「マンション管理全般のご相談」の案内が掲載されました。
   日時:5月29日(日)午後2時~4時 
   場所:エセナ大田


 午後2時頃、商業地域に建つAマンションの管理緊急センターへ、隣接するBマンションの居住者(女性)から、「Aマンションの屋上に携帯電話を落としたので至急屋上の鍵を貸して欲しい。」と連絡がありました。
 屋上へ上がるには脚立からタラップに移るという危険な動作が伴うため、鍵だけを貸すことはできません。Aマンションの担当は別件を対応中、管理員はすでに勤務終了し帰宅、警備会社は契約外の業務になるため対応は午後6時以降で約2万円の費用が発生するということでした。

木の葉に埋もれたはしご 1892年(L’échelle dans le feuillage)denis_feuillage

 担当はまもなく雨天になる情報を得たため、その落とした携帯電話が雨水で使用不能になること、さらに警備会社からは出動費2万円の請求が来ることは避けたく、また近隣との良好な関係維持のため、一度帰宅した管理員へ対応依頼したところ快諾、雨が降る前に管理員から落とし主本人へ渡すことができました。

 A、Bマンションは隣接しているもののバルコニーから普通に携帯電話を落としてもAマンションの屋上には届きません。

 この真相は母親(連絡主)が携帯ばかりをいじって息子(幼児)のことをかまってやらないため、その息子が怒って母親の携帯をバルコニーから投げ捨て隣接するAマンションの屋上に乗っかったのでした。ここまでは「母親はちゃんと子供の顔を見て話しなさいよ」という現代の象徴的な事件ということで以前に紹介したことがあります。

天国 (Le Paradis) 1912年denis_paradis
日本の絵画では俯瞰図は珍しくありませんが、アジサイの咲く庭に多くの天使と子供たちが遊んでいる作品です。想像の俯瞰図ではなく、別荘の2階から描かれました。


 この続きがあります。担当はその母親へ、管理員に無理を聞いてもらったことを説明しておいたのですが、その母親から管理員へお礼と渡された紙袋には香りの強いお茶のティーバッグが数個バラで入っていました。勝手な推測ですが、アジア旅行等でお土産を買った(もらった)けど美味しくない、でも捨てずにおいたのが残っている。管理員へのお礼ならこれでいいだろうという判断ではないでしょうか?高価なものでなくても、せめて新品を贈るべきではと感じますね。
 以前このブログでも、旅行先のホテルバスルームにあるシャンプーリンス等の小袋セットを使わずに持ち帰ったのにウチじゃこんなもん使わないからと管理員へのお土産にした役員を紹介したことがありますがこれも同じです。 

ミューズたち 1893年 denis_muses

 お客様との信頼関係を築くためといって、管理員が一生懸命、誠心誠意居住者のために尽くしても、無意識であってもこのような偏見、差別を示されるたびに高い壁がある気がします。

 このモーリス・ドニ(仏/ノルマンディー)の作品には斬新さの中にも古典的な哲学、宗教性を感じさせます。美術は精神性を創造する唯一の手段であると主張しています。


 ゴーギャンの作品に魅了され、また日本美術の中にある調和を見出し、定型化された構成と装飾性に進化します。
 
松尾好朗

マンションの管理室は町の案内所

 駅前のAマンションの管理室では、駅から出てくる人に道を訊ねられることがよくあります。ひと昔前なら駅前のフルーツショップが、町のインフォメーションセンターの役目を兼ねていた感じでしたね。
 受付カウンターの脇の方では、買い物帰りのおばさんが袋詰めを直したりする風景が日常になっています。
 共用トイレが外に設けられているので、宅配や工事関係者、それに小学生までが借りに来ています。郵便ポストが並んでいるので、知らない人が糊やハサミ等を借りに来ることもしばしばです。

ネットの拾い物
瓜拿納【國外水果】
ネットの拾い物

 その日はリクルート姿の若者が管理室を訪ねてきました。「〇〇会社は何号室ですか?」と、管理員は社名に覚えがないので「住所はあってますか?電話して聞いてみれば?」と返したのですがスマホの地図(アプリ)がこのマンションを指しているので間違いないというのです。

 そのやり取りをしている間にも、同じ目的らしき若者が一人増えて「面接会場は何階ですか?」と聞くのです。二人ともしばらくスマホをいじった後、ぶつぶつ言いながら去っていきました。その日だけで同じのが4人来ました。 
 一般の地図アプリは近くまでは探せますが、住所の何号まで示されないことは今どきの若者(グチ^_^;)ならわかると思うのですが、そんなことより彼らが捜していた横文字の会社はIT関係と察しますが、君たちそんなんでダイジョウブですか?ですね。
 この若者たちが生まれた頃は2000年(平成12年)前後、小渕・森・小泉総理が続いた時代です。パラパラというやる気のないダンスは流行らず、だんご3兄弟、tsunami、桜坂、夏祭の曲が商店街で流れていました。
 この頃、建築基準施行令で階段手すりの設置が義務つけられましたね、対象になるマンションでは実施しないと特定建築物定期調査で既存不適格となりますよと、管理会社の物件担当者が得意げに話していたのを覚えています。
 その後、数多くのマンションに取り付けたナ〇工業の新製品が、改正時とのタイミングが良すぎたので、狭量な心の私などは変な疑いを持ってしまいます。
 手すりは万が一の時のため命に関わると理解できますが、各マンションの長期的修繕計画は、お上の沙汰(法改正)で簡単に覆され、予算組み直しをせざるを得ません。
 国民の安心安全な暮らしの観点から定められる様々な制度ですが、普通に管理会社へ委託して建物・設備点検に問題がなければ、「特定建築物」、「建築設備」、「防火設備」、「昇降機」は、高額な費用がかかる割に調査結果がいまさら何いってるの感がありありです。
 管理不全等、問題ありの不健全なマンションだけを集中して調査、指導することが、本来の目的に適っているのではないかと思ってます。

 このほかにも管理状況届出制度、管理計画認定制度、優良マンション登録表示制度、マンションみらいネット・・・別の機会に報告したいと思います。
松尾好朗

 前回のブログでは国道のガードレールのデザインにケチをつけたのですが、ネットで素敵なフェンスを見つけたので貼っておきます。

 音楽関係の方へ、黒鍵の数が多いとか言わないで下さいよ。
以上

歩道にあった死角

 以前、当ブログで‘街で見かけた残念なデザイン’と題して取り上げたのが、大田区内第二京浜(国道1号線)の歩道との境に設置されたガードレールのデザインです。

 パイプの隙間にカバンの帯紐なのか水筒のヒモのようなものが挟まっていて、それが一つや二つではなく連なっている個所もありました。

 先日、工事業者がそのモノが挟まっているガードレールを外し、別のもの(よく見ないと違いが判りません。)と交換しているのに出くわしました。
 このブログで指摘したからでしょうか、いやいや評判が悪かったのでしょう、隙間には平板が溶接されていました。この写真の通り・・。

 これで子供が水筒やカバンのヒモを隙間に詰めてしまって、どれだけ引き抜こうとしてもだめなので、泣く泣くあきらめ帰ってから母親に「ぼーっとして歩いてるんじゃないわよっ!」と叱られなくて済みそうです。めでたし、めでたし。

 もう一つ、あるファミリーマンションのエントランスドアの取っ手のデザインです。

 特定したくないので問題の部分だけの写真ですが、取っ手の上下エッジが鋭角に尖がっています。わざわざ特注したもののようです。
 高さから考えると、下端は扉が風にあおられると小さな子供のおでこや目に直撃するかもしれません。
 管理員さんもその扉のガラスを磨く際には、かがんだ時等に尖ったところで手や顔を引っかけないように気を使っていると言ってました。
 実際触ると痛いです。いずれにしてもストレスを感じるデザインです。
 

  設計者は他と違うもので差別化して満足したのかもしれませんが、危険で残念なデザインだと感じました。
 不特定多数の人が出入する公共性のある場所では、デザインの基本は忠実に守って欲しいものです。
 松尾好朗

住まい探し(マンション内見される方へ)

 Aマンションの購入希望者でしょうか、内見に来られた若い夫婦は共用部をキョロキョロ見渡しながら「築年数の割にはまあまあだね、床なんかよく掃除が行きとどいてるし明るい感じだね・・ 」と、大規模修繕工事で貼り替えたばかりの床シートを見て夫婦で互いに肯定し合っています。
 この夫婦は数か月の間、土日のほとんどを使って数多くのマンションを亡者のように巡り疲れ果てています。
 購入の決め手になる理由(あれダメ、これダメとおせっかいなアドバイスをする周りへの言い訳)だけを探しているという精神状態かもしれません。
 うん千万円の買い物には冷静さが必要ですね。

 大規模修繕工事が完了したら、待ってましたとばかりにマンションを売りに出すということがよくあります。
 売る側は何故か直前まで全くその気配を見せないのが特徴です。
 この場合、建物はキレイになるので成約率も高くなりますが、見落としもあります。

アルフレッド・シスレー
「ロワン川の水路」1892年

 それは何かというと、このAマンションは大規模修繕工事の実施のため限度いっぱいまで工事費を借入れしました。
 今後10年間で借金を返済します。当然、貯金はありません。
 大規模修繕工事が終わって、共用部分が整備された自宅を希望値で売り抜けたBさんには、この借金を返す必要はありません。言い方を変えると、新しくこの部屋を購入したCさんが借金を背負い修繕積立金という名目で返済することになります。

アルフレッド・シスレー
「サン・マルタン運河」1870年

 Cさんは購入後に事情が判ると「えーっ!」という気持になるかもしれません。
 同じお金でも「貯蓄している」か、お金を共用部分の修理整備やグレードアップにより「資産価値を上げた」かの違いですが、購入前にはこれまでの修繕履歴や、今後の大規模修繕工事の時期は把握しておくと不安は少なくなります。

 不動産仲介業者は、売買に不利になることはロクに説明せずに、契約時の「重要事項説明を受けました。」というところにハンコもらえば終了、後でなにかあっても、ちゃんと説明しましたと突っぱねます。

 実際にあった事件です。理事長は、大規模修繕工事の実施にあたり金融機関から融資を受け、自分の知り合いの建築業者に工事を発注しました。他の理事が推薦する業者の方が安価であったにも関わらず理由をつけてそれを却下しました。
 工事は1階に専有部分がある理事長宅の玄関ポーチを勝手に拡張し、その床タイルを総貼り替え、玄関扉と門扉、その周辺照明器具の交換等の必要と思われない工事が行われ、他の組合員が無関心なことをよいことに、理事長主導の工事は完了、その直後に理事長宅は売却されました。

 管理組合に多額の借入金を負わせ、自宅の売却が有利になる工事をしたのは間違いありません。
 さらに手抜き工事を行った業者を追求し、詳細不明(判例集記載無し)ですが、業者から理事長への不正なリベートがあったことが判明しました。
 管理組合は旧理事長の不正を訴え、勝訴したものの、旧理事長は破産状態であるために損害金の回収は捗らず、さらに工事業者も逃散していました。

Rest along the Stream. Edge of the Wood
シスレー 1878

 話は大きくそれましたが、購入の目的で多くの物件を見たときは、些末にこだわり何が重要なのか麻痺していることがあります。
 修繕積立金の繰越金残高とそれを戸当たりに割り出した額をしっかり確認、他物件とも同じ方法で割り出して比較検討しましょう。

 当マンション管理士会では、首都圏であればマンションの内見等に同行してアドバイスや、各書類の確認、注意点などのサポートをさせていただいています。
 人生に何度もない大きな買い物のお手伝いができればと思いますので、ぜひご利用下さい。

アルフレッド・シスレー
「春の太陽ーロワン河」

 挿絵に使わせていただいたのは、シスレーの作品です。普仏戦争で援助を受けていた父親が破産、当時は彼の絵はなかなか認められず貧窮生活が続きました。
 いかにもフランス臭い画家なのですが、実はイギリス出身です。
 中でも「春の太陽-ロワン河」は名作だと思います。
 春の絵は明るく若草芽や花を描いてしまいそうですが、霞みが残る春陽に照らされ、湿った足元からの春の息吹が感じられます。
松尾 好朗

組合協力金

 最近になって、役員にならない又はなれない組合員へ協力金なる金銭の負担を求める組合が多くなってきたと感じます。
・民法の条文です。
(所有権の内容)第206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
 マンションの各戸の所有者は、自分で住もうが誰かに貸そうが、法の範囲でどのように使っても自由であり、その立場や事情について優劣をつけたり制限を受けるものではありません。

日下 明

 所有するマンションには住まずに賃貸等にしている非居住区分所有者(以下、不在組合員)へ住民活動協力金(以下、協力金)を課する目的の規約変更について、影響を受ける不在組合員が承諾していないのに変更の決議したのは無効として協力金の支払いを拒否した事件で、最高裁まで持ち込まれた中津リバーサイドコーポの判決(最高裁平成22 年1 月26 日第三小法廷判決)は、「管理組合が不在組合員だけに協力金を負担させる規約の変更が、不在組合員の権利に特別の影響を及ぼすことには該当しない。」と、つまり「相手の承諾はいらない」というだけの判決でした。

 そもそも外に暮らす組合員は役員の資格を与えられていない(旧標準規約)ので、協力したくてもできないことから、まずは役員資格を平等にした上で、それでも各々の事情で役員を辞退する組合員へ協力金を求めるなら理解されると思います。

日下 明 Akira Kusaka

 裁判官の判決が「中の役員はな、マンションのことで色々あって大変やのに、そんな苦労も知らんと部屋貸して儲けとる奴らにはな、5千円ぐらいペナルティーで払わしてもええんとちゃうか?」という風に聞こえてしまいます。
 もともとは管理費が8,500円のところ5,000円上乗せして払えと要求しているので、不在組合員へケンカ売ってるようにも思えます。後に2.500円に下がりました。

日下 明 Akira Kusaka

 投資物件として所有している場合は、本人の承諾なく値上(原価の増)され、収支が合わず手放せば、全体の資産価値が不安定(下落)になることが懸念されます。
 別の例では、祭りの準備や町内会の集まりに不在組合員は参加しないからダメとのことでしたが、自治会(賃借人等を含めた居住者の任意団体)活動と混同している場合が多いようですね。
 管理組合は共用部分の管理と使用に関わる活動です。

 所有者が居住していても非居住であっても、管理上では平等であり差をつけるものではないと思います。
 役員のなり手不足を嘆いたり、不在組合員に不満を持っている場合は、マンション管理士を顧問に参加させて正常化、活発化させることをお勧めしたいですね。

 文中の絵は、観た人を瞬時に独特の世界に引き込んでしまいます。棘のある私の稚拙な文章を和ませてくれることを期待します。
松尾好朗

質問への回答リクエスト(廃墟化するタワマン)

 私はこの場所とは別に某有名ページに別名で投稿をしています。そこでAさんの質問にBさんから私に回答リクエストをされた時に回答した文章がありますので、本日はそれを転記して紹介させていただきます。
 タワーマンションへの否定的な意見が多い中、反発してやや肯定的意見にしました。
 尚、文中の挿絵は内容と関係がありません。質問はこれ。

質問:タワーマンションの大規模修繕費用は巨額であり、いずれ破綻して廃虚化するというのは本当ですか?

 分譲マンションの場合は、管理組合が適正な運営を行っていれば、修繕費用が巨額であることが原因で破綻して廃墟化することはないと思います。
 例えば5階50戸の中規模マンションが8棟ある400戸の団地の場合、屋上の防水工事は8回の施工が必要です。これと同じ水平投影面積の40階400戸のタワーマンションでは、同じ面積の施工が1回で完了します。棟ごとに必要な設備更新等も1回で終わることがあるタワーマンションの方が、はるかに経済的で合理的なこともあるのです。そのため巨額であることが破綻の原因には繋がりません。

 超高層建物は従来の枠組足場等が対応できないため、設計段階で移動昇降足場等が想定されています。それは部分修繕やメンテナンス、定期的な清掃にも使われますので、足場が原因で巨額になるという訳ではありませんね。

The Porte Maillot ,Snow Effect,Sunset
ルイジ・ロワール

 余談ですが、ゴンドラ足場の乗り心地は上層階ほど自然の風をたっぷり受けてスリル満点、普通のエレベーターがいかに快適なのかを実感できますよ。

フランソワ=ジョゼフ・ルイージ・ロワール《乗車のまえ、薄明かりの効果》(1893年)バロワ美術館

 「すべてのマンションは廃墟になる。」と煽るような記事を書いている人もいますが、この意味は管理組合が何もせずに放置しているとタワーマンションでなくても廃墟化が進むので、長期的に計画して適切に管理しましょうという解釈が正しいと思います。誰しも自分の家は守りたいですからね。

 欧米では、適切に建物修繕を施している築百年超のコンドミニアムが多く健在しています。
 そもそもタワーマンションが求められた理由は、都心等の非常に利便性が高い立地で限られた土地を(横には広げられないので)上に伸ばして有効活用することですね、そのため土地や一戸建てが安価に手に入る地域ではタワーマンションは全く必要とされません。リゾート地に林立しているマンションを見かけますが、上層階からの眺望以外にはタワーマンションを建てるメリットは見当たりません。その地のマンション内の温泉設備の運営管理が破綻して閉鎖している物件があり、売りたくても買い手が現れずという場合では廃墟化が早く進むでしょう。リゾートへ訪れる目的が何かを考えれば、近隣のホテルを利用した方が経済的で時間も使えて名物料理を食べ歩いて何倍も楽しめると私は思うのですが・・。

 私の知人の範囲ですが、タワーマンションに居住、所有している人の共通点は、高値安定の年収であっても生活に派手さがなく、国産車を長く使用しているような堅実で余裕のある層であり、ローンに追われるような人には不向きです。独車を何度も買い替えたり、高級スーパーにしか行かないような成金さんもすぐにタワーマンション生活に飽きてしまって定着しにくいのかなと思います。

Paris sous la neige 雪のパリ
ルイジ・ロワール

 つまり、修繕積立金が高額であっても理にかなっていれば負担するしっかりした層が居住、所有しているという印象です。

 回答に戻ります。上記リゾート立地の一部タワーマンション及び、成金さんが喜ぶサービス施設が盛り沢山で、その施設があるタワーマンションの上層階を買い占めた外国人が営業する民泊客に独占されている投資用のタワーマンションにおいては、これを制御できる人がいないと破綻し廃墟化する可能性は大いにあります。

 付け加えると、すでにタワーマンションのステータス感が薄れていて、温水プール等の運営コストが負担になる施設は販売促進上で目新しさがないことや、生活時間の多くをマンション内で完結する思考よりも、近隣地域との接触機会を持つ生活スタイルに比重を置く方向に変化しているのかもしれません。
 気取ってないで、地元で買い物して地元のスポーツクラブに入って交流しろってことですかね-。

 3枚の絵画はルイジ・ロワール(1845-1916スロバキア)というパリで活躍した画家の作品です。冬の絵だからということではなく、少し冷たいよそよそしさがあるパリの街の雰囲気が良く描かれていると思います。この人のファンは日本にも多くいます。
松尾好朗

管理スタイルを変えるとき

 東京23区にも大雪警報が出されました。
 昨日、築古ながらもキッチリ管理された500戸超えの大規模マンションを訪問してまいりました。

 日勤の管理員1名、清掃スタッフの外に、日替わりで管理会社の担当者(フロント)、建物設備担当者、組合会計担当者等々が順々に管理サポートする中の1名として、今後月に2~3回だけですが、現場対応と理事会(必要な場合)に参加させていただくことになりました。

歌川国芳「東都名所 洲崎初日出の図」
大勢の人が海岸沿いで歓声を上げているのが小さく見えます。

 知る限り他のマンションでは例がなく、新しい管理のスタイルだと思います。管理員1名ですべての対応はできない場合でも、様々な専門分野を持つスタッフが定期的にサポートできれば理想形であり、管理員も作業に追われることがなく全体を把握できると考えます。
 ここまで大規模なマンションに入館することも初めてです。夜景の迫力は圧倒されるものがありました。

歌川広重「江戸名所 洲崎はつ日の出」

 
 こちらで体得した情報その他が、各方面で役に立つようなことがあれば、当ブログでも提供したいと考えています。
 もし訪問が今日だったら、雪かきおじさんとしてカチカチに凍っていたと思います。ww

 もう6日になりましたが、皆様本年も宜しくお願い致します。
 おめでたい絵の代表、日の出がテーマの版画を挿絵にしました。

歌川国貞 二見浦曙の図

 この風景のあるところ、私が中学生の修学旅行で初めて訪れました。学校へお土産を事前注文をして名物赤福とショウガ板を旅行解散時に渡されたことを覚えています。自分の小遣いで買った土産は竹笛1本だけでした。
 数年前にも訪れる機会があり、夫婦の岩とその距離が絶妙の美しいバランスながらも、中学生の時の記憶よりも意外と小ぶりだったなという印象でした。
 明治皇太后が神宮参拝の折に名物の赤福を召される際、それまで黒砂糖を使っていた赤福を白砂糖に切り替えた結果、好評をいただいたことで今の赤福の味へと繋がっているようです。2007年の食品偽装事件も乗り越えて赤福は元気です。
 名物の伊勢エビや真珠にはずーっと縁がありません。(ついでに松坂牛も)
松尾好朗

丑から寅へ、会員募集

 私事ですが、スマホのバッテリーの寿命なのか、いつも充電中の持ち歩きができない有線スマートフォンになってしまいましたので、仕方なく機種変更した時の話です。

竹虎図 尾形光琳筆 江戸時代

 特に好みはないので、格安スマホの店に入り、あれこれ迷いながら契約書の説明を受けていた途中のこと「お調べしましたが、実はご希望の機種の在庫がなく、すぐにお渡しできるのがコチラ、12万4千円になります。」と告げられました。

 あれれ?値段がずいぶん上がった。これって私のことを無知なオッサン(当たってますけど)と見てカモにしてるなと思い、また来ます(来ませんけど)と店から逃げてきました。

葛飾北斎 雨中の虎
数え90歳の作品
原宿の太田美術館所蔵

 色々説明を受けて使うはずのない機能も使うかもしれないと興味をもってしまい、さらに目が肥えてくると安価な機種では気に入ったものは見つからず、7万、8万円とつぎつぎ高額な商品を選んでいる自分がいました。怖い危ない、無知なオッサンは思わぬ出費をしてしまうとこでした。www
 ちなみに次に訪れたドコモショップでは、キャンペーン中の機種を冷静?に選び、機種代はなんと1円で済みました。

 2021年(令和3年)は大田区管理士会をバックアップしていただいた皆様、セミナーや相談会にご参加いただいた皆様、ウィルス感染禍の制限がある中、本当にありがとうございました。
 今後もマンションに限らず、住生活に関わる様々な活動や情報提供を通して少しでも世の中のお役に立てることを目指しております。

 管理士会では一緒に活動していただける会員を募集しています。
 2ヶ月に一回程度、勉強会、セミナー、無料相談会などを通して、マンションの居住者、所有者、管理組合の役員様と情報交換を行っています。
 入会について、いつでもお問い合わせください。

 令和4年の干支を挿絵にさせていただきました。 
 皆様、良い年をお迎えください。
 最後に芦雪の虎図襖を貼っておきます。
 光琳も北斎も芦雪も本物の虎を見たことがありません。猫を参考にするので、どうしてもカワイイが残ってしまってますね。
 尖がった社会には可愛さも必要でしょうね。www
 松尾好朗

長沢蘆雪「虎図襖」


 

 
 

マンションに見るM市の縮図

 M市に建つMマンションは30年が経過、その間の家族構成や環境の変化によって、部屋を手放したり賃貸にする区分所有者は珍しくなくなりました。
 Mマンションは駅チカではなく、特別な設備もなく地味な外観なので、ぜひここに住みたいという人は少ないと思いますが、これまで目立った事件や事故はなく、修繕積立金も順調に積み立てられています。

クロード・モネ「かささぎ」1869年
クロード・モネ「雪の中の通り アルジャントゥイユ

 Aさんは倉庫代わりにしていたMマンションの部屋を引き払い、賃貸に出したいことを不動産業者へ相談したところ、外国人でよければすぐに入居希望者がいるとのことで、リフォームもしないまま即入居となりました。
 Bさんは借家人の退去後、しばらく放置していましたが、館内に入居募集を掲示したところ、意外にもすぐに希望者が現れました。
 Cさんは手狭で使い勝手が悪くなった部屋を売却しようと、同マンションに事務所を構えるE不動産に相談したところ、そのEが買い取ることになりました。
 Dさんは賃借人が居住したままオーナーチェンジをインターネットを使って成約させました。
 このような変化が続く中でも、毎年の総会では区分所有者の出席は少なく委任状を提出する等、管理会社任せにしていました。
 長く理事長を務めていたDさんが部屋を売却したため、複数の部屋の所有者になったE不動産の代表が理事長に就任しました。なお新理事長は外国籍ですが法的に国籍についての条件はありません。

歌川広重『東都名所 日本橋雪中』 1831年頃
歌川広重 東海道五十三次「蒲原宿」

 新理事長は管理費の削減のためとして管理会社を変更しました。理事長が経営する不動産会社の関連業者が次々と修繕工事を行い、修繕積立金がみるみる減っていきました。
 一部の区分所有者が危惧の念を抱き、理事長解任を試みましたが、他の外部在住の区分所有者の多くは家賃収入さえ確保できれば何の問題もないという対応でした。
 そんなことより、この時点で区分所有者の1/4を超える区分所有者がE不動産会社の代表と同国籍で、そして賃借人の半数以上が同国人という状態になっていました。
 館内の掲示板には同国の言語が使用され、そのE不動産がコントロールする実質上の乗っ取りマンションになりました。
 こうなると売買も賃貸も一般の相場での取引は難しく、E不動産が買い叩く負動産になってしまいます。 

エドヴァルド・ムンク「小径に降る雪」
ワシリー・カディンスキー「冬の風景」

(規約の設定、変更及び廃止)
第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。・・中略・・規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。
(集会の招集)
第三十四条 
・・中略・・
 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。 
 つまり、一定数を確保しておけば、自分たちが都合の悪くなる規約等の変更はさせないことができ、自分たちに都合の良くなる要求はいつでも総会を開催して提案できることになります。
 悪意の有無にかかわらず、気付かないうちに浸食されたマンションは、資産価値を維持しつつ平穏に暮らしたい人にとって、もう取り返しがつかなくなります。

 都内約14万人(7万8千世帯)が暮らすM市の市長の発案で、滞在3か月だけで外国人の住民投票権を認める案が委員会で可決されたと報道がありました。
 投票結果は法的な拘束はないというものの、その結果は尊重するというものです。
 最近では、大阪都構想で住民投票が行われ、結果は僅差で賛成票は過半数に届きませんでした。外国人に参政権は無くても、もし外国人へ住民投票権を与えていれば逆転していたか、少なくとも地域の将来を左右するほどの影響はあったかもしれません。大阪府には外国人がM市を超える25.3万人が居住していますので、一つの勢力になりうるのです。

「冬」ジュゼッペ・アルチンボルド
1563~

 M市長の「多様性を認め合う支え合いのまちづくり」イメージが、世界中の様々な人々が手を取り合って暮らすお花畑のような町・・・とは、さすがに想い描いてはいないでしょうが、多様性にならなくて一様性(特定国)を税で支えて、Mマンションのように気付かないうちに特定の国に浸食されることを危惧してしまいます。
 M市= 市長等及び議会は、成立した住民投票の結果を尊重するものとします。
 

『春』(1573)、ルーヴル美術館1573
『夏』(1573)、ルーヴル美術館_1573
『秋』(1573)、ルーヴル美術館1573

 画家が「冬」を色々な想いで描いています。
 最初のモネの2点、目から入った情報が人の記憶をリアルに呼び起こし、冷気までを感じさせてくれます。夏になったら冷凍庫で保管しないと溶けてしまいそうです。
 広重の「蒲原宿」には大雪が積もっています。富士川の河口付近には、今は殆ど雪は降らないですね。
 叫んでいないムンクの絵もあります。並木が揺れていて船酔いしそうです。道の先っぽがやけに明るいのは謎ですね。
 カディンスキーの「冬の風景」の中のどの辺りが冬??なのか、私には見つけられません。白い雪などを描くのは、彼のこけんにかかわるのだと思います。
 アルチンボルトの四季シリーズのうち、冬には人気はなくてもトラウマティックな存在感があります。
 実を2つ残したことで「木は枯れて(死んで)ないぞ」という彼の主張が見られます。
松尾好朗

世に溢れる怪しい商品

 最近よく聞くリバースモーゲージやリースバック、あの手この手で人の財産を巻き上げようとしてきます。クレジットカードも、毎度毎度リボ払いを勧めてきて、人を借金漬けにしようとしてきます。横文字に置き換えても、高利貸しと変わりがありませんね。(笑)

ポプラ並木(ジヴェルニーにて1/23枚)
クロード・モネ 1891年の秋

 リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借り、返済期間中は利息分のみの返済という自宅担保型のローンです。土地の価値を重要視するため、超一等地等は例外ですが、区分所有のマンションにはなじまないローンです。

 契約者が返済途中で死亡すると、その相続人は基本的には自宅に住み続けることはできないため家を明け渡さなければならないというデメリットがあります。

 リースバックは、自宅を業者へ売却した後、賃借人として同じ家に住み続けられるというメリットがありますが、デメリットは相場より低い金額で売り渡し、相場より高い賃料で借りるように追い込まれてしまうこと、数年後には家賃値上げを受け入れざるを得ないことや、期限付き契約では途中で退去し住まいを失うことがあります。

 戸建ての場合は近所の人に知られないように売却して住み続けられますが、マンションでは区分所有者変更になれば、管理者は理事会や総会で(多くの場合は管理会社が代わりに)報告する義務がありますので、売却したことを隠すことはできません。

 業者は「ご相談」と称して足元を見てきますので、世間体を気にせずに他の方法を選ぶべきでしょう。

アリスカンの並木道
フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年

 最近、ある管理組合で修繕積立金減免制度といって、これまた怪しい話を聞きました。
 高齢化社会の中、マンション居住者の高齢化が目立ち、同じく建物も高齢化(老朽化)が進みます。
 建物の日常的な保守管理、定期的な大規模修繕工事、さらにはその時代に見合った設備機器への更新や法改正に対応したリニューアル等を適時適切に実施しなければ資産価値の低下を招き、安全な暮らしを維持できなくなります。
 それらを放置するとスラム化を招きますので、長期修繕計画に応じて修繕積立金の各戸負担額が値上となるのはやむを得ません。

 とまぁ、ここまではよく聞く話ですね。
 区分所有者の中には値上げに耐えられず、又、他の様々な事情で管理費・修繕積立金等を滞納する人が現れます。
 滞納(未収)金は払うことができなければ、最終的にそのマンション区分所有権を売却(任売、競売)してその精算に充てることになります。

赤い屋根
1877年 ジャコブ・カミーユ・ピサロ

 この減免制度は管理組合が、そういう事情で支払いができなくなったり、収入のない高齢の区分所有者に対して、修繕積立金の各戸負担を減免(免除)するという制度のようです。
 その範囲は、値上げされた差額分だけの減免や、その家庭事情に合わせた期限付きの免除等が考えられますが、制度を承認するには管理規約の変更追加が必要になりますので、明確に明文化する必要があります。
 減免といっても会計科目は「未収金2」とでもするのでしょうか、未収金は管理組合の貸付ではないので、遅延損害金や保証人の有無、覚書の精査、そして時効を援用されないような方法を取っておかなければなりません。
 いずれにしても管理組合の会計に影響のない十分な体力(剰余資金、積立金等)を持っていなければ、将来に亘っても実行できる制度ではありません。
 大規模修繕工事で費用を借入をするような管理組合では成り立ちませんね。

秋のアルジャントゥイユのセーヌ川
クロード・モネ 1873年

 理事長は、同じマンションの仲間に「払えないなら部屋売って出ていけ」とは言えないので、温情からこの救済制度を考えたようです。
 将来その区分所有者が亡くなったときに相続人が精算、又は売却して精算となりますが、この超高齢化社会の中で免除期間が20年以上にもなれば、減免した金額も高額になります。毎月の管理も手間がかかりますね。

 例えば、築古ワンルームの高齢者が減免制度を利用し、長命で亡くなられたケースでは、その間も建物もさらに古くなり資産価値も下がります。
 販売価格に免除額が上乗せされるので、古くて高いマンションは売れることなく、その期間も毎月の管理費等の全額が積み上がります。
 当然のように相続放棄され、競売でも債務付きマンションには買手が現れず、結局管理組合は減免した分の債権放棄して整理せざるをえなくなるでしょう。
 温情からの発想は危険で不公平感を生み、管理組合の仕事ではありません。先のリースバックを紹介する方がよさそうです。
 管理組合は判断が難しい個々の金銭事情には、いっさい手を出さないことが賢明ですね。

 秋らしい絵画を並べました。

 「日本の橋」はモネの晩年、目が不自由になってから描かれました。
 同じ構図の多くの作品と比べて、鑑賞する側の心の奥深くへ強い印象と、遠い記憶を呼び覚ませてくれる気がします。
 松尾好朗
 

日本の橋
クロード・モネ 1918-24年



スラブ下配管が専有部なのか?

 「東京地裁令和2年1月29日判決」判例集の中では探せなかったので、センター通信10月号の記事を拝借します。判決への流れを簡単にいうと・・・
 【マンションの2階に住むAさん宅の排水が不良のため調査したところ、床コンクリ―トスラブ下(1階の天井)の排水管腐食による閉塞が原因と判明、1階に配された排水管を修理して復旧しました。1階は共用駐車場です。
 その排水管は天井から壁を伝って下り、共用の主排水管または排水桝へ合流して公共の排水管に継がれていくものと思われます。(明細資料なし)
 修理部分はスラブから外の共用部分であるため、管理組合へAさんが立替払いしている修理費用20万円を請求をしました。
 しかし、駐車場天井にある排水管の修理箇所は他の部屋からの合流がなく、Aさんが専用使用しているため、修理費用はAさんが負担するべきと管理組合が主張しました。
 Aさんはコンクリートスラブに囲まれた内側の専有部分から外の排水管の不良であり、駐車場が共用部分であることは管理規約にも明記され、管理組合が負担するものと主張し裁判となりました。
 そして裁判所の判決は、管理組合の主張の通り、排水管は共用部分に設置されていてもAさんが専用使用していること、管理が容易に出来ることを理由として共用部分には当たらないとしました。】

ピエール=オーギュスト・ルノワール
《読書をする女性》1874-1876年

 まず、一般人の中には駐車場の天井の多くの配管の中から「これがウチの排水管です。」と見分けることができる人は少ないと思います。その駐車場天井にある専用使用している配管は、容易に管理ができる存在であるのか非常に疑問です。もし、車が駐車されている直上にその配管があり、汚水、雑排水が漏水して他人の車を汚損させた場合、上階の区分所有者に責任があるという解釈になりますが、そんなことは全く知らずに生活しているのが普通だと思います。

 もし共用の排水本管や排水桝に合流するまでその専用使用している排水管が長く建物を這っている場合も、Aさんの責任と費用で管理せよということになります。
 詰まりの原因がすぐに判明しない場合等は調査のため、駐車場契約者に自らが交渉して場所を空けていただき代替駐車場を探し、その手配や支払いもしなければなりません。
 場合によっては埋設排水管(連結部分)を調査することになることも考えられます。
 このようなリスクがあることは、マンション購入の重要事項説明書に記載しません(売れないので)が、責任はどこに問えばよいのでしょうか?

 通常は、区分所有法第9条に該当すると考えられます。
(建物の設置又は保存のかしに関する推定) 
第9条 建物の設置又は保存にかしがあることにより他人に損害を生じたときは、そのかしは、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。

 これまでの解釈だと、明らかに専有部内が原因である場合以外は、共用部分が原因と推定するとされていました。
 最高裁判例 平成9(オ)1927 建物共用部分確認等事件を参考にしてください。
 関連したところでは、標準管理規約に(敷地及び共用部分等の管理)第21条2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
 専有部分の排水枝管は共用本管とつながっているため、定期的に設備一体として管理組合が実施する全館の排水管清掃がありますね。

 現場がどうこうではなく、裁判官はあくまでも法律の範囲の中で判決を下すので、今後もこのようなあれれっ?と感じる判決に出くわすこともあるかもしれません。
 私たちマンション管理士は、区分所有者以上に管理規約や使用細則、そして総会の決議事項を把握しておかなければ、アドバイスなどができるはずもありません。各マンションの特徴、特性を理解して、様々なケースを想定して管理規約等に追加記載しておけば裁判所もそれは否定できません。

ジャン・オノレ・フラゴナール
《読書する娘》1775年頃

 秋は読書です。
 読書をする女性を集めてみました。

クロード・モネ
《春》1872年
メアリー・カサット
《縞模様のソファに座って読書をしているダフィー夫人》1876年
フェデリーコ・ファルッフィーニ《読書家(クララ)》1865年

 今は読書離れと言われていますが、まだ文盲率が高かった時代は一冊の高価な本を、字を読める人が朗読し、多くの人が集まって聴いていたといわれます。
 ここに出てくる本を読んでいる女性は教育を受け、字が読める人たちです。
 画家が女性と知性を表す本の組み合わせに魅力を感じるというよりも、画家が「本を読んでていいから」というと、モデルを探すのに楽だったという理由があったのだと思います。
 フラゴナールの「読書する娘」は知的で凛とした印象深い作品です。電車でスマホをにらんでいる女性たちから最も遠いところにいる存在だと思っています。
 本を持つ手の指は後世に何かのサインを我々に送っているのでしょうか?
松尾好朗

 


目立つTele Workゴミ


 中規模のAマンションにおいても、自宅で仕事をする人が増え、中年のおじさんが朝、部屋着でポストを覗いたり、若いパパが子供の幼稚園バスを見送ったりする光景は日常になりました。
 収集日前の山積のゴミ袋の中、シュレッダーゴミが入った大きな袋を見つけました。袋の中には半分しか入っていないのに、空気でパンパンに膨らんでいる袋をよく見かけるのは何故でしょうね?大きな会社のお嬢様社員がゴミ捨てするとこんな感じです。私だったらまだ入るからと目いっぱい詰め込んで、重くて袋を破いてしまうタイプです。(悲)

フレデリック・チャイルド・ハッスム
『雨の夕暮れ』1893年、個人蔵

 出された量から想像するとシュレッダーマシンが部屋にあるのでしょう、自宅に持ち帰っているような資料は社外秘ではないと思うのですが、誰も見てないところでもシュレッダーにかけるところが日本人的ですね。
 複合マンションでは、事務所や店舗から出されるゴミは事業用のゴミとして、区の収集とは別に戸別に専門回収業者と契約しています。
 住居専用のAマンションは区の清掃事務所(又は委託業者)の収集だけになります。

 とすると、このシュレッダーゴミは家庭から出たゴミではなく事業用ゴミとして処分しなければなりませんね、勤務先から自宅へ紙の資料を送り、要らなくなってシュレッダーにかけたものは、もう立派な事業ゴミへと出世します。(笑)
 とりあえずの問題(実害)は、そのパンパンに膨らんだシュレッダーゴミが収集時に破けて、風で街中に舞い地面にこびりつくという非常に厄介な代物で、何日間もそこら中に残ります。
 これを復旧する労力を考えると、本当にシュレッダーにかけないといけないのか、個人レベルの量なら資源リサイクルにして欲しいと思います。

 シュレッダーで繊維を細かく切り刻んだ紙はリサイクルの対象にはなりませんので、紙なのに燃やすしかありません。
 中国からの荷物の段ボールも、硬質なチップや木の粉末が混入してリサイクルできないものがあります。
 また、何故か段ボール箱をミイラの様にビニルテープでグルグル巻きにして送ってくることがありますが、こんなのは収集されても燃やされてしまいます。

フレデリック・チャイルド・ハッスム
「雨の夜」(1890)_Rainy_Midnight

 紙・段ボール類、アルミ缶のリサイクルは成り立っていますが、プラ、ペットボトルなどはサーマルリサイクル(熱エネルギー利用)として実際はほとんど燃やされるので分別収集とは、遠い未来の意識の習慣付けにすぎないのが残念なところです。

 温暖化防止、CO₂削減、脱炭素社会などの言葉を掲げてモノいえば、何でも正義という世界的な風潮があります。
 その背後には環境ビジネスと呼ばれる巨大なマーケットを先に支配しようと狙う国や企業が存在します。中には少女を使った演出で主導権を取ろうとした企業に、ノーベル賞間違いなしと日本のマスコミが騒いでいたのが情けないです。

フレデリック・チャイルド・ハッスム
「ボストンの夕暮れ」1885–86

 数年前ですが、屋上にソーラーパネルを設置し、作られた電気を売って料金を節約したいという希望が、多くのマンションからありました。
 初期投資の費用の元を取るまで何十年間、更に定期的な機器メンテナンス費用が加わり、屋上防水などの保守費用の数字示すと大赤字なので、広くもない屋上での実現はほぼ不可能ということがよくわかっていただけます。

フレデリック・チャイルド・ハッスム
《ボストン、コロンブス通り》(1886年)

 新築マンションでウリの目玉として設置されたこともありましたが、故障してから業者が倒産、維持できずに産廃費用も高額で、危険な状態で放置されている例があります。また、災害時に役に立つと勘違いされているのが発電機ですが、共用照明の一部を点灯させる程度で、エレベーターや給水ポンプは作動できません。

 マンションにも到来する環境(温暖化)ビジネスに対して、管理組合は業者に操られたりマスコミに踊らされたりしないよう正しい判断ができるように準備してほしいと思っています。
 ソーラーパネル、屋上緑化等はプラス面を見てしまいますが、維持する覚悟(効果以上の支出)がないと自己満足に終わり、3年後には骨董品の金食い虫になっているのが想像されます。

 アメリカの画家、フレデリック・チャイルド・ハッスムという画家の作品を挿絵に使わせていただきました。風景画とは異なる光景、心にとめた記憶の情景を描きとめて印象に残る作品を描き上げました。
 人が天候の変化に抗うことなく自然に生きていることに何か想像力を掻き立てるものがあるのでしょうか、雨や雪の作品が多いのも特徴です。
 このゼラニウムの絵のように、焦点が3カ所(花、女性、ジョウロ)ある作品は、どのような設定なのか本人から解説を受けたくなります。
松尾好朗
 

「ゼラニウム」(1888)Childe_Hassam,_Geraniums

Unsplash



 

 
 
 
 

市街地再開発に今さら反対って?

 以前にも紹介させていただいているAマンションが建つ地区の再開発計画での最近の話です。
 同じ計画区域内のマンションの居住者が、対象区域にあるマンションの居住者へ「再開発計画に反対しよう!」という内容のビラを配布しました。
 人それぞれ立場や考えが違うので、反対する人がいても不思議ではありません。しかし、そのビラの内容には根拠がなく、不安をあおるウサン臭い文言が並んでいます。

 その内容を要約すると、「この町から追い出されます。」「建替え後のマンションでは、今より部屋が狭くなります。」「税金が2倍、管理費・修繕積立金が高くなるので年金生活者は払えなくなります。」「部屋を強制執行で追い出されて路頭に迷います。」「建替え後に入居しない高齢者は住居の保証人が立てられません。」「仮住まいと2回の引越しは高齢者には過酷です。」「賛否の票が戸建ては1戸1票なのにマンションは1棟で1票なのは権利の侵害です。」等で、そのため再開発計画に反対しようということでした。

「平泉金色堂(絶筆)」
木版画 川瀬巴水

 計画を知らされてから10年以上経っているので、今さら何?感を持たれた方が多いと思います。
 事業の目的に防災機能の強化がありますが、この地区は増改築を重ねた古い木造建物が密集(多数の狭小敷地に低層老朽建物)し、その中で数多くの権利が複雑に絡み合い(土地利用が細分化かつ不健全、土地の合理的で健全な高度利用と都市機能更新)、道幅が狭く(道路等未整備・2項道路)、緊急車両が進入ができない場所がある等、個人の力では、にっちもさっちもない現場です。

「東京二十景」より 『芝 増上寺』
川瀬巴水

 また、当マンションは旧耐震基準の建物ですので、資産を維持して安全に住み続けるためには、耐震診断のうえ、必要な耐震補強工事が必須です。さらに周期的な大規模修繕工事、そして将来の建替え計画を始めなくてはなりません。

 マンション単独の建替え計画においては、現状の容積率では増床ができないため、増えた部屋を分譲して生まれる売却益を建築費に充てることができず、解体費用も新築費用も全額を区分所有者が負担することになります。全部屋をワンルームに変更しても採算が合いません。

 更地にした土地の価格は、建物の解体費用にも満たないこともあります。

 高齢者であっても再開発による建替えは、自己の負担なく良質な資産を残せることを魅力的だと思わないのでしょうか、永遠に住み続けられるところなどありません。


 建替え後は高層化による敷地割合の減少により税負担は少なく、管理費・修繕積立金は、無駄の多い初期設定の減額整備は管理組合の努力で変更できます。
 古い建物設備を社会的水準を保って維持管理するのはストレスも生まれ、各戸負担金が高額にならざるを得ません。
 マンション1棟で1票であることは法(都市再開発法第20条)の通り、土地が対象ですので土地の共有者全員で1票です。ここで決めたかのように権利の侵害というのは場違いです。

「東京十二題」より
『冬の月(戸山の原)』
(大正9年)川瀬巴水

 計画に反対しても具体的な代案がなければ多くの人の賛同は得られないでしょう。

 老朽化して荒れたマンションにはオーナーは住まず、コミュニティーは無くなります。
 家賃は下がり、修理のために管理費・修繕積立金等は上がるという負の循環で、放置すると未収金が目立ち始め、賃貸も「不利な人」=審査なしの外国人等が住むようになり、スラム化の始まりです。こうなってしまうと次世代へ負の遺産を残すだけです。

 大田区の南馬込と上池台に住んでいた日本画家・版画家である川瀬巴水(かわせ はすい)
の版画を挿絵に使わせていただきました

「東京十二題」より『深川上の橋』
川瀬巴水
「旅みやげ第二集」より『大阪 道とん掘の朝』
(大正10年) 川瀬巴水

以上
松尾好朗

良いルールは自然発生する。

 マスクが日常になってしばらくの頃、ある地方の美術館を訪れました。
 私は特設展が目当てでしたが、常設展には地元の画家を中心にした絵画をはじめ、工芸品や甲冑武具等の展示もあり、美術館と歴史博物館を兼ねているようです。
 建物は地元出身の建築家が設計と紹介され、打ち放しコンクリートとステンレス、それに大きなガラスのデザインは、この辺りでは目立ちます。
 要望が多かったのか、外観には少し盛りすぎ感がありますが、肝心の展示スペースは導線がよく、集中して鑑賞ができました。

 エントランスドアの真上には庇も雨樋も無くて、強い雨の日は出入りに支障をきたすようで、地元工務店さんがそこだけに雨樋を後付けせざるを得なかったところに地方なりの苦労を見せられた気がします。
 後付け感が満載で、どうしてもそこに目が行ってしまいます。(笑)
 館内には、オープン時はきっとオシャレだっただろうと思えるカフェがあり、オバサマ店員にポットのお湯で堂々とモンカフェを淹れていただきました。(感染防止対策もあったと思います。)
 地方のセンスをからかっているわけではありません。独自の地方色を期待しますので、運営はソフトメンテナンスにも目を向けて、予算を付けてほしいと思いました。

ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
東京都美術館

 しかしそのカフェには、平日のガランとした展示スペースに比べ、意外なほどの多くの人が、小グループに分かれアクリル板越しに談笑したり、一人でお茶をしている穏やかな風景がありました。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《花咲くマロニエの木》1890年5月22–23日

 ほとんどの人が地元、近隣の高齢者です。常設展は入館無料ですので、 散歩のコースでしょうか、三々五々入れ替わりにやってきます。
 外来訪問者をすべてに優先、美術館に直結しているので大声で話さない騒がない、感染者が少ない地域ですが距離を取って座るという当たり前の制限ルールが自然発生して良く守られています。
 そこは、とても心地良い安心できる空間に感じました。
 マンションの居住者の高齢者対策(サービス)については、色々提案されていますが、この美術館のカフェが持つ空間はとても参考になります。
 
 

 お仕着せの娯楽等を嫌う高齢者は多いと感じています。しかし、孤独を恐れ、人恋しい、聞いて欲しい、かまって欲しい時もあるでしょう。その環境では、提供側が良かれと思っていることが、かえって相手にストレスを与えたり、マンネリ化していることもあると思います。
 マンションに集会室がある場合、開放した場合に何ができるのか、何が自然発生するのか探ってみたい気持ちがあります。
 一定の制限があるほうが、リラックスできるという理由を探るのも興味深いですね。

 上のポスターの通り、東京都美術館のゴッホ展は12/12までです。
 ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
 Collecting Van Gogh: Helene Kröller-Müller’s Passion for Vincent’s Art
 ゴッホ展ですが、ゴッホだけではありませんよ。
 今回見逃すと後悔する作品がこちら2点です。

ジョルジュ・スーラ
《ポール=アン=ベッサンの日曜日》1888年
オディロン・ルドン
《キュクロプス》1914年頃

 スーラの作品は変色を恐れて海外貸し出しはめったにありませんので間近で鑑賞できるのは貴重です。
 もう一点ルドンの中で最も印象的な作品です。まさかこの目玉さんの方から日本にやってくるとは奇跡です。
 ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじや進撃の巨人に影響を与えたかどうかは知りません。
 一度見たらあなたの心に棲みついて、トラウマになるかもしれませんので、鑑賞する場合は自己責任でお願いします。(笑)
松尾好朗




 

第2回目の大規模修繕工事へ

 10年前のこと、Aマンションが第1回目の大規模修繕計画を、当管理士会の会員が管理組合顧問の立場で計画から工事の完成、及び関係資料の整備までをサポートしました。 
 この度、第2回目の大規模修繕計画において、再度当管理士会の会員が顧問として参加させていただくことになりました。大変ありがたいことです。
 2023年春工事を目標に、今月からスタートします。

 第1回目の大規模修繕では竣工時と比較して、劣化した部位を標準的な範囲で補修することで、概ね目的がクリアできますが、第2回目となると多くのポイントがあります。
 中でも、私が経験上重要ポイントと感じている2つを以下に記します。

53ペイニー通りアントニー、イル・ド・フランス

 第2回目修繕計画のポイントその1
 
 築20年を超えた建物では、その立地、周辺環境等で大きな違いが生まれてきます。
 例えば、海に近い建物ではアルミサッシや面格子、鉄扉等の金属部分が早く腐食する塩害対策、幹線道路沿いの建物は排気ガス中の成分による建物・設備や植栽等への汚染対策、高台では風害や笛鳴り、低湿地では黴菌による臭気対策、公園隣接では糞や騒音の鳥虫害、駅チカでも高層でも、また寒冷地でもそれぞれの特徴があり問題を抱えています。
 当たり前のことですが、周期的な補修の他には、そのマンションの現状(特徴・問題点等)をヒアリング等を含め、よく理解して計画(準備)することです。
 問題点だけではなく利点をさらに強調(増設等)することも考えられます。 
 10年、20年も経つと南面にタワーマンションがデーンと建っていることもあるので、マンションそれぞれに新たな変化が生まれていて当然です。
 管理組合から発信がない場合は、業者主導の工事で終わってしまいます。これは避けて欲しいため記しておきました。

 もう1つは、目に見えるグレードアップです。
 竣工時には最新型だったセキュリティー設備(インターフォンや防犯カメラ等)は日進月歩で進化、機能面もデザイン面も陳腐化していることがあります。
 エレベーター設備の既存不適格(竣工時は適法であっても、後の法定基準改正により不適格とされる。)の指摘を受けて改修するときは、同時に箱内の内装(壁面やボタン類、照明等)も含めましょう。

 バリアフリー対策についてはお仕着せでなく、よく計画しなければ本来の(居住者全員のための)バリアフリーにはなりません。単独計画では唐突になるので、大規模修繕と合わせて実行するほうが良いと思っています。
 古臭い照明器具と品のないタイル貼りの暗い玄関ロビーを、壁面にはホテルグレードの大理石を、照明をLEDで明るく印象を変え、居住者から大いに喜ばれたこともありますが、機能的な変更の外に見た目(見映え)のグレードアップも効果的です。
 グレードアップ工事を実施することは、時代に合わせたデザイン性、直接的な利便性・安全性の向上は、組合員の毎日の生活の中で目に見えるものなので、理解されやすいでしょう。
 
 修繕計画の活動内容をその都度、組合員へ必ず報告(今は、こんなことやってるんですよという掲示等)することで、信頼度が増加すると感じています。
 積立金の取り崩し額も大きいので、少人数で勝手に(隠れて)決めているとか、竣工後に一体どこを修理したの?と不満を残すようなことを言われないようにしたいですね。

ヨハネス・フェルメール
《窓辺で手紙を読む女》(修復後)
 

 良いニュースがありましたね。
 フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」(1657-9)、女性の背面上部にキューピットが描かれていることが判明しその修復が終わり、来年1月に都美術館でお披露目があることが発表されました。ドレスデン国立古典絵画館所蔵です。
 大戦でソ連に略奪された後に返却、その時はこの絵は返せないというソ連の要求を知らなかったふりをして持ち帰りました。必死だったのでしょうね。
 キューピットの出現で、時代背景や当時の人間関係など、多くの人がこの絵のストーリー、情景、女性の心理、小物の意味等を推測、推論を立てています。
 キューピットが消された理由も多くの憶測が生まれています。

 私は、手紙後半の位置を見る女性の目の距離が遠い(老眼?)ため、読んでる途中ではなく、すべてを読み終えた直後に脱力して腕を下ろしつつ、その文字を体で反芻し頬が久しく紅潮してきた瞬間だと推測しています。
 この女性は閉鎖社会の人妻で、遠く好意を感じていた異性からこの手紙で告白を受けました。絵の中の絵のキューピットの放つ矢が暗示しています。
 部屋の乱れ具合や色使いは女性の波打つ心の中を表現、右のカーテンで部屋を多く隠しているところが、覗き続けてはいけないようでエロチックです。
 キューピットが消されたのは、宗教人の誰かが絵の中の女性に嫉妬し、矢を永遠に放てないように消してしまったのではないのかと・・。
松尾好朗

見守るか、見ぬふりか

 駅チカのAマンションの管理員さんは勤続20年超えの元営業ウーマンです。おしゃれで外交的、子供が大好きです。
 このマンションで赤ちゃんが誕生し、成人式を迎えた人にとっては、お母さんのお腹にいるときから人生のすべての期間を管理室から見守ってくれている存在です。
 また、建物と共に高齢化し、独居となって暮らす居住者も多く、その人たちにとっては、昔の話題を共有できている話し相手で、お互いが顔を確認するだけで安心するという存在です。

 管理員さんは後期高齢者と呼ばれる年齢ですが、代わりになる人物を見つけるのは難しく、管理組合としてはできるだけ長く勤めて欲しいため、力の要る朝のゴミ出しを外注して、現在は管理室で受付、窓口業務を任せています。
 下階に店舗が入っているマンションなので見知らぬ人の出入りも多く、住居専用のようなオートロックシステムもありません。

 有人管理のマンションのメリットは、防犯上で狙われ難いというデータの通り、これまで大きな事件事故は繁華街の近くに関わらず起きていません。
 管理員さんが今後も継続できるように勤務日数の調整等、体力的に負担を少なくする方向を理事会で話し合い、本人の希望を確認することにしました。

 同規模のBマンションにも管理室はありますが、窓口はカーテンで閉じられています。
 経費節減の目的もあり、ゴミ出し曜日に合わせて管理会社から派遣された清掃管理員がマニュアルに則り作業をしています。
 勤務曜日が飛び石になる場合は、週3回といっても結局は一週間拘束されます。それだけでは募集しても応募がありませんので、ゴミ曜日が違う近くのマンションや、土日や夜間のビル清掃などと組合せて勤務時間を稼ぎ、一定の収入が確保できるようにしています。
 そのためいつも同じ人が同じ場所で勤務するとは限りません。
 時間に拘束されるため、自分の担当業務以外のことに気付きがあったとしても、見て見ぬふりという場合もあるかもしれません。
 清掃員と居住者とのコミュニケーションは、挨拶程度で希薄になります。

 A、Bマンションともに区分所有者の資産価値の維持向上が目的です。Bマンションは清掃管理を契約通りに実施していれば誰が行なってもよいのですが、Aマンションは管理員さんが長い経験を生かした管理が行われているので、心理的な部分(安心・信頼など)を含め、Bマンションとは居住性に大きな差ができていると思っています。

歌川広重 1857年
大はしあたけの夕立
「没後160年記念 歌川国芳」展

 私の経験上、清掃管理費用を削減したマンションでは、全体的な荒廃感(薄汚れていて清潔・清涼感が隅々に行き届かない)や、時に居住者が非協力的(奉仕性が生まれてこない環境)になり、粗大ゴミの放置やルール違反、法的点検の不参加等が目立つというスラム化の予兆を感じることがあります。

売っていた手ぬぐいです。

 マンションの建築や設備、法律や会計等については多くの情報があふれています。しかし、場合によっては中古マンションの購入の決め手になるかもしれない管理員さんの情報については皆無です。
 売買時の重要事項説明書でも管理員の勤務形態「日勤」と二文字だけなのは、一生の買い物をしようとする顧客に対してあまりに不親切です。
 業界が利益にならない取材や情報提供を怠っていることが残念です。

 Aマンションの理事会の終了後、太田記念美術館に立ち寄ってきました。
 マイナーな美術館なので空いていると思ったのですが、8/29日曜日で企画展の最終日ということからか、ゆっくりと無言で移動する動きながらも少し密でした。
 9/4から「没後160年記念 歌川国芳」展が始まりました。
 一足先に手ぬぐい等をお土産に求めました。柄は以前紹介した国芳の「金魚づくし」です。
 松尾好朗

『其まま地口猫飼好五十三疋』 歌川国芳






区境いを越えて

 会に大田区という地域名をつけていますが、私を含め会員は大田区内に限って活動をしているのではなく、区外、近県にまで活動範囲が及びます。まだ海外はありません。(笑)

①最初のひまわり
フィンセント・ファン・ゴッホ
1888年8月
②芦屋のひまわり
フィンセント・ファン・ゴッホ
1888年8月 

 先日、大田区ではなくて都内一等地に建ついわゆる高級マンションの管理組合からご連絡をいただきました。
 現在委託している管理会社から委託料等の値上げ要求があり、これが妥当なのか、管理組合では判断が難しいため全体収支を含めた見積査定の依頼でした。

 その後、数社の管理会社から委託料等の見積を受け、比較検討の結果、管理会社を変更するところまで漕ぎ着けることができました。
 以前もこのブログで書いたことがありますが、会社変更や点検回数を減らしたりで金額を下げ、報酬を受けてからは何があっても知らぬふり(又は別料金)という下げ逃げをする管理士がいます。
 しかし、変更後の新しい管理会社が軌道に乗るまでは責任があると思いますので、アドバイスを続けさせていただく予定です。

 前回の続きで夏の花「ひまわり」です。
 ゴッホは南仏のアルルを仮想日本として、黄色い家に招待したゴーギャンを待ち焦がれていた間、部屋に飾る「ひまわり」を描き始めました。彼の心が充実してもっとも幸せな時代だったと考えられます。

 ①1888年8月、最初に描いた3本のひまわりです。
 ②同月の作品、武者小路実篤が計画していた白樺派美術館の目玉をパトロンである実業家の山本小彌太にに依頼、現在価格換算2億円で購入(゚Д゚;)、戦争中は他の絵画は疎開できましたが、芦屋の家の壁に固定していた「ひまわり」は空襲で家と一緒に焼失してしまいました。残念です。

③ミュンヘンのひまわり
1888年8月
④ロンドンのひまわり
1888年8月
⑤SONPO美術館のひまわり
1888年12月-1889年1月


 ③ノイエ・ピナコテーク(ミュンヘン)蔵、同月3番目に描きました。黄色い家の壁紙の水色がバックで花の黄色と補色関係になっています。心が安定しているような色と構図です。
 ④ナショナル・ギャラリー(ロンドン)蔵、8月だけで4枚目のひまわり、花もバックも台も黄色系です。花の本数も12本から15本に増えています。いわゆるゴッホらしさが見えてきました。
 ⑤SONPO美術館(旧東郷青児美術館)、1987年のバブル期に安田火災海上が58億円で落札、世界中から贋作といわれましたが、真筆であることが証明されました。
 耳切り事件の直前に描かれたもので、④以上にゴッホらしい心の高揚が見えます。
 閑散としていた美術館がこの1枚で行列ができました。

⑥アムステルダムのひまわり
1889月1月

⑦フィラデルフィアのひまわり
1889年1月

 ⑥耳切り事件の後に⑤を模写、現在ファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)で門外不出になっています。
 ⑦ミュンヘン③を模写したものです。

松尾好朗  

マンション管理士の副業

 私の場合は年、月、週とルーチン作業があるものの、マンション管理士の仕事で予定がいつも満杯ということは、まずありません。(悲)
 主に建物不動産管理関係の外には、数社の派遣会社に登録していて、次の予定までの空いた期間に他業種のアルバイトをすることがあります。
 その派遣会社から五輪の直前に、「オリンピック関係駐車場誘導員」という急募がありましたが、選手をサポートする等のふれあう機会がなく、炎天下の旗振りは、さすがにボランティアには頼めなかったのでしょうか、私なら一時間も体がもちませんね。
 五輪関係では元請け価格は特上なのですが、順々に末端にまで下りてくるのに合わせて、時給も加速をつけて下がってしまいます。(涙)

 その五輪では、金メダルをどこぞの市長に噛まれて、選手の女の子はさぞ驚いたことでしょう。でも「メダルは神聖」などと周りが勝手に決めつけるのはありがた迷惑で、ソフトボール競技が五輪採用がなかった中で、実施できたことに価値がある気がします。
 選手は辞退しても、メダルは交換されるようです。
 しかし、やり方を間違うと前のメダルの所有権が、代金を払う市長に移ることもあるわけで、そうなれば市庁舎に「噛みつき金メダル」として展示すればとてもシュールですね。(冗談です。)

伊藤若冲 1757~動植綵絵の中の
「向日葵雄鶏図」

 夏はこの花、江戸時代の4代家綱の頃に日本に入りました。
 なでしこの可憐さ朝顔の儚さなどのイメージとはかけ離れているこの花は、当時は品がないと言われ人気がなかったようです。
 「あなただけを見つめる。」と、花言葉がちょっと重い「ひまわり」です。
 紀元前からアメリカインディアンが栽培を始め、欧州から中国経由で1660年代に日本に入ってきました。

鈴木其一(1795-1858)
「向日葵図」
Suzuki-Kiitsu1080x1920

 欧州では観賞用の外に、ロシア・ウクライナ等へはヒマワリ油の栽培目的と品種が分れました。
 ソフィア・ローレンがマルチェロ・マストロヤンニを探して訪れるシーン、映画「ひまわり」1970年のロケ地は、ウクライナのひまわり畑です。

 以前マンション敷地の空いたところに、ひまわりの種を蒔いたことがありますが、成長良すぎて花は2メートル以上の高さで咲き誇り、葉っぱしか見えずに失敗、やはり改良した園芸種(背が低い)の苗を植えるのがよいと思いました。

 ひまわりを描いた日本画は少ないのですが、洋画ではゴッホのひまわりが有名です。
 次の機会に紹介させて下さい。
松尾好朗

注文の多い定時総会

 すでに議決権行使書の賛成票と議長への委任状を合わせて過半数に達していましたが、総会当日の出席者の意見により、議長が議案の一部を変更して決議した2つの例があるので紹介します。

 そのⅠ(宅配ボックス設置)
 今や珍しくなった宅配ボックスを持たないAマンションですが、若い夫婦の多くから再三の導入希望があり、設置の予定場所と見積もり、機器の仕様を添付して総会議案としました。
 その時の理事会は若手中心でしたので、議案書について違和感がなかったのですが、宅配ボックスのオプション機能にスマホ連動にはアプリをダウンロード云々、一部の高齢居住者から、わけがわからんと反発を買ってしまいました。

歌川国芳「金魚づくし」全9図のうちの1枚です。

 在宅していることが多い高齢者は、留守の時にしか使えない高額で場所をとる設備などは不要であり、点検費用や電気料を利用しない人までが負担することは疑問と、導入に反対する意見がありました。
 高齢者の中でも毎日のように外へ出かけ、テレビショッピングを楽しんでいる人の多くは宅配ボックスの導入を望んでいます。また、賃貸する場合に必須条件である宅配ボックスは資産です。

 そのⅡ(多目的室のミラー貼り)
 都下、Bマンションの1階部分には広い多目的室があります。
 居住者に限らず近隣住民も参加して、いくつかのダンス系やヨガ、フィットネスのクラブが以前からそこで活動が続けられています。
 自身の動きや姿勢を見るためには、キャスター付きの姿見を使っていましたが、固定ができないので危険でした。
 そこで、各クラブからの希望をまとめ、バレー教室のように壁面にミラーを貼ることを総会提案することにしました。議案書にはその目的と仕様、見積書を添付、こちらも議決権行使書と議長委任状により、すでに賛成票が足りていました。

 出席した高齢者からの意見は、一部の利用者だけのために管理組合が高額な費用を支出するのは疑問があり、室内の静寂を求める法要や読書会、茶道の場面では、壁にミラーを貼った万華鏡のような部屋では落ち着きに欠けるという内容でした。
 活動する場所の確保が難しい地域において、設備・環境を整えた活動場所を近隣住民にも開放、提供することによる地域コミュニティーへの貢献は大きなものがあります。

歌川国芳「金魚づくし」
上の猫は怪談100物語に出てくる化け猫です。

 これらⅠ、Ⅱに共通するのは、多くの高齢者には日常生活に関りのない事に余計な費用が使われることや未知な部分には保守的で、管理費、修繕積立金の値上傾向へのけん制をしているのかもしれません。

▢ 宅配ボックス設置についての決議
 夜間もマンション内に出入りが多い配送業者の再配達による立ち入りを減らし、提携クリーニング店や荷物発送などの高齢者にも便利なサービスについても掲示周知し、オプションは希望者のみに個人負担、導入台数も減らし大きくコストダウンを図り決議を取りました。しかし、将来台数が不足する場合は増設することとしました。

▢ 多目的室ミラー貼りについての決議
 ミラー貼りの範囲を見直し、部屋の2面に現場加工で天井高さまで貼る予定を、規格サイズ(三分×六分)4枚だけを壁の片面に貼ることで大幅なコストダウンとしました。 
 ウィルス感染防止のためにリモート理事会や書類配付だけの場合もあり、工事業者が工事範囲を膨らました計画そのままの見積もりを、理事会は一度も現場確認もせずに総会提案したのが反省点でした。

歌川国貞(三代歌川豊国)「土用干し」1854年

「土用干し」図の床の上、お皿に盛られた西瓜、細かくカットして食べていたんですね。

 総会は管理組合の最高の意思決定機関であるため、議長が一定の少数意見を取り入れ議案の範囲で調整することは可能です。
 この2例のように理事会の中だけで盛り上がり、理事長一人に任せたり、管理会社任せにするだけでは組合員への説明不足、確認不足で高い買い物になるところでしたね。

 最近では少数意見を尊重し過ぎる傾向がありますが、意見を無視をすると不満が残りますので、良い意見なら取り入れるような議事進行やその意見を議事録に残すことが重要です。
 管理組合の総会の出席組合員は会社の部下ではありませんので、議長は組合員から恨みをかうような態度を見せるのは良くありません。しかし、自分の主張を押し通したり妨害するだけの組合員には強い態度で対応してほしいと思います。

 夏らしい浮世絵の挿絵を選びました。
 猫の戯画が有名な国芳ですが、金魚シリーズに可愛いのがあります。
 来月から太田記念美術館.にて没後160年記念、国芳の作品が展示されます。
 もう一人、国貞の浮世絵は虫干しですね、梅雨明けから数日後のからっと晴れた日を選んでの行事です。
 節目という言葉があるように季節感を大事にしたいですね。
松尾好朗

 


 


 

 ここまで違うと別物と思わせてくれる本場の味、夏ならではの風味です。
 手延素麺、季節を美味しくいただきました。
 



 


アマゾンDPから悪質をお届けします。

 今、現場で起きていること。
 宅配ボックスは生活様式の多様化の中で、マンション共用設備の必須アイテムとして定着しています。
 Aマンションでは、アマゾン配達員(DP=デリバリープロバイダー)が早朝から入り込み、受け取り側が在宅、留守に関わらず、搬入した荷物のすべてを宅配ボックスに放り込み、次の宅配ボックスのあるマンションへ急ぎます。
 居住者は、夜までに宅配ボックスに預けられた荷物を引き取りますので、朝は空いているボックスがほとんどです。
 配達側は朝の時間帯は持ち帰りロスがなくて効率が良いのですが、在宅していても宅配ボックスへ預けられてしまいます。
 ただ、早朝にピンポンと呼び出されても困りますけどね。


 午前9時を過ぎた頃には、クロネコや佐川等の宅配業者が動き出します。
 届け先が留守の場合、宅配ボックスへ預けようとすると、朝一の配送なのにすでに満杯ということが実際に起きています。

川瀬巴水『七里ガ浜』1928年

 感染防止による外出制限や在宅ワーク等の影響で、特別な注文ではなく通常の食材や日用品の配達や重量のある飲料、ペットフードやトイレ砂、更にお中元のシーズンとなり宅配ボックスの数不足が目立ちます。増設したくても、設置する場所がないということもありますね。

 宅配ボックスもオートロックもないマンションでは、配達員(一部)はマンション内のあちこちに台車をぶち当てながら泥靴で侵入、届け先が在宅していても玄関前に勝手に置配(オキハイ)やドアノブにぶら下げ等、手渡しはしません。
 注文者(受取側)もオキハイ希望が多いのも事実で、配達員がオートロックで中に入れずオキハイができないので、管理会社に訳のわからないクレーム電話をした配達員がいました。

エドマンド・タル『薄明かり』


 郵便小包の時代を経て宅急便・宅配便は新語として登場、運輸流通経済を支えてデジタル時代にも対応、自主ルールと関係人材の教育に費用をかけてきた業界は、いま明らかに乱されています。
 悪質な配達員は淘汰されるのでしょうが、アマゾンの組織が末端までコントロールできない状況なのか、勝ち逃げを図っているのか、そのまま放置するのか、以前ヤマト運輸がアマゾンの配送を請けていた時代とは大きく変わりました。


 高級と呼ばれているマンションにアマゾンDPやウーバーの類に見られる素人配達員を、ノーチェックで建物内へ侵入させている限り、セキュリティーやプライバシー上で一般マンションと差はありません。

 居住者の側から素人配達員を呼び込んでしまっているので、今のところ防ぐ方法はありませんが、居住者であまり宅配などを利用しない方が問題視するような時が来ると思います。
 

ウィリアム・アレン『子供たちの聖なる行進』
ハンプシャー文化トラスト

 不潔そうな身なりや挨拶もしない人物は館内には入れたくないと思いますね。
 最近では、ウーバー配達員が入り口と間違って常時(開)格納の防火扉を閉めてしまい、火災警報盤が鳴動、警備会社が出動したことがあります。

*世情のこと*
 「うちの子が練習していた文化祭コンサートは中止なのにオリンピックはやるのね」というようなフレーズが溢れています。
 本当にコンサートをやりたければ、ゲリラでもズームでも失敗しても実行する気概を持ってほしいと思います。オリンピックを並列させて語るのは、言い訳のように聞こえてしまいます。

 「おもてなし」をお題目にインバウンド需要を見込んで投資した多くの日本人は、ウィルス感染防止のため五輪が延期の上に無観客となることが現実になってしまいましたが、逆境の中で耐える工夫をし、様々なことを考え、意見を聞く機会を与えられたところをヨシとしたいです。

 本日、貼り付けした絵は「薄明りの絵画」様のセレクションから拝借しました。
 先日、小学生の列へと酒酔いトラックが突っ込んだ事故がありました。
 葬儀の列、後に続く子供たちは仲間が亡くなったことを理解できてるのでしょうか。素朴なタッチ故、涙を誘います。
 松尾好朗 

ジュゼッペ・ペリッツァ・ダ・ヴォルペード「亡くなった子供」
1902年頃、オルセー美術館

 

みんな大好き「ランク付け」

 内容にかかわらず週刊誌などでランク付けの特集を組むと、その記事の関係者が購入するため一定の売り上げと、読者の新規開拓が望めるメリットがあります。
 マンション関係では、管理戸数の多い順に管理会社をランク付けした特集記事を見かけます。「管理戸数が多いので良い管理会社です。」というわけではなく、管理する範囲や方法は契約内容によってマチマチです。
 管理組合の望む良い管理会社というのは別の尺度があります。
 でも、相撲番付のように懲りずに毎年やっていますね。(笑) 

 住みたい街のランキングでは、不動産業界の作った台本に誘導することもありますが、一定の根拠があり、その時代の傾向を知ることができます。

 都道府県の住みやすさランキングの一つでは、上位に石川、福井、富山と北陸3県が占めている調査結果がありますが、東京や大阪とは人口が桁違いなので、なんでも都道府県単位で比較するには無理がありますね、物価と所得、福祉や医療、子育て教育、何を基準に何を重要視するのかによって違ってきます。
 

ポンパドゥール侯爵夫人

 欧米のある住みやすさランキングの調査では、スカンジナビア半島の北欧3国が占め、日本では北陸3県が占めていることが少し似ているような気がします。
 その住みやすい県や国に住みたいかというと答えは違う結果になり、公共サービスの充実と税負担は連動します。また寒いのが苦手な人にも敬遠されるでしょうね。

 人は何かしら順位付けやグループ分けをして自身の位置を確認し、安心感や優越感、妬み嫉みを感じるのが好きなのかもしれません。

狩りの女神ディアナの衣装をまとったポンパドゥール夫人
このコスプレでパリの仮装舞踏会に現れルイ15世を夢中にさせました。

 LGBTは性的マイノリティーの略称として使われていますが、最近、後にQIA(クイア)がくっついてLGBTQIAと文字が増えています。(意味は下線のリンク先)
 英米ではFacebookの登録時に自分の性別を71種類の中から選ぶということですが、もう私には訳がわかりません。
 これらが不安の裏返しの逃避(ごまかし)行動でなければよいのですが、少数者、少数意見を言われるままに受け入れ拡大解釈するのは、民主主義の根幹部分がぼやけてゆく気がしています。

 最近、管理組合の総会決議でも、少数意見を大切にと議決権行使書により、すでに可決している議案を保留にするなど、同じ傾向(風潮)があると感じています。

 肖像画の女性は、ロココの華、ポンパドゥール侯爵夫人(ジャンヌ・アントワネット・ポワソン)以下、ジャンヌと呼びます。
 ジャンヌは16歳でパリの社交界へ、1745年24歳でベルサイユにデビューしました。
 明るく知的でよく笑うホンワカ系美人のジャンヌは、たちまち仏国王のルイ15世の心をつかみ、平民出身ながら公妾としての地位を確固に築きます。
 文化芸術だけでなく政治にも深くかかわりをもち、貴族やイエズス会の妨害も才覚で乗り切ります。
 ジャンヌは、仏ブルボン朝の宿敵、女帝マリア・テレジア(オーストリア:ハプスブルク家)、そしてロシアの女帝エリザ・ヴェータと3名の女性により、後年「3枚のペチコート同盟」と呼ばれる同盟を結び、侵略を続けるプロイセン王フリードリヒ2世包囲網を完成させます。7年戦争の始まりです。(1756年)
 当初は優位に立っていたものの、すでに疲弊していたフランスには無能政治家と賄賂軍人しかおらず、そのため軍事的才能豊かなフリードリヒ2世に軍配が上がり終戦になります。(1763年)
 

ラ・トゥール モーリス・カンタン・ド
「ポンパドゥール夫人」1755年
Maurice Quentin de La Tour(1704-1788)
Portrait of the Marquise de Pompadour

フランソワ・ブーシェ( 1703-70)
『ポンパドゥール夫人の肖像』1756年
35歳のジャンヌ

 ジャンヌは、42歳で結核の病で亡くなります。(1764年)この年、モーツアルトが6歳で演奏会を開き、100年後には新選組が池田屋を襲撃、200年後には新幹線が開通して東京五輪が開催されています。
 5年後の1769年、マリー・アントワネット(マリア・テレジアの娘)が、次の仏王ルイ16世に嫁ぎます。そしてナポレオンが生まれた年でもあります。


 その後、1789年のフランス革命、1793年のギロチンまでの道のりは、「ベルばら」に描かれたとおりです。

 美術史上の分類は、ルイ15世のロココ様式からルイ16世の新古典主義(ネオクラシシズム)に変わります。なお、ルイ14世はバロック様式(ベルサイユ宮殿など)です。これは分りやすいグループ分けですが、これも何を基準にするのか、ランク付けはできないですね。

晩年のポンパドゥール夫人
フランソワ・ブーシェ

 繊細優雅なロココ調文化の裏には、贅を尽くし円熟した中の刺激のない退屈感、刹那的快楽を繰り返す虚無感、長引く戦争への退廃的思考、物憂い気怠さが漂う「アンニュイ」という言葉がとても似合います。
松尾好朗

コンドミニアム崩壊に学ぶ

 6/24フロリダ州で1981年竣工(築40年)、12階建の集合住宅が崩壊して11名が死亡、151人が安否確認ができないと報道されています。(共同通信・時事通信・ロイター)
 6/30現在、崩壊原因は調査中
 行方不明者の一刻も早い救出と、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 注目するのは、崩落時に居住(在宅)していたかもしれない人と連絡が取れていないことです。その人数の報道は日々増減、変化しています。

崩落前
右手前の大部分が崩落しています。

Google Map

崩落後
フロリダ州マイアミビーチ 
サーフサイド崩壊現場
2021/06/24

 日本では、管理会社は管理費等の請求先と名義(口座振替)、総会議案書等の送り先が分っていれば、法的事務を除き管理業務に大きな支障はきたしません。
 使用細則等で定められている「居住者届」により家族の氏名、生年月日、連絡先等を届出された範囲で把握しているだけです。
 しかし築年数を多く経たマンションでは、家族の増減、賃借人など入退の届けが提出されないことが多く、実際は誰が住んでいるのか隣の人でも知らないというマンションもあります。

崩落前
Google Map
崩落後

 リストがあるだけではだめで、家族の増減が届けられているのか、記載されている本人の電話番号や緊急連絡先は今も通じるのか、賃借人退去・入居が届けられているのか、最新で且つ正しいデータでなければ、緊急時には逆に現場に混乱を招くことになります。
 総会時に居住者等データに変更がないか、変更がなくても回答をいただくのですが、回答がないのは毎年同じ人というのが管理組合あるあるです。
 経験上、居住者リストの名前などの活字は、はっきりと大きな字で、フリガナ付きであること、これは緊急時はリストを手に、各戸訪問や電話連絡、夜間に周辺確認や停電の場合もありますので見やすいものに限ります。

 リゾートマンションの場合、ホテルのような管理システムがなく出入り自由な場合は、現在誰が使用しているのか全く把握ができません。

 昨今は個人情報保護を盾に、管理組合役員、管理員にすら居住者リストを公表しない場合があり、万一事件事故が起きても居住者の連絡先どころか名前も人数も現場では準備できないこともあります。


 管理費等節減などにより、常駐管理員は清掃員(週3回程度)に置き変わり、劣化や交換を指摘されている建物・設備の補修工事は、根拠なく金額が高いというだけ(組合も反対者も素人)で賛成票が得られず、だらだら次期へ持ち越しさらに高額な工事になるマンションは多くあります。
上記フロリダの場合も、崩落原因が地盤沈下説の他に、補修費用が莫大な金額(各戸負担)になる議案がコンドミニアム所有者の賛同を得られず、このような結果になったとの情報が出ています。

 この事故を教訓に、マンション居住者名簿(連絡先等)の刷新すること、特に築年数が35年を過ぎているようなマンションは建物・設備の再調査により修繕計画(適正な修繕積立金)を最新の情報に基づいた見直しが必要ですね。
 昨今の総会出席者(高齢者が多い)の「工事にそんなにお金かけなくていい」という風潮が何故か共通して生まれていますが、この問題は別の機会にします。
松尾好朗

 

節減努力という罠

 小売電気事業者を選べるようになった背景(2016/04~)があり、Aマンションでは共用部分の電気料金節減を目的に、東京電力からB電気へ切り替えました。

 切り替え後は、昨年同月比で数千円の節減金額が確認できました。
 B電気への支払い方法は契約では自動振替でしたが、数か月経っても振替が開始されていないため問い合わせると、「来月からです。」との返答が何度か続いたあげく、1年間経過もまだ自動振替がされません。
 そのため、このB社の支払いのためだけに銀行へ出向き現金を振り込むという手間を強いられました。

キュラソーの街並み
キュラソー国旗
キュラソーの街並み

 理事会ではB電気は信用できないとして解約を申し入れたところ、解約料と調達調整金の前払いを加算した請求書が送られてきました。
 契約時に確認しているはずの解約料でしたが、契約口(動力、電灯など)は3口分それぞれが解約料の対象になるのは把握できていなかったことは迂闊でした。
 後から判明したのは、単価が市場連動型であるこの会社では3年分の調達調整金を前払いする実質3年縛りの契約だったことです。
 1年間の節減分を差し引きしても大赤字になります。電気供給が止まるリスクを避けるためすでに会計方は電気料に合わせて支払いを終えていました。
 この解約は相手方に契約の一部に不履行(自動振替の未実行)があること、また調達調整金は相手方に原因がある解約においては、支払い義務が生じないことを主張して返金を申入れました。
 何度かのやり取りの時間を費やした結果、返金に応じるとの回答がありました。

対岸からのウィレムスタットの街の眺望
クイーン・エマ橋よりウィレムスタットの街並み

 法改正などを機にマンション管理組合へ直接、様々な怪しい業者が入り込んできます。
 以前は、磁気活水器、地デジ対応、家庭用火災警報器、アルカリイオン整水器、水質検査、ディスポーザー、民泊など、他にあたかも管理組合が案内しているような文面でインターネットの勧誘や、オートロックを潜り抜けて宅内設備点検と称して家庭内に入り込み、水周りのリーフォームを強引に契約させることもありました。これらは詐欺に近いものですが、特定政党関係や宗教などは信じた者が勧誘するので厄介です。

 写真はソフトバンク球団の外野手、バレンティンの故郷です。
 この人口15万人ほどの小さな島から彼のような大リーグの選手を多数輩出しています。

キュラソー島 ウィレムスタット

 オランダ自治領キュラソー島というベネズエラの北、カリブ海に位置する種子島ほどの広さの島です。
 中心のウィレムスタットの中心街の街並みは明るく、現在は観光産業の島になっていますが、若者の多くは外に出るしか生きていけません。町を少し外れると荒廃した土地が続きます。
 スペインに完全に征服され原住民は一掃され文化風習は消滅、その後もオランダに植民地支配され続けました。
 欧州の奴隷売買や世界の石油をめぐる情勢に翻弄され続けた小さな島です。
松尾好朗

勘違いの善行

 マンションでは飼えないので、近所にたむろしているノラ猫に餌やりするご年配のグループを見かけます。ハトやカラス、雀までがおこぼれを狙って集まってきます。
 餌やりをすることで、「小さい命を救ってあげた。今日も良いことをした。」と思い込む「善行」を生きがいにしてらっしゃるのか、周りは迷惑なので人間社会にも「善行」をお願いしたいですね。

『ジャンヌ・エビュテンヌの肖像』(1918年)
妻のジェンヌ・エビュテルヌさん
 藤田嗣治のモデルもしていました。
藤田嗣治

 ある地域では、餌やりグループの協力を得てノラ猫に順に避妊手術を施し、繁殖拡大を抑える活動をしている団体があります。
 施術後は猫耳にVカットを入れて見分けているそうです。 
 避妊手術代は寄付金で賄っていることで活動を不安定にさせないで欲しいですが、莫大な寄付があればノラ猫はいずれ絶滅することになるので、餌やりグループの楽しみがなくなってしまいますね。(笑)

 本来は自然淘汰される命を、人の手によって延命させてるだけなので、賛成できません。

 世間では、感染防止のための飲食店への時短や酒類制限に応じないところが目に見えて増えています。店が感染対策をしていても、来店客が感染者なら誰も防止できませんね、取材に応じた店長は「従業員の生活を守るため店を開けている。」とのことですが、その家族に感染して命を落とすことは考えないのでしょうか。
 ノラ猫は餌がなければ餌を求めて移動し、強いものだけが生き残るのが自然なこと、飲食店の従業員もお金が確保できないと分かると他を探して生きて行くのも当然なことだと思います。

 餌やり婆と飲み屋の店長を一緒にしてごめんですが、ルールは守って欲しいですね。猫も従業員も、餌が目当てで人物にくっついているわけではありません。

ビアトリス・ヘイスティングスの肖像
1915

 文中の絵は本文の内容とは関係がありませんが、この画家の名前を知らなくても、絵は知ってるという人が多いと思います。
 新しい思想が多く生まれ、分派し変化して成長する時代に影響されながらも、一度見たら忘れられない独自の絵を描きモンパルナスを根城にしていたイタリア生まれのナルシストのイケメン画家です。

『赤い肩掛けを着たジャンヌ・エビュテンヌ』(1917年)
大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ1918


 Amedeo Modigliani(1884-1920)表現派
 アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ(エコール・ド・パリ)
 彫刻にも挑戦し、キュビズムを迎合せず「抽象は人を疲れさせ、駄目にする袋小路だ。」という言葉を残しています。
 虚弱な体を酒と薬物で寿命を縮め、結核で早世(36歳)します。
 短い生涯、貧困からは脱することはありませんでしたが、後年、妻のジャンヌの肖像画が56億円、横たわる裸婦は210億円で落札されました。
 松尾好朗